学資保険の選び方〜FPが教える失敗しない学資保険の選び方と9つのポイント
いざ子供の教育資金のために学資保険に加入しようと思っても、たくさん商品があり、いったいどれにすればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
学資保険の選び方は、加入する「目的」を明確にし、「返戻率」を重視して選ぶことで後悔しない教育資金の貯蓄ができると言えます。
ここでは、学資保険の加入の目的や返礼率のことなど、学資保険を選ぶために必要な知識と、選ぶ際のポイントを詳しくご紹介します。
目次
学資保険選び9つのポイント
ポイント1.まずは学資保険に加入する目的を把握しよう
学資保険の主な役割は、「教育資金の積立」と「万一の際の保障」です。
子供の学校は公立にするのか、私立にするのか。
また、いま現在、家に資産がいくらあって、親に万一のことがあった場合、その後にどれだけの教育資金が必要なのかなど、学資保険に加入する前に予め決めておくことがあったり、家計の把握などが必要となってきます。
まずは、現在加入している親自身の保険や、貯金以外の金融資産も含めて家計の現状、教育計画などの家族のライフプランを明確にし、その上で学資保険に加入する目的を把握することが大切です。
貯蓄型の学資保険について
学資保険には「貯蓄型」と「保障型」の2種類があり、貯蓄型は、文字通り教育資金を貯めることに特化した学資保険です。
満期学資金や祝い金が、支払った保険料の合計額よりも上回るもので、計画的に貯蓄をすることが苦手な方でも、子供の成長に合わせて教育資金を準備することが可能です。
また、貯蓄型の学資保険には「金利固定タイプ」と「金利変動タイプ」の学資保険があり、固定タイプの場合は、満期時の元本は保証されますが、将来的に世の中の金利が上がった際は、相対的に利率が低くなるデメリットもあります。
一方、変動タイプの場合は、将来的な利率が期待できる反面、保険料の総支払い額よりも、満期学資金や祝い金の合計額が低くなるリスクがあります。
保障型の学資保険について
保障型の学資保険は、教育資金の積み立てと合わせて、親に万一のことがあった際の死亡保障などが付帯されているものをさします。
親だけでなく、子供が病気やケガで入院・通院した場合、または死亡した場合に保険金が受け取れるものもあり、加入する目的と既に加入している親自身の保険に応じて、保障内容をよく検討するのが良いでしょう。
また、保障型の学資保険は、その保障内容の分だけ保険料が上乗せされます。
ですので、満期学資金や祝い金の合計額は、保険料の総支払い額よりも低くなることもあります。
ポイント2.学資保険選びにおいて返戻率は非常に重要
返礼率とは、支払った保険料に対して、満期学資金や祝い金などの受け取ることができる保険金の総額の割合がどの程度であるかを数字で表したもので、計算式は以下になります。
返礼率(%)=保険金総額(満期学資金+お祝い金)÷払い込み保険料総額×100
この数字が高ければ高いほど、貯蓄性の高い学資保険ということになります。
また、返礼率は同じ学資保険であっても、このあとにご紹介する「払い込み期間」や、契約者、特約の有無、国の金融政策などによっても変わってきます。
ポイント3.いつ保険金を受け取るのかを決めよう
世帯所得に応じて、中学生までは児童手当が支給されること、また、公立高校の授業料は無償化されていることなどから、まとまった教育資金が必要となるのは、やはり大学入学前後と言えそうです。
高校や中学でも私立入学を検討されている方は、祝い金を受け取るプランも検討してみるのも良いでしょう。
また、2020年を4月より、所得制限を設けたうえで私立高校の授業料の無償化もスタート予定です。
少子化に伴い、教育資金を国が援助するという傾向は年々高まりつつあります。
とはいえ、通塾や下宿など授業料の他にも教育資金が膨らむ可能性に備えることが大切です。
ポイント4.いくら保険金を受け取るのかを決めよう
一般的に、もっとも教育資金がかかると言われる私立大学に入学することを考えた場合、いったいいくら保険金を受け取れば良いのでしょうか。
2018年4月に東京私大教連が発表した2017年度の調査では、「受験から入学までの費用」は216万円(自宅外通学者)、「入学の年にかかる費用」は297万円(自宅外通学者)という結果でした。
この金額を考慮して、大学入学前に保険金を受け取るように計画するのも一つでしょう。
この場合、保険金の受取額は200〜300万円前後が目安になると言えます。
子供の進路は親が決められるものではありませんが、最もお金がかかる場合の進路を想定した上で、余裕のある備えをしておくことが、将来の子供のためのみならず親である自分自身のためにもなります。
ポイント5.学資保険の払い込み期間を決めよう
学資保険は、払い込み期間が短ければ短いほど返礼率は高くなり、保険料の割引率も大きくなります。
半年払いや年払い、短期払い、一括払いなどの種類があり、返礼率を高くしたい場合は払い込み期間を短くすることがおすすめです。
ただし、払い込み期間を短くした場合、支払う保険料は当然高くなりますので、家計の現状と照らし合わせながら無理のない支払い期間を設定しましょう。
途中で解約しようとすると、解約返戻金が元本割れする可能性が高くなります。
また、契約者である親が死亡した場合に適応される「保険料支払い免除」も、払い込みが終わると適応外となりますので、そうしたデメリット考慮したうえで払い込み期間を設定してください。
ポイント6.学資保険に加入するタイミングを決めよう
加入するタイミングは、「早ければ早いほどいい」というのが答えです。
なぜなら、満期までの期間が長いということは、支払った保険金を保険会社が運用する期間も長くなりますので、返礼率がその期間の分だけ上がる傾向にあるからです。
多くの学資保険は、出産予定日の140日前から加入することが可能となっています。
また、学資保険には年齢制限が設けられていること、契約者である親自身が若ければ若いほど保険料が安くなる可能性が高くなることなどから、加入するタイミングは早いに越したことはありません。
ポイント7.学資保険の契約者を決めよう
学資保険は、子供の父親が加入するケースが一般的ではありますが、父親と母親のどちらが契約者になれば良いのかは、家庭の状況によって異なってきます。
基本的な決め方としては、「収入がある人」が契約者となるのが望ましいでしょう。
契約者に万一のことがあった際に、それ以降の保険料を支払わなくても、契約時に設定した保険金の全額を受け取ることができるからです。
共働きで、母親も父親と同等かそれ以上の収入がある場合には、女性の方が保険料が安くなることが大半ですので、母親を契約者にして保険料を安くするのも一つです。
また、母親が父親よりも若い、またはその逆である場合は、若い方を契約者にすると、保険料が安くなります。
しかしながら、学資保険以外の保険と同様に病歴などによって、若くても保険料が高くなってしまうこともありますので、その点は注意が必要です。
ポイント8.学資保険の特約を決めよう
学資保険の特約は保険会社によってそれぞれですが、大きく分けると4つあります。
育英年金特約
契約者である親に万一ことがあり、死亡または高度障害になった場合に、保険料の支払いが免除なり、満期になるまで毎月一定額の年金が支給される特約です。
学資保険によってはあらかじめ付けられているものもあります。
また、選択する場合でも少額の負担で付けられるものですので、付けておくことをおすすめします。
ただし、親自身が加入している医療保険の収入保障特約と重複するようであればあえて付ける必要もないでしょう。
医療保険特約
乳幼児の医療費は医療費助成制度が充実しており、なかには中学生まで医療費が無料という自治体もあります。
万が一子どもが大きな病気や怪我をして入院したとしても、「高額療養費制度」という制度もあり、世帯年収によって負担額は異なりますが、世帯年収370万円以上の世帯ですとひと月の自己負担上限額は81,000円になります。
特約をつけるとその分コストがかかり、満期返戻率は下がります。
現状の貯蓄額と照らし合わせ、また、学資保険以外の単体の医療保険などとよくよく比較検討して医療特約をつけるかどうか決めましょう。
傷害特約
傷害特約は、子供に万一のことがあった際に、保険金を受け取ることができる特約のことをさします。
不慮の事故、もしくは特定感染症で死亡した際、主契約の死亡保険金に傷害特約の保険金が上乗せされます。
また、不慮の事故で所定の障害状態になった際には、障害給付金を受け取ることができます。
損害保険単体で加入するよりも一般的に割安ではありますが、後遺傷害の範囲が狭いことがありますので、加入する場合には、保障の範囲をよくみてからにしましょう。
災害特約
災害特約は、子供が不慮の事故、または特定の感染症によって死亡、もしくは所定の障害状態になった場合に保険金が支払われる特約です。
傷害特約と似ているものになりますが、異なる点は、傷害特約は「障害給付金」があるのに対して災害特約にはそれが付加されていない分、特約の保険料も割安になっているということです。
子供に万一のことがあるのは考えたくないものですが、万一の事故や病気が我が子に降り掛かる可能性はないとは言い切れません。
お守り代わりとして付けておいても良い特約のひとつでしょう。
ポイント9.学資保険以外の方法でお金を貯めることも検討しよう
ひと昔前の学資保険は利回りが高く、「教育資金の貯蓄=学資保険」というのが一般的でしたが、現在の学資保険はマイナス金利の影響を受けて低金利であるのが現状です。
また、低金利時に契約した利率が固定されている学資保険は、今後世の中の金利が上がった場合やインフレが起こった際に不利になってしまう可能性があります。
親自身の終身保険には、死亡保障とともに資産形成に活用できるタイプのものがあり、場合によっては学資保険よりも利回りが良いので、学資保険の代わりに加入することもできます。
また、投資経験がない方でも少額で比較的簡単に投資ができる「積み立てNISA」や、月々の積み立てをいくらにするのか決めるだけで、すべて自動で資産形成を行ってくれるロボアドバイザーも近年では登場しています。
ただし、利幅の大きさを期待できる反面、いくらプロやAIが運用するとはいえ、結果的に学資保険よりも不利になってしまう可能性も否定できません。
金融商品の多様化が進む現代において、学資保険だけでなく色々な手段で教育資金が貯蓄できるということも頭に入れておきましょう。
学資保険の選び方は各家庭によって違うけどやっぱり返戻率は大切
子供の教育計画や、ライフプラン、現在の資産などによって学資保険の選び方も、内容も異なってきます。
しなしながら、学資保険選びにおいてどの家庭も「教育資金の貯蓄」という目的は共通しており、そうなると重視すべきものはやはり、「返戻率」です。
まずは返戻率の良さを基準にして、多数ある学資保険商品を比較し、どの会社にするのか絞っていき、その中から特約などを考慮して、子供や契約者である親に合っているものを選んでいくのが懸命と言えるでしょう。
学資保険の選び方シュミレーション1
契約者(親):30歳男性 被保険者(子供):0歳 22歳満期
受取額資金総額:200万円
保険料払込期間:10年
返戻率:107.2%(個別扱月払保険料:15,540円 払込保険料総額:1,864,800円)
返戻率:108.0%(個別扱年払保険料:185,080円 払込保険料総額:1,850,800円)
学資保険の選び方シュミレーション2
契約者(親):30歳男性 被保険者(子供):0歳 22歳満期
受取額資金総額:200万円
保険料払込期間:18年
返戻率:103.8%(個別扱月払保険料:8,916円 払込保険料総額:1,925,856円)
返戻率:104.6%(個別扱年払保険料:106,188円 払込保険料総額:1,911384円)
※2019年2月1日時点の保険料 引用:ソニー生命保険
まとめ
学資保険の選び方とポイントについて、理解は深まりましたか。
学資保険は、まず加入する「目的」を明確にすること。
そして、「返戻率」を重視して選ぶことで後悔しない教育資金の貯蓄ができることを、具体例をまじえながらここではご紹介しました。
とはいえ、先に書いたように払込期間や特約の付加など、ひとくちに学資保険といっても家庭によって決め方は異なってきます。
子供の将来のために、ぜひ早い段階から学資保険の比較検討をしましょう。