20代に個人年金保険は必要なし?FPが教える月額の平均と男性女性別おすすめ個人年金保険

2024.07.16

個人年金保険

「20代から個人年金保険に入るのって早いかな?」と疑問をお持ちではないでしょうか。

結論から言いますと、20代から個人年金保険を検討することは決して早くありません。

なぜなら、公的年金だけでは老後にゆとりある生活を送ることは難しくなっているためです。

生命保険文化センターの統計によれば、個人年金保険に加入した29歳以下の割合は、この10年間で4倍ちかくも増加。それだけ多くの20代が、自助努力の必要性を感じているんですね。

今回は、20代から個人年金保険へ加入するメリットやデメリットをお伝えします。

受取額のシミュレーションやおすすめの個人年金保険も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

20代から個人年金保険の準備をするのは早い?20代から老後の準備をするメリットとデメリット

メリット デメリット
●支払った以上の年金を受け取ることができる

●所得税と住民税が安くなる

●中途解約のハードル(元本割れ)があり、挫折しにくい

●年金の受け取りは原則60歳から

●中途解約により元本割れする

●他の投資商品と比較して投資効率が悪い

現在の日本では、20歳から60歳まで公的年金の保険料を払い続ければ、65歳から年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)が支給される制度になっています。

しかし「公的年金だけで老後にゆとりある生活を送ることは難しい」との考えから、預貯金や資産運用によって公的年金の不足分を賄おうと考える人が増えています。

その際の選択肢の1つとして、個人年金保険へ加入する20代が増えているのです。

個人年金保険は保険という名前がついていますが、仕組みとしては投資商品に近く、積み立てた保険料以上の年金を受け取れるという特徴があります。

この点、銀行に預金しておくよりもメリットがあると言えるでしょう。

また、支払った保険料は所得控除の1つである「生命保険料控除」の対象となり、所得税と住民税が最大68,000円控除されます。

所得税率・住民税率ともに10%の人であれば、年間で6,800円、税金が安くなります。

一方、20代から個人年金保険へ加入することのデメリットもあります。

まず、原則60歳からしか受け取ることができないというデメリットです。

中途解約することも可能ですが、その際は元本割れします。

また、個人年金保険を投資商品として見た時に、他の投資商品と比較して期待できるリターンが少ない点もデメリットでしょう。

投資効率を考えると、個人年金保険よりも投資信託のほうが良いケースがあります。

参考サイト⇒国税庁 No.1140 生命保険料控除

20代は何割くらい、いくらくらい個人年金保険料を支払っているのか

生命保険文化センターが実施した平成30年の調査結果によると、個人年金保険の加入率は「21.9%」。

29歳以下の割合は「15.3%」と、10年間で4倍以上増加しています。

次表は、個人年金保険の世帯加入率の割合を示したものです。

平成18年 平成21年 平成24年 平成27年 平成30年
29歳以下 3.2% 3.7% 3.9% 8.8% 15.3%
全体 22.7% 22.8% 23.4% 21.4% 21.9%

全体と比較しても、29歳以下の加入率の伸びが顕著であることが分かります。

参考サイト⇒公益財団法人 生命保険文化センター|平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」<速報版>

20代に個人年金は必要?支払い保険料の目安と受取金額シュミレーション

調査によれば、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るためには、毎月35万円程度が必要です。

さらに別の調査では、65歳以上単身世帯の場合、1ヶ月の消費支出は15万円程度という結果が出ています。

それに対して公的年金の受給額は毎月20万円程度ですから、20代のうちからでも公的年金以外の手段で不足分をおぎなう準備が必要だといえます。

夫婦2人の1ヶ月の生活費 35万円/月
単身世帯の1ヶ月の生活費 15万円/月
毎月の公的年金受給額(目安) 20万円/月

参考サイト⇒生命保険文化センター|平成28年度 生活保障に関する調査《速報版》

参考サイト⇒e=Stat|家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表

参考サイト⇒平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

20代独身男性に個人年金は必要?支払い保険料の目安と受取金額シュミレーション

契約年齢 25歳
保険料払込期間 35年
月掛保険料 10,000円
払込保険料累計額 420万円
基本年金額 44.9万円×10年

20代独身男性の場合、老後の生活費は公的年金でまかなうことができるため、必ずしも個人年金保険への加入が必要だとは言えません。

ただ、消費支出が公的年金受給額を上回りそうな場合、公的年金以外の貯蓄が少ない場合、ゆとりある老後生活を送りたい場合は、個人年金保険へ加入しておくと安心です。

毎月1万円の保険料で、60歳からの生活費に月々3.7万円程度上乗せすることができます。

20代既婚男性に個人年金は必要?支払い保険料の目安と受取金額シュミレーション

契約年齢 25歳
保険料払込期間 35年
月掛保険料 30,000円
払込保険料累計額 1,260万円
基本年金額 134.8万円×10年

20代既婚男性の場合、公的年金だけではゆとりある老後生活を送ることはできません。

夫婦2人の生活費を月々35万円、公的年金の受給額を月々20万円として見ると、15万円マイナスとなり、この不足分は自助努力でおぎなう必要があります。

毎月3万円の保険料で、60歳からの生活費に月々11万円程度上乗せすることができます。

20代独身女性に個人年金は必要?支払い保険料の目安と受取金額シュミレーション

契約年齢 25歳
保険料払込期間 35年
月掛保険料 20,000円
払込保険料累計額 840万円
基本年金額 89.8万円×10年

女性は男性よりも平均寿命が長く、非正規職員の割合が多いです。このため、不足分は自助努力でおぎなう必要が出てきます。

上表のように毎月2万円の保険料で、60歳からの生活費に月々9万円程度上乗せすることができます。

ただ、上記シュミュレーションで用いた保険の種類は、確定年金(10年)タイプです。

70歳以上も年金を受け取るために、死ぬまでずっと受け取れる「終身年金」に加入するという選択肢も検討してみましょう。

確定年金と比較すると終身年金の保険料は高くなりますが、長生きリスクに備えるという意味では1つの有効手段です。

20代既婚女性に個人年金は必要?支払い保険料の目安と受取金額シュミレーション

契約年齢 25歳
保険料払込期間 35年
月掛保険料 10,000円
払込保険料累計額 420万円
基本年金額 44.9万円×10年

既婚女性の場合、厚生年金保険の被保険者であった夫が死亡した際は遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。

引用⇒日本年金機構

子がいれば遺族基礎年金と遺族厚生年金の療法が受給でき、子がいない場合は遺族厚生年金のみ受給できます。

対象者 年金額
遺族基礎年金 亡くなられた方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。 779,300円+子の加算
遺族厚生年金 厚生年金の被保険者または被保険者であった方が、受給要件を満たしている場合、その遺族が受け取ることができます。 死亡者の老齢厚生年金額の4分の3に相当する額

参考サイト⇒日本年金機構

遺族年金があることを踏まえて、月々の保険料を安くおさえることを検討するのであれば、毎月1万円の保険料で、60歳からの生活費に月々3.7万円程度上乗せすることができます。

20代が個人年金保険ではなく貯金で老後の資金を準備した場合の違いをシュミレーション

個人年金保険 貯金(銀行預金)
払込保険料累計額 1,000万円 1,000万円
受取率 107% 100.1%
受取額 1,070万円 1,001万円

個人年金保険ではなく、貯金で老後の資金を準備することを検討する人もいると思います。

その場合は、双方の違いを踏まえておく必要があります。

まず、個人年金保険のほうが貯金より受取額が多くなるという違いです。

銀行の金利は0.01%程度ですので、仮に1,000万円預けたとしても1万円しか増えません。

一方、個人年金保険は、保険会社によって利率に多少の差があるものの、貯金よりも多く受け取ることができます。

個人年金保険に加入するメリットは受取額の差だけではありません。

・解約リスクがあるため貯蓄を続けやすい
・個人年金保険料控除が受けられて税金が安くなる

このように、「老後の資金を堅実に貯蓄していく」という点で、貯金より有利であるという見方ができるのです。

20代におすすめの個人年金保険ランキング

ここからは20代におすすめの個人年金保険をご紹介していきます。

1位:年金かけはし|明治安田生命

年金の種類 5年・10年確定年金
契約年齢範囲 20歳〜55歳

「年金かけはし」は、保険料払込期間と据置期間を設定できる個人年金保険です。

特徴は、保険料払込期間中の死亡保障をおさえることで受け取れる年金額を多く設定していること。

返戻率は「107%」と、他の保険と比較しても高いです。

ただし、年金の種類は5年・10年の「確定年金」のみですので、「終身年金」を希望する人は他の保険を選択する必要があります。

参考サイト⇒明治安田生命

2位:たのしみ未来|住友生命

年金の種類 5年・10年・15年確定年金
契約年齢範囲 0歳〜75歳

「たのしみ未来」は、保険料払込期間と据置期間を設定できる個人年金保険です。

返戻率は「年金かけはし」に劣るものの、確定年金の15年タイプが存在します。

また、保証期間付き終身年金移行特約を付加することもできます。

参考サイト⇒住友生命

3位:こだわり個人年金|マニュライフ生命

年金の種類 5年・10年確定年金

終身年金(保証期間10年)

契約年齢範囲 0歳〜55歳

「こだわり個人年金」の特徴は、日本より金利の高い外貨建てであること。

契約時に米ドルまたは豪ドルを選択できます。

過去、アメリカやオーストラリアは日本と比較して相対的に高水準で金利が推移しており、本商品の積立利率は市場動向に沿ってゆるやかに連動します。

「多少のリスクを取ってでも、高返戻率をめざしたい」と考える方は、外貨建の「こだわり年金保険」を検討してみてはいかがでしょうか。

参考サイト⇒マニュライフ生命

4位:ソニー生命の個人年金保険|ソニー生命

年金の種類 5年・10年・15年確定年金

終身年金(保証期間5年・10年)

契約年齢範囲 15歳〜60歳

「ソニー生命の個人年金保険」は、運用実績によって契約6年目から5年ごとに配当金の支払われる「5年ごと利差配当付個人年金保険」と、運用実績によって年金額が変動(増減)する「変額個人年金保険」があります。

「元本割れなく確実に貯めたい」という方は「5年ごと利差配当付個人年金保険」、「多少のリスクを受け入れて高返戻率をめざしたい」という方は「変額個人年金保険」を検討してみてはいかがでしょうか。

参考サイト⇒ソニー生命

5位:みらいのカタチ年金保険|日本生命

年金の種類 5年・10年・15年確定年金

10年保証期間付終身年金

契約年齢範囲 7歳〜65歳

※上記は「年金保険」の概要です

「みらいのカタチ」の特徴は、備えたいリスクに応じて13種類の保険から自由に選べること。

とりわけ老後や将来の資金が必要になるリスクに備えるには、「年金保険」または「養老保険」が紹介されています。

「年金保険」は5年・10年・15年確定年金から契約時に選択しますが、年金開始時に特約を付加すれば10年保証期間付終身年金を選択することもできます。

「養老保険」は死亡にそなえながら資産形成ができるタイプで、満期時に満期保険金(死亡保険金額)を受け取ることができます。

参考サイト⇒日本生命

参考サイト⇒日本生命|ご契約のしおり

まとめ

公的年金だけでゆとりある老後生活を送ることは難しいため、20代のうちから自助努力の一策として個人年金保険へ加入する人が増えています。

払い込んだ個人年金保険料は控除の対象となり、銀行に預金するよりも税制面のメリットがあります。

また、中途解約による元本割れリスクがあるため継続しやすい点もメリットだといえます。

自身が送りたいと思う老後生活をイメージし、20代のうちから個人年金保険を検討しましょう。

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