60代の医療保険おすすめランキング~FPが教える男性・女性、独身・既婚別選び方とシミュレーション
60代は病気に罹患するリスクは上昇するため、医療保険の必要性は高いといえます。
多くの会社勤めの方が定年退職を迎える年代で、子供も独立してされている方が多いのではないでしょうか。
退職することで収入が減るため、限られた収入の中で保障を準備しなければなりません。
そこで今回は、60代の方が医療保険に加入する際に気をつけるべき点をまとめました。
60代の方で医療保険の選び方に悩んでいるという方は、ぜひご一読ください。
目次
60代におすすめの医療保険ランキング
まずは、60代の方におすすめの医療保険を解説していきます。
他の年代と同じく保険料負担が少なく、加入時から保険料が一定な「終身医療保険」がお勧めである点は変わりません。
しかし、60代は保障内容や保険会社によって、保険料が大きく変わりやすいため、最低限の保障をできるだけ低い保険料負担で準備できることに重点を置いて選んでいます。
順位 | 医療保険名
(保険会社名) |
理由 |
第1位 | 新 CURE
(オリックス生命) |
基本保障の加入だけでも最低限の保障が確保でき、保険料も手ごろ |
第2位 | FlexiS
(メットライフ生命) |
保険料が手ごろなだけでなく、健康状態に不安があるかたのために、フレキシィゴールドも選べる |
第3位 | メディカルkit NEO
(東京海上日動あんしん生命) |
重い病気での長期間の入院や、入院期間が短い場合のどちらでも保障をしっかり受け取れる |
迷ったときは、上記のいずれかの保険に加入するのがおすすめ。最低限の保障でありますが、重い病気になった場合の長期間の入院も保障されるため安心です。
60代の方が入院した場合の入院日数と、自己負担費用と失った収入の総額は以下の通りです。
- 平均入院日数:22.6日
- 自己負担費用と逸失収入の総額の平均:25.6万円
(逸失収入とは収入のうち失った部分)
※生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」より
平均入院日数は、20日を超えており、長期間入院される方が多い結果となりました。
また、自己負担と逸失収入の合計は25.6万円ですが、50代の方(32.3万円)と比べると少ない数値。
入院日数が上がっているのに、自己負担額が下がっている理由は、これから解説する高額療養費制度に理由があります。
入院時に受けられる公的制度
60代の方が入院した場合でも、高額療養費制度が利用できます。
高額療養費制度とは、医療費の自己負担分が、その人の所得を元に決められた上限額を超えた場合、超過分は公的医療保険が支払ってくれる制度です。
60代の方は、退職したり再雇用されたりして、所得が現役より低下する場合が多いため、医療費の自己負担の上限が下がる傾向にあります。
先ほどの医療費の自己負担と逸失収入の総額が50代よりも低下していたのは、所得の減少が大きな要因であるといえますね。
FlexiS(フレキシィエス)|メットライフ生命
FlexiSは、コストパフォーマンスに優れた医療保険で、手頃な保険料で必要な保障を準備できます。
手術だけでなく、放射線治療を受けた場合でも給付金を受け取ることが可能です。
七大疾病(ガン・糖尿病・心疾患・高血圧性疾患・脳血管疾患・肝疾患・腎疾患)で入院した場合は、入院給付金の支払い限度日数が無制限となります。
重い病気で長期の入院をしてしまった場合でも安心ですね。
保障内容 | 保障額 |
入院(1回の入院につき60日まで) | 日額 5,000円
(七疾病での入院は支払限度日数無制限) |
入院中の手術(1回につき) | 100,000円 |
外来での手術(1回につき) | 25,000円 |
放射線治療(1回につき) | 100,000円 |
骨髄ドナー手術(1回にのみ) | 50,000円 |
先進医療給付金 | 通算最高2,000万円まで
+一時金5万円 |
※試算条件:65歳・男性、終身払い
以上の条件で毎月の保険料は、6,567円です。
がん・心筋梗塞などの重大疾病になった場合の一時金は、保険料が1万円を超え、高額になるため、このモデルプランでは付加していません。
健康状態に心配がある方は、「フレキシィゴールドS」への加入を検討しましょう。
保険料が割高ですが、支払削減期間(契約してから保険金・給付金の額が半分などに削減される期間)もないためおすすめです。
メディカルKitNEO|東京海上日動あんしん生命
メディカルKit NEOは、基本保障が充実している保険で、特約を付加しなくても必要最低限の保障を準備できます。
3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)の場合には、入金給付金支払い日数が無制限になるため、重い病気で入院期間が長くなった場合でも安心です。
さらに、入院期間が10日以内の場合でも、一律で10日分の入院給付金を受け取ることができるため、短期間の入院もしっかり保障されます。
保障内容 | 保障額 |
疾病入院給付金
災害入院給付金 |
日額 5,000円 |
手術給付金
放射線治療給付金 |
手術の種類により1回につき
2.5万円~20万円 |
初期入院保障特則 | 一律 50,000円 |
特定疾病入院給付金
(3大疾病入院支払日数無制限特約) |
日額 5,000円 |
先進医療給付金 | 通算最高2,000万円まで |
※試算条件:65歳・男性、終身払い
以上の条件での試算結果は、6,649円です。
特定の疾病になった場合の一時金給付として、「特定治療支援特約」を付加することで保障を手厚くできます。
特定の6疾病(ガン・糖尿病・心疾患・脳血管疾患・肝疾患・慢性腎不全)の場合に一時金を疾病ごとに最大5回にわたって受け取れる保障です。
ただし、この特約を付加すると保険料が毎月+7,326円となり、倍以上の保険料負担となるため、必要かどうかを入念に検討して加入しましょう。
ちゃんと応える医療保険EVER|アフラック
ちゃんと応える医療保険EVERは、通院時の保障も付加できるだけでなく、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)の場合に入院日数が無制限にでき、保険料の払い込みを免除されるように設定できます。
アフラックは、がん保険が有名な保険会社ですので、がんを含めた重い病気になった場合の保障を手厚くできるのが特徴です。
保障内容 | 保障額 |
疾病入院給付金
災害入院給付金 |
日額 5,000円
(3大疾病時入院日数無制限) |
手術給付金 | 入院中の手術:5万円~20万円
外来による手術:2.5万円 |
放射線給付金 | 入院しなくても1回につき50,000円 |
疾病・災害
通院給付金 |
日額 5,000円
入院前(60日)もしくは 退院後(120日)の間で最高30日まで |
※試算条件:65歳・男性、終身払い
上記の保障内容で、毎月の保険料は8,409円です。
三大疾病になった場合の保険料払込免除特約を付加すると、毎月の保険は11,492円までの上昇します。
ちなみに持病や既往症があるなど、健康状態に不安のある方は、「ちゃんと応える医療保険やさしいEVER」に加入することで、入院保障を準備することが可能です。
メディフィットA(エース)|メディケア生命
メディフィットAは、保険料負担が手ごろなだけでなく、保障内容の柔軟性が高いため、自分にとって必要な保障を準備できます。
入院給付金の給付限度日数や無制限になる条件、手術保障の範囲など、他の医療保険では変更できない部分も設定できます。
保障内容 | 保障額 |
疾病入院給付金
災害入院給付金 |
日額 5,000円
(7大疾病無制限タイプ) |
手術給付金(手術Ⅱ型) | 入院中の手術:5万円~20万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算最高2,000万円まで
+一時金5万円 |
通院治療給付金 | 1日につき3,000円 |
※試算条件:65歳・男性、終身払い
上記の保障内容での保険料は、毎月6,115円です。
3大疾病保険料払込免除特約を付加することで、がん・心筋梗塞・脳卒中に罹患した場合、保険料の払い込みが免除される特約を付加することが可能です。
これを付加すると保険料は、毎月10,316円まで上昇するため、付加する場合はよく検討してから付加しましょう。
オリックス生命CURE|オリックス生命
CUREは、基本保障が充実していおり、特約も必要なものが揃っているため、保障内容がシンプルで優秀な保険です。
7大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患・糖尿病・高血圧性疾患・肝硬変・慢性腎不全)に罹患した場合、1回の入院による給付金支払の限度日数が60日から120日に延長されます。
さらに3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)にかかった場合の、支払い日数は無制限。
保険料も手ごろなため、総合力の高い医療保険であるといえるでしょう。
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(三大疾病時に入院給付金支払日数無制限) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
※試算条件:65歳・男性、終身払い
上記の保障内容での保険料は、毎月5,609円です。
重度三疾病特約を付加すると、がん・心筋梗塞・脳卒中になった場合に50万円の一時金を受け取ることができます。
再発の場合も1年に1回を限度に何度でも受け取れるため、重い病気になってしまった場合でも安心ですね。
この特約を付加すると、毎月の保険料は10,239円まで上昇します。
60代独身男性の医療保険の選び方とシミュレーション
医療保険の選び方
独身の方の場合は、他の年代と同じく、入院した場合の治療費を負担できるかどうかや、ご両親など、自分が入院して収入が低下することで、迷惑をかける人がいるかどうかがポイントです。
60代の方のご両親は、80代や90代と高齢な場合が多いため、自分の収入が生活費のうちの何割を占めているかも考えると良いでしょう。
所得が50代の頃よりも低下している場合は、最低限の保障を確保して、入院に備えましょう。
保障額をシミュレーション
・商品名:新CURE(オリックス生命)
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(三大疾病時に入院給付金支払日数無制限) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
上記の保障内容での保険料は、毎月5,609円です。
特約を付加しなくても、シンプルかつ十分な保障を確保できるCUREであれば、入院した場合も安心して治療に専念できるでしょう。
60代独身女性の医療保険の選び方とシミュレーション
医療保険の選び方
独身女性の場合も男性と同じく、治療費が払えるかどうか、嘱託勤務の方が入院して収入が低下した場合に、生活が困る家族がいないかどうかで判断しましょう。
女性の場合は、乳がんや子宮筋腫など女性特有の病気で手厚い保障を得られるようにしておくと、安心して治療に専念できます。
このため、他の年代と同じくオリックス生命のCURE Ladyがおすすめです。
保障額をシミュレーション
・商品名:CURE Lady(オリックス生命)
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(女性特有の病気の場合:10,000円) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
上記の内容で毎月の保険料は、4,225円です。
女性特有の病気やがんで入院した場合が、入院給付金の日額が倍の1万円になります。
さらにがんの場合は支払限度日数も無制限になるため、手厚い保障が得られます。
60代既婚男性の医療保険の選び方とシミュレーション【子供あり】
医療保険の選び方
60代の方でお子様がいらっしゃる場合は、お子様が成人しているかどうかが重要です。
成人されている場合は、独身の方と同じ判断基準で選びましょう。
お子さまが高校生や大学生の場合は、少し保障を手厚くする必要があります。
入院によって、収入が低下してしまうと、お子さまの学費の支払いがさらに大きな負担となるからです。
フレキシィSであれば、入院保障を手厚くしても、保険料の負担を抑えることができます。
保障額をシミュレーション
・商品名:フレキシィS「メットライフ生命」
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院(1回の入院につき60日まで) | 日額 8,000円
(七疾病での入院は支払限度日数無制限) |
入院中の手術(1回につき) | 160,000円 |
外来での手術(1回につき) | 40,000円 |
放射線治療(1回につき) | 160,000円 |
骨髄ドナー手術(1回にのみ) | 80,000円 |
先進医療給付金 | 通算最高2,000万円まで
+一時金5万円 |
上記の保障内容での保険料は、毎月10,443円です。
入院給付金日額を1万円に設定すると、保険料は13,027円。
収入が低下している可能性があるため、現在の生活に負担のない範囲で選ぶと良いでしょう。
60代既婚男性の医療保険の選び方とシミュレーション【子供なし】
医療保険の選び方
お子さまがいらっしゃらない場合は、ご自身が入院した場合に、配偶者の方やご両親にどれだけの負担がかかるかを考えましょう。
特に65歳未満で年金を受給開始する前だった場合は、治療費の自己負担も貯蓄から切り崩さなければいけない可能性があるため、医療保障があると安心できます
手ごろな保険料で、最低限の保障が得られる新CUREがおすすめです。
保障額をシミュレーション
・商品名:新CURE(オリックス生命)
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(三大疾病時に入院給付金支払日数無制限) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
上記の保障内容での保険料は、毎月5,609円です。
7大疾病の場合や、3大疾病の場合は入院給付金の支払限度日数が延長されるため、重い病気になっても治療費をしっかり補填できます。
60代既婚女性の医療保険の選び方とシミュレーション【子供あり】
医療保険の選び方
お子さまがまだ成人しておらず、大学に進学しており、ご自身もパートなどで働いている場合は保障を手厚くすると良いでしょう。
他のケースと同じくCURE Ladyに加入して女性特有の病気に備えると安心です。
保障額をシミュレーション
・商品名:CURE Lady(オリックス生命)
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(女性特有の病気の場合:10,000円) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
がん一時金特約 | 500,000円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
上記の保障内容での保険料は、毎月6,095円です。
がん一時金特約を付加することで、所定のがんと診断された場合に一時金の給付金を受け取れます。
1年に1回を限度に何度でも受け取れるため、がんが再発した場合でも安心です。
60代既婚女性の医療保険の選び方とシミュレーション【子供なし】
医療保険の選び方
子供がいらっしゃらない場合は、独身の方と同じ判断基準で選びましょう。
治療費を自己負担できるか、ご両親など生計を同一にしている場合は医療保障があると安心です。
他のケースと同じくCURE Ladyであれば、手頃な保険料で、女性特有の病気やがんの場合でも手厚い保障が得られます。
保障額をシミュレーション
・商品名:CURE Lady(オリックス生命)
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
保障内容 | 保障額 |
入院給付金日額 | 5,000円
(女性特有の病気の場合:10,000円) |
手術給付金 | 入院中の手術:10万円
外来による手術:2.5万円 |
先進医療給付金 | 通算 2,000万円まで |
上記の内容で毎月の保険料は、4,225円です。
乳がんや子宮頸がん、子宮筋腫など女性特有の病気に罹患した場合は、入院給付金日額が倍になります。
がんは、女性特有のがんだけでなく、胃がんや肺がんなど全ての悪性新生物が対象のため、重い病気の場合でも安心できますね。
60代の医療保険加入率
60代の方の医療保険の加入率は、60歳~64歳が91.3%、65歳~69歳が87.4%です。
前年代の平均の加入率が88.5%のため、とても多くの方が加入していることが分かりますね。
70代以降になると、医療保険への加入率が減少する傾向にあります。
実際の加入率は以下の通りです。
- 70歳~74歳:86.3%
- 75歳~79歳:87.4%
- 80歳~84歳:75.4%
- 85歳~89歳:64.3%
年齢の増加とともに医療保険への加入率が減少している理由は、医療費の自己負担割合の低下が要因と考えられます。
70歳~74歳の医療費の自己負担は2割で、75歳以降は1割です。(ただし本人の所得によって変わる)
一方で医療保険に加入すると保険料も高額になるため、給付金を受け取っても支払った保険料の方が高くなってしまう可能性があります。
一方で60代の方は、医療費の自己負担が3割のままですが、仕事を退職して収入がなくなるか、嘱託として再雇用されるも収入が低下している状態です。
さらに、病気のリスクは上昇していることから、医療保険で病気やケガに備えている人が多いといえます。
60代が病気になる確率と平均治療費
60代は、50代よりもさらに病気にかかるリスクが増加しているため、入院する確率や入院した場合の日数、自己負担する費用が多くなっています。
過去5年以内に入院した経験のある人は、21.9%です。
全体平均の14.8%と比較するととても高いことが分かりますね。
※生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」より
次に、直近の入院時の入院日数を確認しましょう。
・直近の入院時の入院日数:平均=22.6日
入院日数 | 割合 |
5日未満 | 13.5% |
5〜7日 | 22.3% |
8〜14日 | 23.1% |
15〜30日 | 24.7% |
31〜60日 | 8.8% |
61日以上 | 7.6% |
※生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」より
ほとんどの方が30日以内で退院されていますが、61日以上、つまり2か月以上入院されている方も、7%強です。
医療保険の1回の入院での給付金支払限度日数は、60日に設定されている場合が多いです。
60日を超えると入院給付金を受け取れないため、重い病気になったときに支払い限度日数が無制限となるような特約を付加するなど対策が必要でしょう。
・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=21.7万円
自己負担費用と逸失収入の総額 | 割合 |
5万円未満 | 6.5% |
5〜10万円未満 | 16.2% |
10〜20万円未満 | 44.9% |
20〜30万円未満 | 10.3% |
30〜50万円未満 | 12.4% |
50〜100万円未満 | 5.9% |
100万円以上 | 3.8% |
※生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」より
平均で20万円以上の自己負担が発生しています。
40代(25.6万円)や50代(23.2万円)よりも自己負担額が低下していますが、これは高額療養費制度の上限額が下がったことによるもの。
高額療養費制度は、1カ月の医療費の自己負担は、その人の所得によって決まります。
退職したり嘱託として再雇用されたりすると所得が低下するため、高額療養費の上限額も低下。
このため、医療費の自己負担金額が他の年代と比べて下がっているといえるでしょう。
そもそも60代の方に医療保険は必要か
60代の方でも医療保険は必要な場合があります。
60代と聞くと退職して、老後の人生を送り始める年代だと思っている方が多いですが、実際は再雇用で引き続き働きに出る方や、お子さまが成人していない方も多くいらっしゃいます
また、病気のリスクが上がっているにもかかわらず、退職や再就職で収入が下がっており、自己負担は現役と同じ3割負担です。
このことからも、入院によって治療費が発生するだけでなく、収入がさらに低下して家族に影響が与える可能性がある方は、医療保険の必要性が高いでしょう。
60代で医療保険に入る必要がある人
お子様がまだ成人されていない場合、自分が入院すると世帯の収入が下がり、家庭に大きな痛手となるかもしれません。
また、退職して退職金を受け取った方でも、住宅ローンの返済に使う方や、金融商品への投資で、手元に現金があまり残っていない方もいらっしゃるでしょう。
この場合は、医療保険に加入して、治療費だけでなく収入の低下に備えておくと安心です。
60代で医療保険に入る必要がない人
老後のために貯金をしっかりしていた人や、お子様が独立されてご自身と配偶者の方のみの生活という方は無理に医療保険に加入する必要はありません。
60代から加入すると、終身払いの医療保険でも毎月の保険料が高額になるため、家計を圧迫してしまう可能性があるからです。
60代の医療保険、月々の平均保険料と保障額
60代で医療保険に加入されている方は、設定されている入院給付金額は以下の通りです。
- 60~64歳:10,210円
- 65~69歳:8,290円
前世代の平均が9,870円ですので、60代前半は平均よりも多く、60代後半は平均よりも少ない方が多いです。
次に平均の年間で支払っている保険料を見ていきましょう。
ここでご紹介する数値は、医療保険だけではなく、生命保険や個人年金保険など全ての保険料が合算されたものです。
- 60~64歳:438,900円(毎月約36,600円)
- 65~69歳:338,500円(毎月約28,200円)
全世代の平均が381,700円(毎月約31,800円)ですので、入院給付金と同じく60代後半の方が支払っている保険料が、下がっていることが分かります。
再雇用されて嘱託職員として働く場合は、65歳までであることが多いため、収入を得ている間に入院してしまった場合のリスクに備えている方が多いといえるでしょう。
今後、医療保障制度が変わるリスクは考えておくべき
70代になると医療費の自己負担額が下がるため、無理に60代で医療保険に加入する必要はないと思われたかもしれません。
しかし、安心はできません。
現在の医療保険制度が今後も続くとは限らないからです。
実際にこれまで医療保険制度は、保険料の見直しだけでなく、自己負担率の変更など、様々な改正を繰り返してきました。
医療費の自己負担は、1981年10月から1割負担となり、現在は3割負担まで増加。
高齢者の医療費の自己負担も、2006年に所得によって自己負担率が上昇するように見直しされています。
少子高齢化も進んでいくことから、現在の医療保険制度がこのまま継続される保障はどこにもありません。
自己負担割合が上昇した時に医療保険に加入しようとしても、遅い場合があります。
既に健康状態が悪化しており、加入できないという事態を防ぐためにも、保険料が低く健康なうちに医療保険に加入するのも有効な手段です。
60代の医療保険の見直し方法と2つのポイント
60代の方が医療保険を見直す際は、以下の2つのポイントに気をつける必要があります。
保障内容が古いものでないか
60代の方は、若い頃に加入した医療保険をそのままにしている人もいますが、保障内容が古いものになっていないか確認しましょう。
古いものは、入院給付日数に「免責期間」が設けられているため、入院後5日以降しか給付金が受け取れないなどの制限があります。
現在は、入院日数が短期化していることもあり、保障内容が古いと給付金を満足に受け取れない可能性があるため注意しましょう。
ご自身の健康状態に注意する
60代から医療保険に加入する場合、健康状態の告知で断られる可能性があります。
すでにお薬を飲んでいる方や、病気になっている場合は、医療保険への加入は難しい場合があります。
引受基準緩和型医療保険であれば、健康状態に不安のある方でも加入できる場合があるため検討してみると良いでしょう。
ただし、保険料が通常の医療保険よりも高額な場合や、加入してから一定期間後は保険金が削減される可能性があるため、注意しましょう。
保険の満期を確認する
現在60代の方の方で、大手生命保険会社の「定期付終身保険」や「定期付き養老保険」を契約しており、特約で入院保障を準備していた方も多いのではないでしょうか。
定期付終身保険の特約は更新型ですので、一定期間で保険料が上昇することに加えて、一定の年齢までしか更新できません。
60代は主契約の終身保険の保険料払い込みが終わり、特約も更新できなくなっている可能性がある年代。
ご自身がどのような形で医療保障を準備しているのか確認してみましょう。
60代の医療保険見直しシミュレーション
状況説明
Aさん(65歳)には、妻(61歳)と子供2人(24歳と22歳)がいます。
下のお子さまも大学を卒業予定で加入している保険も満期を迎えるため、見直しを検討中です。
現在の加入内容
Aさんは、若い頃に加入した、大手生命保険会社の「定期付終身保険」に加入しています。
主契約が満期を迎え、保険料の払い込みが終わり、特約も更新できなくなります。
- 終身保険(死亡保障 主契約):500万円
- 定期保険特約(死亡保障):2000万円
- 入院特約日額:5,000円(入院5日目から)
上記の内容で現在の保険料は約2万5千円です。
見直し後
医療保障を、オリックス生命の新CUREに見直します。保障内容は最低限にしつつ毎月の保険料負担を抑えることが可能です。
保障内容は以下の通りです。
- 入院給付金日額:5,000円
- 手術給付金:10万円(入院)、2.5万円(外来)
- 先進医療給付金:最高2,000万円
上記の内容で毎月の保険料は5,609円です。
現在加入している保険は満期迎えるため保険料の支払いが無くなります。
加入していた保険の入院特約には5日免責が付いていたため、現在の短期化された入院では給付金が受け取れない場合がありました。
しかし、CUREに乗り換えることで、入院保障を1日目から確保できるだけでなく、先進医療などの保障も準備ですることが可能です。
まとめ
60代は病気のリスクが高くなりますが、医療保険が必ず加入しないといけないわけではありません。
病気やケガで入院することによって、どれだけの影響があるかを考えて加入しましょう。
そして、60代は保険料が高額になる可能性が高いので、自分にとって必要な保障のみを最低限準備すると良いでしょう。
この記事を読み返していただき、あなたにあった医療保険を見つけてくださいね。