母子家庭に学資保険は必要?シングルマザーは平均いくら必要か\FPがシミュレーション
学資保険は、銀行に預金していくよりも利率が高く、また母親に万一のことがあった場合には死亡保障や以後の保険料が免除になる「保険料払込免除特約」などの保障があります。
ですから、保険料を支払う金銭的余裕のある方は、教育資金貯蓄の手段の一つとして学資保険を選ぶことも賢明な判断と言えます。
この記事では、母子家庭に学資保険が必要かどうかを詳しく解説します。
そして、母子家庭におすすめの5つ学資保険の詳細をご紹介していきます。
目次
母子家庭に学資保険は必要?
母子家庭で子供の教育資金を貯蓄していくことを考えた時に、学資保険は有効な手段の一つです。
理由は主に下記の4つがあります。
銀行預金よりも利率が良い
ひと昔前と比較すると、学資保険の標準利率は0.25%と低水準です。
それでも、銀行の金利は定期預金であっても最大0.20%で、学資保険の方が利率の良い場合がほとんどです。
なかには満期返戻率が108%を超える学資保険(※条件による)もあります。
ですから子供の教育資金を銀行で眠らせた状態にしておくよりは、学資保険に加入した方が、将来的に少しでも元金より多くの学資金を受け取ることができます。
ただし、会社によって、または保障内容や払込期間などによって、学資保険の満期学資金が元金を割り込んでしまうことも今の時代では起こり得ることです。
学資保険に貯蓄性を求めるのであれば、その点はよく注意した上で加入することが必要となります。
保険料払込免除特約がある
学資保険の大きなメリットの一つでもある「保険料払込免除特約」は、母子家庭にとって、とても心強い特約となります。
その内容は、契約者である母親に事故や病気で万一のことがあった際、以後の保険料を支払うことなく、きちんと満期学資金が受け取れるというものです。
学資保険は貯蓄性だけでなく、こうした特約を付加することで子供の将来を金銭面で確実に守ることができます。
生命保険料控除が適応される
生命保険料控除とは、その年に支払った保険料に応じて、税金が軽減される制度のことを言います。
払い込んだ保険料によって一定の金額が税率を決める前の所得から差し引かれ、次年度の所得税と住民税の負担が軽くなります。
学資保険は、この生命保険料控除が適応されます。
教育資金の貯蓄をしながら、なおかつ税金の負担も軽減されるのは、金銭的にとてもメリットがあると言えます。
確実に積立することができる
学資保険は、保険料の支払いが銀行口座やクレジットカードからの引き落としになります。
ですので、自動的に、また半強制的に積立をすることができるのも学資保険の強みと言えます。
さらに、学資保険は途中で解約をすると、返戻金が今まで払い込んだ保険料の総額よりも大幅に下回る設計となっています。
そのため、中途解約がしづらく、学資保険を除いた上で家計のやりくりを考えるようになり、結果として確実に教育資金の積立ができるようになります。
母子家庭(シングルマザー)に無理のない学資保険の満期学資金はいくら?
一般的に、満期学資金の設定額は200万円から300万円にする家庭が多いことがソニー生命の調査で明らかにされています。
この場合、払込期間によって保険料も変動しますが、月々の保険料は約1万円〜2万円が相場です。
母子家庭とひとくちに言っても、子供の人数や母親の所得によって教育資金をどれだけ用意できるかは異なってきます。
注意すべき点は、上にも書いたように学資保険を中途解約すると、保険金が元金を大きく割り込んでしまうことです。
そのため、学資保険に加入する際には無理のない保険料の設定が必要となります。
月々5千円でも、単純計算で18年間継続して積立をした場合には108万円貯蓄ができます。
返戻率の良い学資保険に加入すれば、108万円の元金よりも多く満期学資金を受け取れることになります。
保険料が月額1万円以下であっても、将来まとまった教育資金があることは、子供のためのみならず母親である自分自身のためにもなるでしょう。
児童手当を保険料にあてるなど、まずは家計に合った無理のない保険料を割り出し、その上で満期学資金を設定することをおすすめします。
学資保険を検討した方が良いシングルマザーの特徴
学資保険は子を持つ親なら誰でも加入した方が良いというわけではなく、加入の条件や家庭状況によってその判断は変わってきます。
ここでは、学資保険を検討した方が良いシングルマザーの3つの特徴をあげます。
子供がまだ乳幼児である
学資保険は、被保険者である子供の年齢が低いほど満期学資金の返戻率が上がります。
同じ会社の学資保険でも、子供が0歳で加入した場合には返戻率が元本を上回り、5歳で加入すると元本割れするということもあります。
返戻率は、契約者である親の年齢も若い方が上がります。
ですから、学資保険は子供の年齢が大きく関係しますので、まだ子供が乳幼児である場合には加入を検討してみても良いと言えます。
経済的に少しでも余裕がある
家計が黒字で、月々少しでも安定して貯蓄ができているということであれば、学資保険の加入を検討してみましょう。
繰り返しになりますが、学資保険は銀行預金よりも利率が良く、確実に教育資金を貯蓄できるからです。
ただし、注意したいのは、今後収入が減少したりするような不測の事態があった時に、保険料の支払いが困難になってしまう可能性があることです。
そうなると中途解約せざるを得ず、結果として返戻金が元金を割り込んでしまうことになりますので、そうしたことも考慮した上で無理のない保険料を設定しましょう。
親族との関係が良好である
考えたくないことではありますが、契約者である母親に万一のことがあった場合、学資金受取の際に子供が未成年であれば「親権者の同意」必要となります。
祖父母など母親の後見人となる親族は、現在の関係性が良好であっても万一のことを考えて慎重に選ぶことをおすすめします。
学資保険に入らなくてもいい母子家庭の特徴
学資保険は銀行預金よりも利率が良いとはいえ、条件次第で元本を割り込む可能性があるなど、シングルマザーにとっても教育資金を貯蓄するベストな手段とは言い切れません。
学資保険に入らなくてもいい母子家庭の特徴は以下になります。
祖父母に孫の教育資金援助を受けることができる
祖父母に資金力があり、孫の教育資金援助を約束されている、または援助してもらえそうな可能性があれば学資保険の加入は必要ないでしょう。
援助が確実ではない場合、言いにくいことかもしれませんが話をしておくことが大切です。
教育資金名目の贈与は上限が一括1,500万円まででしたら非課税となります。
こうした話題に触れながら、祖父母に頼ってみることは祖父母にとっても可愛い娘や孫の役に立つことができて嬉しい話しかもしれません。
生活費に余裕がない
月々の生活費がギリギリ、または月によって生活費が赤字で貯蓄を切り崩したりしながら生活をしているということであれば、学資保険の加入は控えた方が良いでしょう。
保険料の支払いが困難で途中解約せざるを得ない状況となった時、解約返戻金はそれまでに支払った保険料の総額を大きく割り込んでしまう可能性が高くなります。
奨学金などの制度をうまく活用するのも、子供の将来を考えた時のひとつの手段です。
将来のために無理をして、現在の母親や子供の心身の負担を大きくしてしまうよりも、今の生活を健全なものにすることが結果として子供の将来に良い影響を与えるかもしれません。
子供の年齢が幼児以上である
子供の年齢が幼児以上である場合には、学資保険の加入は控えた方が賢明と言えるでしょう。
会社によっては、加入時に子供の年齢制限あり、そもそも加入することすらできないこともあります。
そして、子供が幼児以上ということであれば、満期学資金が元本割れする可能性が大きくなります。
ですので、幼児以上の子供を持つシングルマザーの方は、学資保険ではなく別の手段で教育資金の積立をすることをおすすめします。
生活保護を受けている母子家庭は学資保険に加入できる?
生活保護を受ける際には、受ける時点で持っている資産を手放すことが原則となります。
学資保険も資産になりますので、加入は原則的に出来ません。
すでに学資保険加入をしている場合には、解約するよう指導を受けます。
しかし例外もあり、条件次第では加入を継続できることもまれにあります。
母子家庭におすすめの学資保険5選
母子家庭にとっておすすめの学資保険を5つご紹介します。
ここでは、貯蓄性の高さを重視した学資保険を選びました。
ソニー生命の学資保険
何より返戻率が良いことで人気の学資保険です。
2016年度「マザーズセレクション大賞」にも選ばれています。
受取時期の選択にも幅があり、子供の進路選択に柔軟に対応できることも多くの家庭に選ばれる理由のひとつとなっています。
明治安田生命の学資保険
明治安田生命の学資保険には、他社にあまり見られない「前期前納払い」という支払い方法があります。
保険料を一括で保険会社に預ける形で払うものです。
この前期前納払いで支払いをすると返戻率が高くなるほか、「保険料払込免除」も適応されますので、契約者である母親に万一のことがあっても、一部保険料は返還された上で満期学資金を受け取ることができます。
加入条件が他社と比べると少し厳しく、子供の年齢0歳から6歳まで、親の年齢が18歳から45歳までとなっています。
さらに、子供が2歳以上になると親の年齢は40歳までとなりますので加入の際には注意が必要です。
ニッセイの学資保険
ニッセイの学資保険は、最も教育資金がかかる大学入学を重視しているものとなります。
返戻率も高めに設定されており、払込期間も5年・10年・学資年金開始時までと選択可能で、その期間が短ければ短いほど返戻率は上がります。
また、学資年金の支払いが始まったあとに、受取方法の一部を変更できるのもメリットのひとつとしてあげられます。
JA共済の学資保険
JAの学資保険は、子供の年齢が12歳まで加入可能であることがメリットのひとつです。
貯蓄性と保障の充実、祝い金などの「目的」に合わせて3種類の学資保険から選択できます。
特に「学資応援隊」は貯蓄性に優れ、返戻率を重視する方に支持されています。
この学資保険は掛け金が安いという点も、母子家庭にとって嬉しいポイントです。
フコク生命の学資保険
フコク生命には「兄弟割引」があり、兄弟がいる家庭にとってメリットがある学資保険です。
また、払込期間も幅広く選択可能で、保険料を家計状況に無理なく合わせることができます。
満期が22歳に固定されていることと、保障の特約を付けることができないという点は、加入を検討する際に注意すべきポイントとなります。
母子家庭の学資保険支払いと受け取りシミュレーション1
ソニー生命「学資金準備スクエア」でシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 女性
・被保険者:2歳 男の子
・保険料払込期間:18歳まで
・満期年齢:22歳
・満期学資金:200万円
【結果】
・月払保険料:10,336円
・払込保険料総額:1,984,512円
・返戻率:約100.7%
保険料の払込期間を10歳までにした場合、返戻率は約103.6%にまで上がります。
母子家庭の学資保険支払いと受け取りシミュレーション2
JA「こども共済」でシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 女性
・被保険者:4歳 女の子
・保険料払込期間:15歳まで
・満期年齢:22歳
・満期学資金:100万円
【結果】
・月払保険料:7,464円
・払込保険料総額:985,248円
・返戻率:約101.4%
子供の年齢が4歳でも、JAの学資保険は返戻率が100%を割り込むことはありませんでした。
しかし、払込期間を18歳までに設定すると元本割れを起こしてしまいます。
ですから、子供の年齢がある程度まで達している家庭では払込期間を短くできるかどうか検討してみると良いでしょう。
まとめ
学資保険は銀行に預けるよりも利率が良く確実に教育資金を貯蓄でき、さらには「保険料払込免除特約」があることも魅力の一つです。
しかし、母子家庭で学資保険が必要かどうかは、母親の収入面や子供の年齢によって大きく変わってきます。
また、教育資金を貯蓄したいとしても、学資保険に入らない方がよいケースもあることをここでは詳しくご説明しました。
学資保険は教育資金を貯めるうえでの手段の一つです。
子供の将来のために教育資金を上手に貯めていくことは母親の責務とも言えますが、頼れる人や制度を上手に頼りながら、子供と家族一体となって幸せな未来を築いていきたいものですね!