学資保険で将来300万円準備する方法~FPが教える学資保険300万円シミュレーション

2024.07.16

学資保険

学資保険で将来300万円を準備する家庭は、200万円に次いで多いことが調査で明らかにされています。

また、300万円を大学進学の資金にあてる目的で学資保険に加入する親が多く、教育資金はたとえ幼稚園から全て国公立であっても300万円でそのすべてをまかなうことは、特待生入学など特殊なケースを除き出来ないこともリサーチ結果で出ています。

その上で、この記事では学資保険には一般的に平均でいくらかけているのか、また教育資金はいくら必要なのかをデータをもとにご紹介します。

そして、300万円を学資保険の受取金総額とした場合のシミュレーションを各保険会社でしました。

保険料を一括で支払った時にはどのくらいお得になるのかも検証しましたので、参考にしてみてください。

学資保険は平均いくらかけるの?

学資保険の保険料月額は、一般的に1万円から3万円の間に集中しています。

なかでも、月額1万円から2万円の保険料を支払っている家庭が多いことが、リサーチ機関や各保険会社の調査で明らかにされています。

保険料の平均額がこのような金額になるのは主に以下の3つの理由があります。

月々の支払いに無理のない保険料

世帯収入や家計の現状から無理のない保険料を割り出した場合に、上のような金額になる家庭が最も多いということです。

学資保険で教育資金を積み立てる際には、保険料の設定が大切になります。

貯めたい教育資金から月々の保険料を逆算するのが理想的ではありますが、現実的に支払うことが困難であることがあります。

また、今は支払い可能でも途中で支払い困難になり中途解約してしまうと、返戻金がそれまで支払った総支払保険料を大きく下回るケースがほとんどです。

そうした事態を回避できるよう保険料の設定を無理のないように行った場合、結果として1万円から2万円の保険料になる家庭が多いのが現状のようです。

受取金総額が200万円から300万円の家庭がもっとも多い

学資保険の目的を「大学入学時にかかる諸費用」とする親が多いため、受取金の総額が200万円から300万円の契約が最も多いことも調査で明らかにされています。

受取金総額から保険料を算出した場合に、月額1万円から2万円になります。

中学校までは所得制限がありますが、各自治体から児童手当が出ます。

この児童手当をまるまる学資保険の保険料に充てている家庭も少なくありません。

また高校は、こちらも所得制限がありますが、国公私立問わず年間で118,800円分の「就学支援金」が支給されます。

そうしたことから、大学時にかかる教育資金にあてる予定で受取金総額の金額設定をする家庭が多いということが言えるでしょう。

学資保険の最低受取金総額が100万円以上の保険会社が多い

学資保険には加入条件があり、子供や親の年齢も制限がありますが、受取金の総額が100万円以上でなければ加入することができない保険会社が多くあります。

例えば、ニッセイの学資保険の最低受取金総額は210万円、明治安田生命とフコク生命は160万円です。

こうしたことも、保険料の平均額が1万円から2万円であることに影響していると考えられます。

学資保険の受取金が300万円でも足りない?

学資保険の受取金を大学時にかかる教育費にあてた場合に、300万円で果たして足りるのでしょうか。

国立大学で自宅通学の場合の教育費は、4年間で平均約524万円、下宿の場合には約812万円となっています。

私立文系になると、自宅通学で約668万円、下宿で約993万円です。

私立理系ですと、自宅通学で約809万円、下宿で約1,074万円という結果でした。

大学の受験から入学までにかかる費用に目を向けると、

・自宅通学:約155万円(受験費用+初年度納付金)

・自宅外通学:約216万円(受験費用+家賃+敷金礼金+生活用品費+初年度納付金)

となります。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター

この結果からわかるように、学資保険の受取金を大学受験から大学初年度までの費用とした場合には300万円でおさまりますが、大学4年間の教育費は300万円以上かかるので学資保険の受取金総額を上げるか、学資保険以外で貯蓄や資産運用をして備えておくことが大切と言えるでしょう。

2031年度には国公立大学の授業料が年間93万円に値上げされる?

文部科学省が、2031年度に国立大学の授業料を93万円に値上げする試算を明らかにしたことが、2015年12月の朝日新聞で報じられました。

現時点での国立大学の授業料標準額54万円の約1.7倍になり、平成29年度の私大授業料の平均額約90万円よりも高くなることになります。

子供が幼稚園からオール国公立で進学した場合には、調査によると約787万円の教育費で済んでいました。

しかし、2031年以降はそうもいかなくなってしまう可能性があります。

参考:ニッセイ お子さまの教育費

今までは、「国立大学よりも私大の方がお金がかかる」ことがもはや常識でもありましたが、近い将来はそうではなくなる可能性が大きいことも念頭に置いたうえで教育費の貯蓄をしていきましょう。

郵便局かんぽ生命の学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期年齢:21歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:14,550円
・払込保険料総額:3,140,000円
・返戻率:約95.5%

かんぽ生命の学資保険は、返戻率で見ると他社よりも下がってしまいます。

しかし、この学資保険には「契約者配当金」があります。

かんぽ生命の収益次第では、多くの配当金が支給される可能性があるのです。

また、このシミュレーションの場合には医療特約を月額1,050円でプラスすることができます。

JA共済の学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期年齢:22歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:13,833円
・払込保険料総額:2,987,928円
・返戻率:約100.4%

JA共済の学資保険「学資応援隊」の特長は、契約者の年齢が75歳まで加入できることです。

祖父母が子供の教育資金を援助をしてくれるということであれば金銭の贈与ではなく、この学資保険の加入を検討してみることをおすすめします。

学資保険は「生命保険料控除」の対象になりますので、税金面でも優遇されます。

ニッセイの学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:17歳まで
・満期年齢:21歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:14,180円
・払込保険料総額:2,892,720円
・返戻率:約103.7%

ニッセイは、大学入学にあたる年齢から毎年1回ずつ、計5回の学資年金を受け取るタイプの学資保険です。

このシミュレーションの場合には、もっとも資金のかかる初年度に100万円を受け取り、残り4回で毎年50万円ずつを受け取っていく形になります。

ニッセイでは払込期間は学資年金開始時までを選ぶ契約者が65%で「コツコツと負担ない範囲で」払う家庭が多いという結果でした。

また、今回は各会社「祝金なし」でシミュレーションをしていますが、ニッセイの学資保険に加入する方の85.7%が「祝金なし」を選択しています。

明治安田生命の学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:15歳まで
・満期年齢:21歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:15,949円
・払込保険料総額:2,876,318円
・返戻率:約104.3%

明治安田生命の学資保険「つみたて学資」は、払込期間が最長で15歳となります。

払込の期間を短くすることで、高い返戻率を実現しています。

他社と比較しても、払い込む期間が短くなった分保険料が高くなった印象はそれほどなく、子供が高校生の段階で支払いを終えられることもこの学資保険の魅力でもあります。

「つみたて学資」は教育資金の貯蓄に特化した学資保険で、付加できる特約はありません。

学資保険に貯蓄性を求める方に向いているものであると言えます。

フコク生命の学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:17歳まで
・満期年齢:21歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:14,421円
・払込保険料総額:2,944,062円
・返戻率:約101.9%

フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」は、受取のタイプが2種類あります。

大学入学資金に重点を置いた「ジャンプ型」で今回はシミュレーションを行いました。

もう一つは子供の成長に合わせて祝金を受け取ることができる「ステップ型」です。

フコク生命だけでなく各社で言えることですが、祝金を受け取るようにすると返礼率は少し下がります。

また、「みらいのつばさ」で最も特徴的と言えるのは、2人目の子供以降から兄弟割引が適用されることです。

ソニー生命の学資保険で300万円を貯めるシミュレーション

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期年齢:22歳
・受取金総額:300万円

【シミュレーション結果】

・月払保険料:13,374円
・払込保険料総額:2,888,784円
・返戻率:約103.8%

このシミュレーションは、大学受験から進学にあたる年度から年金タイプで計6回、60万円ずつを受け取る「Ⅲ型」を選択しました。

ソニー生命の学資保険は3タイプの受取方法があります。

「Ⅰ型」は中学・高校・大学進学時に学資金を受け取るタイプで、「Ⅱ型」は、大学進学時に一括で学資金を受け取るものになります。

同条件で試算すると、「Ⅱ型」の返戻率が104.0%と最も良く、「Ⅰ型」は101.3%という結果でした。

このようにソニー生命では、ライフプランや教育プランに合わせて柔軟に学資金の受取方法を選べることに加えて、最大で2,600万円まで受取金を設定できることもメリットとしてあげられます。

祖父母から孫へ教育資金の贈与を受けることができる場合には、ソニー生命の学資保険で教育資金を運用するのもひとつでしょう。

学資保険の保険金300万円を一括で支払うとどれくらいお得になるかシミュレーション

保険金300万円を一括で支払った場合には、各社大幅に保険料が割安になります。

支払った保険料で保険会社は長期の運用が可能になるからです。

ここでは、3社を例にあげて一括で支払う「前期前納払」でどれだけ保険料がお得になるのかをシミュレーションしてみました。

かんぽ生命の場合

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・満期年齢:21歳
・満期受取金:300万円

【月払シミュレーション結果】

・払込保険料総額:3,140,000円
・返戻率:約95.5%

【前期前納払シミュレーション結果】

・前期前納払保険料総額:3,075,221円
・返戻率:約97.6%

かんぽ生命は一括の前期前納払いで支払いを終えた場合、64,779円お得になる結果がでました。

3ヶ月以上前納した場合にかんぽ生命の学資保険は割引をします。

割引額は金利の変動などに応じて見直され、今後の金融情勢次第で割引率が上がることもあれば、前期前納払でも割引をしない可能性もあるとのことです。

明治安田生命の場合

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・満期年齢:21歳
・満期受取金:300万円

【月払シミュレーション結果】

・払込保険料総額:2,876,318円
・返戻率:約104.3%

【前期前納払シミュレーション結果】

・前期前納払保険料総額:2,749,776円
・返戻率:約109.0%

明治安田生命は、前期前納払にすると月払よりも126,542円お得になり、返礼率は4.7%上昇しました。

返礼率109.0%は学資保険のなかでも高い水準です。

フコク生命の場合

【契約条件】

・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:17歳まで
・満期年齢:22歳
・受取金総額:300万円

【月払シミュレーション結果】

・払込保険料総額:2,944,062円
・返戻率:約101.9%

【前期前納払シミュレーション結果】

・前期前納払保険料総額:2,806,410円
・返戻率:約106.8%

フコク生命では、前期前納払にすると月払よりも137,652円お得になる結果となりました。

返礼率でみると4.9%も違いますので、フコク生命の学資保険は支払期間を短くすると返礼率の上昇率が他社よりも良いことが比較してみるとわかります。

学資保険以外の選択肢や併用も検討しよう

1996年には2.75%まであった学保険の標準利率は、2017年には0.25%まで引き下げられました。

ですから、学資保険は銀行よりも利率は良いとはいえ、現在においてはローリスクローリターンの金融商品と言えます。

今後また金融情勢次第では利率が上がる可能性も否めませんが、学資保険以外でも教育資金を貯蓄・運用していくことを検討しても良いでしょう。

同じ保険でも学資保険以外で、契約者が父親で被保険者が母親の貯蓄性を重視した保険もあります。

また、少額でも始められる投資も今では簡単に始められます。

学資保険よりより高い利率を求めるということであれば、リスクを考慮した上で始めてみるのも一つでしょう。

まとめ

受取金の総額を300万円にしてみると、保険料は各社平均で月々約15,000円前後になり、一括で保険料を支払うと各社とてもお得になることをシミュレーションではご紹介しました。

また、シミュレーションでご紹介したような受取金と保険料に設定して学資保険に加入している家庭が多いこと、それには家計事情だけではなく、保険会社で受取金の最低総額が決められていることなど、主に3つの理由があることをリサーチ結果をもとに詳しくご説明しました。

将来どのくらいの教育資金が必要になるかは子供が選ぶ進路によって大きく変わってくる可能性がありますが、まずは世間一般の平均額を参考にして検討してみると良いでしょう。

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