上海の治安は悪い?良い場所は?外務省発表のデータを元に分かりやすく解説
皆さんは上海に行ったことがありますか?
中国・上海は、歴史的で近代的な都市です。
上海の夜景を見てみたい!という人もいるでしょう。
今回は上海の治安についてです。
上海には、現在外務省の危険情報は出ていません。
「上海は治安が良い」と言えます。
しかし、実際に日本人が巻き込まれている被害を見てみると、治安が良いからといって油断できないことが分かります。
具体的には、「ぼったくり」「置き引き・スリ」「偽札によるトラブル」「タクシーでのトラブル」「寸借詐欺」といったお金のトラブルに、私たちは注意しなければなりません。
そういった被害は、特に駅や繁華街、レストラン、観光地などで発生しています。
不審な人から声を掛けられても反応しないことや、手荷物の管理を注意するなどして、防がなければなりません。
加えて、上海を含め中国では、反日感情を抱いている人も少なくありません。
毎年9月13日の「抗日戦争勝利記念日」などの日本が関係する歴史的な日には、不要なトラブルに巻き込まれないように警戒すべきです。
さらに、こういった犯罪や反日感情によるトラブルの他にも、中国における交通事情を知っておくことも非常に大事です。
場所によっては写真撮影が制限されているところもあります。
狂犬病や鳥インフルエンザでは上海で過去に死亡事例もあります。
警察や上海にある日本語が通じる病院も最後にご紹介しています。
上海での滞在が楽しいものになるように、ぜひご覧ください。
目次
上海の治安は良いのか悪いのか
上海は、日本のお隣・中華人民共和国の沿岸部にある大都市です。
中国では、2022年に首都・北京で冬季オリンピックを控えており、「訪れたい!」という人も多いでしょう。
実際、2017年は日本から中国に約2,680,000人もの人が訪れています。
日本の外資系企業の中には、中国に拠点を持っているところも多いことから、中国に出張に行く人や、駐在している人も多いです。
逆に、中国から日本に訪れた人は約7,360,000人もおり、中国人観光客による日本での「爆買い」も話題になっています。
中国は、歴史的に見ても非常に日本と交流のある国なのです。
上海へは、東京から飛行機の直行便も出ており、約3時間と気軽に行けます。
歴史的建築物が多く立ち並ぶ都市であり、夜には上海タワーなどきらびやかな夜景も楽しめます。
そんな上海・中国ですが、近年、日本に来る中国人観光客のマナーの悪さが問題となって、多く報道されています。
最近では、北京市内の一流ホテルで、部屋の清掃員がトイレを掃除した同じもので人が口を付けるコップを洗っていた、というニュースも見ました。
こういったこともあり、中国に対してマイナスなイメージを持っている人は少なくないのではないでしょうか?
大気汚染の問題も深刻であり、日本人にとって中国は少し訪れがたい国になってしまっているように、個人的には思います。
上海の治安に関しては、どうでしょうか?
外務省によると、現在上海に危険レベル1~4の危険情報は出ていません。
この情報だけ見ると、「上海は治安が良い」と言えるでしょう。
一方で、中国の西側にある新疆ウイグル自治区とチベット自治区には、現在危険レベル1が出ており、渡航には「十分注意してください」と注意喚起されています。
これらの地域では、民族問題によって多くの死傷者が出た事件が発生しています。
アフガニスタンやパキスタンといった治安が不安定な地域に接していることなど、様々な問題が複雑に絡み合っているため、「危険」とされています。
上海自体は、そういった地域とは正反対に位置するため、心配は少ないと言えます。
ただ、同じ中国ではあるので、そういった離れた地域の情勢にも気をつけておく必要はあります。
さらに、歴史問題により、反日感情を抱えている中国人は少なくありません。
日本が関係している歴史的な日には、日本人がトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
加えて、中国は世界の大国中の大国なので、日本のみならず世界各国に影響力を及ぼしています。
2018年の7月には、北京にある米国大使館で爆発が起きました。
以降、上海での犯罪発生状況や、気になる衛生面などについて、外務省の発表を元に解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
参考サイト⇒JNTO日本政府観光局「各国・地域別 日本人訪問者数[日本から各国・地域への到着者数](2013年~2017年)」、外務省「外交青書・白書 第2章地球儀を俯瞰する外交」、外務省海外安全ホームページ「中国の危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)」、外務省海外安全ホームページ「北京の米国大使館の付近での爆発の報道(注意喚起)」
上海における犯罪発生状況について
初めに、犯罪の発生状況について、解説していきます。
ここでは、中国全体での犯罪発生のデータを中心に見ていきます。
上海のことは次で詳しくご紹介します。
中国全体の刑事事件の立件数は、2016年約6,420,000件となりました。
殺人や傷害、強盗は関しては、2015年よりも約640,000件(10%)減少はしました。
世界一の人口の多い国であることもあり、数は必然的に多くなります。
ただ、日本人を狙った窃盗や盗難は多く発生しています。
「自分が被害に遭うかもしれない」と高い意識を持ち、犯罪を防ぐ必要があります。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」
上海で日本人や観光客が巻き込まれやすいトラブルや事件
次に、上海で日本人が巻き込まれやすいトラブルについて、具体的に見ていきます。
在上海日本国総領事館に報告されたトラブルは、以下のとおりです。
お金に関する被害が多く発生しています。
①ぼったくり
1つ目は、ぼったくりです。
ぼったくりの被害は、年間約100件報告されています。
3日に1件のペースです。
具体的に見ると、観光地などにおいて、中国人女性から日本語で声を掛けられ、カラオケ店やマッサージ店について行った結果、最終的に高額な請求をされたケースが報告されています。
支払いを拒否すると、男性に暴行されるケースも発生しています。
こういった場合、大けがに繋がることも考えられます。
2018年12月には、上海市内で多くのぼったくり被害が発生しているとの注意喚起もされています。
4万元、日本円で約650,000円も支払ってしまった深刻な事案もありました。
1人ではなく複数人がグループになって、日本人を狙っているのです。
②置き引き・スリ
2つ目は、置き引きとスリです。
駅や繁華街、観光地、レストランなどで、日本人を狙った置き引きやスリの被害が多くなっています。
上海は特に、繁華街が有名で、昼に行っても夜に行っても楽しめます。
きらびやかな街並みを写真におさめたい人もいると思います。
写真を撮るのに夢中になって、手荷物に注意が行き届いていないときにも注意しましょう。
③偽札による被害
3つ目は、偽札による被害です。
中国では、偽札が出回っており、それによる被害が相次いでいます。
日本では考えられません。
例えば、ATMから引き下ろしたときに偽札が混ざっていることもあり、分からずに使ってしまうのです。
④タクシーによる被害
4つ目は、タクシーによる被害です。
上海を訪れ、タクシーを使いたくなる時もあると思います。
ただ、中国のタクシーは、日本のように信頼できるタクシーばかりではありません。
具体的には、タクシーでお金を払ったところ、瞬時に偽札にすり替えられ、「これは偽札ですので、新たにお金を払ってください」という悪質で巧妙なケースもあります。
さらには、乗車した際に、突然男性が乗ってきて、刃物を突出し、高額な料金を請求されたケースも起こっています。
⑤寸借詐欺
5つ目は、寸借詐欺です。
「寸借詐欺」という言葉を初めて目にした人も多いと思います。
これは、会社員風の中国人が日本人に名刺を差し出し信頼させ、「財布をなくしてしまってお金がないので、あとで返すのでお金を貸してほしい」と言い、お金をだまし取る詐欺です。
古北や南京東路などで発生しています。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「在上海日本国総領事館 在留邦人用安全対策マニュアル」、外務省海外安全ホームページ「寸借詐欺にご注意ください!」
上海で特に注意が必要な治安が悪い場所
次に、上海で特に治安が悪い場所について、解説していきます。
置き引きやスリなどの犯罪と反日感情によるトラブルの2点から見ていきます。
上海は危険レベルが出ていないという意味では「治安の良い地域」とされています。
ただ、お金目的の犯罪や、歴史的な日においては注意しなければならない場所もあります。
①置き引きやスリなどの犯罪
これらの犯罪は、駅や繁華街、観光地などの人が多く集まるところで発生しやすいです。
また、そういった場所で声を掛けられ、最終的にはぼったくりに遭う被害もあります。
②反日感情によるトラブル
前述したように、中国人の中には反日感情を抱えている人もいます。
そういった人は、日本が関係する歴史的な日には、反日感情がさらに高まり、日本人が思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
注意が必要な主な日は、以下のとおりです。
・8月15日 終戦記念日
・9月3日 抗日戦争勝利記念日
・12月13日 南京入城(南京大虐殺で犠牲となった人を追悼する日とされています。)など
こういった日には、各地で集団が騒ぎを起こしたり、日系企業に反発することもあります。
ですので、その日やその周辺の日には、中国人の集団がいる場所や、日系企業のお店には近づかない方が良いでしょう。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「在上海日本国総領事館 在留邦人用安全対策マニュアル」、外務省海外安全ホームページ「安全の手引き」
上海での防犯対策
次に、上海での防犯対策をご紹介します。
先ほどの「日本人が巻き込まれやすいトラブルや事件」で紹介した5つのトラブルの対策をそれぞれ説明していきます。
①ぼったくり
ぼったくりでは、まず不審な人に声を掛けられても無視することが重要です。
日本語で話しかけられ反応してしまうかもしれませんが、聞こえないふりをしましょう。
相手にし、ついて行ってしまったら逃げづらくなるので、最初の対応が重要です。
②置き引き・スリ
置き引きやスリは、基本的な対策を取ることが大切です。
バッグの口をあけたままにしないことや、正面に持つことなどです。
犯人が近づけない状況を作りましょう。
周りに追いかけてくる不審な人がいないかチェックしましょう。
帰りの旅券を盗まれた場合には、帰国できるまでにかなりの日数を要します。
旅券は特にバッグの奥の奥にしまいましょう。
③偽札 による被害
日本にいる時点で、中国の本物のお金はどういうものか、しっかり手に取って確かめましょう。
見た目や手触りを覚えておくことは重要です。
ATMから出てくるお札も偽物であり、これを防ぐことはできません。
本物のお札の特徴をネットであらかじめ調べておくのも手です。
④タクシーによる被害
大手のタクシー会社を選びましょう。
料金は現金では支払わず、交通カードで支払うなどして、お金を出す機会を少なくしましょう。
さらに、交通カードにはシールなどで自分のものだと分かる目印を付けて、残額のない別のものとすり替えられないようにすること効果的です。
⑤寸借詐欺
寸借詐欺についても、不審な人から声を掛けられても、無視することが大事です。
そもそも会社員風の人が日本人に話しかけてくること自体がおかしいですよね。
スーツを着た人が近づいてきたら、その場から逃げましょう。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「在上海日本国総領事館 在留邦人用安全対策マニュアル」
上海に滞在している時に特に注意するべきこと
次に、上海にいるときに特に注意すべきことについてです。
上海では、先ほどから述べているように、犯罪や反日感情によるトラブルにも注意が必要です。
これら以外に特に注意するべきこととして、以下の3つをご紹介します。
①交通事情を知っておくこと
上海を含む中国では、日本と交通ルールやマナーが異なります。
信号無視や電動バイクが歩道を走ることは頻繁にあります。
思わぬ事故に巻き込まれないためにも、横断するときはスマホなどを見ないなどして、周りの状況をしっかり目で確認してください。
さらに、中国では国際免許証を持っていても、車を運転できません。
②写真撮影をして良い場所かあらかじめ確認しておくこと
中国では、公的施設をはじめ、街頭デモなどの写真撮影は控えましょう。
写真を消すように言われることもあります。
写真を撮るのなら、観光地などに限定しましょう。
③台風による被害に注意する。
日本のニュースでも見るように、日本の南で発生した台風が中国大陸に進むことはよくあります。
外務省でも時期になると、頻繁に注意喚起のメールを発信しています。
上海は沿岸部あります。
夏に滞在するときには、最新の台風情報をチェックしましょう。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「在上海日本国総領事館 在留邦人用安全対策マニュアル」、外務省海外安全ホームページ「安全対策基礎データ」、外務省海外安全ホームページ「台風18号の接近に伴う注意喚起 (中国沿岸地域)」
上海で特に注意をするべき病気とケガ
次に、上海で注意すべき病気とケガについてです。
上海では、以下の病気やケガには気をつけましょう。
①交通事故による病気やケガ
先ほどからあるように、上海を含め中国では日本よりも、交通マナーが悪いです。
歩行者が優先されることもありません。
思わぬ事故に巻き込まれて、ケガをしたり、後遺症が残るようなことのないように、車や電動バイクなどの動きには目を配りましょう。
②狂犬病
狂犬病での死亡は上海でも発生しています。
最近でもノルウェー人女性がフィリピンで犬に噛まれ、死亡しています。
どんな犬にも近づかないことが大事です。
そして、噛まれてしまったら、すぐに病院に連絡し対処してもらいましょう。
病院は狂犬病外来のある病院で見てもらいましょう。
③鳥インフルエンザA
鳥インフルエンザについては、過去に上海を含めた広い地域で患者が発生し、2016年から翌年にかけては、118人もの人が命を落としています。
安易に家畜などには近づかないようにしましょう。
④大気汚染による体調不良
ご存じの通り、中国ではPM10やPM2.5の大気汚染が深刻です。
大気汚染により体調を崩さないためにも、外出時はマスクを着けること、酷いときには外出を控えることが必要です。
マスクはPM2.5用のマスクが有効です。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「世界の医療事情 中国(上海周辺)」、外務省海外安全ホームページ「中国における大気汚染に関する注意喚起(更新)」
上海での衛生面での心配点
次に、上海での衛生面についてです。
お水については、お店で購入する方が安全です。
さらに、感染症やインフルエンザなどにかからないようにも、日頃から手洗いはしましょう。
料理をする際には、食材は清潔なお店で買うようにしましょう。
肉や卵、魚は生では食べずに熱をしっかり通しましょう。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「世界の医療事情 中国(上海周辺)」
上海で何かあった際の連絡先と対処方法
最後に、上海で事件やトラブル、体調を崩したときの連絡先をご紹介します。
すぐ分かる場所にメモしておきましょう。
<警察>110
<消防>119
<救急車>120
これらについては、日本語が通じるかは不明です。
ただ、「I’m Japanese.」や「I can’t speak Chinese.」などと自分の状況を伝えることは大事です。
救急車の利用はお金がかかります。
<在上海日本国総領事館>021-5257-4766(代表)
・何かトラブルに巻き込まれたら、総領事館にも連絡しましょう。
・夜間や休日の場合には、上記の電話番号の後に「内線0」で電話がつながります。
<グローバルヘルスケア・浦西クリニック>5298-5833、時間外は136-7195-5332
・上海市内にある内科、歯科など幅広く診察してくれる病院です。
・日本語が通じます。
・土曜と日曜も受け付けています。
・夜間休日には電話相談もしてくれます。
・予約が必要かどうかは不明ですが、念のため電話で確認してから向かいましょう。
その他、土日可能な病院は多くあります。
診察時間や扱っている科に気をつけましょう。
参考サイト⇒外務省海外安全ホームページ「在上海日本国総領事館 在留邦人用安全対策マニュアル」
まとめ
以上、上海の治安についてでした。
上海では日本人を狙った金銭的なトラブル、事件が発生しています。
特に他の国では見られない傾向として、偽札によるトラブルには注意したいものです。
それぞれにあった対策を講じたり、自分自身の意識を変えるだけでも、被害を最小限に抑えられます。
上海での旅、滞在を楽しいものにするために、「また来たい!」と思えるためにも、今回解説したことをぜひ参考にしてみてください。