医療保険は夫婦型を選ぶべき?別?子あり・なし夫婦でいくら必要かシュミレーション

2024.07.16

医療保険(入院保険)

夫婦で備えておくべき医療保険の保障内容は家族構成や生活スタイルで大きく異なります。

この記事では夫婦のどちらかが入院した時にどんな費用がかかってくるのかを具体的に解説しています。

病気にかかって入院するリスクや入院期間、自己負担額はいくらかかったかを調べた上で、家族構成や生活スタイルによっても誰かの入院に伴いどのような費用が必要になってくるかを検証しています。

普段生活する中で病気になった場合の事はあまり考えないものです。

でもだからこそ、この記事を参考に一度、万が一の場合をシミュレーションしてみてはいかがでしょう。

医療保険は夫婦で平均いくら支払いいくら準備する?

日々の生活の中で誰にでも起こりうる病気や怪我に備える医療保険。

夫婦の場合どのくらいの保険料を支払い、どのくらいの保障を準備しているのが一般的なのでしょうか。

厚生労働省が3年ごとに集計・統計をとっている『患者調査』を元に生命保険文化センターがまとめた結果と、生命保険文化センターが独自にまとめた調査結果から紐解いてみましょう。

20歳以上の夫婦であれば入院のリスクは多かれ少なかれある

まずどのくらいの人が1日に病院を受診しているかは受療率を元に考えます。

とある1日で人口10万人あたり病気にかかって医療機関を受診した人が1,038人とありました。

これはつまり全国の推計で1日に約100人に1人が病気で医療機関に入院・通院(往診を含む)をしていたという事になります。

更に年齢と男女の階級別に受療率見ると、言わずもがな60歳以上は男女ともに年齢に比例する形で受療率も高く推移していました。

20歳~59歳までの男女では人口10万人に対しての入院数のスコアが低く推移していて、100人あたりになおしても1日約0.02人~0.09人というごくわずかな数に留まります。

しかし、20歳以上60歳未満の階級では20歳~39歳迄は男性より女性の方が受療率も高く推移しているのに対し、40歳~59歳迄はその数値が逆転し男性の方が女性よりも受療率が高く推移していました。

全体から見ると低い可能性とはいえ子育て世帯にとっては一番出費の想定される40歳以降に家計の要となる男性の入院するリスクが上がるという厳しい結果となっています。

参考サイト⇒公益財団法人 生命保険文化センター|どのくらいの人が病気やケガで入院しているの?

実際に入院する日数を想定すると12日~24日

退院した患者全体で入院していた日数の平均は31.9日、年齢別には15歳~34歳で12.0日・35歳~64歳の階級で24.4日です。

参考サイト⇒http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/3.html

1回の入院にかかる費用はトータルでおよそ22万円

生命保険文化センターによると直近の過去5年間で入院し支払った自己負担額を調べると平均で22.1万円である事が分かりました。

この金額は高額療養費制度(主に治療費に適用され年齢や所得に応じて負担の上限が決まっている)を利用した後の金額になるので、病気や怪我で入院した当初はこれ以上の出費であったという事が分かります。

ちなみに費用の分布をランキングで見てみると10~20万円未満が最も多い39.3%、ついで5~10万円未満が17.5%、3番目は20~30万円未満と30~50万円未満が13.1%という結果になりました。

参考サイト⇒http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/4.html

入院時に自己で負担した入院費は1日あたり約2万円

同センターがまとめた過去5年間の入院において、いくらの自己負担があったかという調査では1日平均19,835円の自己負担があったという結果でした。

負担額ごとに結果を見ていくと、最も多かったのが1万円~1万5,000円で24.5%、次に多かったのが2万円~3万円未満で14.1%、3番目がほぼ同立と捉えて7,000~10,000万円で13.7%・5,000円未満12.5%・4万円以上12.0%になります。

最も低い出費でおさまったとしても1日5,000円近くが毎日出ていくというのは家計への負担になりそうです。

参考サイト⇒http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/5.html

これらの結果から、20歳~60歳の男女が何らかの病気にかかるリスクは他の年齢層から比べると圧倒的に低いものの、毎日300人~500人に1人の割合で入院しているという事が分かりました。

しかも入院日数が12~24日になるとすると有休を使い仕事を長期間休む事になりますし、人によっては一月分の収入が得られない可能性だってあります。

更に統計から1日あたり約2万円・期間全体で約22万円の出費が想定される事から、だいたい1回の入院で月収×二月くらいの出費が想定される事も分かりました。

入院後も通院や投薬も視野に入れると家計に大きな負担となるのが容易に想像できますね。

子供ありの場合、夫婦でいくら必要かシミュレーション

それぞれの家庭によって平均年収も違う事から基本的に夫か妻のどちらかが入院した場合にかかってくる“出費”に着目してまとめました。

まず子供が未就学児(小学校に入学するまで)の場合、夫の入院も収入が途絶える可能性を考えると一大事ですが、妻が入院した場合でも保育園や幼稚園に関する対策が必要になりそうです。

送り迎えにどう対応するか、幼稚園に通っている子供であれば夫が帰宅するまでの延長保育料なども検討しておかなければなりません。

子供がいる場合は教育費用全般についても考えましょう。

文部科学省が調査した結果によると公立と私立別で幼稚園・小学校・中学校・高等学校と計8パターンの進路があります。

学費は1年間で(公立)幼稚園が23万4,000円、小学校が32万2,000円、中学校が47万9,000円、高等学校が45万1,000円でした。

(私立)は公立よりも高く幼稚園で48万2,000円、小学校で152万8,000円、中学校で132万7,000円、高等学校で104万円となりました。

これに加え学校外活動費、いわゆる塾や習い事に代表される出費もあります。

幼稚園から中学校までの期間は公立に通わせていても毎年10~30万円前後、私立に関しては幼稚園で公立の約1.7倍の13.4万円、小学校では60万円前後になっています。

参考サイト⇒

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf

また、妻が専業主婦の場合は定職に就くまでの当面の生活費も必要となります。

2017年の総務省による「家計調査」では家族構成2人以上の生活支出は1ヶ月で平均31万3,057万円だそうです。

これにはかなり地域差も出ていて、関東であればこの金額が33万2,623万円まで上がり、一方最も低かった沖縄では22万9,948円という結果に収まりました。

参考サイト⇒http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/asset/1.html

これらと先ほどの章でご紹介した実際に入院した場合にかかる費用を追加し計算すると…

 子供が未就学児で妻が入院した場合

入院費用(22万円)+子供の保育料(一時保育や延長保育利用料)  ×入院期間

これが病気の程度や通院投薬の有無によって、期間や追加費用が発生します。

※ちなみに一時保育料は地域や預ける施設によって変わりますが2,000円以上3,000円未満が一般的で、5,000円近くかかるところもあります。

子供が就学児で妻が入院した場合

入院費用(22万円)+子供の学校外活動費(1ヶ月あたり)  ×入院期間

子供が成長するにつれ家事手伝いなどの諸経費が軽減される可能性はありますが、その分、学校外活動費に出費がシフトしている家庭が多いためこちらもある程度の出費が想定されます。

子供が未就学児で夫が入院した場合

夫が入院したとなれば当面の生活費の確保は必須です。

食費や住居費に光熱費などの一定額が必ず出費として出てくるので普段の1ヶ月の出費×0.7割(夫の生活費を単純に差し引く計算で、場合によっては調整が必要)程度の準備が必要となります。

入院費用(22万円)+生活費(約31万円の何割か)+子供の保育料 ×入院期間

入院や通院において妻が夫をする必要があるので、場合によっては子供を預けるための費用が追加となりそうです。

子供が就学児で夫が入院した場合

入院費用(22万円)+生活費(約31万円の何割か) ×入院期間

子供が就学児であれば保育料などの諸経費は加味せずに済みますが、子供の年齢そのものが上がる=学費も多くかかる年代になっている可能性もあります。

子供なしの場合、夫婦でいくら必要かシミュレーション

子供がいない場合、前章で想定したような育児や家事の代行に関わる費用の心配をする必要はありませんね。

しかし子供がいないと遺族年金(厚生年金や国民年金を納めていた人が亡くなった場合、残された遺族に支給される年金)が受け取れないなど公的支援の面で優遇されにくくなるのも事実なので、ある程度の備え準備しておく必要があるでしょう。

夫が入院して妻が扶養に入っている場合

入院費用(22万円)+生活費(約31万円の何割か)×入院期間

妻が定職に就くかパートに出るまでの当面の生活費の確保は必須です。

しかし、病気の程度にもよりますが夫の通院のサポートをしながら新しい職場で一から働くのは妻自身にも負担がかかる上、職場の理解がとの程度得られるか不透明な部分も多いのがこのパターンになります。

夫婦共働きで夫か妻いずれかが入院したの場合

入院費用(22万円) ×入院期間

今回のシミュレーションパターンの中では最も加味すべき費用が少なく済むパターンです。

しかし、夫婦共働き世帯では比較的高い生活水準をキープしている事が多いので、毎月の出費を妻か夫かの単独収入できちんと支払っていけるかがポイントとなります。

以上が具体的なシミュレーション6パターンです。

最近では主夫をしていて妻が働きに出るなど様々な家庭の在り方があり、全てがこのケースに当てはまるとは言い切れません。

なので基本的に収入を主に担っているのが誰で、その人が入院して収入が途絶えるとどうなるかを考えておくといいでしょう。

医療保険は夫婦別と夫婦型どちらがいい?

医療保険は夫婦別でも夫婦型でも、それぞれにメリットとデメリットがあるようです。

夫婦別での医療保険は保険料が上がる変わりに保障内容を充実させられる

夫婦別で医療保険に加入すると、それぞれの医療保険の契約者が夫と妻とで別となります。

契約が別物になるので当然、保険証券も2つ・保険加入時の手続きも2人分しなければなりません。

保険料も夫婦型に比べて上がってしまうのがデメリットです。

しかしそれぞれの契約が分かれているため、保障内容や保険を見直す際などにもその時のニーズや予算に応じて細かな契約内容の変更がしやすいのがメリットになります。

夫婦型の医療保険は手間が省ける分、保障内容が限定的になりがち

夫婦型医療保険は主契約者がおおむね夫で被保険者(保険の保障内容が適用される人)が妻となるパターンが一般的でしょう。

夫の契約と妻の契約を一つにまとめられるので契約者も1人で済み、保険加入や手続き全般の手間がいっきに省けます。

しかし妻側の保障内容が予め決められた限定的なパターンのみになりやすいという点と、見直しもしづらいというのがデメリットです。

契約がまとまっている事で、夫と妻の保険料がトータルで安く抑えられるというのは大きなメリットになります。

夫婦型の医療保険4選

現在、夫婦型の医療保険を扱っている保険会社は少なく下記4社に夫婦型の医療保険もしくはそれに該当するようなプランが用意されていました。

各保険会社の商品それぞれの仕組みと、保障内容を見ていきましょう。

アフラックの夫婦型医療保険

現在、アフラックには夫婦型に該当する医療保険はありません。

過去(アメリカンファミリーライフアシュアランスカンパニーオブコロンバス時代)に販売していたがん保険に付けられる【充実PACK(パック)】という特約が、夫婦型の医療保険のような保障を実現してくれるものになります。

この充実PACKが付けられる保険は『新がん保険』、『スーパーがん保険』、『スーパーがん保険Vタイプ』、『スーパーがん保険Ⅱ型Vタイプ』の4つです。

『新がん保険』は入院と在宅療養は保険料を払い込み続ければ終身で保障してくれて、満65歳までは死亡保険金の保障もついているというものになります。

(※満65歳以上で亡くなった場合は死亡保険金が半額になる。)

『スーパーがん保険』、『スーパーがん保険Vタイプ』、『スーパーがん保険Ⅱ型Vタイプ』の3つは新がん保険の保障内容に診断給付金・通院給付金がプラスされたものです。

(※満65歳以上でがんと診断された・通院した・亡くなった場合は各保険金が半額になる。)

この保険は個人契約か個人契約+子供特約、家族契約という3つの契約の種類があります。

個人契約をしている主契約者と同一戸籍に記載されている配偶者と23歳未満の子供が対象です。

支払われる給付金にも限度額があって、家族全員で入院給付金の総額6万円/契約時の年齢が65歳以上の人については4万5,000円が限度額となります。

新がん保険の具体的な給付内容

契約の責任開始日が過ぎてからがんと診断された場合に保障の対象となります。

入院給付はがんを患って治療のための入院をすれば契約者本人に日額1万5,000円/家族は1万円×入院日数分の給付を受け取る事できるという内容です。

在宅療養は入院給付が支払われた上で続けて20日以上入院した後に自宅療養をした場合に給付を受け取る事が出来ます。

契約者本人は20万円/家族の場合は15万円です。

退院の翌日から20日以内に亡くなるか再入院した場合はこの在宅療養給付金から契約者本人で1万円×在宅療養日数/家族で7,500円×在宅療養日数が差し引かれます。

死亡保険金は契約者本人で150万円/家族の場合は100万円(それぞれ満65歳以上の時は半額)がんが直接の死亡原因として診断された場合に支払われます。

死亡払戻金というもあって、告知を済ませ第一回目の保険料の支払いを完了した日から2年経過した後、契約者本人ががん以外で死亡した場合は15万円/配偶者の場合は10万円(ともに満65歳以上の時はその半額)が支払われるというものです。

契約者本人と配偶者の両方が責任開始日以降に亡くなっているという事も条件になっています。

『スーパーがん保険』、『スーパーがん保険Vタイプ』の具体的な給付内容

入院給付と在宅療養給付は新がん保険と同じ内容になっています。

診断給付金はがんと診断が下り、治療が開始された時に契約者本人で100万円/家族の場合は60万円が支払われるというもので保険期間中1人につき1回だけの支払いになります。(この保険も該当者が満65歳以上の場合は給付金が半額)

通院給付は在宅療養給付と似ていて、通院した場合に契約者本人で日額5,000円/家族の場合で3,000円(それぞれ満65歳以上の場合は半額)が支払われます。

在宅療養最終日の翌日から180日以内の通院であれば在宅療養給付+通院が保障の対象となり、在宅療養給付金を受け取った後に通院給付金が受け取れるようになっています。

死亡保険金と死亡払戻金も新がん保険と同じ支払い要件となっています。

『スーパーがん保険Ⅱ型Vタイプ』の具体的な給付内容

こちらも診断給付はスーパーがん保険、スーパーがん保険Vタイプと同じ内容になります。

入院給付金は契約者本人で日額1万円/家族の場合で6,000円です。

在宅療養給付は契約者本人で15万円/家族の場合10万円が支払われます。

通院給付もスーパーがん保険、スーパーがん保険Vタイプと同じ内容です。

メットライフ生命の夫婦型医療保険

メットライフには個人向けに販売している夫婦型医療保険はありません。

法人向けに販売している団体保険(その企業で働いている人とその家族だけが保障の対象となる)に特約を付ける事で配偶者と子供が保障される家族特約というものがありました。

こちらも配偶者は満16歳~69歳6ヶ月・子供なら満2歳6ヶ月~22歳6ヶ月という年齢制限がある点、主契約者となる従業員本人が契約している事と、家族が同じ戸籍に記載されているなどの詳細な条件があります。

団体保険は個人で契約する保険よりも保険料が安いというメリットがありますが、まず大前提としてその会社の従業員である必要があるためその点は留意しておきましょう。

アクサダイレクト生命の夫婦型医療保険

アクサダイレクト生命のサイトを見てみると、契約者と被保険者が同一人物である契約のみ取り扱っているという事でした。

つまり、夫婦型・家族型と呼ばれる医療保険やそれに準ずる医療特約は販売されておらず、加入はできないという結論に至ります。

楽天生命保険の夫婦型医療保険

楽天生命にも夫婦型に該当する医療保険はありませんでした。

ご夫婦でお子様をお持ちの方へという内容で定期保険(死亡保険金の出るタイプの保険)と、医療保険をセットで入るようオススメするモデルプランの掲示はあるだけで、夫婦型に準ずる医療特約もありません。

まとめ

現在、日本で夫婦型の医療保険を取り扱っている保険会社はかなり少なく、生命保険も医療保険も家族それぞれ個人が被保険者となる保険を別で加入してあるのが一般的なようです。

ただし、法人が契約している団体保険には夫婦型・家族型の医療保険が存在し、民間の保険会社の医療保険と比べると安い保険料で充実の保障が見込めます。

従業員であれば加入できるので、家族全員の医療保険を検討しているのであれば一度調べてみるといいでしょう。

各家庭で誰が入院したかによっても準備しておくべき入院にかかる費用は様々なパターンが想定されるので、この点については一度、誰かが入院した場合にどんな備えをしておくのか、家族できちんと話し合って整理しておく必要がありそうですね。

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