学資保険は元本割れしない?元本割れする学資保険のメリットと元本割れしない学資保険8選
学資保険は支払った保険料よりも必ず保険金が多くなるというわけではなく、元本割れを起こしてしまう可能性があります。
その理由はさまざまです。
この記事では、まず学資保険が元本割れをする主な理由を4つ紹介します。
そして、たとえ元本割れをしてもメリットがある学資保険の中身と、元本割れをしない学資保険についても返礼率を比較しながら詳しくご紹介します。
目次
学資保険の元本割れするのはなぜ?4つの理由を解説
元本割れとは、支払った保険料の総額に対して、受け取る保険金総額が少なくなってしまうことを言います。
学資保険で元本割れを起こしてしまうのは、主に以下の4つの理由があげられます。
マイナス金利の影響で返戻率が下がった
ひと昔前までは、学資保険の利率はとても良く、「教育資金の貯蓄=学資保険」という考えが一般的でした。
しかし、 2016年1月に日銀が導入した「マイナス金利政策(民間の金融機関が日銀に預けている預金金利をマイナスにする政策)」により、学資保険の返戻率は大幅に下がってしまいました。
かつて学資保険の標準利率は、2001年から2013年まで1.5%という水準が保たれていたのです。
ですが、不景気の煽りを受ける形で標準利率も少しずつ下がり、2017年4月以降はマイナス金利の影響で0.25%まで下がっているのが現状です。
途中解約すると元本割れする
学資保険は、途中解約すると元本割れする可能性が高くなります。
また、大半の学資保険は、設定した満期に対して解約する時期が早ければ早いほど元本を大きく割り込みます。
ですから、学資保険に加入する際は、途中解約することのないようにすることが大切と言えます。
具体的には、支払うのに無理のない保険料の設定と、不測の事態に対する金銭的な備えをしておくことで、途中解約という事態を避けることができるでしょう。
加入する子供の年齢によっては元本割れする
学資保険に限らず保険商品は、保険会社が契約者から預かった保険料を、国債などを売り買いすることで運用した利益で保険金を支払っています。
ですから、学資保険においても運用期間(契約から満期までの期間)が長ければ長いほど利率が良くなるのが一般的です。その反対に、運用期間短いと元本割れを起こしてしまう可能性があります。
加入する子供の年齢によって、元本割れするのはこのためです。
同じ学資保険であっても、子供が0歳時に加入した場合、元本を上回る保険金を受け取ることができても、2歳の時に加入した際には元本割れをしてしまうということもあります。
学資保険に加入することは、出産予定日の140日前から可能となっています。
加入する時期が早いほど利率は上がりますので、学資保険の加入は早いに越したことはありません。
為替の影響で外貨建ての学資保険は元本割れする可能性がある
外貨建ての保険商品が近年多数登場し、学資保険においても人気商品のひとつとなっています。
外貨建て学資保険のメリットは、運用する国の標準利率が適用されることです。
先に紹介したように、マイナス金利の影響で日本における学資保険の標準利率は0.25%とかつてない低水準です。
日本がこのような状況ですから、外貨建ての学資保険の方が、利率が良いことがほとんどです。
しかし、たとえ外貨建て学資保険の利率が良くても、為替の変動によって保険料や保険金も変わってくることがあります。
それが外貨建て学資保険のさらなるメリットでもあり、同時にリスクでもあります。
加入時から円安に為替相場が進行した際には返戻率も上がりますが、円高に進んだ場合には返戻率が下がり、元本割れの可能性も出てきます。
満期時の為替次第で保険金をもらう時期を延ばすこともできますが、大学の入学資金など決まった時期に保険金を充てる予定で外貨建ての学資保険に加入するのであれば、為替リスクを考慮する必要があります。
ただし、保険金はドルでも受け取ることができるため、子供が海外留学をするということであればドルのまま利用できます。
その場合は例え保険加入時から為替が円高に進んだとしても、為替リスクを避けることが可能です。
郵便局かんぽ生命の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・全期間払込 18歳満期
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:14,460円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:316万
・満期返戻率:94.9%
かんぽ生命の学資保険は、払込期間を「12歳まで」と短くしたとしても、保険金は元本を割ってしまう結果となりました。
したがって、返戻率重視の方にとってはかんぽ生命はおすすめではありません。
アフラックの学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・全期間払込 18歳満期
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:14,430円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:311.7万
・満期返戻率:96.2%
かんぽ生命と同じく、アフラックの学資保険も元本割れをする結果となりました。
アフラックの学資保険で特筆すべきは、「幅広い受取総額」です。
他の学資保険は受取総額の設定の幅が狭いのですが、アフラックの場合は120万円から1,500万円まで受取総額を設定することができます。
医学部への入学や海外留学など、教育費が高額になる可能性が高い方は、検討の余地がありそうです。
JA共済の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・払込終了年齢:18歳
・22歳満期(学資金支払開始年齢:18歳)
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:13,833円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:298.8万
・満期返戻率:100.4%
かろうじて満期返戻率が100%を上回りました。
同条件で月払いを年払いにすると、 返礼率が104.7%とぐんと上がります。
JA共済の学資保険は、母親が役立つと思ったものに投票することで選出される「マザーズセレクション大賞」受賞歴があります。
貯蓄性と保障の充実が受賞の理由で、2019年現在では人気の学資保険のひとつです。
日本生命の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・全期間払込 18歳満期
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:13,350円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:288.4万
・満期返戻率:約104.0%
日本生命の学資保険は、返礼率の良さが際立ちました。
子供の大学入学にあたる年齢から毎年1回、合計5回に分けて「学資年金」という年金型で保険金を受け取る設計になっています。
初年度が100万円、翌年以降の残り4回が50万円といった具合に、入学時の受け取り金額を高くできることも魅力の一つです。
住友生命の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・払込終了年齢:18歳
・21歳満期
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:13,764円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:297.3万
・満期返戻率:100.9%
返戻率は、JA共済に比べてわずかに上回る結果となりました。
満期を22歳に設定すると、中・高・大学進学時、そして22歳時に保険金を受け取ることができます。
住友生命の学資保険には、子どもの死亡保障が付いています。
保障型の学資保険には付いているものですが、貯蓄型の学資保険で元本割れをせずに子どもの万一の保障が付帯されているのは珍しいと言えます。
また、満期金の設定が細かくできること、そして特約が充実していることも住友生命の学資保険の特長としてあげられます。
明治安田生命の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・払込終了年齢:15歳
・21歳満期(学資金支払開始年齢:18歳)
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:15,995円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:288.2万
・満期返戻率:104.1%
明治安田生命の学資保険は、払込終了年齢が15歳までの設定だったため、比較条件が他社と少し異なります。
とはいえ、月払の保険料がその分高額になることもなく、返戻率も良いので一考の価値ありの学資保険です。
ソニー生命の学資保険は元本割れする?返戻率シミュレーション
【契約条件】
・被保険者:0歳 男の子
・契約者:30歳 男性
・全期間払込 18歳満期
・学資祝い金:なし
【結果】
・月払保険料:13,374円
・受取保険金総額:300万
・払込保険料総額:288.9万
・満期返戻率:103.8%
ソニー生命の学資保険は、この条件の場合においては日本生命と明治安田生命(※払込期間の設定条件が異なります)よりも返礼率は落ちました。
しかし、ソニー生命の学資保険は貯蓄性に重きが置かれたもので、返礼率の高さから人気の学資保険です。
払込期間など条件を変えればより高い返礼率が見込めます。
満期保険金を受け取る時期や、払込期間を柔軟にカスタマイズできることも人気の理由であり、販売時はライフプランナーのコンサルティングとともに綿密な計画を立てた上で、加入します。
元本割れをする学資保険にもメリットはある
先ほどのシミュレーションでも明らかなように、会社によって学資保険は、満期保険金が元本割れをしてしまうことがあります。
しかし、たとえ元本割れをしても、総合的に見るとその学資保険にメリットがあるケースもあります。
例えば、郵便局のかんぽ生命の学資保険は、返戻率が他の学資保険と比較すると低い結果となっていますが、特約の内容が学資保険の中では充実しています。
さらに将来的に利回りが良くなれば契約者配当金(保険会社が予定よりも高い利回りで運用できた際に分配される余剰金のこと)がもらえる可能性もあります。
そして、アフラックの学資保険はクレジットカードで保険料の支払いができます。
クレジットカード払いができる学資保険は少なく、クレジットカードのポイント還元率が高い場合には、保険料の支払いに対してかなりのポイント還元を受けることが可能です。
返戻率は学資保険選びの際に見るべき大切な指標の一つではあります。
しかしながら、返戻率だけでどの学資保険かを選ぶことは、将来的、または教育プランやライフプランを考慮した上で考えると、ベストな選択と言い切れないのが学資保険選びの難しいところです。
元本割れしない為に!学資保険の返戻率をあげる3つの方法
払い込み期間を短くする
同じ学資保険でも、払い込み期間を短くすると返戻率は上がります。
保険会社が保険料を元手にして運用して増やしたお金を、保険金として被契約者に支払うため、運用期間が長ければ長いほど返戻率が良くなるのです。
月払いよりも年払い、年払いよりも一括払いを選択することで満期時の返戻率を上げることができます。
ただし、一括で払い込んだあとに契約者である親に万一のことがあった場合、保険料が返ってきません。
そして、生命保険料控除が一括払いでは、払い込んだ年のみだけになります。
そうしたデメリットも考慮した上で、払込期間の設定をしましょう。
親や子供が若いうちに加入する
契約者である親や、被契約者である子供が若ければ若いほど返戻率は上がります。
親が若い場合には死亡リスクが少なくなるため保険料が安くなる傾向があります。
また、子供が小さいうちに加入すると良いのは、運用期間が長くなるためです。
学資保険は、出産予定日140日前から加入することができますので、加入するのは早ければ早いほど保険料
が安くなり、返戻率が良くなる可能性が高くなります。
特約を付加しない
「災害特約」などの特約を付加すると、保険料が上乗せされますので、返戻率は下がります。
学資保険の目的が教育資金の貯蓄のみで、返戻率を何より重要視しているということであれば、特約を付けないようにすると良いでしょう。
その場合には特約の保障内容を、学資保険ではない医療保険などでカバーすることをおすすめします。
まとめ
学資保険とひとくちに言っても、会社ごとに返戻率や特約の内容が大きく変わってきます。
なかには、元本割れしてしまう学資保険もあること、同じ学資保険でも加入時期や払込期間、特約
内容次第で元本割れを起こす可能性があることを今回詳しく解説しました。
元本割れしない学資保険を選ぶことが必ずしも最善であるとは言えず、学資保険の返戻率よりも保障を重要視することも、学資保険選びのひとつの選択ではあります。
学資保険は、加入する目的を明確にしたうえで、早めの比較検討を十分にした上で後悔のないよう加入しましょう。