学資保険と預貯金を徹底比較!向いてるのはどっち?FPが教える選び方とシミュレーション
学資保険は、死亡保障が付いていて加入条件次第では返戻率も預貯金と比較すると断然良いです。
一方で元本割れの可能性というリスクも伴います。
預貯金は、安心安全にお金を貯めることができる反面、貯めたお金が増えることはほとんどありません。
この記事では、学資保険と預貯金それぞれの特徴について深掘りしていきます。
また、学資保険と預貯金で教育資金を貯めた場合のシミュレーションを行い実際にどれだけの違いが生まれるのかを検証します。
目次
学資保険と預貯金の違いを徹底比較!お得にお金を貯めるならどっち?
学資保険と預貯金の違いは、要約すると「お金が増えるか増えないか」、もしくは「元本割れの可能性と保障があるかないか」ということになります。
お得に教育資金を貯めるなら圧倒的に学資保険が良いですが、元本割れのリスクがあるということを理解しておかなくてはなりません。
学資保険の特徴とメリット・デメリット
ここでは学資保険の特徴とメリット・デメリットを詳しく紹介していきます。
教育資金の貯蓄方法をどうするか迷われている人は必読です。
学資保険の特徴
学資保険は、子供の教育資金を貯めるための貯蓄型保険のことです。
毎月、もしくは毎年決まった額の保険料を支払うことで、子供の成長や進学に合わせて祝い金や学資金を受け取ることができます。
さらには、契約者である親が死亡した場合には、それ以降の保険料の払い込みが免除となり、かつ学資金を受け取れることも学資保険の大きな特徴のひとつです。
医療保障を付けられることも学資保険の特徴ですが、その分保険料は高くなります。
学資保険のメリット
続いて学資保険の5つのメリットを挙げていきます。
1.死亡保障がある
学資保険のメリットといえば、契約者に万一のことがあった際に以後の保険料払い込みが免除される「保険料払込免除特約」が付加されていることです。
また、保険料の払い込みが免除されるだけでなく、受取金も満額受け取ることができます。
2.保険料が自動で引き落とされる
学資保険は、保険料が口座もしくはクレジットカード自動的に引き落とされます。
入り用で急な出費が重なったとしても有無を言わさず決まった額の保険料が引き落とされますから、積み立ての強制力があると言えます。
3.元本以上の学資金が受け取れる可能性
学資保険はかつてほどの返戻率ではなくなりましたが、それでも条件次第では返戻率105%前後の学資金を受け取ることが可能です。
ほとんどのケースにおいて、学資保険は貯金よりも利率が良いことは確かです。
4.節税対策になる
学資保険は「生命保険料控除」の対象となります。
所得から控除され、その額に応じて住民税や所得税が減税されますので、節税対策としても有効です。
5.固定金利である
学資保険は固定金利であることも、メリットのひとつと言えます。
いま現在の学資保険の標準利率は0.25%で、それに従って返戻率も決められています。
今後ますます標準利率が下がってしまったとしても、加入時に決定された返戻率で保険料が運用されていくことになりますので、その点も安心材料になるでしょう。
学資保険のデメリット
学資保険にはメリットも多数ある一方で、デメリットも存在します。
デメリットは主に以下の2つになります。
1.元本割れの可能性
学資保険は、主に以下の3つの理由で元本割れをする場合があります。
中途解約
学資保険で元本割れを起こす可能性が最も高いと言えるのが、中途解約した場合です。
学資保険に限らず、貯蓄性のある保険に関しては同じことが言えます。
返戻率が低い保険会社がある
保険会社によっては、契約内容や条件に問わず返戻率が低く、なかには元本割れをする学資保険も存在します。
元本割れをする学資保険は、保障が手厚いなどそれなりの理由があることが多く、一概にデメリットと言えないのですが、加入の際には注意すべき点です。
加入時の子の年齢
学資保険は、子供の加入年齢制限を満6歳前後としている保険会社が多いです。
なかには、3歳までしか加入することができない学資保険も存在します。
そして、子の年齢が高い場合には、返戻率が低くなり元本割れの可能性も出てきてしまいます。
2.親と子の加入年齢に制限がある
保険会社によって規定はさまざまですが、契約者である親と被保険者の子の両方に加入年齢の制限があります。
場合によっては、加入することができないこともあります。
預貯金でお金を貯める特徴とメリット・デメリット
学資保険の次に、預貯金でお金を貯めることにはどんな特徴とメリット・デメリットがあるのかをここでは詳しく説明していきます。
預貯金の特徴
「預貯金」とは、文字通り「お金を貯めたり預けたりすること」のことです。
自分の手元で管理したり、郵便局や銀行に預けたりすることをさします。
好きな時に貯めて、好きな時に使えるのが預貯金の最大の特徴です。
また、低金利時代の現在の預貯金はほとんどの場合において増えることも減ることもないのも特徴のひとつです。
預貯金のメリット
続いて、預貯金には主に4つのメリットがあります。
順に見ていきましょう。
1.好きな時に好きなだけ貯められる
預貯金のメリットは、学資保険と比較すると、好きな時に好きなだけ貯められることと言えるでしょう。
自営業の親などは、収入が年や季節によって大幅に変動することもあります。
家計の状況に合わせて教育資金を貯めていけるのは、預貯金のメリットのひとつです。
2.いつでも引き出しができる
普通預金ではなく定期預金になるといつでも引き出しができるわけではありませんが、それでも中途解約をして引き出しをすることはできます。
学資保険では途中で引き出すことが難しいため、いつでも預金を引き出せるのは預貯金のメリットでしょう。
3.定期預金には固定金利と変動金利がある
定期預金の金利は、固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は預けた時点から満期まで金利が固定されているのに対し、変動金利は金融情勢を反映しながら半年ごとに見直しされます。
変動金利は今後インフレがおこった場合に有効です。
インフレが起こって物価が上がりお金の価値が下がると、固定金利の利率がその当時では良いとされていても、インフレに対応できずに結果として損をしてしまう可能性があります。
4.中途解約しても元本割れしない
定期預金は満期以前に中途解約しても、学資保険のように元本割れを起こすことはありません。
ただし、当初決めた金利よりも低い金利(ペナルティ金利)が適用されます。
急な出来事でまとまったお金が必要になることはどの家庭でもあり得ることなので、中途解約しても元本割れしないのは預貯金のメリットです。
預貯金のデメリット
預貯金のデメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
1.金利が低い
預貯金は学資保険に比べて金利が低いです。
日銀のマイナス金利政策が行われてから、銀行預金の金利は下がり続けています。
例えば教育資金の目標金額の平均が200万円〜300万円なので、その金額に合わせて定期預金の金利を見てみると、最大でも0.150%(じぶん銀行)で他行は軒並み0.05%前後となっています。
学資保険は金利に換算すると年利1%前後ですから、その差は歴然です。
2.月々の出費で積立額が変わる可能性
家計は、月々の出費が変動するのが一般的です。
冠婚葬祭や家電製品の買い替えが重なったりすると、教育費の積立額を捻出することが難しくなることもあるかもしれません。
また時には、なにかの節目にまとまったお金を手にすることもあるでしょう。
銀行預金やタンス預金などの貯金には強制力がないため、自分で月々変動する家計を見越して計画的に教育資金を積み立てていくことが必須となります。
3.利益の約20%は課税対象
銀行預金の金利で得た利益には、約20%の税金が課税されます。
預貯金は、今後景気動向次第ではさらに金利が上がる可能性もありますが、いま現在の金利が低いことに加えて約20%税金で引かれるということを常に念頭に置いておく必要があります。
学資保険と預貯金シミュレーション
学資保険と預貯金ではどのような違いが生まれるのか3パターンに分けて実際にシミュレーションしてみました。
学資保険はソニー生命の「学資準備スクエア」で、預貯金は楽天銀行の「定期預金」で行いました。
支払い期間の条件を揃えるために、定期預金は1年ごとで計10年としましたが、満期を長くすれば受取金額は多少ではありますが上がります。
それでは順にシミュレーション結果を見ていきましょう。
学資保険と預貯金シミュレーション1〜100万円を貯める場合〜
【学資保険条件】
・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:10歳まで
・満期年齢:22歳
・満期受取金:100万円
【シミュレーション結果】
・月払保険料:7,770円
・払込保険料総額:932,400円
・返戻率:約107.2%
【定期預金条件】
・年間10万円
・預け期間計:10年間
・預金総額:100万円
【シミュレーション結果】
・月々預金額:8,333円
・満期時定期預金金額:1,001,065円
・約定利率:0.022%
学資保険と預貯金シミュレーション2〜200万円を貯める場合〜
【学資保険条件】
・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:10歳まで
・満期年齢:22歳
・満期受取金:200万円
【シミュレーション結果】
・月払保険料:15,540円
・払込保険料総額:1,864,800円
・返戻率:約107.2%
【定期預金条件】
・年間20万円
・預け期間計:10年間
・預金総額:200万円
【シミュレーション結果】
・月々預金額:16,667円
・満期時定期預金金額:2,001,900円
・約定利率:0.022%
学資保険と預貯金シミュレーション3〜300万円を貯める場合〜
【学資保険条件】
・契約者(親):30歳 男性
・被保険者(子供):0歳 男の子
・払込期間:10歳まで
・満期年齢:22歳
・満期受取金:300万円
【シミュレーション結果】
・月払保険料:23,310円
・払込保険料総額:2,797,200円
・返戻率:約107.2%
【定期預金条件】
・年間30万円
・預け期間計:10年間
・預金総額:300万円
【シミュレーション結果】
・月々預金額:25,000円
・満期時定期預金金額:3,002,908円
・約定利率:0.022%
学資保険への加入を検討した方が良いタイプ
預貯金よりも学資保険への加入を検討した方が良い人はどのような人でしょうか。
以下4つのタイプに当てはまる人は、学資保険の加入を検討してみてください。
預貯金よりも教育資金を増やしたい人
預貯金よりも教育資金を増やしたい人にとっては、学資保険への加入を検討した方が良いでしょう。
中途解約すると元本を大きく割り込む可能性があるリスクを十分と理解した上であれば、結果として預貯金よりも大きなリターンを得ることができる場合がほとんどです。
保障を得たい人
「学資保険のメリット」でもふれましたが、学資保険には「保険料払込免除特約」という死亡保障が付いています。
また、これだけに限らず契約者である親や、被保険者である子の医療保障を付加できる「保障型」と呼ばれる学資保険もあります。
思わぬケガや病気など万一の時に備えたい人にとっては、学資保険が向いていると言えます。
安定的な収入が今後も見込める人
繰り返しになりますが、学資保険は中途解約するとほとんどの場合元本割れを起こします。
ですから、収入が不安定で途中で保険料を払うことができずに中途解約を余儀なくされた場合には、結果として大きな損をすることになります。
契約者である親が会社員などで、今後も安定的な収入が見込める場合には学資保険の加入を検討してみましょう。
預貯金や家計管理が苦手な人
預貯金や家計管理が苦手な人にとっては、自動的(強制的)に保険料が引き落とされる学資保険に加入した方が良いと言えます。
自分の適性を踏まえて、学資保険の方が向いていそうだということであれば加入を前提に各保険会社の学資保険を比較検討してみましょう。
預貯金でお金を貯めた方が良いタイプ
預貯金でお金を貯めた方が良い人は、主に3つのタイプに分けられます。
自営業などで収入が不安定な人
自営業などで収入が年によって、または季節によって大幅に異なる人にとっては、預貯金でお金を貯めた方が良いでしょう。
継続的に決められた額の保険料を支払っていくことに対して何らかの不安がある人は、学資保険でなく預貯金を選択するのが無難です。
元本割れの可能性というリスクを負いたくない人
「学資保険のデメリット」で詳しく紹介しましたが、学資保険はいくつかの理由で元本割れの可能性があります。
それに反して、預貯金であれば元本割れのリスクはほぼありません。
リスクを負わずに確実に教育資金を貯めたい方は、預貯金で教育資金を貯めることを検討してみましょう。
自分で金銭管理したい人
金銭管理が得意で、今までも預貯金でまとまったお金を貯めることが出来ていた方は、このまま継続して教育資金も預貯金で貯めていくのも良いでしょう。
保険会社任せにせず、自分で金銭管理を行いたい人は預貯金が向いているかもしれません。
児童手当を貯金代わりに学資保険へ回すという選択肢も
子供が中学校を卒業するまで、地方自治体から「児童手当」が給付されます。
給付された児童手当を、そのまま貯金代わりに学資保険の保険料に充てている家庭も多くあります。
所得制限がありますが、一般的に0歳〜3歳未満は一律15,000円、3歳〜中学生は一律10,000円が支給されます。
子育ての費用を現状の家計のなかでまかなえるようであれば、児童手当を学資保険の保険料にするという選択肢も検討の価値があります。
学資保険と預貯金やその他の方法を併用する方法もある
「学資保険」か「貯金」のいずれかではなく、その2つを併用したり、なかにはそれ以外の貯金方法を併用しながら教育資金を貯めている家庭もあります。
貯蓄方法を分けることでリスクを分散し、保障を得ながらも利益を追求することができます。
学資保険や貯金以外にも、少額から始めることができる積み立てタイプの投資が現代では多数登場しています。
そうした商品を併用しながら効率的に教育資金を貯めていくことも手段のひとつです。
まとめ
学資保険と預貯金の違いをそれぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介しながら詳しく説明しました。
学資保険は貯金よりも教育資金を増やせる反面、中途解約しづらかったり、加入年齢に制限があります。
貯金は元本割れのリスクがほぼない一方で、銀行預金では低金利でほとんどお金は増えません。
どちらが良いか、または2つを併用するかは教育プランや親の考え方、家計の現状などによります。
この記事でそれぞれの特徴を踏まえて、自分の家庭はどのように教育資金を貯めていくのか検討してみてください!