死亡保険の選び方〜FP が教える20代・30代・40代・50代、男性・女性、独身・既婚別の選び方
あなたの身に万が一のことがあった時、残された家族を金銭的に守ってくれる死亡保険。
家族構成や年齢、収入等により、それぞれどんな商品を選べばいいのか(また現時点では必要ないのか)様々ですが、種類も内容も多岐にわたってどれに入ればいいかわからない、という方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、死亡保険の種類の説明から選び方のポイントといった「いろは」を解説。
更に、万一の際の具体的な金額面のシュミレーションや、年代別、家族構成別の死亡保険の選び方まで解説していきます。
死亡保険の選び方は、家族の状況や選ぶ方の価値観によってどこまで必要となるか、また必要でないと判断されるかは様々です。
正解がないものでもあるので、是非この記事でのパターン別シュミレーションを参考にしながら、あなたにとって最適な選び方を検討してみてください。
それでは、早速見ていきましょう。
目次
まずは死亡保険3つの種類を知ろう
まず、ひと口に「死亡保険」と言っても、保障される期間や内容に応じて、大きく3種類の形態に分かれています。
それぞれ特徴が異なりますので、はじめに3形態の死亡保険をおさらいしていきます。
定期保険の特徴とメリット・デメリット
まず定期保険ですが、例えば加入後10年間や60歳まで、といった、一定期間保障を受けられる形態です。
特徴は、やはり期間限定の保障ということで保険料が以下2形態に比べて圧倒的に安いことです。
「子供が大きくなるまでは保障を手厚くしたい」
といったような一時的なニーズにも応えられる商品ですね。
定期保険のメリットは、
・格安な保険料で大きな保障を受けられる点
・掛け捨てなので解約もしやすく、家族構成の変化等に対応しやすい点
です。
何よりも安く選べる保険ということで、「とりあえず入っておこう」という場合にもお手軽に選択できる保険と言えるでしょう。
また掛け捨て保険は辞めて損なタイミングがないので、結婚や出産に合わせて保険の見直しがしやすい点も魅力ですね。
一方定期保険のデメリットは、
・掛け捨てかつ一定期間の保障なので、保障期間中何もなければ無駄払いになってしまう点
・保障期間を延長する場合、延長時点の年齢で保険料が再設定される(保険料が高くなる)点
です。
圧倒的な安さの秘密は、保険会社側から見ても、統計的に加入者全員が保障を受ける状態にならないとわかっているからです。
合わせて掛け捨て保険に関しては、解約時に保険会社が加入者に還すべきお金もないので、その分保険料が抑えられています。
ですので、(もちろんこれが理想ですが)保障期間中無事に生活できていれば、結果として支払ってきた保険料は無駄となってしまいます。
また、原則保険料は若ければ若いほど安くなりますが、仮に定期保険を延長する場合は、延長時の年齢の保険料が適用されます。
つまり定期保険では、保障を延長する度に保険料の支払額が上がっていくということですね。
終身保険の特徴とメリット・デメリット
終身保険とは、加入時からあなたが亡くなるまでの一生涯を保障してくれる保険です。
定期保険との1番の違いは、保障が一生涯続くかどうかという点ですね。
特徴は、第一にはやはり一生涯の保障という点です。あなたが亡くなる時に、必ず残された遺族にお金を残せるということですね。
また、年齢を重ねる中で保障が必要なくなった場合には、解約時に「解約返戻金」として還ってくるお金があります。
どの程度還ってくるかは、各商品ごとの設定と保険料を支払ってきた期間にも応じて様々ですが、解約返戻金を将来の資金に見込んで加入するという選択肢もありますね。
終身保険のメリットは、
・死亡時や解約時に、必ず還って来るお金がある点
・一生涯の保障を受けられる点
です。
例えば亡くなった後には、葬儀にかかる費用や諸々の出費で、一定額のお金が必要になると言われています。
こうした資金が現在用意できていなくても、終身保険に入っていれば死後の身辺整理で家族を困らせる心配は無くなります。
また資金の用意が出来た場合には解約返戻金の活用も視野に入れることができるので、活躍の幅が広いと言えますね。
一方終身保険のデメリットは、
・毎月の保険料が高くなる点
・早期解約の場合は特に、解約返戻金の元本割れ(今までの支払累計額よりも受取額が少ないこと)が起きやすい点
です。
保険会社側から見た定期保険との大きな違いは、加入者全員に対し、解約返戻金か死亡保険金といった形で、必ず還すお金が必要となる保険であることです。
そうした加入者に支払う、また還元するお金が多い分、その原資は加入者の保険料から生まれまるので、自ずと保険料も高くなりますね。
また、解約返戻金に関して、多くの商品が加入からの年数に応じて返戻率(支払った金額に対して何割程度返金するか)を上げていきます。
基本的には、加入期間が長いほど解約時の返戻金も高くなるということですね。
反面、加入してから数年といった短い期間での解約をする場合は、高い割合の解約返戻金を望めない点にも注意が必要ですね。
養老保険の特徴とメリット・デメリット
養老保険は、「保障」と「貯蓄」の2つの役割を併せ持ったタイプの保険です。
保障期間は一定期間なので定期保険と似ており、満期時には死亡保険金と同額の返戻金、また解約返戻金もあり、この点終身保険と似ている要素もあるのが特徴です。
貯蓄の要素も含んだ死亡保険という点から、学資保険としての活用をする方が多いという特徴もあります。
養老保険のメリットは、
・貯蓄の活用をしながら、万一の際には死亡保険としての役割も果たせる点
・解約返戻金もある点
です。
養老保険は、死亡保険の形態の中で最も貯蓄の目的が強いタイプです。
設定する満期保険金と同額が、死亡保険金ともなりますので、養老保険に加入してきちんと支払いを継続していれば、原則必ず設定した保険金を受け取れます。
子供の大学入学時に合わせてや、老後の資金のためにといった資金計画のために活用できる保険です。
加入途中で解約したい、という場合にも、解約返戻金を受け取れる保険なので、全く無駄になるという心配もないのが安心ですね。
一方で養老保険のデメリットは、
・保険料が高い点
・大型の保障内容を組みにくい点
です。
養老保険は貯蓄の目的が強い中、一定の期間内に保険料を支払う必要があります。
例えば30歳時点の加入で保険金を300万円とした場合に、終身保険として支払いを60歳までとした場合には30年間支払い期間がありますが、学資保険の目的として18年後に満期を迎えようとすると、支払い期間が18年しかないことになります。
このように、一般的に保険料の支払い期間が3形態の中で一番短くなる傾向にある保険で、かつ解約返戻金や満期保険金含めて還元性の高い保険なので、毎月支払う保険料も3形態の中で一番高くなる傾向があります。
こうした傾向とリンクしますが、保険金額を上げれば上げるほど、毎月の保険料も高くなります。
もちろんこれはどの形態でも高くはなりますが、前述の通り按分する支払い期間が短く貯蓄性が高い点も含めると、死亡保障を優先して高い保険金に設定するという組み立てはしにくい保険と言えます。
あくまでも貯蓄が優先のタイプだと認識する必要がありますね。
死亡保険の選び方4つのポイント
死亡保険の3形態に関して見てきましたが、次はこうした違いを踏まえて、具体的にどのような基準で死亡保険を選んでいけばいいのか、その4つのポイントを見ていきましょう。
無理なく支払える保険料を計算しよう
まず第一に、毎月支払っていく保険料をどの程度で想定するかがポイントです。
考える上で気をつけなければいけない点は、今大丈夫な金額でも、5年後も10年後も同じ金額支払っていけるか、です。
例えば子供の成長に合わせて、教育費は高くなって行きます。
子供が大きくなる前に住宅を購入すれば、一般的には住宅ローンも組んでいくでしょう。
子供が大きくなれば、スマホを欲しがったり習い事も行きたがるなどして、諸々と固定費が増える可能性もあります。
おおよそのイメージだけでも構いませんので、こうした将来の想定される支出を踏まえて、死亡保険にいくら使えるかを考える必要があります。
例えば毎月2万円程度使えそうなのか、数千円が限界なのかによって、選ぶ保険の種類も大きく変わります。
無理して加入して、途中で解約してしまうのは、リスクでもあり損でもあります。
あくまでも「無理なく」支払っていけそうなのはどれくらいまでか、を念頭において内容を選択していきましょう。
必要な保障額を決めよう
次のポイントが、「いくら」の保障が必要か、です。
このポイントを考えるには、
・現在の世帯年収(月収)
・貯蓄額
・家族構成(特に子供の有無、年齢)
・万一の際の公的保障
・住宅ローンの有無(団体信用生命保険の有無)
等々、様々な観点が複合的に絡んできますので、安直にいくら必要、いくらあれば安心といった議論がしにくいポイントとも言えます。
ですが、一般的な指標として、あなたの現状で必要な保障額の大小だけは押さえておく必要があります。
例えば、単身者であればそこまで大きな保障は必要ないと言えますし、単身者でも親や孫など、置かれている家族構成の中で扶養している方がいれば一定の保障は必要になります。
また家族がいる場合、特に子供がいる場合は手厚い保障が求められます。
あなたに万が一のことがあった時に、金銭的に自力で対処しにくいのが子供だからです。
同じ理屈で、要介護状態の配偶者や扶養している家族を持つ方も、同様に手厚い保障が必要と言えるでしょう。
もちろん、それぞれの場合においてシュミレーションして検討することが重要ですが、あなたに万一のことがあった際に、遺された方が金銭面でどれくらい困ってしまうのか、という点を主に想定しながら保障額をイメージしていくことが重要ですね。
いつまで保障するのか決めよう
次のポイントは、保障は「いつまで」必要か、です。
死亡保険の役割としては、あなたに万が一のことがあった際に、遺された方に金銭面での負担が行かないようにすることです。
その役割から考えた時に、例えば子供のためにと加入したとして、20年やそれ以後、子供が無事に成人して夫婦2人の生活に戻ってからも、同じ内容の保障が必要でしょうか。
今まで入っていた保障が全くゼロで良いとは言わないにしても、保障内容は少なくなっても問題ないですよね。
この場合、例えば支払い期間を60歳までにした終身保険で保障は薄めに(解約返戻金も視野に入れる)して、子供がいる期間だけ定期保険で保障内容を手厚くしておいて、子供が大学卒業するタイミングで定期保険を解約する、といった組み合わせが考えられたりします。
単身者でも、万一の際のまとまった現金として預貯金額が用意できるまでのカバーとして保険を利用していれば、満足いく預貯金が用意出来次第、解約しても良いということになります。
このように各世帯ごとに、保障がいつまで必要かは異なります。
前述の2ポイントと合わせて、この「いつまで」必要かも考えることが重要ですね。
解約返戻金はどうしたいか決めよう
最後のポイントは、解約返戻金の有無です。
終身保険や養老保険に用意されている解約返戻金ですが、もちろん定期保険と比べて保険料は高くなりますので、その点も踏まえて検討する必要があります。
こちらも、死亡保険に何を求めるか、によって、解約返戻金の必要性が変わってきます。
・掛け捨ては嫌だ。
・貯金としても活用できると嬉しい。
こう考える方は、解約返戻金のあるタイプを選ぶことで求めているポイントが満たせますね。
一方で、
・死亡保険は万一の保障だけカバーしてくれれば良い。
・月々の支払いは出来るだけ安くしたい。
こう考える方にとっては、解約返戻金が毎月の支払いが高くなる点で、むしろ重荷としてデメリットに見える可能性もありますね。
解約返戻金は、こうした貯蓄性の希望度と、支払い保険料の上限額との相談でどうするのが良いか変わってきます。
あなたの場合はどちらが良いのか、上記内容を参考に検討してみてください。
万が一、一家の大黒柱に何かあったら・・・死亡後に必要なお金
続いては、実際に万が一のことを考えていきます。
万が一、一家の大黒柱が亡くなる場合、遺された家族がその後考えなければならないお金の諸々を試算していきます。
参考として、夫35歳(サラリーマン・年収500万円)、妻35歳(専業主婦)、子供5歳の3人家族をモデルケースとして見ていきます。
お葬式・お墓代
まず考えなければならないのは、お葬式とお墓にかかる費用です。
お墓に関しては、親族や祖父母等、「家」としての関係が深い方であれば、既にある先祖も眠っていらっしゃるお墓に入るということも考えられます。
ですが、ここではあくまでも参考として、お葬式はもちろん、お墓も用意するとなったらいくら必要かを見ていきます。
お葬式に関しては、規模に応じて異なりますが、平均すると約196万円程かかると言われています。
参照記事⇒葬儀にかかる費用はどれくらい?|生命保険文化センター
また、お墓に関しては、こちらも豪華さや地域差にもよって異なりますが、東京都での一般的なお墓とした場合、約283万円も必要となります。
参照記事⇒お墓がある人の割合や費用を知りたい|生命保険文化センター
これらを足すと、約500万円近く費用がかかることになります。
ですがもちろん、お葬式であれば規模を小さくした形態や家族葬といったコンパクトなものから、お墓も共同墓地や室内墓というような個別で墓石を持たないスタイルもありますので、一概にこれだけの費用が必要なと言えばそうでもありません。
規模や内容に関しては事前に家族で話し合うのが良いでしょう。
上記費用はあくまでも平均値ですので、費用としても目安300万円程度を見ておけば、お葬式もお墓も最低限用意できるとお考えください。
子供の教育費
次に考えなければいけないのが、子供の教育費です。
最近では、子供を大学まで行かせるのは一般的になっていますね。
もちろん家族内の方針や子供自身の希望によっては、高校までしか行かない場合や短大・専門学校に進学するケース等、様々あるかと思います。
ここでは参考として、高校まで公立、大学で私立文系に進学した子供のケースで見ていきます。
文部科学省による調査結果で、各年齢、学年ごとの教育費が下記の通りです。
幼稚園3歳:180,287円
幼稚園4歳:200,453円
幼稚園5歳:254,141円
小学校第1学年:356,808円
小学校第2学年:243,844円
小学校第3学年:277,179円
小学校第4学年:304,024円
小学校第5学年:327,089円
小学校第6学年:415,439円
中学校第1学年:461,999円
中学校第2学年:406,587円
中学校第3学年:576,238円
高等学校(全日制)第1学年:488,134円
高等学校(全日制)第2学年:392,965円
高等学校(全日制)第3学年:345,724円
上の費用をまとめると、
幼稚園:約63.5万円
小学校:約192.4万円
中学校:約144.5万円
高等学校:約122.6万円
これらがそれぞれ合計費用としてかかります。
また、私立文系の大学に進学した場合の費用は、
・入学費用:90.4万円
・在学費用:年間160.1万円(4年間で640.4万円)
となり、合計730.8万円が費用としてかかってきます。
参照記事⇒教育費に関する調査結果(2019年03月20日発表)|日本政策金融公庫
以上の費用を合わせていきますと、この場合子供1人につき、約1,253.8万円かかる計算となります。
また、今回のモデルケースでは、子供を5歳と設定してましたので、小学校からかかる教育費としては、約1,190.3万円かかるということになりました。
居住費
続いては、居住費です。
このポイントは、大きく購入済み物件に住んでいるのか、賃貸にて住んでいるのかでかかる費用が分かれてきます。
既に住宅を購入している場合は、現金で支払済みであればもちろん居住費は考えなくて良いですし、多くの方が利用するであろう住宅ローンにも、原則「団体信用生命保険(以下、団信とします)」という保険が付帯されています。
団信の保障により、契約者に万一のことがあった際には、それ以降の住宅ローンの支払いが免除され、実質居住費がかからなくなります。
ただし、マンションの場合には、「修繕積立金」と「管理費」が毎月の支払いとして別途発生します。
地域やマンションの築年数、階層数や共有部分と周辺の整備度合い等々により金額はバラバラですが、毎月数万円の支払いにはなると認識しておきましょう。
ですがいずれにしても、居住費における毎月の負担は賃貸よりも少なくなりますね。
一方で賃貸の場合には、生活していく限り支払う家賃が発生します。
こちらも地域差や大きさやアクセス等々様々な要因で金額が前後しますので、一般的な平均として、総務省での統計結果を参考にします。
統計結果は、民間借家の平均家賃84,244円となっております。
参照記事⇒居住費負担に関するデータ|住宅・土地統計調査(総務省)
モデルケースで見た場合、単純計算ではありますが、仮に2人暮らしになる上でダウンサイズして家賃が2/3となる居住地に引っ越したとして、毎月約56,163円の支払いとなります。
子供が大学を卒業するまでの残り17年間で見た場合でも、居住費として約1,145.7万円の支出が発生します。
また、子供が独立して以後の配偶者とことも考えますと、更なる支出が想定されますね。
残された遺族の生活費
ここまでは、遺族が必要とする費用の一部をご紹介しましたが、こうした費用を含めた、全体の生活費としては、どの程度必要となってくるのでしょうか。
こちらも上記のモデルケースで見た時に、遺族の生活費としてどの程度かかってくるかを見ていきましょう。
この記事の後半でも、様々なケースでのシュミレーションをしていきますので、いくつか基準を設定しておきます。
・寿命:厚生労働省発表の平均寿命に基づき、男性は81歳、女性は87歳とします。
参照記事⇒平均寿命|厚生労働省
・生活費の割合:生命保険文化センターの試算を参考に、全員で暮らしていた場合の生活費を100%として、子供が独立するまでは生活費の70%を、子供の独立後は生活費の50%を月々の生活費として算出します。
参照記事⇒万一に備えるための保障額の具体例は?|生命保険文化センター
また、今回のモデルケースでは、年収500万円と設定しておりますが、手取り額はおよそ8割と言われていますので、手取り額を400万円、ボーナスを夏冬各1ヶ月分ずつと見積もって計算しますと、月々の手取り額は約28.6万円となります。
今回の試算では、上記の手取り額から毎月1万円分は貯蓄等予備費用に充てていると想定して、毎月27.6万円の生活費を要していたと見なします。
それらを踏まえた上で、ご主人35歳時点で残された遺族の生活費は、下記の通りです。
①.子供が独立するまで(大学を卒業するまで)の17年間の生活費
こちらは、27.6万円の70%である、18.4万円にて計算しますので、17年間で、合計約3,941.3万円かかります。
②.子供の独立時点(妻52歳)から平均寿命までの、妻単身での生活費
こちらは、27.6万円の50%である、13.8万円にて計算しますので、35年間で、5,796万円かかります。
①と②を合計すると、約9,737.3万円の費用がかかる計算となります。
残された遺族の公的保障について
一方で、残された遺族が受け取れる公的保障についても見ておきましょう。
死亡保険の保障を考えるにあたっても、こうした公的保障と必要な費用との差額を埋めるという考え方が重要になります。
亡くなるのが夫なのか妻なのか、また子供の有無、そして亡くなった当時の配偶者の年齢等で細かく分かれていますが、大別しますと、
・「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が主な公的保障です。
・「遺族基礎年金」は、18歳未満の子供を持つ妻に対してのみ支給されます。
・「遺族厚生年金」は、基本的に配偶者の年金額の3/4が受け取れます。
・配偶者が亡くなった時の自身の年齢が35歳未満か否か、55歳未満か否かで支給内容が変わります。
・遺族が夫である場合、遺族厚生年金が支給されないケースもあります。
・遺族が妻である場合、40歳から65歳までは「中高齢寡婦加算」というプラスαの支給もあります。
参照記事⇒遺族年金制度|厚生労働省
それぞれの支給額の算出方法に関して、厚生労働省のホームページより引用します。
◯遺族厚生年金
平均標準報酬月額×7.125/1,000×被保険者期間×3/4(被保険者期間が300月に満たない場合は300月)
◯遺族基礎年金
804,200円+子の加算額
※この加算 子が1人 231,400円 子が2人 462,800円 子が3人以上 462,800円+1人につき77,100円加算
◯中高齢寡婦加算
603,200円
◯老齢基礎年金
804,200円×納付月数+免除月数×1/3/加入可能年数×12
引用_遺族年金制度|厚生労働省
いくら受け取れるか、いつまで受け取れるかはそれぞれのケースで異なりますので、大きくは男女の違い、年齢、子供の有無と上記計算式を参考の上、個別で確認していくのがいいでしょう。
また具体例として、先のモデルケースにおける、遺族が受け取れる公的保障に関しては下記の通りです。
※年収500万円を夏冬各1ヶ月分ずつのボーナスがあると見て14等分すると、約35.7万円となりますので、標準報酬月額は36万円として計算します。
◯遺族厚生年金:577,125円、月額約48,094円
◯遺族基礎年金:804,200円、月額約67,017円
◯子の加算額:231,400円、月額約19,283円
◯中高齢寡婦加算:603,200円、月額約50,267円
◯老齢基礎年金:804,200円、月額約67,017円(加入期間等、厚生労働省のホームページの算出例を引用します)
参照記事⇒遺族年金制度|厚生労働省
これら金額と各受給対象年齢と照らし合わせると、受給額は、
・妻35歳〜48歳まで(子供が18歳になるまで):遺族基礎年金+遺族厚生年金+子の加算額=月額134,394円
・妻48歳〜64歳まで:遺族厚生年金+中高齢寡婦加算=98,361円
・妻65歳〜亡くなるまで:遺族厚生年金+老齢基礎年金=115,111円
となります。
上記で見てきました毎月の生活費をフルカバーすることは出来ませんが、それでもこうした公的保障があるとないでは大きな違いです。
死亡保険の検討をする際も、こうした公的保障との組み合わせで内容を考えて行きましょう。
死亡保険の選び方〜年齢・男女・既婚・独身別シュミレーション
ここからは、具体的な死亡保険の選び方として、年代や性別、結婚の有無に応じた死亡保険の選び方を見ていきます。
死亡保険を無理して加入しなくても良い場合もありますので、その際は考え方を中心に解説します。
死亡保険が必要な場合では、どの程度の保障が必要になりそうかをシュミレーションしていきますので、参考にしてみてください。
20代独身女性の死亡保険の選び方とシュミレーション
単身者に関しては、男性でもおおよそ考え方は似ていますが、大型の保障は原則必要ないと言えるでしょう。
その中で、20代女性が考えなければならないのは、死後整理金の有無です。
前述の通り、一般的な葬儀費用の平均は約196万円かかります。
その他には、一人暮らしをしている場合には恐らく残された親御さんが退居に関して等の身辺整理を行ってくれるでしょう。
こうした諸費用も念頭に入れて、300万円程度の預貯金額があるかどうかがポイントです。
20代は仕事も始まってまだ相当数の年月は経っておりませんので、もらえる給与から見ても、ここまで準備できている方は割合としては少ないでしょう。
そうした点からも、300万円程度の保障が用意されていれば十分と言えますね。
一例として、10年間の定期保険の保険料を見ていきます。
・クリック定期|SBI生命、25歳女性、10年定期、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:273円(災害時保障等の特約を付けた場合:483円)
20代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
死亡保険の目的から照らしても、一般的には子供のいる男性が亡くなった場合のリスクが残された遺族にとっては最も大きいです。
その他の場合ではリスクがないかと言えばそうではありませんが、預貯金や公的保障、また少なめの保障でもやりくりしやすいケースが多いです。
一方で男性【子供あり】の場合は、状況によっては金銭面で子供の大学進学を諦めなければならない状況や奥さんにかかる負担が大幅に増えるといった様々なリスクを抱えます。
特に奥さん側が専業主婦の場合はなおさらです。
ですので、このケースに当てはまる場合は特にリスクを理解する必要があると意識しておきましょう。
まず、モデルケースとして下記のように想定して進めます。
夫(25歳、年収350万円、標準報酬月額24万円)妻(25歳、専業主婦)、子供(0歳)の場合
前述の通り、手取り額はおよそ8割と言われていますので、手取り額を280万円、ボーナスを夏冬各1ヶ月分ずつと見積もって計算しますと、月々の手取り額は約20万円となります。
まず、ご主人25歳時点で残された遺族の生活費は、下記の通りです。
①.子供が独立するまで(大学を卒業するまで)の22年間の生活費
こちらは、20万円の70%である、14万円にて計算しますので、22年間で、合計3,696万円かかります。
②.子供の独立時点(妻47歳)から平均寿命までの、妻単身での生活費
こちらは、20万円の50%である、10万円にて計算しますので、40年間で、合計4,800万円かかります。
①と②を合計すると、8,496万円の費用がかかる計算となります。
次に、公的保障に関して見ていきます。
◯遺族厚生年金:約400,781円、月額約33,398円
◯遺族基礎年金:804,200円、月額約67,017円
◯子の加算額:231,400円、月額約19,283円
◯中高齢寡婦加算:603,200円、月額約50,267円
◯老齢基礎年金:804,200円、月額約67,017円
これら金額と各受給対象年齢と照らし合わせると、受給額は、
・妻25歳〜43歳まで(子供が18歳になるまで):遺族基礎年金+遺族厚生年金+子の加算額=月額119,698円(合計約2,585.5万円)
・妻43歳〜64歳まで:遺族厚生年金+中高齢寡婦加算=83,665円(合計約2,108.4万円)
・妻65歳〜亡くなるまで:遺族厚生年金+老齢基礎年金=100,415円(合計約2,651万円)
となり、公的保障合計が、7,344.9万円となります。
必要な生活費(8,496万円)との差額は1,151.1万円です。
つまりは、約1,200万円近い死亡保障が求められます。
・クリック定期|SBI生命、25歳男性、10年定期、死亡保険金1,200万円として算出
⇒月額保険料:1,032円(災害時保障等の特約を付けた場合:2,112円)
ただし1点注意点としては、上記シュミレーションはまだ収入が少ない段階での、手取り額の按分計算にて算出した必要な費用計算であるので、実際はもっと生活費がかかる可能性が高い点です。
あくまでも最低限の保障という認識の上で、奥さんが働く収入もプラスして生活が成り立つということを踏まえた上で参考にしてみてください。
20代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
子供がまだいない場合には、死亡保険として手厚いものは考えなくて良いでしょう。
奥さんとしても、仮にあなたに万一のことがあっても遺族年金が受け取れますし、子供がいなければ身動きも取れやすいので制限なく働くこともできます。
一方で、最低限の死後整理金分は検討しておくべきでしょう。
こちらの用意がないと、その分残された奥さんに負担が出てしまいますからね。
今後の家族計画にもよりますが、子供の予定がなければ終身保険にして将来の資金形成も兼ねることや、子供が欲しい場合には養老保険にして学資への転用も有効ですね。
普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、25歳男性、45歳までの支払い(子供が2年後に産まれるとして18歳時の受取を想定)、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:9,100円
年齢的に見て収入的にも少ないことが想定されるので、まだ高い保険料を払っていくのは得策ではないですが、1万円程度の支払いで抑えられると継続した支払いがしやすいですね。
20代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
子供がいる場合には、リスクの分散という意味も含めて、奥さん名義で学資目的の養老保険に加入がおすすめです。
ご主人側に万一の際の保障を手厚くするケースが一般的ですので、奥さん側では効率的な保険の選択をしていきましょう。
仮にあなたに万一のことがあれば保険金も支払われますし、養老保険であれば、満期時に受け取れる保険金も同額なので、子供が18歳になるタイミングに合わせて加入するのが良いでしょう。
普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、25歳女性、43歳までの支払い(子供0歳として18歳時の受取を想定)、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:10,080円
毎月1万円程度で子供の大学費用の一部を準備できる計算ですね。
20代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
20代既婚女性でまだ子供がいないという場合には、独身の場合と同様死後整理金の準備だけで十分と言えます。
この用意を死亡保険で行う場合に、定期保険で掛け捨てですが安く済ませるのか、将来の家族計画や資金形成を含めて、養老保険等で貯蓄していくのかが選択肢になるでしょう。
共働きの状態であれば収入的にも余裕があるでしょうが、子供が産まれて家庭に入るといった場合には、出産や育児ににかかる費用も含めて月々の家計収支が大きく変わることも予想されます。
ご主人と相談の上、無理のない計画をしていくのがおすすめです。
定期保険であれば20代独身女性の例と同様なので、仮に養老保険で組み立てた場合として計算します。
普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、25歳男性、45歳までの支払い(子供が2年後に産まれるとして18歳時の受取を想定)、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:9,080円
同条件の男性に比べて、若干ですが安い試算となりました。
30代独身女性の死亡保険の選び方とシュミレーション
20代の時と同様に、死後整理金の有無が主なポイントとなります。
30代となると、計画的に貯金の出来ている方は既に一定額貯められているでしょうから、その場合は無理して死亡保険に加入しなくても良いでしょう。
まだ預貯金額が少なめ…という方は、20代の時と同じく、最低限の保障を検討していきましょう。
・クリック定期|SBI生命、35歳女性、10年定期、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:399円(災害時保障等の特約を付けた場合:609円)
また、20代の時と比べて、給与面や毎月の収支で余裕が出てきた場合には、終身保険に加入して将来の資金準備も計画していく、といった手段も検討できます。
ただし、まだ結婚を考えており、子供が産まれるタイミングで家庭に入ることを検討している、という場合には、毎月の保険料が高くなり家計の負担となるリスクが生まれます。
こうしたリスクが想定される場合には、終身保険の加入は慎重に検討しましょう。
30代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
20代男性でも見て来た通り、しっかりと万一の場合のリスクと公的保障のカバー分も想定しながら検討する必要があります。
ここでは前述でも挙げた例を当てはめていきます。
夫(35歳、年収500万円、標準報酬月額36万円)妻(35歳、専業主婦)、子供(5歳)の場合
前述の通り、手取り額はおよそ8割と言われていますので、手取り額を400万円、ボーナスを夏冬各1ヶ月分ずつと見積もって計算しますと、月々の手取り額は約28.6万円となります。
上記の手取り額から毎月1万円分は貯蓄等予備費用に充てていると想定して、毎月27.6万円の生活費を要していたと見なします。
まず、ご主人35歳時点で残された遺族の生活費は、下記の通りです。
①.子供が独立するまで(大学を卒業するまで)の17年間の生活費
こちらは、27.6万円の70%である、18.4万円にて計算しますので、17年間で、合計約3,941.3万円かかります。
②.子供の独立時点(妻52歳)から平均寿命までの、妻単身での生活費
こちらは、27.6万円の50%である、13.8万円にて計算しますので、35年間で、合計5,796万円かかります。
①と②を合計すると、約9,737.3万円の費用がかかる計算となります。
次に、公的保障に関して見ていきます。
◯遺族厚生年金:577,125円、月額約48,094円
◯遺族基礎年金:804,200円、月額約67,017円
◯子の加算額:231,400円、月額約19,283円
◯中高齢寡婦加算:603,200円、月額約50,267円
◯老齢基礎年金:804,200円、月額約67,017円
これら金額と各受給対象年齢と照らし合わせると、受給額は、
・妻35歳〜48歳まで(子供が18歳になるまで):遺族基礎年金+遺族厚生年金+子の加算額=月額134,394円(合計約2,096.5万円)
・妻48歳〜64歳まで:遺族厚生年金+中高齢寡婦加算=98,361円(合計約1,888.5万円)
・妻65歳〜亡くなるまで:遺族厚生年金+老齢基礎年金=115,111円(合計約3038.9万円)
となり、公的保障合計が、7,023.9万円となります。
必要な生活費(9737.3万円)との差額は2713.4万円です。
つまりは、約2700万円以上の死亡保障が求められます。
・クリック定期|SBI生命、35歳男性、10年定期、死亡保険金2,700万円として算出
⇒月額保険料:3,186円(災害時保障等の特約を付けた場合:4,866円)
金額が大きく見えてしまいますが、直近であなたに万が一のことがあった場合には、これくらいの保障が求められるということを理解しておくことが大切ですね。
30代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
30代男性の場合も、まだ子供がいないということであれば、20代の場合と同様の考え方で良いでしょう。
最低限の死後整理金の準備として検討していき、奥さんに迷惑はかけないようにする組み立てが出来ていれば十分です。
ただし、30代は資産的にもライフイベント的にも様々なパターンがありますので、いくつか具体例を挙げていきます。
・既にマイホームを購入した場合:団体信用生命保険(団信)が死亡保険の代わりとなり、万一の際には奥さんにマイホームという資産を残すことができます。
⇒この場合は、十分な預貯金があれば死亡保険は不要ですし、それが無い場合も貯蓄型保険は不要で、定期保険で安く済ませる方法がありますね。
・死後整理金が現金で準備できている場合:子供の希望が夫婦共にあり、具体的に妊活等の動きもあるようでしたら、学資としての目的で養老保険に加入するか、もしくは実際に出産を迎えるまでは未加入でも問題ないでしょう。
・全く資産に余裕が無い場合:月々いくらの支払いが可能かで選択肢が変わります。
⇒月額1,000円以内で済ませられる定期保険にするか、月々2万円くらいまで支払いが検討できる場合は将来への対策も兼ねて終身保険を検討することも時期的には有効です。
以下、定期、終身、養老の支払いイメージを見ていきます。
・クリック定期|SBI生命、35歳男性、10年定期、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:483円(災害時保障等の特約を付けた場合:783円)
・RISE|オリックス生命、35歳男性、支払い期間20年(子供が2年後に産まれるとして18歳時の受取を想定)、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:10,146円
※20年後の払込完了時点での解約返戻金:約251万円
・普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、35歳男性、55歳までの支払い(子供が2年後に産まれるとして18歳時の受取を想定)、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:13,710円
30代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
子育て世代の30代は、かつ子供の成長に合わせたライフイベントやマイホーム購入等、収支面でもかなり流動的なことが想定される年代です。
理想としては20代女性でも見た通り、学資保険の要素も兼ね備えての養老保険加入が有効ですが、子供の年齢も踏まえると一定のリスクもあります。
例えば35歳女性、子供が5歳の段階で養老保険に加入する場合を想定しましょう。
普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、35歳女性、48歳までの支払い(子供が18歳になる13年後の受取を想定)、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:13,900円
約14,000円かかります。
子供の大学入学に合わせた保険金の受取を狙うのが一般的なので、子供がある程度成長している場合ですと、その分月々の支払い保険料が高くなっていきます。
上記例で、子供が8歳であれば10年間の支払いとなり、月額保険料が18,020円に上がります。
子供がある程度成長してくれば、習い事も含めて諸々費用もかかり、マイホームを購入となれば、住宅ローンも発生します。
様々なライフイベントとの兼ね合いやあなたの仕事への復帰度合いを踏まえながら、こうした支払いにリスクがあれば定期保険の加入、もしくは死後整理金分の預貯金額が準備できていれば未加入も選択肢となり得ることを覚えておきましょう。
30代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
20代既婚女性【子供なし】で見てきたものと同様に、基本的には死後整理金の準備だけで十分と言えますので、その用意として掛け捨て(定期)か貯蓄型(終身、養老)どちらを選ぶかという点がポイントです。
年代としては、また子供の計画も考えたいという場合も十分あると思いますので、その場合は20年程度の養老保険がおすすめです。
・普通養老保険ー新フリープラン|かんぽ生命、35歳女性、55歳までの支払い(子供が2年後に産まれるとして18歳時の受取を想定)、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:9,120円
一方で子供の計画がないという場合には、支払い期間を60歳や65歳くらいまで伸ばした終身保険がおすすめです。
支払い期間が長くなる分、月々の保険料も安くなるからです。
・RISE|オリックス生命、35歳女性、支払い期間60歳まで、死亡保険金200万円として算出
⇒月額保険料:5,334円
※60歳の払込完了時点での解約返戻金:約166万円
最低限の死亡保障をカバーしながら、無事に定年を迎えられた場合に夫婦で海外旅行に、といったような使い方もできますね。
40代独身女性の死亡保険の選び方とシュミレーション
一般的には、先の20代、30代と同様な考え方で良いでしょう。
あくまでも単身者の死亡保険の加入必要性は、年齢が変わってもあまり変わらないということですね。
その中でも加入を検討する際に、40代独身の場合では終身保険がおすすめです。
理由は、50代になると保険料が上がるのはもちろんですが、特約が付けられなくなる等の加入自体にも制約が生まれてくるからです。
どうしても終身保険の方が、定期保険に比べて長期加入となりますし、解約返戻金があるので、保険会社側としても定期保険に比べて加入条件を厳しく設ける傾向にあります。
例えば45歳時点で20年間支払いを行えば、65歳の段階でまとまった解約返戻金を受け取ることもできますので、タイミングとしても良いと言えます。
・こだわり終身保険v2|マニュライフ生命、45歳女性、支払期間20年、死亡保険金500万円として算出(こちらの商品は、非喫煙者は保険料が割引になります。今回は非喫煙者として算出します)
⇒月額保険料:16,740円
※三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)にて所定の状態になった場合に、保険料支払いを免除できる特約を付加した場合:18,105円
上記シュミレーションで、55歳女性での加入を検討する場合、
・月額保険料は19,350円となります。
・三大疾病の特約は付けられません。
というように、条件が厳しくなっていきます。
保険料や収入面とのバランスで見ても、終身保険を検討するには最適の年齢と言えますね。
40代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
20代、30代の時と同様に、まだ子供の想定される年齢を考えると、手厚い死亡保障が求められる時期と言えます。
万一の際の収支面をシュミレーションしていきます。
夫(45歳、年収700万円、標準報酬月額50万円)妻(45歳、専業主婦)、子供(10歳)の場合
今までと同様、手取り額を8割の560万円、ボーナスを夏冬各1ヶ月分ずつと見積もって月々の手取り額を40万円とします。
上記の手取り額から毎月5万円分は貯蓄等予備費用に充てていると想定して、毎月35万円の生活費を要していたと見なします。
まず、ご主人45歳時点で残された遺族の生活費は、下記の通りです。
①.子供が独立するまで(大学を卒業するまで)の12年間の生活費
こちらは、35万円の70%である、24.5万円にて計算しますので、12年間で、合計3,528万円かかります。
②.子供の独立時点(妻57歳)から平均寿命までの、妻単身での生活費
こちらは、35万円の50%である、17.5万円にて計算しますので、30年間で、合計6,300万円かかります。
①と②を合計すると、9,828万円の費用がかかる計算となります。
次に、公的保障の金額です。
◯遺族厚生年金:約801,563円、月額約66,797円
◯遺族基礎年金:804,200円、月額約67,017円
◯子の加算額:231,400円、月額約19,283円
◯中高齢寡婦加算:603,200円、月額約50,267円
◯老齢基礎年金:804,200円、月額約67,017円
これら金額と各受給対象年齢と照らし合わせると、受給額は、
・妻45歳〜53歳まで(子供が18歳になるまで):遺族基礎年金+遺族厚生年金+子の加算額=月額153,097円(合計約1,469.7万円)
・妻53歳〜64歳まで:遺族厚生年金+中高齢寡婦加算=117,064円(合計約1,545.2万円)
・妻65歳〜亡くなるまで:遺族厚生年金+老齢基礎年金=133,814円(合計約3532.7万円)
となり、公的保障合計が、6,547.6万円となります。
必要な生活費(9,828万円)との差額は3,280.4万円です。
つまりは、約3,300万円程度の死亡保障が求められます。
・クリック定期|SBI生命、45歳男性、10年定期、死亡保険金3,300万円として算出
⇒月額保険料:8,580円(災害時保障等の特約を付けた場合:10,500円)
収入が増えて生活水準も上がる分、生活レベルをダウンサイズするとしてもある程度の限界があるでしょう。
ですが、こうした水準の家庭であれば預貯金もある程度想定できますし、ここまでの保障があれば間違いないという結果になりましたね。
40代既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
40代に突入して来ますと、子供の計画にも左右されますが、特に「奥さんが専業主婦」という場合には、老後の収入面も念頭に入れて備えを始めていくべき年代と言えます。
奥さんが専業主婦の場合、年金収入が大幅に減るリスクがあるからです。
参考として年金収入額を見ていきます。
・想定年金収入:夫婦2人の基礎年金(満額)132,016円+平均的報酬で40年間加入した場合の厚生年金100,576円=232,592円
参照記事⇒高齢者の生活実態|厚生労働省
・専業主婦であった妻が残された場合の年金収入
妻の基礎年金(満額)66,008円+今までもらっていた厚生年金の3/4相当の遺族年金:75,432円=141,440円
参照記事⇒遺族年金制度|厚生労働省
このように、あなたに万一のことがあった場合に、毎月約9万円の収入減となるのです。
こうしたリスクの全てに対して終身保険で対応していくと、月々の保険料がどうしても高くなってしまうので、一部定期保険を合わせていくなどの組み立てが重要ですが、まだ若いうちに終身保険の一部支払いを始めるのはとても有効な手段です。
例えば、こだわり終身保険v2|マニュライフ生命、45歳男性(非喫煙者)、支払期間20年、死亡保険金1,000万円、三大疾病特約あり、として算出
⇒月額保険料:36,890円
保険金額を上げている分月々の支払いは高いですが、こうした支払いを65歳までに終えていれば、あなたに万一のことがあっても、それがいつだろうと奥さんに1,000万円の保険金を渡すことが出来ますね。
40代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
30代女性で子供ありの場合でも見て来ましたが、子供の年齢と月々の収支と照らし合わせる中で内容を吟味していく必要が出てくる年代と言えます。
子供がある程度大きくなって来た場合(目安は7、8歳を過ぎた場合)には、無理をして支払い期間10年程度で貯蓄型保険を組んでいくと、前述の通り保険金200万円でも毎月2万円近い支出となります。
こうした貯蓄型死亡保険のリスクは、支払い期間を迎えない中途解約時に、解約返戻率が悪くなり、元本割れすることです。
もちろん返戻率は商品ごと、また今までの支払い期間や金額に応じて変わりますが、昨今の商品は中途解約時の解約返戻率が7割程度のものが多いです。
今後子供が中学生になる、高校生になるというタイミングに差し掛かることが想定される年代ですので、毎月の支払いに不安がある場合は、現金での積立も現実的な選択肢となります。
その場合におすすめなのは、定期保険で万一の際の学資金として最低限の保障を安く組み立てておき、別途現金にて貯金というプランです。
クリック定期|SBI生命、45歳女性、10年定期、死亡保険金300万円として算出
⇒月額保険料:678円(災害時保障等の特約を付けた場合:888円)
これであれば、毎月1,000円もかからずに最低限の保障はキープできますね。
40代既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
統計的なお話ですが、40代以降での出産はあまり想定はされなくなっていくタイミングになります。
ですので、「絶対に子供を諦めない」という方を除いては、夫婦2人で生活していく中でのシュミレーションを考えていくのが重要と言えます。
共働きか専業主婦かにもよって若干変わってはきますが、一般的には収入も上がって来ている年代ですし公的保障も望める点から考えますと、加入を検討するにあたっては貯蓄型がおすすめです。
40代独身女性の場合でも見たように、年齢的には貯蓄も狙える終身保険に入るに適したタイミングでもあります。
こだわり終身保険v2|マニュライフ生命のような、三大疾病特約も付けられて65歳くらいまでの払込にしておき、月々の支払いが2万円を切るくらいの内容が将来に向けても戦略的な保険の組み立てと言えますね。
50代以上独身女性の死亡保険の選び方とシュミレーション
50代でも今までと同様に、死後整理金の準備は要確認ですが、こうした年代から気にしなければならないのが、親の介護についてです。
介護には、一般的には通常の生活よりも多くの費用がかかると言われています。
介護にかかる費用の平均額として、初期費用(車椅子やバリアフリーにかかるお金等)と平均的な介護期間(4年9ヶ月)の費用を合わせると、約526万円かかるとされています。
参照記事⇒介護状態になるといくらかかる?介護費用の平均額・相場|介護保健の教科書
もちろん、親御さんはあなたとは別に生計を立てているでしょうし、年金収入や預貯金額も念頭に入れた上でどこまで面倒を見ていくか、ということを考えなければいけません。
ですが万一の際には、例えば死後整理金の分として300万円と、上記の平均的な介護費用の分として500万円の合わせて800万円を親御さんに残すというような意味合いで、死亡保険の活用メリットはありますね。
クリック定期|SBI生命、55歳女性、10年定期、死亡保険金800万円として算出
⇒月額保険料:2,752円(災害時保障等の特約を付けた場合:3,312円)
保険金額の設定は、現状の預貯金額の余裕と相談しながら決めていきましょう。
50代以上既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
一般的にはある程度、子育てが一段落していく時期になります。
子供の年齢との兼ね合いにはなりますが、子供の独立までの残期間分と、老後の万一の備えと両立することが求められる時期と言えます。
シュミレーションとして、老後奥さんが残されたとして、日常の生活費としてどの程度必要かを確認します。
単身者の老後に最低限かかる日常生活費:1ヶ月あたり約142,000円
参照記事⇒高齢者の生活実態|厚生労働省
前述の通り、奥さんが専業主婦だった場合に期待できる年金収入が141,440円でしたので、ギリギリの生活は成り立ちそうでもあります。
しかし、例えば子供の結婚式や住宅購入での援助、孫ができた場合の支援やプレゼント代、また介護状態になった場合の費用等、予備資金面を考えると心許ないのが正直なところです。
そこで、子供独立までの保険と老後の収入面も兼ねた終身保険の検討が有効でしょう。
ですが、支払い期間は年金生活が始まるまでに出来るだけ抑えていきたいので、月々の支払いとの兼ね合いでも検討が必要です。
RISE|オリックス生命、55歳男性、支払い期間65歳までとして算出
・死亡保険金1,000万円の場合⇒月額保険料:76,970円
※65歳の払込完了時点での解約返戻金:約883万円
・死亡保険金500万円の場合⇒月額保険料:38,535円
※65歳の払込完了時点での解約返戻金:約441万円
1,000万円程度あると安心感がありますが、支払い期間を短くする分月額保険料が高いので、半分の500万円でも加入の価値がありますね。
50代以上既婚男性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
この場合も、前述の子供ありの場合や40代男性【子供なし】で見て来た通り、年代的には老後の万一の保障を検討していく必要があります。
子供がいる場合には、子供への予備資金も含めて1,000万円の算出もしましたが、奥さん分の予備費用であることや公的保障でも最低限のカバーは期待出来そうな点から、500万円程度の保険で見ていくのが良さそうです。
ただし、ここでも同様に、支払い完了は65歳までをまず目標としましょう。
年金生活に入ってから高額な保険料の支払いはむしろ重荷に働く可能性があるので注意してください。
RISE|オリックス生命、55歳男性、支払い期間65歳まで、死亡保険金500万円として算出
⇒月額保険料:38,535円
※65歳の払込完了時点での解約返戻金:約441万円
50代以上既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供あり】
男性の場合でも見たように、子供がある程度大きくなっていることが想定される年代です。
ご主人側がどの内容でどの程度の保障に入っているかにもよりますが、奥さん側では最低限の保障を検討するか、もしくは現金の積立で進めていくかの選択が良いでしょう。
今まで同様に、最も損失となるのは、高い解約返戻金を見込んで無理な保険の組み立てをし、途中で解約してしまうケースだからです。
こうしたリスクをはらんでしまうくらいでしたら、現金での積立やどうしても保険が必要な場合には定期保険で支払いを安くリスクを落としていくのが無難な選択と言えますね。
50代以上既婚女性の死亡保険の選び方とシュミレーション【子供なし】
子供がいる場合には、まだ子供が独立するまでの間に保険が必要となる可能性はありましたが、子供がいない場合での50代ですと、預貯金額も潤沢であろう時期ですし、無理して保険に入る必要は無いと言えます。
ただ考え方としては、将来のご主人への介護に備えておくというのは余裕があれば検討してもいいかもしれませんね。
平均寿命や、いわゆる寝たきりとかでない日常生活を自身で送れる「健康寿命」どちらの観点で見ても、平均寿命は女性が約6年、健康寿命も女性が約3年それぞれ長い結果となっています。
参照記事⇒平均寿命と健康寿命を見る|厚生労働省
ですので、通常の平均で推移すればあなたがご主人の介護の備えをそこまで心配しなくても良いのですが、預貯金額があまり余裕のない状態には万一を想定して用意する価値はあります。
前述の通り、一般的な介護にかかる費用としては大体500万円の保障があればひとまず大丈夫でしょう。
RISE|オリックス生命、55歳女性、終身払い、死亡保険金500万円として算出
⇒月額保険料:10,975円
男性の場合では推奨していなかった終身払いですが、ここでのポイントは、万一ご主人が要介護状態で1人になってしまった場合の備えなので、長期間の保障が求められる点です。
定期保険ではどうしても保障に限りがありますし、更新する場合は更新時の年齢で保険料が再計算されるので、どんどん保険料が高くなります。
終身保険であれば、支払いが終身でも保険料は一生涯上がらないので、この想定では定期保険より終身払いの方が低リスクと言えます。
死亡保険の選び方は価値観や各家庭によって様々
今まで、各年代別、パターン別の死亡保険の選び方を見てきましたが、最初に申し上げました通り、これらはあくまでも一例です。
例えば筆者も、20代独身の頃、死亡保険に加入していました。
今思えば加入しなくても良かったかなと感じてはおりますが、当時は死亡保険に加入することで安心していたのも実感として残っています。
各シュミレーションに関してみても、最低限の費用面の話が中心となっていますので、例えば「残された妻や子供にも贅沢させてあげたい」とお考えであれば、より保障を手厚くすべきですし、例えば「万一の際に受け取れる公的保障との差額は、妻に働いてもらって頑張ってもらおう。その分のお金を家族と過ごすことに使おう」とお考えであれば、死亡保険に加入しないという選択肢もあるのです。
死亡保険は必ず入らなければいけないものではなく、あなたの考え方次第で必要性が変わってくるものだという認識で、ご自身に合った選択をしていってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭にも挙げました通り、一口に死亡保険といっても、種類も違えば人それぞれで必要な内容も変わっていきます。
大切なのは、「ただ言われたから」や「みんな入っているから」というお考えで決めるのではなく、「家族に〇〇万円までは用意してあげたいから」「死後整理金だけは用意したいから」といった、あなたなりの考えを元に決めるということです。
この記事での計算例やシュミレーションなども参考にしていただきながら、ご自身なりに納得のいく選択をしていただければ幸いです。