不妊治療は保険適用される?保険適用外の理由と不妊治療におすすめの保険6選

2024.07.16

女性保険

不妊治療保険を検討するポイントや不妊治療保険について説明をしていきます。

また、そもそもの不妊治療に関する基本的な理解や、不妊治療に関する助成制度や医療費控除制度、不妊治療に関する費用などについてもわかりやすく説明していきたいと思います。

不妊治療の保険を比較・検討する際の3つのポイント・注意点

不妊治療保険を検討するときには以下の3つのポイント・注意点があります。

1.対象となる不妊治療の範囲

2.受け取れる給0付金の回数

3.保障されない範囲や期間

対象となる不妊治療の範囲

まず最初が対象となる不妊治療の範囲の確認です。

不妊治療には一般不妊治療と特定不妊治療という区分があります。

一般不妊治療とは、不妊の原因の可能性のある卵管に関する手術であったり、タイミング法といわれる妊娠を高める時期に性交を持つ方法、排卵を促す排卵誘発法、人工授精という方法がいくつかあります。

これに対して特定不妊治療というのは、体外受精、その中でも顕微授精といった方法です。

これらの不妊治療のどこの過程が保障の対象となっているのかを確認しておきましょう。

受け取れる給付金の回数

不妊治療はご存知の通り、1回で成功するとは限らず複数回治療を行うのが通例です。

したがったその不妊治療を保障する不妊治療保険においても、何回の給付金が受け取れるのか、いくらの給付金額が受け取れるのか、というところがポイントとなるのです。

保障されない範囲や期間

先ほどの不妊治療においても保障される過程と保障されない過程があることを説明しました。一連の不妊治療において、どの治療が保障の対象外なのかをしっかりと理解しておくことが大切です。

また、不妊治療保障は、保険加入から2年などの期間の経過後から責任が開始されます。

いわゆる待ち期間、免責期間、不担保期間と呼ばれるもので、この期間中は対象となる不妊治療を受けても給付金がもらえませんので、注意が必要です。

不妊治療でおすすめな保険6選

それではここから具体的な不妊治療を保障する具体的な保険を紹介していきましょう。

日本生命(ニッセイ)

不妊治療でご紹介するのは、ニッセイ出産サポート給付金付3大疾病保障保険 ChouChou!(シュシュ)です。

この日本生命のシュシュは、不妊治療だけを保障する保険ではなく、三大疾病の保障に不妊治療の保障が付加されているという形です。

項目 内容
保険期間 10年/15年/20年
不妊治療保障 所定の特定不妊治療を受けた場合

特定不妊治療給付金として最大12回

・1回~6回目 1回につき5万円

・7回目~12回目 1回につき10万円

三大疾病保障

(一時金)

所定のがん・急性心筋梗塞・脳卒中の場合

3大疾病保険金300万円(1回のみ)

上皮内がん保障

(一時金)

がん(上皮内新生物等)の場合

上皮内新生物診断保険金30万円

死亡保障 死亡時

死亡保険金300万円

(ただし3大疾病保険金と重複しての支払いはなし)

出産給付 所定の出産の場合

出産給付金

・1回目10万円

・2回目30万円

・3回目50万円

・4回目70万円

・5回目以降1回につき100万円

生存保障 保険期間満了時に生存されていた場合

満期一時金

※満期一時金の計算

保険期間20年・・・200万円

保険期間15年・・・150万円

保険期間10年・・・100万円

上記3つのいずれかの金額+(5,000円×給付金支払回数)- 給付金支払合計額

不妊治療の保障について

不妊治療の保障にある「特定の不妊治療」とは、「体外受精・顕微授精の治療過程で受けた排卵または胚移植を受けた時」となっています。

そして、その治療は自身の妊娠を目的としたものに限り、第三者への卵子の提供を目的としたものなどは含みません。

また、責任開始日から2年を経過した後から、この不妊治療の保障が開始となりますので注意が必要です。

参考サイト⇒日本生命

アフラック

アフラックですが、日本で初めてがん保険を発売したがん保険のパイオニアです。近年では医療保険分野でも確固たる地位を築いています。

特に女性保険としてのがん保険や医療保険なども多いのですが、残念ながら不妊治療保険はまだ発売されていません。

第一生命

第一生命ですが、上場や海外への進出が目立って報道されていますが、国内での販売にも力をいれています。

しかしながら、現時点では不妊治療保険は発売していません。

ソニー生命

ソニー生命ですが、ライフプランナーと呼ばれる提案力・販売力のある営業社員が多く在籍しています。

生命保険信託などのサービスに力をいれていますが、現在のところ不妊治療保険は販売していません。

明治安田生命

明治安田生命は、組立総合保障保険を中心に総合保障というコンセプトで保険提案をすすめていますが、現時点では不妊治療保険はラインナップされていません。

東京海上日動

東京海上日動火災保険は、不妊治療に関して、企業が従業員を保障するタイプの不妊治療の保険「不妊治療費用等補償保険」を発売しました。

参考までに概要を引用します。

企業や健康保険組合等が契約者となり、契約者が社内規定等に基づき従業員に給付する費用を保険金としてお支払いする内容であり、企業の福利厚生制度等としてご活用いただくことができるよう企業・健康保険組合の構成員全員を補償の対象とします。

(従業員本人に加えその配偶者も対象となり、男性不妊治療についても補償対象となりま

す。)公的助成制度と同様に「特定不妊治療」を補償対象の治療範囲とし、企業の社内規定等に応じて所得・年齢の制限なく、公的助成制度を補完する形で、治療により実際に生じた自己負担額を補償することが可能です。加えて、「特定不妊治療」を行われた方が切迫早産等の妊娠に関連する特定疾病で 30 日以上の入院をした場合には、一時金をお支払いします。

引用_東京海上日動火災

 

なお「不妊治療費用等補償保険」はあくまで契約者が企業となるので、個人は加入できませんのでご注意ください。

保険が適応外の場合は厚生労働省の「特定不妊治療助成制度」を利用しましょう

不妊治療において一般的な不妊治療であれば公的医療制度の適用となり、医療費総額の原則3割が自己負担となります。

しかしながら特定の不妊治療については公的医療制度の適用外となることから「特定不妊治療助成制度」という支援制度が整備されています。

具体的な内容を厚生労働省のサイトから引用して紹介しましょう。

<不妊に悩む方への特定治療支援事業>

不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる、配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成しています。

◇対象者

(1) 特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦

(2) 治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦

◇対象となる治療

体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊治療」といいます)

◇給付の内容

(1) 特定不妊治療に要した費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成する。

通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。

ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊治療の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。

(2)  (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く)

(3)  特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く)

◇所得制限

730万円(夫婦合算の所得ベース)

◇指定医療機関

事業実施主体(都道府県、指定都市、中核市)において医療機関を指定。

 

引用_厚生労働省

上記の引用から、対象となるのは特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)で妻43歳未満かつ夫婦の所得730万円までであることがわかります。

助成金額については治療方法と回数によって変わってきますので注意が必要です。

なお指定医療機関については、各地方自治体が具体的な指定医療機関を紹介しているホームページにリンクが貼られているので、ぜひ参照してみてください。

不妊治療にかかった金額は医療費控除制度を活用して節税できます

不妊治療にかかった医療費の自己負担額は医療費控除制度の対象とできるのでしょうか。

実はこの質問に対しては国税庁が明確なルールを示してくれています。

国税庁ホームページの質疑応答事例に掲載されている内容を紹介しましょう。

不妊症の治療費・人工授精の費用

【照会要旨】

不妊症の治療費や人工授精の費用は、医療費控除の対象になりますか。

【回答要旨】

医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費及び人工授精の費用は、医療費控除の対象となります。

【関係法令通達】

所得税法施行令第207条

 

引用_国税庁

上記にある通り明確に医療費控除制度の対象となり、活用できることがわかります。

なお、医療費控除の計算方法を簡単にご紹介すると以下の通りとなります。

・医療費控除額(上限200万円)=医療費(生命保険の保険金などで補填された額を除く)-10万円(総所得が200万円以下の人は総所得金額の5%まで)

不妊検査にかかる費用項目と相場を紹介

不妊検査にはどのような項目があるのでしょうか。

主な検査項目と費用について、東京都福祉保健局に掲載された指定医療機関のサイトから費用を以下の通り抜粋・整理しましたので参考にしてみてください。

対象 検査 費用
子宮卵管造影(HSG)  約2,000円
フーナーテスト   約260円
子宮鏡検査 約30,000円
精巣生検 約20,000円
抗精子抗体検査 約22,000円

 

参考サイト⇒指定医療機関:八重洲中央クリニック

不妊治療にかかる費用の相場を事例別に紹介

それでは次に不妊治療にかかる費用を治療(過程)別に確認していきたいと思います。

あわせて治療の概要についても説明していますので参考にしてください。

タイミング法

タイミング法とは、医師の指導に基づき、妊娠しやすい最適な時期に性行為をもつ不妊治療です。

女性であればご自身で基礎体温などを計測することで妊娠しやすい時期を判断することができると考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし指定医療機関でのタイミング法は、排卵モニタリングを行うことで排卵時期を正確に予測することが可能です。

また卵子の成熟状況によっては卵巣刺激法を実施することで受精しやすくするという治療も併用されます。

こうした治療には1ヶ月から2ヶ月程度の期間を要します。

この期間に複数回受診をするため、費用としては医師の診察費用を想定しておけばよいでしょう。

人工授精

人工授精(AIH)とは、夫の精子を子宮の中へ確実に送り込む不妊治療法となります。

したがって人工授精の場合は精子が女性の体内に進入するプロセスは通常の性行為とは異なるものの、その後の受精・着床以後のプロセスは通常妊娠が成立することを前提としています。

この人工授精ではどの程度の費用がかかるのでしょうか。

不妊体験者を支援するNPO法人Fineの調査結果から引用する形で、費用負担の相場を紹介しましょう。

人工授精 1 周期あたりの平均治療費は、1 万~5 万円未満が 9 割近くを占めます。また、過去の調査と比較すると、人工授精 1 周期あたりの平均治療費は、1 万~5 万円未満という回答が一貫して 8割以上を占めています。

引用_NPO法人Fine「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」

なお上記の通り8割以上が1万円~5万円未満の負担ということですが、5万円以上10万円未満の負担が8%、10万円以上の負担が3%あるということも補足しておきます。

体外受精

体外受精は、一般不妊治療では妊娠が困難である場合に選択される不妊治療方法です。

一般不妊治療に対して、特定不妊治療や高度不妊治療と呼ばれることもあります。

自然妊娠での体内受精が難しいので、体外受精では言葉の通り体の外に受精の機会を作ることになります。具体的には卵管の代わりにシャーレ(培養皿)という器具に卵子と精子を置いて自然受精を待ちます。

次に顕微授精についてですが、顕微授精は体外受精の一種類といえますが、受精の方法が異なります。顕微授精では、顕微鏡下で卵子の中に直接精子を注入します。

体外受精・顕微授精の費用はどれぐらいになるでしょうか。

この2つの不妊治療は特定不妊治療ということで公的保険制度の対象外であるため医療費は高額になります。

さきほどの人工授精と同じく、NPO法人Fineの調査結果をもとにご紹介しましょう。

体外受精・顕微授精は、過去のアンケートと比較すると、1 周期の平均治療費が 50 万

円を超えると回答した人が大きく増加しています。2010 年との比較では、50 万円以上と回答した人は、体外受精で約 2.5 倍、顕微授精で約 2 倍という結果です。

引用_NPO法人Fine「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」

上記の調査結果によると、体外受精の1周期あたりの平均治療費ですが、30万円以上50万円未満が44%、50万円以上が43%となっています。

これが顕微授精となると、1周期あたりの平均治療費は、30万円以上50万円未満が32%、50万円以上が60%と、より高額にシフトしています。

<番外編>アメリカの不妊治療の現状

アメリカの不妊治療の現状について、参考となる文献から引用しましょう。

日本の国民皆保険制度と大きく異なり、アメリカでは、個人によって持っている医療保険が違い、どの保険を持っているかにより、受けられる治療の種類や個人負担が大きく異なってくる。不妊治療も同様で、居住する州によって、また、患者が持っている医療保険の契約内容によって、受けられる治療や自己負担は変化する。アメリカでは現在、15の州(アーカンソー州、カリフォルニア州、コネチカット州、ハワイ州、イリノイ州、ルイジアナ州、メリー州、マサチューセッツ州、モンタナ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オハイオ州、ロードアイランド州、テキサス州、ウエストバージニア州)の州法では、一定の不妊の診断と治療に関する費用を、健康保険がカバーすることを義務づけている。医療保険がカバーする体外受精治療周期数は異なり、上記15州の内、4つの州(イリノイ州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州)では、医療保険は、体外受精による治療費を4周期分までカバーする事となっている。しかしながら、提供精子、提供卵子による不妊治療は、保険でカバーされない事が多く、また、多くの州で、不妊治療が保険適応になる年齢の上限と、一生涯で使える金額の上限が定められている。

引用_「諸外国における妊娠・出産に関する情報提供事例収集2 」(内閣府)

まとめ

不妊治療保険を検討するポイントや不妊治療保険について紹介をしてきました。

残念ながら不妊治療保険については現在は日本生命での販売ぐらいしかなく、これから商品数が増えてくるだろうと予想される状況です。

不妊治療に関する助成制度や医療費控除制度、また不妊治療に関する費用などについても押さえておくとよいでしょう。

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