タイの治安は悪い?良い?外務省発表のデータを元に分かりやすく解説

2024.07.16

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タイは「微笑みの国」と言われ、さらに首都バンコクは「天使の都」と呼ばれるなど、その他の諸外国と比べると安全なイメージがあるかもしれません。

しかし、日本人が犯罪被害に遭う例が後を絶たない国でもあり、タイといえども「外国」にいるという心構えと、十分な対策をした上で渡航する必要があります。

この記事では、タイの治安や犯罪状況、それに対する防犯対策に加えてかかりやすい病気のことなど、タイに渡航する際に注意するべき点について詳しく解説します。

タイの治安は良いのか悪いのか

日本とタイを比べると、タイの方が治安が悪いことは以下の犯罪件数を見ても明らかです。

タイ警察が発表した2017年の犯罪統計によると、殺人事件は(未遂を含む)約3,900件でした。

一方で日本は警視庁が発表した2018年の統計をみると、殺人事件が約900件となり日本の4倍以上の殺人事件が起こっています。

タイの2017年の人口が約6900万人ということを加味すると、日本よりいかに殺人事件が多く発生しているかがわかります。

タイでは軽犯罪も日本より多く発生しています。

盗難事件などが約28,000件、薬物犯罪では約27,000人が検挙されています。

薬物や銃器がタイでは氾濫しており、日本人が巻き込まれる犯罪は主に窃盗や詐欺ですが、薬物や銃器などを用いた犯罪に日本人が巻き込まれる事件も近年では起こっています。

参考:外務省「海外安全ホームページ」

タイで日本人や観光客が巻き込まれやすいトラブルや事件

ここでは、タイで日本人や観光客が巻き込まれやすいトラブルや事件を紹介していきます。

事件の多くに共通しているのは、タクシーやトゥクトゥクなどの運転手をはじめ、見知らぬ人に声をかけられたことが被害に遭うきっかけとなっていることです。

スリ

市場や繁華街などの人混み、電車内などでバッグを切られたり鞄のチャックを開けられて財布などの貴重品が盗られてしまうことがあります。

また、歩いている時に数名の現地人がなれなれしく身体に触れたり会話をして気をそらせ、そのあいだにポケットなどから貴重品を盗る手口も多発しています。

混み合っている場所ではバッグは体の前に持つこと、また財布や貴重品はすぐ取り出せるところに入れないようにすることがスリへの対策となります。

ひったくり・強盗

歩行中に限らず、トゥクトゥクに乗車中でも後方からきたバイクがバッグをひったくることがあります。

外出の際は、荷物は身体から離さずに持つようにし、特に歩行の際には道路と反対側に荷物を持つようにすることが大切です。

また、ソンテオ(乗合タクシー)で運転手にナイフで脅され、金品を奪われる事件も発生しています。

夜は特に、1人でソンテオに乗車することは避けましょう。

どうしても乗車しなければならない場合には、他の乗客が乗車するソンテオをなるべく選ぶようにしてください。

置き引き

レストランやショッピングモールのフードコートで座席の背もたれに荷物をかけて食事をしている最中、視線を逸らしたわずかなあいだに荷物を持ち去られてしまうのが置き引きでは多いケースです。

この他にも、公園などでも置き引きが発生しています。

タイに渡航後は、どのような時でも盗られてはいけない荷物や貴重品は身体から離さず、どうしても荷物を置かなくてはならない時は自分から見える位置に置いておくことが置き引きを未然に防ぐ手段となります。

睡眠薬強盗

飲食をしている時に飲み物に睡眠薬などを入れて、相手が眠り込んだところで金品を盗むのが睡眠薬強盗の常套手段です。

その日に出会った相手と飲食をする際には自分の飲食物に常に注意を払うこと、また親しげに声をかけてくる現地人には警戒心を忘れずにいることが重要です。

性犯罪

夜間に女性が1人でタクシーに乗車した際に、ナイフや拳銃で脅され、わいせつ目的で連れ回されたりする事件が起こっています。

また、ビーチリゾートなどで気軽に声をかけられた男性から急にわいせつな行為を受ける場合もあります。

女性は特に夜間に1人で出歩かないこと、そして現地で馴れ馴れしく声をかけてくる人には、例え親しくなったとしても常に警戒心を失わずにいることが大切です。

詐欺

タイに限らず、海外ではさまざまな詐欺が横行しています。

以下の例の他にも、あの手この手を使って現地の詐欺師は観光客から金品を奪おうとします。

1.オーダーメイド詐欺

タクシーやトゥクトゥクなどの運転手が、ブティックなどに連れて行き高級品を買わせるが、その品は実際には粗悪品である場合が多々あります。

2.見せ金詐欺

親しげに「日本人ですか。今度日本に行くので円のレートを教えてくれませんか。」などと話しかけられている隙に、バッグから財布を抜き取られたり、財布から現金を奪われる詐欺です。

3.クレジットカード抜き去り詐欺

ゴルフ場や宿で、隙を見て財布の中からクレジットカードが抜き取られてしまいます。

すぐに犯行がばれないように、現金は抜き取らずにクレジットカードもフェイクのものにすり替えておくという用意周到さも悪質で、しばらく詐欺に遭ったことに気がつかない場合があります。

詐欺においては、渡航先でコミュニケーションをとる人の言動が信用に値するかどうかの「証拠」を事前に、またはその場で確認することが重要です。

また、金目のものをできる限り肌身離さずいることが詐欺に限らず防犯となります。

タイで特に注意が必要な治安が悪い場所

バンコク都内の旅行者が集まる観光名所や繁華街、デパートなどの大型商業施設周辺、バックパッカーの多くが利用するゲストハウスといった安宿周辺で犯罪が多発しています。

バンコク都内は日本からの旅行者が多くいるため、つい気が緩む瞬間もありますが、旅行者が多いだけ金品を狙った犯罪も多いことを十分に理解し対策をした上での渡航が必要です。

また、北部のチェンマイ市内においても、旧市街を中心に旅行者を狙った犯罪がおこっています。

特に夜の繁華街では、不用意に狭い路地に入り込むことは危険で、ひと気のある場所に出向くようにしましょう。

タイでの防犯対策について

タイで犯罪に遭うことなく、無事に過ごすには以下3つの心構えにもとづいた具体的対策が必須です。

1.近づかない

「危険な場所」に不用意に行かないことが大切です。

特にバンコクでは、繁華街とスラム街が混在し、道を一本間違えただけでも危険な地域であることがあります。

安全な場所であるかインターネットや本などで確認しておくなど事前確認をできる限り行いましょう。

2.楽観視しない

諸外国と比べてみると「タイは治安が良い」というイメージが一般的にあります。

しかし、日本と比較すると治安が良いとは決して言える国ではないことは、冒頭で紹介した犯罪件数を見ても明らかです。

楽観視せずに、「自分の身を守るのは自分」という意識のもと防犯対策をした上で渡航することが必須です。

3.慌てない

万が一犯罪に遭ってしまった場合には、生命の安全を第一に考えて状況次第では犯人の要求に抵抗しないことも必要となります。

警察が犯人を捕まえるための証拠を残しておく、犯罪のようすをできるだけ克明に記憶しておくなどの冷静さが不可欠です。

タイに滞在している時に特に注意するべきこと

タイは日本と法律や慣習が異なります。

滞在している時に特に注意するべきことを以下にまとめました。

パスポートの携帯

警察官または入国管理局職員に職務質問をされたときに、パスポートを携帯していない場合には、罰金もしくは身柄を拘束される可能性があります。

滞在中必ずパスポート(最低限でもパスポートのコピー)を携帯しましょう。

交通事故

タイの交通マナーは全体的に良いとは言えません。

スピードもかなり出している車やバイクが多いので、交通事故が日本よりも頻繁に発生しています。

道路の歩行や横断は、日本にいるときよりも注意深くなる必要があります。

喫煙の際の注意

タイではレストランや屋内飲食店、公共交通機関は全面禁煙です。

公共の建物など喫煙所がある場所は、必ずその場に行ってから喫煙をするようにしましょう。

違反者には最高で5,000バーツ(2019年3月現在、1バーツ3.5円)の罰金が科せられます。

また、タイではたばこの「ポイ捨て」をした場合にも2,000バーツ以下の罰金が科せられます。

喫煙に関しては、日本よりも厳しい取り締まりがあることを充分に認識したうえで、タイの法律にしたがった喫煙をするようにしてください。

タイで特に注意をするべき病気とケガ

タイでは日本にいるときとは異なる病気やケガに見舞われる可能性があります。

特に注意をするべき病気やケガをここでは紹介します。

旅行者下痢症・寄生虫感染

旅行者下痢症は、タイに限らずアジア各国に渡航した際に頻繁に見られる疾患です。

罹患した人の多くは不衛生な食品を食べてしまい、細菌や寄生虫、毒素が体内に入ってしまうことで発症します。

しかし、これらに限らず食べ慣れない食材を口にしたことによる体内抵抗や疲労が原因で起こることもあります。

これらを防ぐためには、なるべく衛生的な店での飲食を心がけることが大切です。

もし罹患した場合には、水分補給と安静を心がけましょう。

症状が治らない、もしくは症状が強いという時には病院を受診してください。

マラリア・蚊媒介疾患

雌のハマダラカという蚊に吸血されることで感染する急性熱性疾患のことをマラリアと言います。

国境に接する県での発生が多く、都市部のバンコク・チャンマイ・パタヤなどでは感染する可能性はほとんどないと言っていいでしょう。

タイの国境方面に行く際には、予防薬で感染対策をしましょう。

また、近年日本でも発症が確認されているデング熱は、タイでも蚊に刺された際に急激な発熱を伴って発症する場合があります。

その他にも発熱・発疹・結膜炎などの症状を伴うジカ熱や、急激な発熱と関節痛を伴うチクングニア熱など蚊を媒介とする疾患がタイでは発症する可能性があります。

6〜10月の雨季に流行が見られるマラリアをはじめとする蚊媒介疾患は、バンコクなどの都市部でも発生しています。

現地に滞在する際は、昼間でもなるべく長袖シャツと長ズボンを着用し、防虫スプレーを使用するなどして蚊に刺されないようにすることが重要です。

狂犬病

狂犬病は、タイで近年増加しています。

菌を保有している哺乳類に噛まれることで発病し、発病後の死亡率は100%です。

タイへ行く際は、事前にワクチンを接種した上での渡航がのぞましいでしょう。

万が一現地で哺乳類に噛まれてしまった場合には、かすり傷程度のものでも傷口を流水で15分以上洗浄してからすみやかに病院受診をしましょう。

タイの衛生面での心配点

タイは、日本と比べて不衛生です。

日本は世界から見ても衛生面においてはトップクラスなので、タイでは食事に限らず滞在中特に以下の衛生面に注意をして対策をしましょう。

飲み水

水道水はもちろんのこと、飲食店で出される水(セルフサービス含む)も極力口にせず、ペットボトルや瓶で販売されている水を飲むようにしてください。

屋台

タイの屋台は決して衛生的とは言えません。

お皿やフォークは持参したティッシュなどで拭いてから食べるようにしましょう。

無料で水をサービスしてくれる店もありますが、それには決して口をつけることのないようにしてください。

トイレ

公衆トイレはカルチャーショックを受けるほど不衛生であることもあります。

なるべく宿や大型のショッピングモール、衛生的な飲食店のトイレを利用すると良いでしょう。

タイで何かあった際の連絡先

タイに滞在している際の緊急時の連絡先を載せます。

万が一現地で事件や事故に巻き込まれたり、病気やケガをした際は以下の連絡先を参考にしてください。

バンコク

・警察:TEL 191(救急車の要請も可能)

・観光警察:TEL 1155(英語可)

・在タイ日本国大使館:TEL (市外局番02)696-3000(代表)または(02)207-8500

チェンマイ

・警察:TEL 191(救急車の要請も可能)

・観光警察:TEL1155(英語可、日本人ボランティアあり)

・在チェンマイ日本国総領事館:TEL (市外局番05)201-2500

(※在チェンマイ日本国総領事館の管轄→チェンマイ・チェンライ・ランプーン・メーホンソーン・ランパーン・ナーン・パヤオ・プレー・ウタラディットの各県)

引用:外務省「海外安全ホームページ」

まとめ

タイの治安は決して良いとは言えないことを、具体的な数字と例を示しながら紹介しました。

万が一事件や事故、病気やケガなどに見舞われた際の連絡先も載せましたので、ブックマークやメモをおすすめします。

渡航の際は十分な対策をすることが大切ですので、ぜひこの記事を参考にしてタイの滞在を楽しんでください。

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