学資保険で将来200万円準備する方法~FPが教える学資保険200万円シミュレーション
学資保険で準備する満期学資金は200万円から300万円が一般的な金額ということが、調査で明らかにされています。
200万円を子供が0歳の時から22歳満期で貯めようとした場合には、月額約1万円ずつ積み立てていけば貯まります。
この記事では、具体的な調査結果をもとに、学資保険は平均いくらかけるのか紹介します。
さらには、満期学資金を200万円に設定した場合の各社学資保険のシミュレーションをして、保険料や返戻率を比較検討していきます。
そして、保険料の支払い方法を一括払いにするとお得なのか、満期学資金を200万円から300万円に増やした場合に保険料や返戻率がどの程度変わるのかを詳しく説明します。
目次
学資保険は平均いくらかけるの?
ソニー生命保険の2018年度「子どもの教育資金に関する調査」によると、子供の進学費用における準備金の平均支出額は15,437円という結果でした。
仮に月15,000円を0歳から12歳まで払い込んだ場合には、将来的に総支払保険料は216万円、0歳から18歳まで払い込んだ際には、324万円になります。
こうしてみると、学資保険で準備する教育資金の平均は、冒頭で紹介したように200万円から300万円が一般的な金額と言えるでしょう。
学資保険の受取金が200万円だと足りない?
子供1人にかかる教育資金の総額は平均で1,000万円と言われています。
そういう話を耳にすると、学資保険の受取金は200万円では足りないと思われる方もいるかもしれません。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、国立大学で自宅から通学際の教育費は4年間の平均で約524万円となり、下宿の場合には約812万円にのぼりました。
また、私立文系になると、自宅通学は約668万円、下宿は約933万円になります。
さらに、私立理系を選択すると、自宅通学で約809万円、下宿になると約1,074万円と大学4年間だけでも1,000万円を超える結果となりました。
上記の結果から明らかなように、自宅通学の国立大学であっても大学4年間でかかる教育資金の総額は約500万円以上です。
子供のいかなる将来の選択にも応えたいということであれば、学資保険の受取金総額を200万円以上にするか、学資保険の他にも将来の備えをしておくことが懸命と言えます。
ただし、保険料の支払いが可能かなど家計とのバランスを考慮することも大切です。
保険料が途中で支払えなくなってしまい満期前に途中解約をすると、元本を大きく割り込んでしまう可能性があるからです。
ソニー生命が実施した2017年度のアンケート調査によると、学資保険の受取額資金総額は200万円に設定する家庭が最も多く、次いで300万円、100万円に設定するという結果が出ました。
やはり、理想と現実のバランスを考えた時に、200万円から300万円に受取金額を設定する家庭が多いようです。
郵便局かんぽ生命の学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:18歳
【結果】
・月額保険料:9,760円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:211万円
・返戻率:94.8%
かんぽ生命は、返戻率だけ見ると他の会社に比べて下がってしまいます。
ですから、返戻率重視の方にとってはこの学資保険は不向きです。
しかし、かんぽ生命の学資保険は、特約が充実していることに加えて、将来的に利率が良くなった場合に配当金が出る可能性もあることが魅力としてあげられます。
JA共済の学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:9,222円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:199.2万
・返戻率:100.4%
・年払保険料:106,048円
・返戻率:104.7%
払込期間を12歳までにした場合
・月額保険料:13,342円
・返戻率:104.0%
・年払保険料:153,422円
・返戻率:108.6%
JA共済は2017年度に「第9回マザーズセレクション大賞」(主催:特定非営利法人日本マザーズ協会)を受賞している学資保険です。
上の結果を見てもわかるように、支払い期間に応じて高い貯蓄性が可能となる他、保障もバランス良く備わっている点が受賞の主な理由です。
他者の学資保険でも同様のことが言えますが払い込み期間を短く設定したり、月払いを年払いにするだけでも返戻率は大きく変わってきます。
ニッセイの学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:9,555円
・満期学資金:210万円
・払込保険料総額:206.4万
・返戻率:101.7%
・年払保険料:114,212円
・返戻率:102.1%
払込期間を10歳までにした場合
・月額保険料:16,534円
・返戻率:105.8%
・年払保険料:197,638円
・返戻率:106.2%
ニッセイの学資保険の特長は、大学教育資金に特化していることです。
大学の学費は先にもご紹介したように、入学以後の4年間にも大きな金額が必要となります。
また子供の進路選択によって、いつどれだけの費用が必要かは変わってきます。
この学資保険は、学資年金型を選択したあとに受取方法を一括に変更でき、進路選択に柔軟に対応できることもメリットのひとつです。
明治安田生命の学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:15歳まで
・満期:21歳
【結果】
・月額保険料:10,814円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:194.7万
・返戻率:102.7%
払込期間を10歳までにした場合
・月額保険料:15,910円
・返戻率:104.7%
明治安田生命の学資保険は、保険料の払込期間が最長でも15歳となっています。
その分、月額の保険料は他の保険会社と単純比較すると少し高く感じますが、教育費の負担が大きくなる高校・大学以前に支払いを終えておくのは、将来の家計にプラスとなることは間違いありません。
そうした意味では、払込期間が15歳までしか設定できず、子供が15歳になるまでに半強制的に支払いを終えることは、この保険のメリットとも言えます。
フコク生命の学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:17歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:9,614円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:196.1万
・返戻率:101.9%
払込期間を11歳までにした場合
・月額保険料:14,354円
・返戻率:105.5%
フコク生命の学資保険は、払込期間を11歳までにした場合の返戻率は105%を越え、学資保険のなかでも高水準です。
また兄弟割引があることも特長のひとつで、兄弟がいる、もしくは今後兄弟が増える予定のある家庭にとって、この学資保険は一考の価値があると言えるでしょう。
幅広い払込期間から家計に合ったものを選択できるのも、メリットとしてあげられます。
一方で、フコク生命の学資保険には保障特約を付けることができないこと、そして満期が22歳に固定されていることは、加入を検討する際に注意すべき点です。
ソニー生命の学資保険で200万円を貯めるシミュレーション
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:10,814円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:192.7万
・返戻率:103.8%
・年払保険料:106,188円
・返戻率:104.6%
払込期間を10歳までにした場合
・月額保険料:15,540円
・返戻率:107.2%
・年払保険料:185,080円
・返戻率:108.0%
貯蓄性に特化したソニー生命は、返戻率の高さから人気の学資保険となっています。
払込期間を10歳までにして年払いを選択した場合、返戻率は108%となり、この時代の円建て学資保険においてはとても高い利率と言えます。
受取方法によって3つのプランから選択できること、そしてファイナンシャルプランナーと面談をしながらライフプランや教育プラン、家計の現状など総合的な視野で学資保険の設計ができることもこの学資保険における魅力のひとつです。
学資保険の保険金200万円を一括で支払うとどれくらいお得になるかシミュレーション
明治安田生命の学資保険を例に、200万円を一括で支払うとどれくらい保険料が抑えられるのか、また結果として返戻率がどれだけ上がるのか調べてみました。
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:15歳まで
・満期:21歳
【結果】
・月額保険料:10,814円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:194.7万
・返戻率:102.7%
払込期間を10歳までにした場合
・月払い:15,910円
・返戻率:104.7%
一括払い(前期前納払い)の場合
・保険料総額:1,852,475円
・返戻率:107.9%
保険料の支払い総額は、月々の支払いに比べて一括払いの方が約9.5万円お得になる結果となりました。
また、それにしたがって月額払いの返戻率は102.7%、一括の場合には107.9%となり、一括払いを選択した際には返礼率が5.2%アップしています。
学資保険に加入する際に余裕資金のある方、もしくは祖父母や親戚などから教育資金の援助を受けられるということであれば一括で支払った方が返戻率が高くなってお得です。
(教育資金名目であれば、贈与税は1,500万円まで非課税となります。)
一括払いで注意すべき点は、「一時払い」と「前期前納払い」の2種類があることです。
一時払いは、全期間の保険料を一括で保険会社に支払うことをさします。
また、前期前納払いは、全期間の保険料を保険会社に預け、その保険会社が預かった保険料から月々決まった額の運用がなされることを言います。
一時払いは、前期前納払いよりも返戻率は上がります。
一方で、契約者に万一のことがあった場合、以後の保険料払い込みが免除になる「保険料払込免除特約」が適応されないことや、生命保険料控除が一時払いをした年のみの適応となるのが一時払いのデメリットとしてあげられます。
満期時にもらえるお金が200万円と300万円だとどれくらいの差があるかシミュレーション
ここではJA共済の学資保険を例にあげ、満期時にもらえる学資金が200万円と300万円では保険料や返戻率にどれだけの差が出てくるのかをシミュレーションしてみます。
満期保険200万円の場合
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:9,222円
・満期学資金:200万円
・払込保険料総額:199.2万
・返戻率:100.4%
・年払保険料:106,048円
・返戻率:104.7%
払込期間を12歳までにした場合
・月額保険料:13,342円
・返戻率:104.0%
・年払い:153,422円
・返戻率:108.6%
満期保険金が300万円の場合
【契約条件】
・契約者:30歳 男性
・被契約者:0歳 男の子
・払込期間:18歳まで
・満期:22歳
【結果】
・月額保険料:13,833円
・満期学資金:300万円
・払込保険料総額:298.8万
・返戻率:100.4%
・年払保険料:159,072円
・返戻率:104.7%
払込期間を12歳までにした場合
・月払保険料:20,013円
・返戻率:104.0%
・年払保険料:230,133円
・返戻率:108.6%
満期学資金が200万円で月払いの場合保険料は9,222円、満期学資金を300万円にすると月額保険料は13,833円と、ひと月に4,611円の差がでることがわかりました。
年払いの場合、満期学資金200万円の年払保険料は106,048円、満期学資金300万円の年払い保険料は159,072円で、53,024円の差が発生しました。
返礼率は満期の保険金額を200万円から300万円にしても変わりませんでした。
他の保険会社にも言えることですが、満期保険金の金額が多いまたは少ないということは、返戻率に反映されない場合が大半であると言えます。
まとめ
一般的に学資保険の満期学資金を200万円から300万円に設定する家庭が多いことを、この記事では調査結果をもとにご紹介しました。
一方で、実際にかかる大学4年間の教育資金はそれよりも多く、学資保険以外の余裕資金を貯めていくことが子供や親である自分自身の将来のためであることも具体的な金額で明らかにしました。
また、200万円に満期学資金を設定した際の保険料や返戻率などの詳細比較では、保険料や返戻率が会社によって大きく異なっていました。
保険料や返戻率だけでなく、学資金がどのようにもらえるのか、そして保障内容など見るべき指標はたくさんありますが、学資保険の比較検討の参考にしてみてください。
その他、一括払いにすると返戻率が上がる一方でデメリットも存在すること、満期学資金を増額した際に支払う保険料は当然増えますが、返戻率は変わらなかったこともご説明しました。
子供の学資保険は、どの会社を選んで満期学資金をいくらにするのか、この記事をヒントにして決めてみてはいかがでしょうか。