自動車保険は入らないとどうなる?任意保険なしで事故を起こした場合のシュミレーション
自動車を運転する場合、自賠責保険(強制保険)に加入することを義務付けられています。
自賠責保険とは、自動車による人身事故を起してしまった場合、被害者のケガや死亡を補償する保険です。
また、自賠責保険の保障の範囲外である車両や建物に対しての事故の補償は、任意保険に入ることでカバーします。
自賠責保険や任意保険に未加入で、あるいは保険の有効期限切れの状態で自動車を運転し、事故を起こすことを「無保険事故」といい、事故の加害者は取り返しのつかないことになってしまいます。
本稿では自動車保険に入らないで自動車を運転することのリスクや、無保険事故を起した場合に支払うことになる慰謝料等について解説していきます。
目次
自動車保険に入らないとどうなる?無保険事故は人生が終わる可能性も
自動車保険に加入していれば、万が一の事故でガードレールや電信柱、相手の車を損壊させてしまったり、被害者にケガを負わせてしまったりしても、修理費や治療費の一部か全部を保険会社が負担してくれます。
では、自動車保険に加入していなかった場合、どうなってしまうのでしょうか?
参考までに、ガードレールや電柱、標識など道路上の構築物を損壊させてしまうと、次の工事費用がかかります。
●ガードレール(1mあたり) 5,000~5万円
●照明柱 10万~50万円
●交通信号用コンクリートポール 3万3,000~70万円
●カーブミラー 4万~10万円
参考→ガードレールや電柱の値段ってどれくらい?車をぶつけて壊したときの弁償、修理費用は?|チューリッヒ保険会社
道路上の構築物ならまだ実費で賄うことができたとしても、ぶつかったのが電車や店舗だったり、被害者の身体に障害が残るほどの大ケガを負わせたりした場合、その損害額は計り知れません。
そもそも自動車や原付バイクの運転は、自動車損害賠償保障法違反で定められた自賠責保険への加入が義務付けられており、無保険運転は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課されます。
無保険で事故を起こすと数千万円、あるいは数億円の損害賠償額になることもあるため、加害者の人生を変えてしまうほど重大なことなのです。
自賠責保険で賄える保障額と保障対象
自賠責保険は、原付バイクを含むすべての自動車を運転するために法律で加入が義務付けられている保険です。
自動車事故による相手方のケガや後遺障害、死亡の賠償に対し、加害者が負うべき経済的な負担を保険会社が補てんします。
自賠責保険でまかなえる保険対象と保障の限度額は次のとおりです。
保障対象 | 内容 | 保障の限度額(被害者1人につき) |
傷害による損害 | 治療費、休業損害、慰謝料 | 120万円 |
後遺障害による損害 | 自動車事故による傷害によって身体に残った毀損が自動車事故との因果関係を医学的に認められたもの | 75万~4,000万円 |
死亡による損害 | 葬儀費、逸失利益、被害者や遺族への慰謝料 | 3,000万円 |
後遺障害は障害の程度によって1~14級の等級に分けられており、等級が低いほど甚大なケガと認定され、高額な慰謝料等がかかります。
都道府県別自動車保険の加入率
都道府県別の自動車保険の加入率を見ていきましょう。
損害保険料率算出機構が公表している2017年3月末の「自動車保険の概況」によると、各都道府県の保険加入率は次のとおりです。
http://www.sonpo.or.jp/news/statistics/syumoku/pdf/kanyu_jidosha_ken.pdf
対人賠償保険、対物賠償保険の加入率トップ3は大阪府、愛知県、神奈川県で、ワースト3は、高知県、島根県、沖縄県です。
ここで「自動車保険の加入率が高いところは事故件数も多いのか?」という疑問が生まれてきますが、実際のところ両者に因果関係はありません。
なぜ、自動車保険に入らない?任意保険に加入しない理由
都道府県別の自動車保険の加入率でわかるように、自動車保有率に対して対人賠償保険、対物賠償保険でも平均6~7割にとどまっています。
また、自動車事故によって車両が損壊した場合の修理費を補てんする車両保険に至っては、平均して5割に満たない加入率です。
自動車保険に加入しない理由には、経済的理由、運転技術への自信などが考えられます。
しかし、ここまで見てきたように、自動車保険・任意保険未加入で自動車事故を起こしてしまうと、取り返しのつかない事態に陥ってしまう恐れもあります。
万が一に備えて加入しておくべきです。
自動車保険に入らないで無保険事故を起こした場合の賠償額シュミレーション
自動車保険未加入、無保険の状態で自動車事故を起した場合、賠償額はいくらかかるのでしょうか。
一般的に、自動車事故を起した側が支払う賠償金には次のようなものがあります。
種類 | 内容 | 内訳 |
積極損害 | 被害者が出費しなければならなくなったお金 | 治療費、通院交通費、葬祭費(被害者死亡の場合) |
消極損害 | 事故がなければ被害者が得られたであろう利益 | 休業損害、逸失利益 |
慰謝料 | 精神的苦痛に対する慰謝料 | 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料 |
物的損害 | 事故によって損壊した車の修理費等 | 車の修理費、経済的全損 |
●治療費、通院交通費、葬祭費用(被害者死亡の場合)
●搭乗者への補償
●被保険者の補償
●壊したものへの補償
●自分の車の補償
●事故にかかる諸費用
自動車保険に入らずに車同士の無保険事故を起こしてしまった場合
次に挙げる車種をモデルケースとして、事故を起こしてしまった際の賠償額を搭乗者のケガあり・ケガなし、死亡の3パターンで試算したシミュレーションです。
道路の構築物や建物などの損壊は省きます。
フィットと事故を起こしてしまった場合のシュミレーション【搭乗者ケガあり・なし・死亡】
コンパクト、低燃費で知られるフィットはホンダの大人気シリーズで、老若男女を問わず幅広い世代に人気の自動車です。
フィットの修理費用の目安は次のとおりです。
複数の箇所が損壊した場合は各パーツの修理費用を足した金額となります。
車両保険に加入していない場合は、事故の加害者の全額負担です。
修理部位 | 修理費用 |
バンパー | 1万5,552円~5万4,000円 |
ドア | 1万9,440円~19万8,000円 |
フェンダー | 1万8,000~8万4,000円 |
ハッチバック | 1万8,000~9万720円 |
ドアミラー | 8,000円 |
・搭乗者にケガがあった場合
【例】
自動車事故によって搭乗者が「むちうち」になり、3ヶ月通院、実通院日数が40日だった。
入通院慰謝料を計算してみましょう。ちなみに、むちうちの治療には30万~40万円ほどかかります。
入通院慰謝料は自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のいずれかの基準で計算されます。
自賠責保険基準の場合、「実通院日数×2」か「治療期間」のどちらか少ない方の日数に4,200円をかけた分が入通院慰謝料となります。
【例】では実通院日数の方が少ないため、入通院慰謝料は
40日×2×4,200円=33万6,000円です。
任意保険基準は各保険会社によって設定が異なる(非公開)ため、明確な数字は出せません。
以前使われていた基準を参考にすると、【例】の場合にかかる入通院慰謝料は40~50万円ほどです。
弁護士基準は任意保険基準よりさらに高額になります。
通称・赤い本と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参考にすると、3ヶ月通院した場合の入通院慰謝料は53万円です。
さらに、むちうちの後遺障害が残れば、程度によって後遺障害等級の12級13号、あるいは14級9号に認定される可能性があり、後遺障害慰謝料の支払いを命じられます。
等級 | 後遺障害 | 後遺障害慰謝料(弁護士基準) |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 110万円 |
後遺障害が残ったことによって被害者の運動能力や労働能力が失われた場合、本来得られるはずだった収入が減ると考えられることから、逸失利益の補償も必要となります。
また、入通院があった場合は通院交通費や文書料、入院によって仕事を休まざるを得なかった場合は休業損害など、慰謝料のみならずさまざまな賠償金の支払いが必要となります。
・搭乗者にケガがない場合
搭乗者にケガがなかった場合は慰謝料等が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
検査の結果、無傷であると診断されれば慰謝料は発生しません。ただし、乗っていた車(フット)が損壊した場合は車の修理費用を支払う必要があります。
・搭乗者が死亡した場合
搭乗者が死亡してしまった場合、その遺族は加害者に対して次の損害賠償請求をすることができます。
損害賠償の種類 | 内容 | 金額の目安 |
入院・治療費 | 搭乗者が病院に搬送された場合 | ケガや入院日数による |
入院付添費 | 医師の判断により付き添いが必要と認められた場合 | 6,500円/日 |
入院雑費 | 入院中にかかった雑費 | 1,500円/日 |
葬儀関係費用 | 死亡と自動車事故との因果関係が認められた場合 | 150万円~ |
休業損害 | 亡くなるまでの間に休業を要した場合 | 休業した日数による |
家族・親族の駆けつけ費用 | 家族や近親者の交通費、宿泊費 | 移動距離、交通手段、宿泊先による |
死亡慰謝料 | 被害者本人の慰謝料と遺族固有の慰謝料の双方を請求 | ・一家の支柱の場合 2,800万円
・母親、配偶者の場合 2,500万円 ・その他の方の場合 2,000万~2,500万円 |
逸失利益 | 被害者が生きていれば本来得られるはずであった利益 | 被害者の状況による |
メルセデスベンツSクラスと事故を起こしてしまった場合のシュミレーション【搭乗者ケガあり・なし・死亡】
メルセデスベンツSクラスは、新車で1,100万~2,500万円の高級車です。
自動車事故で損壊すれば、その修理費用はかなり高額となる場合があります。
メルセデスベンツSクラスの修理費用の目安は次のとおりです。
複数の箇所が損壊した場合は各パーツの修理費用を足した金額となります。
車両保険に加入していない場合は、事故の加害者の全額負担です。
修理部位 | 修理費用 |
バンパー | 2万8,000円~5万5,000円 |
ドア | 1万7,280円~6万6,000円 |
フェンダー | 5万5,000~12万5,000円 |
ハッチバック | – |
ドアミラー | 1万9,500円 |
参考→板金修理事例|ピッカーズ
・搭乗者にケガがあった場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
・搭乗者にケガがなかった場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
・搭乗者が死亡した場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
ランボルギーニと事故を起こしてしまった場合のシュミレーション【搭乗者ケガあり・なし・死亡】
イタリアの自動車メーカーのランボルギーニは、新車で2,500万~5,200万円の超高級車です。
車種によっては億を超えるものもあり、自動車事故で全損させてしまえば修理費用を払うだけで破産するほどの高額となる場合があります。
2007年2月、名神高速道路の渋滞で起きた乗用車とランボルギーニの追突事故は双方とも車両が損傷し、ランボルギーニ側の修理費用は約1,106万円だったようです。
社有車だったために一部は任意保険から支払われましたが、乗用車側には約884万円の支払いが命じられています。
・搭乗者にケガがあった場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
・搭乗者にケガがなかった場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
・搭乗者が死亡した場合
フィットのモデルケースをご参照ください。
自動車保険に入らずに自転車に乗った相手と無保険事故を起こしてしまった場合
加害者側を自動車、被害者側を自転車として、保険未加入で事故を起こしてしまった際の賠償額をケガあり・なし、死亡3パターンで試算した慰謝料等のシミュレーションです。
道路の構築物や建物などの損壊は省きます。
前提として、自動車と自転車の事故では、自転車の不注意だったとしても過失割合は自転車側に有利な認定が下されます。
自動車との追突、接触で自転車の運転手が損害を受けた場合、被害者は次の賠償金の請求が可能です。
種類 | 内容 | 内訳 |
積極損害 | 被害者が出費しなければならなくなったお金 | 治療費、通院交通費、葬祭費(被害者死亡の場合) |
消極損害 | 事故がなければ被害者が得られたであろう利益 | 休業損害、逸失利益 |
慰謝料 | 精神的苦痛に対する慰謝料 | 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料 |
物的損害 | 事故によって損壊した車両の修理費等 | 自転車の修理代(買い替え代) |
被害者が子供なし30歳男性、年収450万円だった場合【ケガあり・なし・死亡】
・ケガありの場合
【例】被害者は30歳男性、独身、年収450万円で、事故が原因で骨折をした。
入院期間2週間、実通院日数は30日。
骨折の手術をしたがしびれが残り、後遺障害14級に認定された場合のシミュレーション
治療費 20万円
通院費 3万円
文書料 3,000円
入院雑費 21,000円
休業損害 36万9,840円
後遺障害の慰謝料 110万円
逸失利益 740万円
自転車の修理代 1万円
計 913 万3,840円
自賠責保険に加入していなければ、試算した賠償金のすべてを加害者が負担しなければならないため、かなり大きな損失となります。
・ケガなしの場合
自転車の修理代 1万円
計1万円
自転車の運転者にケガがなかった場合は賠償金が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
・死亡の場合
【例】被害者は30歳男性、独身、年収450万円。
自転車の運転中に自動車に追突されて重体、病院に運ばれたが翌日には死亡してしまった場合のシミュレーション
治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 1万2,328円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,200万円
逸失利益 3,759万9,750円
計 6,127万78円
被害者死亡の場合、自賠責保険に加入していたとしても、脂肪の損害の賠償は3,000万円までしか補償されず、残り半分は加害者の負担となります。
被害者が子供あり40歳男性、年収700万円だった場合【ケガあり・なし・死亡】
・ケガありの場合
【例】被害者は40歳男性、妻と子供1人、年収700万円で、事故が原因で骨折をした。
入院期間2週間、実通院日数は30日。
骨折の手術をしたが頑固なしびれが残り、後遺障害12級に認定された場合のシミュレーション
治療費 20万円
通院費 3万円
文書料 3,000円
入院雑費 21,000円
休業損害 57万円
後遺障害の慰謝料 290万円
逸失利益 1,435万140円
自転車の修理代 1万円
計 1,808万4,140円
自賠責保険に加入していなければ、試算した賠償金のすべてを加害者が負担しなければならないため、かなり大きな損失となります。
・ケガなしの場合
自転車の修理代 1万円
計1万円
自転車の運転者にケガがなかった場合は賠償金が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
・死亡の場合
【例】被害者は40歳男性、妻と子供1人、年収700万円。
自転車の運転中に自動車に追突されて重体、病院に運ばれたが翌日には死亡してしまった場合のシミュレーション
治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 1万9,000円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,800万円
逸失利益 7,175万700円
計 1億142万7,700円
被害者死亡の場合、自賠責保険に加入していたとしても3,000万円までしか補償されず、残り半分は加害者の負担となります。
自動車保険に入らずに通行人相手に無保険事故を起こしてしまった場合
加害者側を自動車、被害者側を歩行者として、保険未加入で事故を起こしてしまった際の賠償額をケガあり・なし、死亡3パターンで試算した慰謝料等のシミュレーションです。
道路の構築物や建物などの損壊は省きます。
前提として、自動車と自転車の事故では、自転車の不注意だったとしても過失割合は自転車側に有利な認定が下されます。
自動車との追突、接触で自転車の運転手が損害を受けた場合、被害者は次の賠償金の請求が可能です。
種類 | 内容 | 内訳 |
積極損害 | 被害者が出費しなければならなくなったお金 | 治療費、通院交通費、葬祭費(被害者死亡の場合) |
消極損害 | 事故がなければ被害者が得られたであろう利益 | 休業損害、逸失利益 |
慰謝料 | 精神的苦痛に対する慰謝料 | 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料 |
被害者が子供あり35歳女性専業主婦だった場合【ケガあり・なし・死亡】
・ケガありの場合
【例】被害者は30歳女性、夫と子供1人、専業主婦で、自動車に接触されて足を骨折した。
入院期間2週間、実通院日数は30日。
骨折の手術をしたがしびれが残り、後遺障害14級に認定された場合のシミュレーション
治療費 20万円
通院費 3万円
文書料 3,000円
入院雑費 21,000円
休業損害 17万1,000円
後遺障害の慰謝料 110万円
逸失利益 314万3,589万円
計 466万8,589円
自賠責保険に加入していなければ、試算した賠償金のすべてを加害者が負担しなければならないため、かなり大きな損失となります。
・ケガなしの場合
歩行者にケガがなかった場合は賠償金が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
・死亡の場合
【例】被害者は30歳女性、夫と子供1人、専業主婦。
自動車に追突されて重体、病院に運ばれたが翌日には死亡してしまった場合のシミュレーション
治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 5,700円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,500万円
逸失利益 385万6,395円
計 3,052万95円
被害者死亡の場合、自賠責保険に加入していたとしても3,000万円までしか補償されず、残り半分は加害者の負担となります。
被害者が子供あり40歳男性、年収200万円だった場合【ケガあり・なし・死亡】
・ケガありの場合
【例】被害者は40歳男性、妻と子供1人、年収200万円で、事故が原因で足を骨折した。
入院期間2週間、実通院日数は30日。
骨折の手術をしたが頑固なしびれが残り、後遺障害12級に認定された場合のシミュレーション
治療費 20万円
通院費 3万円
文書料 3,000円
入院雑費 21,000円
休業損害 16万4,383円
後遺障害の慰謝料 290万円
逸失利益 410万40円
計 741万8,423円
自賠責保険に加入していなければ、試算した賠償金のすべてを加害者が負担しなければならないため、かなり大きな損失となります。
・ケガなしの場合
自転車の運転者にケガがなかった場合は賠償金が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
・死亡の場合
【例】被害者は40歳男性、妻と子供1人、年収200万円。
歩行中に自動車に追突されて重体、病院に運ばれたが翌日には死亡してしまった場合のシミュレーション
治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 5,479円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,800万円
逸失利益 7,175万700円
計 2,050万200円
無保険事故で被害者死亡の場合、賠償金の全額を加害者の負担となります。
かなり高額になるため、無保険で自動車を運転してはなりません。
万が一被害者が超大物芸能人、年収5億円だった場合【ケガあり・なし・死亡】
・ケガありの場合
【例】被害者は40歳男性芸能人で独身、年収5億円。
歩行中に車に接触して足を骨折した。
入院期間2週間、実通院日数は30日。
骨折の手術をしたがしびれが残り、後遺障害14級に認定された場合のシミュレーション
治療費 20万円
通院費 3万円
文書料 3,000円
入院雑費 21,000円
休業損害 57万円
後遺障害の慰謝料 110万円
逸失利益 3億6,607万5,000円
計 3億6,799万9,000円
無保険事故の被害者が高所得者で後遺障害等級が認定された場合、逸失利益だけで膨大な賠償金を支払うことになります。
・ケガなしの場合
歩行者にケガがなかった場合は賠償金が発生することはありませんが、自覚症状がなくても無傷であるとは限らないため、病院に行って検査を受けるべきです。
・死亡の場合
【例】被被害者は40歳男性芸能人で独身、年収5億円。
歩行中に自動車に追突されて重体、病院に運ばれたが翌日には死亡してしまった場合のシミュレーション
治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 1万9,000円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,500万円
逸失利益 36億6,075万円
計 36億8,742万7,000円
無保険事故で高所得の被害者が死亡した場合、一生をかけても償いきれないほどの賠償金を支払うことになります。
自動車保険に入らずに家や店舗・建物に突っ込んでしまった場合
自動車事故によって家屋や店舗などの建物を損壊させた場合、任意保険の対物賠償保険に加入していれば、修理費用や休業損害の一部あるいは全部を補償してもらえます。
しかし、無保険で建物に衝突して損壊させた場合は、修理費用と休業損害の双方を加害者が負担しなければなりません。
アクセルとブレーキの踏み間違いでコンビニエンスストアに突っ込んでしまったというニュースがよく報道されますが、コンビニのように多くの人が立ち寄る店舗の損害賠償額は。
2,000万~3,000万円にのぼると言われています。
車両保険に入らないのは大丈夫?車両保険をつけないメリットとデメリット
車両保険とは、自動車事故によって損壊した自分の車の修理費用を補償する保険です。
任意保険なので、付ける・付けないの選択ができます。
車両保険を付けないメリットとしては、その分の保険料の支払いがないということが挙げられます。
たとえば30代で13等級の方が車両保険ありにすると、年間で約1万5,000円の保険料がかかります。
一方、デメリットは万が一の事故に備えられないことです。
損壊の程度や運転している自動車にもよりますが、事故でこすったりぶつけたりしても修理費用は補償されません。
特に高級車を運転している方であれば、車両保険は付けておくべきでしょう。
自動車保険の特約はつけなくて大丈夫?必要な特約といらない特約
自動車保険の特約は、不要なものを省いて必要なものだけを付けることがポイントです。
一般的に付けることを推奨されている特約は次のとおりです。
特約 | 内容 |
弁護士費用特約 | 事故の示談や裁判でかかる弁護士費用を補償 |
代車費用特約 | 事故によって車が使用できなくなった場合の代車費用を補償 |
運搬・搬送・引取費用特約 | 事故によって走行不能になった車を移動させるために必要な費用を補償 |
日常生活賠償特約 | 運転中に限らず日常生活において他人にケガをさせたり、他人の所有物を壊したりした場合の補償 |
まとめ
無保険で自動車を運転することが、どれだけ危険でリスクの高いことなのかがご理解いただけたかと思います。
どれだけ運転技術に自信のある人でも、全くの無事故で運転し続けられるという保証はありません。
万が一の事故に備え、相手方はもちろん、自分の身や家族の生活を守るためにも自動車保険に加入することをおすすめします。