医療保険の選び方~20代・30代・40代・50代・60代・70代~年齢・男女別にシュミレーション
医療保険を選ぶ時は、ご自身の状況に合わせたものを選ぶことが大事です。
しかし医療保険はとても種類が多く、選択できる特約の数も多いため、どのように選べばよいのかとても分かりにくくありませんか?
今回は医療保険の選び方をを年代や状況別に解説しています。
この記事を読めば、自分に合った医療保険の選び方が分かるようになるのでぜひ最後までご一読ください。
目次
医療保険の選び方は年齢や独身・既婚で違う!
医療保険は、加入する人の年齢だけでなく、独身か既婚かといった生活背景によって選び方が変わります。
備えが必要な理由や、病気になる可能性が異なるからです。
例えば、20代に比べて40代の方が病気になるリスクが高く、治療費も高額になります。
また、独身者に比べて既婚者の場合は、入院して働けなくなり収入が下がると、家族が生活していけなくなるので、保障額を大きくしなければなりません。
このように、ご自身の年齢や生活背景に応じて加入する保障や用意する保障を選ばなければなりません。
最低限理解しておきたい公的医療保障
医療保険を選ぶ際は、以下の医療制度についてまず理解しましょう。
日本人は全員すでにしっかりとした医療保険に加入しており、以下の保障を受けられるようになっています。
内容 | |
健康保険証 | 病院などの医療機関を受診・入院した場合に提示すると医療費の自己負担が3割になる |
高額療養費制度 | 所得に応じて1ヶ月に自己負担すべき医療費の上限を超えた場合、超過分が後で払い戻される |
傷病手当金
(会社員・公務員のみ) |
病気やケガ等で休職した場合、給与の2/3の額が最大1年半に渡って支給される |
後期高齢者医制度 | 75歳以上で一定の所得以下の方は、医療費の自己負担が1割となる(70歳〜74歳の方は2割) |
これらの制度をまず確認した上で、以後の年代別の解説を読み進めていってくださいね。
シミュレーションに使用する保険はオリックス生命「新キュア」
今回、各年代ごとのシミュレーションに使用したのは、オリックス生命の「新キュア」という医療保険の中でも評判が良く、商品内容も優れています。
用意できる保障は以下の通りです。
主契約・特約名 | 保障内容 |
入院給付金 | 入院した日数の分だけ給付金が受け取れる。
1入院につき最大60日まで(3大疾病の場合は給付日数無制限) |
手術給付金 | 受けた手術によって所定の給付金が受け取れる |
先進医療特約 | 所定の先進医療を受けた場合に給付金が受け取れる |
重度疾病一時金特約 | がん・心筋梗塞・脳卒中と診断された場合に一時金が給付される
1年に1回を限度に何度でも受け取れる |
がん保障特約 | がんと診断された場合に一時金が給付される
1年に1回を限度に何度でも受け取れる |
また、保険料の払い方は統一して終身払いとしており、加入した時の保険料が生涯に渡って変わりません。
このため、若いうちに加入すると、高齢になった場合も、毎月の保険料負担が少なく済ませることができます。
20代の医療保険の選び方とシミュレーション
20代はまだ若くて体力もあり、重い病気に罹患する可能性も低いですが、交通事故等が原因でケガの入院をする可能性はあります。
また、万が一がんにかかってしまった場合は、とても進行が早いという特徴も。
この年代はまだ独身の方が多く、既婚者の場合でも子供がいないもしくはまだ小さいケースが多いです。
医療保険の選び方
独身の場合や、既婚者で子供がいない場合は、最低限の医療保障で十分でしょう。
平均的な収入であれば、高額療養費制度を使うと1ヶ月の医療費の上限は9〜10万円程度におさまります。
既婚者で小さい子供がいる場合は、少し保障を厚めにして治療費に備えるだけでなく、収入が減少してしまった場合にも備えると良いでしょう。
会社員の場合は、傷病手当金が支給されるため、ある程度は補填されますが、給与の全額はではないため、不足分は医療保険で補う必要があります・
保障額をシミュレーション
以上を踏まえて、オリックス生命の「新キュア」を使って、独身・既婚でそれぞれ試算をしてみました。
・契約年齢:25歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | 10,000円 |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | 入院中;20万円 外来:5万円 |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | なし | |
保険料 | 男性:1,311円
女性:1,558円 |
男性:2,346円
女性:2,873円 |
男性よりも女性の方が少しだけ、保険料が高い結果となりました。
がん保障を付けなかった理由は、20代はまだがんになる確率がまだ低く、10年後や20年後も罹患する確率は1%未満だからです。
ただし、女性の場合は乳がんなど女性特有のがんに罹患する可能性もあるため、心配であればがん保障を付加しましょう。
30代の医療保険の選び方とシミュレーション
30代は年齢的にもまだまだ若く、病気になる確率は低いですが、健康診断などで指摘を受けるケースが増えてきます。
健康診断で指摘が入った項目によっては、保険に加入できない場合もあるため注意しましょう。
既婚者も増加し、小さいお子様がいる家庭も増えてるので、20代と比べて保障が必要な場合が多いです。
医療保険の選び方
独身の場合は、引き続き最低限の医療保障で大丈夫です。
ただし、会社を辞めて独立を考えている方は、傷病手当金ももらえなくなるため、保障を厚くする必要があります。
既婚者もまだまだ子供が小さいため、ある程度の保障額が必要で、心配であればがん特約などを付けても良いでしょう。
保障額をシミュレーション
同じくオリックス生命の「新キュア」を使ってシミュレーションしてみます。
・契約年齢:35歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | 10,000円 |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | 入院中;20万円 外来:5万円 |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | がん保障特約:50万円 | がん保障特約:100万円 |
保険料 | 男性:2,912円
女性:2,732円 |
男性:5,457円
女性:5,167円 |
今度は男性よりも女性の方が保険料が低い結果でした。
入院給付金日額を10,000円にして、がん保障を付加すると男女ともに5,000円を超えるため毎月の負担が本当に大丈夫か、加入前に確認しましょう。
40代の医療保険の選び方とシミュレーション
40代は30代よりもさらに病気のリスクが大きくなり、健康診断で何かしらの指摘を受ける方が多くなります。
また、既婚者の場合は、お子様もある程度成長し、高校や大学と学費のかかるタイミングのため、支出が増え、貯蓄が減っていく期間です。
医療保険の選び方
医療保険の保険料は20代や30代に比べて高額となるため、保障も必要ですが、毎月の支出とのバランスをみながら慎重に検討していきましょう。
がんなどの重度な疾病に対するリスクも増えるため、保障を確保するのが望ましいです。
保障額をシミュレーション
・契約年齢:45歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | 10,000円 |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | 入院中;20万円 外来:5万円 |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | がん保障特約:50万円 | がん保障特約:100万円 |
保険料 | 男性:4,319円
女性:3,545円 |
男性:8,139円
女性:6,710円 |
試算の結果、男女で大きな差が出てきました。
特に男性の場合は、この年齢からがんの保障まで付加して加入すると保険料が8,000円を超えるため、できるだけ若いうちに加入し毎月の保険料の負担を減らすのが理想です。
50代の医療保険の選び方とシミュレーション
病気へのリスクはさらに上がり、血圧や尿酸値を下げる薬などの常備薬を服用する方が増えてくる年代です。
このため、保険料はかなり高額になり、保険の引き受けを断られるケースも増えます。
既婚者の場合は、子供が大学を卒業して独立をし始めるタイミングですので、生活にも余裕が戻りますが、老後に向けての貯蓄を準備し始める方も多いでしょう。
医療保険の選び方
子供が大学を卒業して独立し、保障が必要なくなったのであれば、保障内容を落としても良いかもしれません。
しかし、病気のリスクも上がっているため、心配な方は引き続き同じ保障で加入しましょう。
保障額をシミュレーション
・契約年齢:55歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | 10,000円 |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | 入院中;20万円 外来:5万円 |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | 重度三疾病一時金特約:
50万円 |
重度三疾病一時金特約:
100万円 |
保険料 | 男性:7,172円
女性:5,224円 |
男性:13,662円
女性:6,710円 |
これまでの試算と異なり、がん保障特約を重度三疾病一時金特約に変更し、がん・心筋梗塞・脳卒中の病気に対応できるようにしました。
保険料は男性の入院給付金日額10,000円以上の場合で1万円を超えてしまいかなり高額なため注意しましょう。
もし子供が独立して、そこまで保障が必要ないと感じるのであれば、既婚者でも入院給付金日額5,000円のコースに減額してもかまいません。
60代の医療保険の選び方とシミュレーション
多くの方が定年を迎えて退職するか、嘱託職員として再雇用されて働き始める年齢です。
病気のリスクもかなり高くなり、新規で医療保険に加入するのもかなり難しい場合もあります。
既婚者の多くの方は子供が独立し、夫婦2人での生活を送っているところも多いでしょう。
実は、60代になると医療費の自己負担の額が下がる傾向にあります。
理由は、退職して収入が低下したことで、高額療養費の上限額が下がり、自己負担する金額も下がるためです。
医療保険の選び方
医療費の自己負担額が下がるため、独身者も既婚者もそこまで大きな医療保障は必要ありません。
心配であれば重度疾病の一時金給付を付けることも考えられますが、退職したり、嘱託職員になって収入が低下している方が多いので、保険料の負担には気をつけましょう。
保障額をシミュレーション
・契約年齢:65歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | なし | |
保険料 | 男性:5,609円
女性:4,695円 |
不必要な特約を外し、保障は最低限に抑えました。
それでも男女ともに5000円前後の保険料です。
がん保障特約や重度疾病一時金特約を付けると、保険料は1万円近くになるため、収入が低下していることを考えると付加するのはあまりおすすめではありません。
70代~高齢者の医療保険の選び方とシミュレーション
医療費の自己負担が70歳〜74歳は2割、75歳以上は1割と他の世代に比べてかなり低下するのが最大の特徴です。
また、がんなどの重度な疾病に罹患する確率が飛躍的に上昇する年齢ですので注意が必要です。
医療保険の選び方
自己負担する金額がかなり低くなっているため、もはや医療保険は不要なケースが多いでしょう。
がん等になるリスクもありますが、新規で保険に加入すると、保険料がかなり高額になり現実的ではありません。
若いうちに加入しておいた医療保障の保険料が安いのであれば、継続しても問題ないですが、無理に医療保険に加入しなくも大丈夫です。
保障額をシミュレーション
・契約年齢:75歳
・保険料払方:終身払
独身 | 既婚 | |
入院給付金日額 | 5,000円 | |
手術給付金 | 入院中:10万円 外来:2.5万円 | |
先進医療特約 | あり(最高2,000万円) | |
その他特約 | なし | |
保険料 | 男性:7,888円
女性:7,032円 |
保障を最低限にしても、毎月の保険料はかなり高額なため、新規で加入するのはあまり現実的ではありません。
女性の医療保険の選び方
女性が医療保険に加入する場合、男性よりも保障を手厚くしましょう。
乳がんや子宮筋腫、子宮頸がんなどの女性特有の病気に備える必要があるからです。
これらの病気は、若い年代でも罹患する可能性があり、治療費も高額になります。
そこで、医療保険に女性特約を付加することで、入院給付金日額が倍になるなど手厚い保障を準備できます。
また必要に応じてがん保険にも加入すると良いでしょう。
医療保険の主契約の選び方
医療保険の主契約は、入院給付金であることがほとんどで、入院した日数×入院給付金日額の給付金が支払わられます。
この主契約の選び方は、自分にとっての必要な保障額と、保険料のバランスをみて決めましょう。
独身の場合は、入院給付金日額を5,000円を基本にし、貯蓄が全くない場合などは10,000円にしておくと安心です。
既婚者の場合は、入院して収入が減ると家族が生活できなくなるケースもあるため、10,000円以上に設定。
ただし、既婚者でも60歳を超える高齢者の場合は、医療費の自己負担額が低くなるため、日額給付が5,000円でも問題ありません。
1入院あたりの給付限度日数が長いものにする
1回の入院で給付される最大日数が長い医療保険に加入しましょう。
なぜなら、限度日数が短いものにしてしまうと、入院給付金が満足に受け取れないからです。
たとえば90日入院したとしても、1入院あたりの給付限度日数が60日だと、30日分の入院給付金を受け取れません。
できれば給付限度日数は120日以上のものか、3大疾病の場合などに、給付日数が無制限になるものに加入すると良いでしょう。
医療保険の支払い方法や保障期間の選び方
支払い方法
医療保険の保険料はクレジットカードで支払うと、支払った保険料分のポイントが付くためおすすめです。
またクレジットカード払いの場合は保証期間開始される責任開始日が早く訪れるというメリットがあります
ただし保険会社によってはクレジットカード払いを取り扱っていない会社は商品もあるため注意しましょう
支払い期間
医療保険の保険料払込期間は、一生涯にわたって払い込むタイプと、決まった年齢までのみ払い込むタイプに分かれています。
毎月の保険料負担を少なくしたいという方は一生涯にわたって払い込むタイプを選びます。
また、老後までに保険料を払い込んでしまい、退職後の医療保障を確保したいというかたは決まった年齢までのみ払い込むタイプを選ぶと良いでしょう。
保障期間(保険期間)
医療保険の保障期間は、一生涯にわたって保障が受けられるタイプと、決まった期間のみ保障を受けられるタイプがあります。
一生涯の保障を受けられるタイプは、医療保険による保障をできるだけ長くもっておきたい人におすすめです。
反対に、保険期間が決まっているタイプは「子供が小さいうちだけ医療保障に加入したい」など、保障が必要な期間が決まっているかたが選ぶと良いでしょう。
医療保険の掛け捨て型と積立型の選び方
医療保険には、掛け捨て型と積立型がありますが、選び方は医療保険に何を求めるかによって変わります。
掛け捨て型は、支払った保険料が戻ってくることはありませんが、積立型よりも毎月の保険料が低いという特徴があります。
積立型は、解約したときや特定のタイミングになると、支払った保険料の全部もしくは一部が返ってきますが、毎月の保険料が掛け捨て型と比べて高額になるため、注意が必要です。
このため、掛け捨て型は、できるだけ毎月の負担を抑えて医療保障を確保したい方に、積立型は、払い込んだ保険料を無駄にしたくないという方におすすめです。
医療保険の特約の選び方
医療保険には様々な特約を付加できますが、中でも必要度が高いのは、先進医療保障特約です。
先進医療とは厚生労働大臣によって認められた「ある程度の実績がある治療法」のことで、健康保険が適用されず全額自己負担です。
たとえば、ガン治療における「重粒子線治療」や「陽子線治療」などは、治療費が何百万円にもなってしまう可能性があります。
しかし、先進医療保障特約を付加すれば、最高2,000万円まで保障されるため、高額な自己負担を避けることが可能。
先進医療を受けられる施設は限られているため、気軽に受けられるものではありませんが、先進医療特約は数百円で付加でき、費用対効果も高いので、付加して損はないでしょう。
重度疾病、ガン特約
がん・心筋梗塞・脳卒中になった場合に、給付を受け取れる特約ですが、必要かどうかは個人によります。
すでにがん保険や、重度疾病を保障される保険に加入している人が不要ですし、100万円以上の十分な貯蓄がある方も基本的には必要ありません。
しかし十分に貯蓄がなく、重大な疾病にかかるリスクが大きくなる30代以降は必要性が高い特約でしょう。
通院特約
基本的には付加しなくても大丈夫です。
通院にかかる費用は少額なので、あえて保険で準備する必要はないからです。
ただし、がん治療による通院は長期にわたる可能性があるので、不安であれば付加しておいても良いでしょう。
まとめ
このように医療保険は、年代や生活背景によって選ぶ基準がとても変わります。
しかし、全年代に共通していることは、
・貯蓄が十分にある場合は無理に加入する必要はない
・手厚い保障が必要な時期もあるが毎月の保険料負担には注意する
の2点です。
これらに注意して自分に合った医療保険を見つけていきましょう。