がん保険は何歳から必要?何歳まで入れる?必要な年齢をFPがシミュレーション
がん保険には、0歳から加入できる商品があります。
では果たして0歳からがん保険が必要なのか…というと、確率論になるため判断は難しいのですが、少なくとも20代では加入を検討してもいいでしょう。
その理由は、若い世代に多い白血病などのがんは治療費が高額になること、また進行が早く、再発や転移の可能性が高いことなどから、決して無駄とはいいきれないからです。
「でも、かかるかどうか分からないし…」と、がん保険に対して二の足を踏んでいる方に向けて、年代別のリスクデータをもとに、がん保険の必要な年齢をシミュレーションさせていただきます。
また、がん保険は一生必要なものではありません。
ある程度リスクを回避できたら、不要になる可能性もあります。
何歳から必要で、何歳まで加入ができるかを知り、納得できる方法で加入検討してみてください。
目次
年齢別に見るがんになる確率とがん保険加入率
国立がん研究センター 2019年の「最新がん統計」によると、2017年にがんで死亡した人は、373,334人です。
多いと思いますか?
それとも予想より少なかったでしょうか。
このざっくりとした「約37万人」という数字をもう少し紐解いてみましょう。
がんで死亡した人の男女比は
・男性 220,398人
・女性152,936人
となっています。
がんで「亡くなる」のは、男性の方が目に見えて多いことが分かりますね。
では、死亡ではなく「がんにかかる確率」はどうでしょうか。
同じく国立がん研究センターの統計によると、以下のようになっています。
男性のがん罹患リスク
現在10歳の男性が、40年後(50歳時) にがんにかかる確率=2%
現在20歳の男性が、40年後(60歳時) にがんにかかる確率=7%
現在30歳の男性が、40年後(70歳時) にがんにかかる確率=20%
現在40歳の男性が、40年後(80歳時) にがんにかかる確率=41%
さすがに20歳以下では確率は低いのですが、40歳の人の4割ががんにかかる可能性を秘めている…と考えると、少し恐ろしいですね。
もう少し上の年齢を見てみましょう。
現在50歳の男性が、10年後(60歳時) にがんにかかる確率=5%
現在60歳の男性が、10年後(70歳時) にがんにかかる確率=15%
現在70歳の男性が、10年後(80歳時) にがんにかかる確率=29%
同じ「70歳時」でも、現在の年齢によって可能性の%が違うのは、食生活や生活スタイルに由来しています。
女性のがん罹患リスク
現在10歳の女性が、40年後(50歳時) にがんにかかる確率=5%
現在20歳の女性が、40年後(60歳時) にがんにかかる確率=10%
現在30歳の女性が、40年後(70歳時) にがんにかかる確率=18%
現在40歳の女性が、40年後(80歳時) にがんにかかる確率=28%
男性より、若いうちにかかる可能性が若干高いですね。これは、子宮がんなど女性特有のがんは、20代からリスクが高まるためです。
現在50歳の女性が、10年後(60歳時) にがんにかかる確率=6%
現在60歳の女性が、10年後(70歳時) にがんにかかる確率=9%
現在70歳の女性が、10年後(80歳時) にがんにかかる確率=14%
女性は、高齢になってからのがんリスクが男性よりもグッと低くなります。
とはいっても、リスクがゼロではありませんから、安心はできません。
がん保険 年齢別加入率
国民病ともいえるがんですが、すべての人ががん保険に加入しているかというと、そうではありません。
生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、がん保険(がん特約)への加入率は、37.8%となっています。
約4割の人が、がん保険に加入しているということですね!
この数字は、少しづつですが毎年伸びてきています。
芸能人のがんカミングアウトや、闘病生活などのニュースを見て「私も入っておいた方がいいかも…」と思う人も、増えているようです。
がん保険に早期加入するメリット
では、がん保険は、いつ加入すればよいのでしょう。
まずは、がん保険に早期加入するメリットを見ていきましょう。
保険料が割安で済む
当然ですが、がんにかかるリスクが高まるとともに、保険料は高くなっていきます。
たとえば、20歳の女性なら月々2,680円で加入できる商品も、同じプランに30歳で加入すると3,673円、40歳だと5,612円…と、うなぎのぼりに保険料が上がっていきます。
そのため、1歳でも早く加入する方がお得です。
特に終身型のがん保険なら、加入時の保険料は一生変わりません。
「加入できない」がない
いざ、がん保険に加入!となっても、健康状態によっては加入できないこともあります。
特に30歳を超えて、健康診断で何かしらの引っ掛かりが出てきた人は要注意。
それががんではなくても、「がんリスクが高い」と見なされると、契約に条件がついてしまうことも…
健康不安のないうちの早期加入は、「入れない」という万が一のリスクを回避します。
長引く治療、高額な治療に備えられる
罹患率は低いとはいえ、若いうちのがんの危険性は、誰しもが持っています。
若い人のがんは、身体が元気な分、進行が早く、治療も長引きがち。
また再発や転移の危険もあるため、若い人だからこそ、治療費がかさむ…ということもあり得るのです。
また比較的若い人に多い、白血病など血液のがんは、それ以外のがんにくらべて治療費が倍近くかかる可能性も秘めています。
そう考えると、がん保険への早期加入はメリットがたくさんあるのです。
がん保険に早期加入するデメリット
がん保険に早期加入するデメリットは、「がんにかからなかったとき、保険料を全額捨てることになる」ということでしょう。
いくら早期加入の保険料が割安だからといっても、毎月、毎年の積み重ねは、そこそこの金額になります。
そのため、「何十年も保険料を支払っていたのに、結局使わなかった…」という話が出てくるのです。
しかし、がんになって保険金を受け取り、「ラッキー!」と大喜びをする人はいないでしょう。
保険とは、「かからなくて良かった」という安心をお金で買うものでもありますから、早期加入のデメリットはそうそう多くはなさそうです。
がん保険は何歳まで入れる?がん保険と年齢制限
がん保険は、何歳から加入できるのでしょうか。
加入可能年齢は、商品によって異なりますが、実は0歳から加入できる商品もたくさんあります!
上限もさまざまです。
各会社、75歳まで、80歳までなどの加入制限を設けていますが、意外と高齢になっても加入できる商品があります。
たとえば、以下のような感じですね。
商品A:0歳〜75歳
商品B:20歳〜69歳
商品C:20歳〜80歳
「一生涯、がんの保障を」というような終身保障の商品では、上記のような設定がされていることが多いといえます。
逆に、支払い方法によって上限が決められているケースもあります。
「60歳までに保険料を支払い終えるプラン」などのケースでは、50歳までに契約が必要など、年齢上限が低くなっています。
いいな!と思うがん保険を見つけても、年齢で加入できなければ意味がありません。
まずはその商品が何歳から何歳まで加入できるかを調べる必要があります。
がん保険の加入を遅らせるメリット
がん保険に入るのを、遅くすることにメリットはあるのでしょうか。
あくまで「健康なまま」という前提ですが、ふたつのメリットが想定できます。
ひとつ目は、最新の保障内容の商品を選べることです。
がんの治療は日進月歩。
新しい手術や、抗がん剤がどんどん開発されています。
また、公的な健康保険の制度も変わっていきますので、その時代の最新に沿ったがん保険を選ぶことができるのです。
たとえば、30年前のがん保険は、今の治療に対応していないことがあります。
当時はがんといえば「切る」しかありませんでしたから、数十種類の手術にしか対応できておらず、最新の治療を受けても保険がおりないことも…。
がん保険への加入を遅らせて、必要なときに最新の商品に加入すれば、そのような事態は防げます。
ふたつ目は、生涯保険料を抑えることができるかもしれない、ということです。
しかし、年齢が上がってからの加入は保険料自体が割高なので、これには「かなり安めのがん保険に加入した場合」という条件がつきます。
がん保険の加入を遅らせるデメリット
がん保険の加入を遅らせるデメリットについて考えてみましょう。
まず、全体的な保険料が高くなっているはずです。
人生にはいろいろありますから、がん以外の生命保険や医療保険、介護状態になったときの保険も欲しくなるかも知れません。
そうなったら、がん保険にだけ大きな予算はさけませんから、家計への負担が大きくなってしまうでしょう。
さらに、年齢を重ねてしまうと、健康状態への不安がどんどん大きくなってしまいます…。
健康診断では何も問題がなくても、たまたま受けた別の治療で、がんの可能性を指摘されることもあります。
また急性心筋梗塞などで急に倒れ、保険自体に新規加入できなくなってしまう…というリスクも否定できません。
そうなったら、がんにかかった後の経済的負担はかなり大きなものになります。
月々数千円の保険料をケチって、100万単位の治療費に泣く…ということは避けたいですね。
がん保険は何歳まで必要?がん保険の解約を考えても良いタイミングと年齢
次に、がん保険がいつまで必要かを考えてみましょう。
当然ながら、がんのリスクは高齢になるほど上がります。しかし、高齢になるほど、医療費が安くなったり、貯蓄が十分に貯まっていたり…と、若いときとは条件そのものが違ってきます。
後期高齢者医療制度がある
75歳を超えた「後期高齢者」の人は、公的な医療費の負担が1割になります。
つまり、がんに100万円の治療費が必要でも、自分で支払うのは10万円で済むということですね。
そうなると、月々数千円の保険料は無駄になるかも知れません。
また、数本の医療保険に加入している場合は、不要な分の解約を検討した方がいいケースも出てくるでしょう。
年金が受け取れている
高齢で、年金生活をしている場合は、そこから保険料を支払うのではなく、直接医療費として支払った方が得になるケースもあります。
仕事をしている現役世代では、がんの治療で仕事を休んだり、収入が減ってしまったときにも備えてがん保険を検討しなくてはなりません。
しかし年金生活では、治療に時間が取られても、年金自体は定額でもらえますよね。
貯蓄がある、家族に頼れる
老後資金がある程度たくさんあり、治療費や入院・生活のサポートを子どもや親族に頼める…という場合も、がん保険の不要度は上がります。
保険料を口座引き落としにしていると、意識しないうちに支払いが済んでしまいます。
そのため、がん保険が不要になっても、解約せずに支払いを続けている高齢者が多いのも事実です。
「何歳までがん保険が必要か」は、家計や状況を総合判断して、不要だな…と思ったら解約を検討することも、選択肢のひとつです。
年代別の保険料のシミュレーション
ここからは、10代から50歳以上までのそれぞれの世代ごとに、具体的な保険料の支払額と受取額がいくらになるのか、実際にシミュレーションしてみました。
ぜひあなたの年代で加入した場合を参考にしてみてください。
10代でがん保険に入った場合の毎月の保険料や支払総額と受け取りシミュレーション
10代でがん保険に加入しておくことは、決して無駄ではありません。
加入年齢:18歳女性
月々の保険料例:1,288円
70歳までの保険料総額:803,712円
がん診断時に受け取れる給付金:50万円
入院15日で受け取れる給付金:75,000円
手術で受け取れる給付金:10万円
月々の保険料を抑えたまま、しっかりした保障を持つことができます。
女性の場合は、ここに女性特定疾病の特約などをセットしておくことで、長期間にわたる安心をキープできそうです。
20代でがん保険に入った場合の毎月の保険料や支払総額と受け取りシミュレーション
加入年齢:25歳男性
月々の保険料例:1,558円
70歳までの保険料総額:841,320円
がん診断時に受け取れる給付金:50万円
入院15日で受け取れる給付金:75,000円
手術で受け取れる給付金:10万円
25歳男性でも、まだまだしっかりした保障に割安で加入できそうです。
がんリスクはまだない年齢ですが、そのあとの結婚などを想定すると、1円でも安い保険料のうちに加入しておくことは、間違いではありません。
30代でがん保険に入った場合の毎月の保険料や支払総額と受け取りシミュレーション
30代では社会的責任も増えてきます。
そのため、しっかりした内容のがん保険を検討することが必要になってきます。
加入年齢:35歳男性
月々の保険料例:4,084円
70歳までの保険料総額:1,715,280円
がん診断時に受け取れる給付金:100万円
入院15日で受け取れる給付金:15万円
手術で受け取れる給付金:20万円
一時金は、家計にかかる負担や、仕事を休んで大丈夫かなどの個人的条件によって必要額は変わります。
もし不安があるなら、100万円といわず、多めに設定しておきましょう。
40代でがん保険に入った場合の毎月の保険料や支払総額と受け取りシミュレーション
40代は人生の中でも大事な時期。
この年代で、経済的に困窮してしまうと、社会復帰も難しいかも知れません。
そのためある程度しっかりしたがん保険が必要です。
ただし、他にも医療保険に加入している場合は、保険料の負担を下げるため、もう少しライトなプランも検討してみましょう。
加入年齢:45歳男性
月々の保険料例:6,316円
70歳までの保険料総額:1,894,800円
がん診断時に受け取れる給付金:100万円
入院15日で受け取れる給付金:15万円
手術で受け取れる給付金:20万円
40代で何もなかったら、がん保険をそのうち解約するという選択肢もあります。
しかしリスクが高いうちは、安心料だと思っておきましょう。
50代でがん保険に入った場合の毎月の保険料や支払総額と受け取りシミュレーション
人間ドックの結果で、何かしら見つかる年代です。
そのため、貯蓄額や家族の状況に合わせて、保障をキープしておくことも大切です。
女性の場合は乳がんリスクが高まるため、治ったあとのことも考えなくてはいけません。
加入年齢:55歳女性
月々の保険料例:5,157円
70歳までの保険料総額:928,260円
がん診断時に受け取れる給付金:50万円
入院15日で受け取れる給付金:75,000円
手術を受けて受け取れる給付金:10万円
外見ケア特約で受け取れる給付金:部位によって10万円・20万円
がん保険に何歳から加入するかは価値観によって様々
少し前まで、「がんは、死ぬ病気」でした。
しかし最近では「がんは、治る病気」に変わってきています。
周りにも、がんを克服して社会復帰されている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
そのため、がん保険に何歳から入るか…というのは、「自分ががんになったとき、どのような治療法で、どう生きていきたいか」を考えることでもあります。
その価値観はさまざまです。
家族にがんの人がいるかどうか、また、保険料に対しての考え方によっても違ってくるでしょう。
しかし、すべての人にお伝えしたいのは、「未加入のままがんにかかって、後悔した」という状況を避けて欲しい、ということです。
がんの治療に、「節約」という考えは不要です。
まずは自分が納得した治療に、経済的不安なく取り組めるように、がん保険の加入時期についてしっかり考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
がん保険は、0歳から加入できる、ということが分かりました。
そして、若くても、がんにかかる可能性は誰しもが持っていることもデータから見て取れましたね。
がん保険に何歳から加入するかは、その人の価値観によりますが、日本人の半分が1回はかかるといわれる病気です。
もしあなたが、がん保険に加入していない約60%に入っているのなら、治療費やリスクについてちょっと真剣に考えてみてはいかがでしょうか?