医療保険の必要性〜いくら必要?20代〜年代、男女、既婚・独身別シミュレーション

2024.07.16

医療保険(入院保険)

医療保険は、年代や生活背景によって必要性が全く異なります。

しかし、どんな基準で医療保険を選べば良いのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか。

そもそも、日本の公的医療保障は充実しており、病気で入院した場合も以下の保障を受けられます。

・通常でも医療費の3割の自己負担で済む

・高額療養費制度が自己負担の上限は1ヶ月で9万円程度に抑えられる

・会社を長期で休んでしまった場合も傷病手当金があるため、給与の2/3が最大1年半に渡って支給される。

このため、医療保険は一見全くいらないような気がしますが、様々なデータを比べると、必要なケースが非常に多いことがわかりました。

今回は医療保険の必要性や必要額などを年齢別に解説していきますので、最後までご確認ください。

20代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

社会人になったばかりの方や独身の方が多い年齢です。

他の年齢と比べると体力もあり、重い病気にかかるリスクも低いのが特徴。

独身の場合

また、20代は他の年代と比べると、独身、既婚問わず医療保険の必要性はあまり高くありません。

理由は、若いうちは体力もあるため、病気になるリスクも低く、公的な医療保障の範囲内で十分賄える可能性が高いからです。

しかし、医療保険が全く必要ないわけではなく、

・交通事故で入院する可能性がある
・がんなどは若い方の進行がはやい
・入院した場合の自己負担は数万円発生する

という点で必要性はあります。

また、入院にかかる自己負担額の平均は22.1万円でそれ以外の雑費も考えると約30万円を自己負担できるのであれば無理に加入する必要はありません。

既婚の場合

20代の方は、既婚の場合でもまだ子供をもうけていない「DINKS世帯」であることが多いです。

その場合は、独身の場合と同じ考え方や保障額で問題ないでしょう。

しかし子供や専業主婦の妻がいる場合は、ある程度の医療保障が必要です。

自分が入院して仕事を休んでしまい、収入が減少してしまうと、生活が困窮する可能性があります。

もちろん傷病手当金や高額療養費も支給されますが、若年層で結婚している人はまだ貯金が十分でない人も多いため、収入や貯蓄の減少に備えて医療保険に加入すると良いでしょう。

必要な保障額

20代は入院した場合でも、他の年代と比べて入院日数も少なく、医療費の自己負担額は他の年代に比べて少ない傾向にあります。

まずは、20代の入院に関するデータを確認してみましょう。

※逸失収入=入院した場合などに仕事ができなくなり、収入の減少やなくなった収入

・直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額:平均=20,345円

1日あたりの自己負担費用

と逸失収入の総額

割合
〜5,000円未満 0.0%
5,000円〜7,000円未満 0.0%
7,000円〜10,000円未満 16.7%
10,000円〜15,000円未満 41.7%
15,000円〜20,000円未満 0.0%
20,000円〜30,000円未満 25.0%
30,000円〜40,000円未満 8.3%
40,000円以上 8.3%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

「10,000円〜15,000円未満」が一番多く、「20,000円〜30,000円未満」の割合がその次に多い結果となりました。

他の年代と比べても、1日あたりの自己負担額は少ない傾向にあります。

・直近の入院時の入院日数:平均=11.6日

入院日数 割合
5日未満 17.2%
5〜7日 31.0%
8〜14日 31.0%
15〜30日 20.7%
31〜60日 0.0%
61日以上 0.0%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

20代の入院日数は5〜14日の入院がもっとも多く、概ね2週間以内で退院している人が多いです。

一方で31日以上入院する割合は0%ですので、1ヶ月を超える長期入院のケースはあまりありません。

・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=15.0万円

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 0.0%
5〜10万円未満 8.3%
10〜20万円未満 58.3%
20〜30万円未満 33.3%
30〜50万円未満 0.0%
50〜100万円未満 0.0%
100万円以上 0.0%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

ほとんどの方が「10〜20万円未満」の負担と収入の逸失でした。

入院にかかる費用は15万円〜20万円程度ですので、この額を支払っていける保障に加入しましょう。

例えば入院日額保障が5,000円、手術給付金が10万円(入院給付金日額の20倍)の保障があるとこの費用をカバーできます。

計算例)5,000円×11.6日(平均入院日数)+10万円(手術給付金)=158,000円

※対象となる手術を受けた場合

以上が医療保険に加入する場合の目安の金額です。

独身の場合

まだ貯金が少なく医療費の自己負担が少しでも発生すると苦しくなる方は最低限の医療保障に加入しても良いでしょう。

加入する場合は、上記の加入例と同じく入院保障が日額5,000円(入院日数×5,000円)と手術保障:10万円以上が目安です。

既婚の場合

既婚者で子供がいる場合は、貯金が少ないケースが多く、10万円〜20万円の自己負担が生活に大きな打撃を与える可能性があります。

また、それ以上の負担となると、生活がかなり圧迫されることも考えられるため、独身よりも手厚めの保障にしておくと良いでしょう。

保障の目安は、入院保障が日額10,000円(入院日数×10,000円)と手術時の保障があると、入院以外の様々な損失をカバーできるでしょう。

30代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

30代はまだまだ若い世代ではありますが、健康診断に引っかかる人が増えてくる世代です。

このため、医療保険に加入しようと思っても保険会社に断られる場合もあるでしょう。

30代になると結婚する人も増えてきますが、まだまだ子供も小さい時期。

世帯主であった場合、自分の収入がなくなると家族が生活していけなくなる可能性があるので、医療保障は必要です。

独身の場合

20代の独身の場合と考え方はあまり変わらず、基本的には、公的な医療保障で十分対応できる可能性が高いです。

そして30代で独身の場合は、ある程度の貯金もある人も増えてくるでしょう。

貯金が100万円を超えており、もしもの時に150万円ほど準備できるのであれば、万が一がんなどの大病に罹患しても対応できるでしょう。

また、20代と比べるとがんなどの生活習慣病に罹患するリスクは上がっています。

既婚の場合

30代で既婚の場合は、20代の既婚者と同等かそれ以上の医療保障が必要になる可能性があります。

まだまだ子供も小さいケースが多く、これから教育費の出費は増加していく一方ですので、少しの医療費の負担で今後のライフプランが大幅に狂う可能性も。

そんな時に親が入院し、医療費がかかってしまうと家計に相当な負担となり、場合によっては貯金をかなり切り崩す必要がでてくるかもしれません。

必要な保障額

全体的に20代よりも入院日数が長くなり、自己負担額もかなり増加しています。

このため、より手厚い医療保障が必要になる可能性が高いといえるでしょう。

それでは、30代の入院に関するデータを確認していきます。

・直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額:平均=26,304円

1日あたりの自己負担費用

と逸失収入の総額

割合
〜5,000円未満 9.6%
5,000円〜7,000円未満 1.9%
7,000円〜10,000円未満 13.5%
10,000円〜15,000円未満 23.1%
15,000円〜20,000円未満 5.8%
20,000円〜30,000円未満 15.4%
30,000円〜40,000円未満 13.5%
40,000円以上 17.3%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

もっとも多いのは「10,000円〜15,000円未満」ですが、これ以上に高額になるケースも多くなっています。

自己負担額40,000円以上の方もいらっしゃるのが、20代とは決定的に異なる点です。

・直近の入院時の入院日数:平均=15.5日

入院日数 割合
5日未満 22.9%
5〜7日 25.7%
8〜14日 30.0%
15〜30日 12.9%
31〜60日 2.9%
61日以上 5.7%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

20代よりも平均が4日以上伸びていますが、ほとんどの入院が14日以内の入院である点は変わりありません。

中には2ヶ月を超える日数の入院をしているケースもあり、自己負担がかなり高額になるケースも考えられます。

・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=25.1万円

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 11.5%
5〜10万円未満 15.4%
10〜20万円未満 30.8%
20〜30万円未満 13.5%
30〜50万円未満 15.4%
50〜100万円未満 11.5%
100万円以上 1.9%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

20代よりも平均額が10万円以上高くなっており、かなり高額となっています。

以上のデータから20代よりも、入院した時の損失が大きくなっているため、医療保険の必要性が高くなっているといえるでしょう。

必要な保障額は25万円、できれば50万円を貯金か医療保険で準備が必要。

例えば入院日額保障が7,000円、手術給付金が14万円(入院給付金日額の20倍)に加入すると以下のような給付額となります。

計算例)7,000円×15.5日(平均入院日数)+14万円(手術給付金)=252,000円

※対象となる手術を受けた場合

となり、自己負担費用と逸失収入の総額の平均(25.1万円)をカバーできます。

独身の場合

30代で独身の場合も過度な保障は必要ない場合が多いです。

しかし、平均の自己負担額が25万円以上発生する可能性があるため、この額が払えないようであれば、医療保障が必要でしょう。

保障の目安は、入院保障が日額5,000円(入院日数×5,000円)と手術時の保障があれば十分ですが、貯金があまりないのであれば入院日額10,000円のコースにすると良いでしょう。

既婚の場合

25万円以上の自己負担が家計に大きな打撃を与えるのであれば、必要な期間だけ医療保険に加入しましょう。

また20代と比べて長期の入院や、医療費が高額になる入院をするケースがあるため、しっかりとした医療保障の確保が望ましいです。

加入する保障の目安としては、入院保障が日額10,000円(入院日数×10,000円)と手術時の保障に加えて、がんや重度疾病などの一時金保障をつけると安心でしょう。

しかし、保険料はあくまで家計を過度に圧迫しない範囲で設定するべきですので、負担が厳しければ、入院日額5,000円がおすすめです。

40代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

40代になってくると、健康診断等で指摘が入るケースがかなり多くなり、病気へのリスクが上昇します。

また、性別問わず「がん」などの重度の病気に対する保障もあると安心です。

独身の場合

40代の独身の場合は、30代と同じくある程度の貯金があれば、無理に医療保険に加入する必要はありません。

貯金額が150万円を超えていれば、がんなどの大病の際にも公的医療保障と貯金で対応できる可能性があります。

しかし、お金の蓄えがない方は、医療保障が必要ですので、医療保険への加入が必要でしょう。

既婚の場合

40代の既婚者は、支出が増えて貯蓄があまりできない場合が多く、しっかりとした医療保障が必要なケースが多いです。

子供もある程度育ってきている世帯も多いですが、中学や高校、大学と教育費がもっとも必要な時期に差し掛かります。

また、家庭によってはマイホームの購入を検討しているところもあるでしょう。

このため、支出がもっとも多くなる可能性があり、貯蓄ができないもしくは貯蓄を切り崩す場合もあるため、少しの自己負担や収入の逸失が大きな痛手となります。

必要な保障額

40代は入院日数や自己負担額が30代よりもさらに増えています。

特に「入院時の1日あたりの自己負担額と逸失収入額の総額」は各世代で比較しても最高額です。

ここで、40代の入院に関するデータを確認してみましょう。

・直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額:平均=31,678円

1日あたりの自己負担費用

と逸失収入の総額

割合
〜5,000円未満 4.2%
5,000円〜7,000円未満 7.0%
7,000円〜10,000円未満 7.0%
10,000円〜15,000円未満 23.9%
15,000円〜20,000円未満 12.7%
20,000円〜30,000円未満 15.5%
30,000円〜40,000円未満 7.0%
40,000円以上 22.5%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

総額が40,000円以上の割合が2割を超えています。

このため、平均値も他の世代を大きく上回る結果となりました。

・直近の入院時の入院日数:平均=15.0日

入院日数 割合
5日未満 21.9%
5〜7日 27.6%
8〜14日 27.6%
15〜30日 16.2%
31〜60日 3.8%
61日以上 2.9%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

30代と平均値や分布においてあまり変わりはありません。

約8割の入院が14日以内にしています。

・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=28万円

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 11.0%
5〜10万円未満 11.0%
10〜20万円未満 31.5%
20〜30万円未満 13.7%
30〜50万円未満 17.8%
50〜100万円未満 9.6%
100万円以上 5.5%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

30代と比べて、平均値が若干上昇しています。

そして100万円以上の自己負担や損失が発生するケースも一気に5%近くまで増えています。

この平均額28万円をカバーするためには、入院日額保障が8,000円、手術給付金が18万円(入院給付金日額の20倍)の保障が必要です。

計算例)8,000円×15.0日(平均入院日数)+16万円(手術給付金)=280,000円

※対象となる手術を受けた場合

医療保険を検討する場合は上記の保障額を目安にしましょう。

独身の場合

独身の場合でも、医療費の自己負担や逸失する収入が100万円を超えるケースが存在するため、これに対応できる貯金がない場合は医療保険への加入が必要でしょう。

必要な医療保障の目安は、入院保障が日額8,000円以上と手術保障、そしてがんや重度疾病などの保障があると安心できます。

とくにがんの保障は再発時でもしっかり保障されるタイプのものがおすすめです。

既婚の場合

既婚者の場合は、できるだけ医療保険への加入をおすすめします。

子供が手のかかる時期にさしかかっていることもあり、数十万円の損失が家庭に大打撃を与える可能性があるからです。

保障の目安は、入院保障が日額10,000円以上に加えて手術保障、再発時にもしっかり給付されるがん保障や重度疾病保障があると良いでしょう。

ただし、今の家計を過度に圧迫しない程度の保険料にしましょう。

50代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

体力的にも衰えが見え始め、生活習慣病へのリスクが高まる世代です。

しかし、健康状態がさらに悪化している人が多くなり、血圧の薬などの常備薬を服用していると保険に加入しづらくなるため注意が必要です。

独身の場合

必要性は30代や40代とあまり変わらず、100〜150万円程度の貯金があれば、無理に医療保険に加入する必要はないでしょう。

ただし、生活習慣病に罹患するリスクは、20代〜40代とは比較にならないほど高いため、重い病気への備えの必要性は高くなります。

また、若いころと違い、病気になった時に看てくれる家族や身寄りがいなくなっている可能性があるため、医療費を確保してしっかり治療に励む必要があるでしょう。

既婚の場合

医療費を自己負担できるだけの充分な蓄えがない場合があるため、医療保険の必要性は高いと言えます。

子育ても落ち着きはじめ、独立されるケースも出てくるでしょう。

しかし子供が独立する前は、大学に通わせる費用がかかり充分に貯金できていない可能性もあります。

また、子供が独立してからも経済的な支援をする可能性もあり、今度は自分の老後のためにお金を貯めないといけません

以上のことから、医療費への備えは医療保障で確保しておくのがおすすめです。

必要な保障額

50代の入院に関するデータは以下の通りです。

・直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額:平均=25,934円

1日あたりの自己負担費用

と逸失収入の総額

割合
〜5,000円未満 11.1%
5,000円〜7,000円未満 3.7%
7,000円〜10,000円未満 12.3%
10,000円〜15,000円未満 14.8%
15,000円〜20,000円未満 6.2%
20,000円〜30,000円未満 17.3%
30,000円〜40,000円未満 12.3%
40,000円以上 22.2%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

4万円を超えている割合が一番多い結果となりました。

その次に多いのも「20,000円〜30,000円未満」ですので、若い世代に比べて1日あたりの負担や損失が高額化していることが分かります。

・直近の入院時の入院日数:平均19.7日

入院日数 割合
5日未満 17.1%
5〜7日 28.7%
8〜14日 23.3%
15〜30日 16.3%
31〜60日 7.8%
61日以上 7.0%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

15日以上入院している人の割合が増えたことで、平均値も20日近い数字となりました。

・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=32.3万円

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 4.9%
5〜10万円未満 12.3%
10〜20万円未満 28.4%
20〜30万円未満 21.0%
30〜50万円未満 14.8%
50〜100万円未満 9.9%
100万円以上 8.6%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

平均額がついに30万円を超え、20歳から69歳までの間でもっとも高額となりました。

また100万円を超えている割合も10%近くまで伸びているため、それなりの備えが求められるでしょう。

以上のことから、必要な保障額は最低でも30万円、願わくば100万円の備えが必要と言えます。

これを医療保険でカバーしようとすると、入院日額8,000円以上、手術給付金20万円程度の保障が必要です。

計算例)8,000円×19.7日(平均入院日数)+16万円(手術給付金)=317,000円

※対象となる手術を受けた場合

この額を基準に保障を選ぶと良いでしょう。

独身の場合

自由に使える貯金が30万円あることが最低条件で、100〜150万円の蓄えがないのであれば医療保険に加入しましょう。

保障額の目安は、入院保障が日額5,000円〜10,000円と手術保障、重度疾病などの保障は必要でしょう。

ただし、50代から医療保険に加入すると保険料が高額になるため注意しましょう。

既婚の場合

手厚い医療保障が欲しいところですが、あまり保障を手厚くしすぎると、毎月の保険料額が高額になるため、気をつけましょう。

保障額の目安は、入院保障が日額5,000円〜10,000円と手術保障、重度疾病の一時金保障などです。

特に重度疾病の一時金があれば、さらに高額な医療費にも対応できます。

60代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

多くの方が会社を退職し、年金生活が始まる年代です。

病気のリスクがさらに高まるだけでなく、足腰が弱まることにより、ケガへのリスクも高まるのが特徴です。

また、医療保険を契約しようとすると保険料がかなり高額になってしまうため、かえって損をする可能性があるので注意しましょう。

独身の場合

一度も結婚せずに子供も設けなかった場合、貯蓄が相当できているはずですので、基本的には医療保険は不要な場合が多いでしょう。

もし若い時に加入した医療保障があれば継続しても良いですが、新規加入すると保険料が高いため、無理に加入する必要はありません。

もし、大病が怖いのであれば、医療保険ではなくがん保険などの重病に特化した保険がおすすめです。

既婚の場合

独身と同じく医療保険の必要性はあまり高くありません。

保障される額に対して保険料が高くなってしまう可能性があるだけでなく、健康状態で引き受けを断られる可能性があるからです。

ほとんどの場合、お子様はすでに独立されており、少しの経済的支援はあったとしても子供が学生だった頃に比べると、そこまで費用は発生しないでしょう。

必要な保障額

60代の入院に関するデータは以下の通りとなりました。

・直近の入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額:平均=18,840円

1日あたりの自己負担費用

と逸失収入の総額

割合
〜5,000円未満 11.6%
5,000円〜7,000円未満 8.5%
7,000円〜10,000円未満 17.1%
10,000円〜15,000円未満 19.5%
15,000円〜20,000円未満 9.8%
20,000円〜30,000円未満 17.1%
30,000円〜40,000円未満 6.1%
40,000円以上 10.4%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

50代と比較して平均額が下がっていますが、これは会社を退職したことにより年収が下がり、高額療養費の自己負担額が低下したことが要因ではないかと考えられます。

・直近の入院時の入院日数:平均=22.6日

入院日数 割合
5日未満 13.5%
5〜7日 22.3%
8〜14日 23.1%
15〜30日 24.7%
31〜60日 8.8%
61日以上 7.6%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

入院日数は、年齢的な問題もあり増加しています。

特に15日以上入院される方が全体の約4割もいらっしゃるのが特徴です。

・直近の入院時の自己負担費用と逸失収入の総額:平均=25.6万円

自己負担費用と逸失収入の総額 割合
5万円未満 7.3%
5〜10万円未満 14.0%
10〜20万円未満 39.0%
20〜30万円未満 10.4%
30〜50万円未満 15.2%
50〜100万円未満 11.0%
100万円以上 3.0%

出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

こちらの額も、50代と比較して平均値が減少しています。

理由は1日あたりの自己負担と逸失収入額と同じく、高額療養費の上限が下がったことによるものと考えられます。

この平均額25.6万円を医療保険でカバーしようとすると、入院日額は6,000円以上、手術給付金12万円程度となります。

計算例)6,000円×22.6日(平均入院日数)+12万円(手術給付金)=255,600円

※対象となる手術を受けた場合

40代や50代と比較しても少ない保障で住む可能性があります。

独身も既婚も必要性はあまり高くない

独身者は十分貯金がある場合が多く、既婚者も子供が独立している場合が多いことから、医療保険の必要性はあまり高くありません。

なにより、この年齢で新規加入しようとすると保険料が高額であったり、健康状態が理由で加入を断られる可能性があります。

もし加入する場合も医療保障は5,000円〜6,000円程度で加入するか、がん保険などに加入するのがおすすめです。

70代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

75歳から後期高齢者医療制度が始まるため医療費の自己負担が1割になる

年金の受給も開始し、70歳から医療費の自己負担も2割、75歳からは後期高齢者医療制度が始まり1割になる。

70歳を超えると子供にお金がかかることもなくなるため、独身・既婚関係なく医療保険の必要性はあまり高くありません。

その理由は以下の3点です。

・70歳以降は自己負担の割合が下がる
・70歳以降に医療保険に新規加入すると保険料が高くなる
・健康状態の理由から加入を断られるケースがある

特に医療費の自己負担は、70歳〜74歳で2割(現役所得者は3割)、75歳以降は1割になるので、そもそもの負担が減ります。

加えて、保険料がかなり高額になるため、受け取る給付金よりも支払う保険料の方がかなり多くなるてんも注意しましょう。

必要な保障

新規で医療保険に加入する必要性は低いですが、若い頃に医療保険に加入しており、毎月の負担が低いのであれば、そのまま継続しても良いでしょう。

入院保障は日額5,000円と手術保障があれば十分ですが、念のために先進医療特約があると安心です。

80代の医療保険の必要性と必要額を独身・既婚別にシミュレーション

80代は男性も女性平均寿命となる年代ですので、健康なひとの方が少なくなります

引き続き後期高齢者医療制度が使えるため、ほとんどの方の医療費の自己負担は1割です。

医療保険の必要はかなり低くなるどころか、新規加入を受け付けている会社も少ないです。

稀に、80歳以上で健康状態に不安がある方でも加入できる医療保険を販売している会社もありますが、保険料がかなり高いため、無理に加入する必要はないでしょう。

必要な保障

70代と同じく、医療保険は最低限の保障で良く、すでに加入している保険を継続する形で良いでしょう。

目安としては、入院日額は5,000円で手術保障と、先進医療保障があれば十分です。

ただし、更新型の保険だと保険料がかなり高くなるため、継続はあまりおすすめできません。

医療保険が必要な人と必要ない人

医療保険が必要な人は数万円の医療費の自己負担が厳しい人や収入が途絶えてしまうことによる養っていくべき家族の生活が困る人

医療保険が必要な方は、入院や手術を受けた時の医療費が自己負担できない場合に加入が必要です。

例えば以下のような方々です。

①貯蓄が十分にない方
②子供が小さい、もしくは学生の場合
③入院すると収入が下がり家計がかなり圧迫され生活が難しくなる

ただし、高齢になってから医療保険に加入すると、毎月の保険料が高額になるだけでなく、健康状態の理由から加入を断られる可能性もあります。

このため必要性を感じたら出来るだけ早めに加入すると良いでしょう。

専業主婦の妻の医療保険は必要か

専業主婦の妻も、上記の①〜③に当てはまる場合は、医療保険は必要でしょう。

特に女性の場合、20代〜30代でも女性特有の病気(乳がん・子宮筋腫など)に罹患してしまう可能性もあります。

専業主婦の妻が入院しても、収入が減ることはないと考える方もいますが、子育てや家事などそれまで妻が行なっていたことを夫や他の家族が行うことになるため、負担は増えます。

場合によっては、出費が増える可能性も高いため、貯蓄が十分でない場合は加入しておく方がおすすめです。

老後の医療保険の必要性を独身・既婚別にシミュレーション

まず、65歳から終身医療保険に加入し平均寿命(男性:81歳、女性:87歳)までにいくらの保険料を支払うかシミュレーションしてみました。

保険料(65歳) 平均寿命までの残り年数 平均寿命までの保険料支払い総額
男性 5,609円 16年 1,076,928円
女性 4,695円 22年 1,239,480円

※オリックス生命「新キュア」を使い次の条件で試算

入院給付金日額:5,000円 先進医療保障特約:あり

一方で、60歳以降は会社を退職し、収入が下がると医療費の自己負担額も1ヶ月に5万円〜6万円程度に下がります。

さらに後期高齢者医療制度が始まると自己負担が1割となります。

独身の場合

男性・女性問わず平均寿命まで、100万円近く払い込む計算です。

一方で、医療費の自己負担が100万円以上になる可能性は考えにくく、費用対効果は望めいので、医療保険を新規加入する意味合いは薄いでしょう。

既婚別の場合

夫婦で65歳から医療保険に加入すると保険料負担の合計は、負担の合計は200万円を超えます。

医療保険にこれだけの保険料を支払うのであれば、同じ額を貯金しておき、もし医療費に使わなかった場合に他の手段として使えるようにしておく方が合理的です。

以上のことから老後に医療保険に加入する意味合いは低いといえます。

まとめ

医療保険に加入する際は、「本当に医療費の自己負担分を支払えないの」を慎重に検討する必要があります。

一方で、今後医療費の自己負担分が上昇する可能性もあるので、今と比べて多くの医療費を支払わなければいけないかもしれません。

自分がどのようなライフプランを描いているかにもよって変わってくるため、今後の人生のことも考えた上で、自分にあった医療保険を見つけていきましょう。

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