学資保険とジュニアNISAの違いと併用するメリット・デメリットをFPがシミュレーション

2024.07.16

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「ジュニアNISA」でも将来の子どもの教育費を積み立てることができます。

これは、投資信託などに投資した場合に発生した利益が非課税になるという制度で、毎年800,000円まで投資でき、投資可能期間は2024年までとなっています。

他の金融商品では通常約20%の税金が課税されるため、この非課税になるメリットは非常に大きいものです。

一方デメリットもあり、原則18歳まで払い出しできないため、学資保険のように小学校・中学校・高校入学時の受け取りはできません。

さらに、損失を被る可能性もあるため、学資保険のように確実には貯めていけません。

加えて、出産前の利用開始もできません。

ジュニアNISAは、「より収益性を求めて教育費を積み立てていきたい人」や「お金に余裕のある人」におすすめできるものと言えます。

この記事内では、学資保険とジュニアNISAを併用した場合のシミュレーションもご紹介しています。

最後にはおすすめの証券会社も3つご紹介しています。

ぜひ自分にぴったりの教育費の積立方法を見つけていきましょう!

目次

教育費を積み立てるなら「学資保険」?「ジュニアNISA」?

教育費を積み立てる方法として、昔から多くの人が利用しているのが学資保険です。

私の母も当時学資保険に加入して、私が大学へ進学するときに受け取った保険金を利用して入学金や授業料などに充てました。

さらに、私の妹の場合も同様でした。

大学進学資金を用意するために学資保険に加入しているお父さん、お母さんの割合はおよそ50%と多くの人が利用しています。

その一方で、近年返戻率の低下の影響で、「本当で学資保険でいいのかな?」と不満に思っている人は多いと思います。

そんな中で、「「ジュニアNISA」でこれから積み立てていこうかな?」と考えているお父さん、お母さんもいると思います。

「ジュニアNISA」はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、非常に魅力の多い制度です。

まずは、学資保険とジュニアNISAのそれぞれの特徴とメリット、デメリットについて解説していきます!

学資保険の特徴とメリット・デメリット

まずは学資保険についての理解を深めていきましょう。

すでにどういった保険か知っている人は多いと思いますが、今一度確認していきましょう。

学資保険とは、子どもの教育費を貯めていくためのものとして、各社が販売している保険です。

会社によっては「こども保険」としているところもあります。

出産前か出産後に加入し、10歳まで・15歳までと一定期間保険料を払い込んでいきます。

子どもが0歳のときに加入し10歳まで払い込んでいくと、10年間、1歳で加入し10歳まで払い込んでいくと9年間の保険料払込期間となります。

保険料払込期間は〇年間と設定されているのではなく、あくまで「〇歳まで」と設定されています。

ですので、加入した子どもの年齢によってその年数は変わってくるのです。

一定期間払い込んだのち、高校入学時や大学入学時など、加入した時に決めた受取時期になったら保険金が受け取れます。

1番多いのは大学入学時や在学時の4年間で受け取れるものです。

商品によっては小学校・中学校の時期のものもあります。

そして、メリット・デメリットについては、以下の表をご覧ください。

メリット デメリット
①契約者の万一の保障がついている。

②子どもの医療特約など保障性を高めることができる。

③加入時に決めた金額を確実に用意できる。

④受け取れる時期を自由に選べる。

⑤生命保険料控除で所得税・住民税の負担を軽くすることができる。

⑤現在の返戻率ではお金を多く増やすことができない。

⑥保険金を受け取るときに税金が課せられることもある。

⑦中途解約はできるが損をする可能性がある。

①学資保険の最大のメリットは、「契約者が死亡・高度障害になったときに以後の保険料の払い込みがなくなり、保障は継続する」ことです。

この契約者の保障は各社のほとんどの商品・プランに自動的についています。

一部この保障のない商品・プランもあるので、この契約者保障が要らないと感じたらそういった商品・プランを選ぶと良いでしょう。

ただ、お父さん、お母さんの万一の保障というのは他の方法で教育費を積み立てていく場合にはない特徴ではあるので、学資保険に加入するなら万一の保障のついている商品・プランを選ぶことを個人的にはおすすめします。

②学資保険は払い込んだ保険料よりも多い保険金を受け取れる商品です(返戻率が100%以上の場合)。

例えば、合計1,950,000円払い込んでいき、2,000,000円の保険金が受け取れるということです。

一方で、商品によっては子どもの医療特約などを付加して保障性を充実させることができます。

さらに、育英年金といって親が死亡や高度障害になったときに、満期になるまで育英年金を受け取れる特約を付加できる商品もあります。

こういった保障を付加することで、教育資金を積み立てていく上でより安心感が増します。

すべての商品でこういった保障・特約を付加できるわけではありませんが、「子どもが入院したときの保障もあった方が助かる!」という人は検討してみるのもアリでしょう。

③学資保険では加入時に保険金額を設定します。

設定できる金額は商品によって異なります。

各社のホームページで契約例として紹介しているのは、2,000,000円や3,000,000円が多いです。

加入時に保険金額を設定しなければならないため、将来いくら必要になるのかをあらかじめ調べておく必要があります。

教育費はどのくらいかかるかについては、のちほど解説していきます。

④商品によって保険金の受取時期は異なります。

先ほど述べたように大学時に合わせた商品が多いですが、小学校・中学校・高校の時期に合わせて受け取れるものもあります。

なので、学資保険は「大学まで進学したい人にだけ向いている」ものではなく、大学には進する予定のない人にも向いている商品と言えます。

⑤学資保険は生命保険料控除の対象となります。

これから加入し、保険料を毎月15,000円、年間で180,000円払い込むとなると控除額は40,000円となります。

以下がこれから加入する場合の控除額になります。

年間の保険料 控除額
20,000円以下 支払った保険料の全額
20,001円~40,000円 支払った保険料×1/2+10,000円
40,001円~80,000円 支払った保険料×1/4+20,000円
80,001円~ 一律40,000円

例えば、保険金額が低く払込期間も長いプランに加入するとして、毎月5,000円、年間で60,000円となると、控除額は「60,000円(支払った保険料)×1/4+20,000円=35,000円」となります。

ただ、注意点としては、すでに他の死亡保険に加入し生命保険料控除の枠を全て使い切っていたら、新たに学資保険を加入したことによる生命保険料控除の恩恵は受けられないことになります。

⑤マイナス金利の影響で返戻率が下がったことで、数年前と比べて貯蓄性の低い保険になってしまいました。

もちろん銀行の普通預金に預けているよりもお金を増えていきます。

ただ、中には元本割れしている商品もあります。

先ほど、医療特約を付加することができるとご紹介しましたが、こういった特約を付加して保障性を重視することでより返戻率は下がってしまいます。

⑥さらに学資保険では保険金を受け取る際に、税金が課せられることがあります。

契約者・受取人を同じ人で設定した場合には、所得税・住民税の課税対象となり、一括で受け取る場合には一時所得、数回に分けて受け取る場合には雑所得としてかかることもあります。

例えば、契約者・受取人がお父さんで、保険金額2,000,000円を500,000円ずつ4回に分けて受け取る、保険料総額1,950,000円の契約をしたとします。

この場合、「雑所得=年金年額500,0000円-(保険料総額1,950,000円÷保険金額2,000,000円×年金年額500,000円=12,500円」となり、この12,500円に対して税率が加算され税金額が求まります。

⑦また、保険料払込期間中に解約すると、元本割れする可能性が非常に高くなります。

保険契約をする場合、設計書(見積書)に「〇年後に解約したら、〇円返ってくる」と記載されています。

中途解約しないためにも、保険料は毎月払っていけるものかしっかり吟味して加入しましょう。

参考サイト⇒金融庁「No.1140 生命保険料控除」

ジュニアNISAの特徴とメリット・デメリット

次に、ジュニアNISAについて学んでいきましょう。

ジュニアNISAとは、「未成年少額投資非課税制度」のことで、その名の通り、投資信託等に投資した場合に得た利益が非課税になる制度です。

普通金融商品となると、受け取る利益に対して20.315%の税金が課せられます。

NISAには「通常のNISA」「つみたてNISA」そして「ジュニアNISA」があります。

それぞれ利用可能な年齢や投資できる金額・期間などが異なります。

ジュニアNISAの場合、投資できる金額は毎年800,000円までとなっています。

この制度の投資できる期間は2024年末までとなっているため、例えば、2019年以内に始めたとすると、最大の4,000,000円(800,000円×5年間)まで利用できます。

これから子どもが生まれ2020年から利用するとなると、3,200,000円まで利用できます。

それでは、メリット・デメリットを知って、理解を深めていきましょう!

メリット デメリット
①譲渡益や配当金などは非課税扱いとなる。

②5年間の非課税期間が終了しても20歳まで非課税で運用できる。

③原則18歳になるまで払い出しができない。

④元本保証はされていない。

⑤金融機関は変更できない。

⑥子どもが生まれてからしか始められない。

①特徴でも述べたように、投資信託等をジュニアNISAで保有するとそれによって生まれた譲渡益や配当金などは非課税の扱いとなります。

学資保険は税金が課せられる可能性もある一方で、ジュニアNISAは発生した利益に対して税金がかからないため、これは大きなメリットと言えます。

例えば、他の金融商品で100,000円の利益が発生したとすると、20,315円の税金がかかります。

②非課税期間は最長で5年となっています。ですが、この期間が終わっても「継続管理勘定」へ移行することで、20歳まで非課税で運用することができます。

つまり、子どもが0歳で始めるとすると20歳まで非課税で運用できるということです。

③しかしジュニアNISAは原則18歳まで払い出しできないのが大きな難点になります。

払い出しできないわけではありませんが、18歳になるまでに払い出ししてしまうと課税され、口座も廃止となります。

具体的には「3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日以降の払い出し」となります。

そう考えると、小学校・中学校・高校入学時には間に合いません。

大学入学時の受験料の納付にも間に合わない可能性もあります。

この点学資保険と比べると、使い道を制限されてしまう制度とも言えます。

④さらに、株式・投資信託等で運用していくため、大きく損失する可能性もあります。

学資保険のように、「確実に」教育費を積み立てていけるものではないことも覚えておかなければなりません。

⑤利用を開始してから金融機関の変更もできません。

ジュニアNISAを取り扱っている金融機関(証券会社・銀行など)は沢山あります。

最後に「おすすめの証券会社」もご紹介していきますが、各金融機関によって手数料や取り扱う商品数は異なります。

例えば、A金融機関でジュニアNISAを始めたとしても、その後手数料などに不満を持ち、金融機関を変更することはできないのです。

学資保険でも同様のことが言えますが、しっかりとその金融機関・商品内容を事前にしっかり把握した上で積み立てを始めなければいけないのです。

⑥また、子どもが生まれてからしか始めることができません。

のちほど、口座開設についても説明していきますが、口座開設には「子どものマイナンバー」が必要になります。

学資保険では出産前から加入でき、早めに教育費の積み立てを開始できますが、ジュニアNISAに関しては子どもが0歳からでないと始めることができません。

参考サイト⇒金融庁「ジュニアNISA」

そもそも子供にかかる教育費はどれくらい?

次に、子どもにかかる教育費についてです。

幼稚園・小学校・中学校・高校で教育費の負担が終了する人もいれば、その後子どもを大学に進学させたいと考えているお父さん、お母さんもいます。

一番教育費のかかる時期は大学時で、とりわけ入学時に大きなお金が必要になります。

金額の違いはあるものの、国立・私立問わずに入学時に一番かかるので、その時期に合わせて積み立てていくという人もいます。

それでは具体的に、子どもの進学パターンをいくつか挙げて、ご紹介します。

まずは、幼稚園から高校までです。

幼稚園 小学校 中学校 高校 総額
公立 公立 公立 公立 5,400,716円
私立 私立 私立 私立 17,699,339円
公立 公立 公立 私立 7,159,185円
公立 公立 私立 私立 9,705,616円

こう見ていくと、驚くことに高校まででも最低5,400,000円はかかることが分かります。

もちろんお父さん、お母さんが会社勤めである程度経過すると、収入も上がっていくことが多いです。

日本には児童手当もあり、中学卒業まである程度の額が支給されるので、その点あまり心配していない人もいるかもしれません。

ただ、幼稚園から高校まですべて公立だとしても最低5,400,000円もかかる可能性もあることをぜひ覚えておいてほしいです。

次に、大学の教育費についてです。

国立、実家 国立、1人暮らし 私立文系、実家 私立文系、1人暮らし 私立理系、実家 私立理系、1人暮らし
5,243,000円 8,123,000円 6,684,000円 9,332,000円 8,091,000円 10,739,000円

見てみると、国立大学で実家通学でも5,000,000円以上はかかるとみておきましょう。

公立の幼稚園から高校まで進学した場合と同じ金額が、大学時に一気に必要になるということです。

ですので、幼稚園から大学までオール国公立でも10,000,000円以上はかかるとみておきましょう。

私立では文系か理系かによって特に授業料に差が出てきます。

幼稚園から高校は公立で大学は私立でも最低で12,000,000円はかかると思って用意しておきましょう。

参考サイト⇒文部科学省「結果の概要―平成28年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要」生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどのくらい?」

安心重視の学資保険vs効果重視のジュニアNISA

次に、学資保険とジュニアNISAそれぞれに加入した場合を比較し、学資保険に向いている人、ジュニアNISAに向いている人を解説していきます。

自分はどちらに向いているのか、考えていきましょう!

学資保険、ジュニアNISAのシミュレーション比較

まず、学資保険、ジュニアNISAそれぞれに加入した場合、教育費を積み立てていくのにどのくらい負担することになるのか、増える金額はどのくらいか等について比較していきます。

<学資保険>(ソニー生命の「学資金準備スクエア」を利用する)

現在返戻率の高いプランは、保険金額2,000,000円を大学入学から5回にわけて受け取り、毎月の保険料15,532円を10歳まで払い込んでいくものです。

契約者を25歳男性、子ども0歳でこのプランに加入するとします。

そうすると、保険料の総額は1,863,840円、返戻率は約107.3%になります。

増える金額は、「2,000,000円-1,863,840円=136,160円」となります。

<ジュニアNISA>

ジュニアNISAでは、子どもが0歳のときに始め、学資保険と同じ月々15,532円で18歳時にどのぐらいまで増えていくのかシミュレーションしてみます。

投資は2020年から2024年の4年間とし、利回りは3%とします。

・2020年初めから2024年末まで毎月15,532円を積み立てていく(合計745,536円)と、791,064円(そのうち運用収益は46,000円)になる。

・その後、継続管理勘定に移行し、18歳になるまでの14年間同じ3%で運用していくと、1,190,000円となります。増えた金額は、「1,190,000円-745,536円=444,464円」となります。

・例えば、学資保険の2,000,000円を目標に積み立てるとなると、毎月26,100円を積み立てて(合計1,252,800円)、最終的に2,010,000円になります。返戻率でみると約160%になります。

<比較>

2つを比べた結果、「同じ金額を貯める場合、運用によっては学資保険よりもジュニアNISAの方が必要な金額(負担)が少なくなる可能性がある」ということが分かりました。

2,000,000円積み立てるのに必要な金額は、学資保険では1,863,840円となりますが、ジュニアNISAの場合は1,252,800円で済みます。

その差は「611,040円」(1,863,840円-1,252,800円)にもなります。

もちろん今回は利回り3%が18年間続くと仮定してのシミュレーションとなっています。ジュニアNISAは運用によって、プラスになるときもあればマイナスになるときもあります。

さらにその他のことで見ていくと、

[学資保険]

・受取時に税金がかかることもある。
・枠を使っていなかったら生命保険料控除を利用できる。
・契約者の万一の保障もついている。

[ジュニアNISA]

・発生した利益は非課税扱い。

といった点でも比較してどちらがお得になるのかを検討しなければなりません。

ジュニアNISAに関しては「税金がかからない」ことは最初から分かることなので、学資保険に加入するときに「税金はどのくらいかかるのか」「加入時点で保険料控除は使えるのか」などをしっかりと確認しておく必要があります。

これらを確認することによって、どちらがお得かがより鮮明になってくるでしょう。

学資保険を利用するのに向いている人

上記のメリット・デメリットやシミュレーション結果をみてみると、学資保険を利用するのに向いている人は、

・「お金を大きく増やすことよりも確実に貯めていきたい人」
・「あらかじめ受け取る金額が決まっていた方が安心できる人」
・「中学や高校時にもお金が必要になる人」
・「保障も求めている人」

となります。

学資保険は加入時には将来受け取る金額や時期が決まっています。

大学入学時より前の受け取りも選べます。

こういったことに安心感を得られる人にはおすすめです。

さらに、契約者の万一の保障を始めとする、保障性にも重点を置いて貯めていきたい人にもおすすめします。

ジュニアNISAを利用するのに向いている人

一方、ジュニアNISAを利用するのに向いている人は、

・「より高い収益性を求めたい人」
・「ある程度の損を許容範囲にできる人」
・「数年間、毎月の負担が増えても大丈夫な人」
・「18歳まで払い出しできなくても大丈夫な人(それ以前に必要になるお金は他の方法で準備する人)」

です。

どちらかというとお金に余裕のある人・家庭におすすめします。

ジュニアNISAを利用するにあたっては、「損をする可能性がある」ことを理解しておくことが大事です。

「お金が大きく増えることを期待しているけど、万が一増えなくてもいいや」と思えるぐらい余裕のある人におすすめです。

学資保険とジュニアNISAを併用すればリスク分散になる

このように学資保険とジュニアNISAにはそれぞれメリット・デメリットがあります。

ですが、2つを併用することでそれぞれの良いところを取り入れることができます。

また、ジュニアNISAだけで積み立てていく場合よりもリスクを分散することができます。

ジュニアNISA1本で考えていた人は、ぜひ併用することも検討してみましょう。

学資保険とジュニアNISAを併用した場合のシミュレーション

それでは、2つを併用した場合をシミュレーションしてみます。

ここでは、「積極的な運用」と「安定的な運用」に分けて考えてみます。

大学資金の積み立てが目的で、10年間で3,000,000円(平均して月25,000円)は拠出できる家庭を想定してみます。

①「積極的な運用」男性25歳・子ども0歳時に加入するとする。

・学資保険(ソニー生命「学資金準備スクエア」Ⅲ型を利用)

毎月11,649円を10歳まで払い込んでいくと、総額1,397,880円となり、合計1,500,000円(18、19、20、21、22歳時に300,000円ずつ)受け取れる。返戻率は約107.3%。

・ジュニアNISA

利回り3%で2020年~2024年の4年間で毎月30,000円を積み立てていく(総額1,440,000円)と、1,527,936円になる。

この1,527,936円を18歳まで運用すると、2,310,000円になる。

→合計で3,810,000円積み立てることができる。

②「安定的な運用」男性25歳・子ども0歳時に加入するとする。

・学資保険(同様)

毎月19,415円を10歳まで払い込んでいくと、総額2,329,800円となり、合計2,500,000円(18、19、20、21、22歳時に500,000円ずつ)受け取れる。返戻率は約107.3%。

・ジュニアNISA

利回り3%で2020年~2024年毎月10,000円を積み立てていく(総額480,000円)と、509,312円になる。

この509,312円を18歳まで運用すると、770,000円になる。

→合計3,270,000円積み立てることができる。

<比較結果>

①だと、増えた額は「972,120円」(3,810,000円-2,837,880円)となる。

②だと、「290,000円」(3,099,800円-2,809,800円)になる。

②の安定的な運用でも、学資保険のみで積み立てるよりも返戻率(増えた額)は大きくなることが分かりました。

学資保険・ジュニアNISAそれぞれどのぐらいの比率で積み立てていくかによって、結果は変わってきます。

その比率は各家庭によって変わってくる部分なので、2つでシミュレーションしてみて「これなら安心できるかも!」という積み立て方を探してみてください。

学資保険を上手に利用する方法

学資保険はどのように工夫すれば上手に利用できるのでしょうか?

近年返戻率は下がりましたが、少しでも返戻率を上げる方法をここではご紹介します。

①特約は本当に必要なのか考えてみる。

学資保険は子どもの医療特約などを付加することによって、保障性を高めることができます。

一見良い方法に見えますが、本当に子どもの医療特約は本当に必要なのか考える必要があります。

なぜかというと、各自治体、乳幼児医療費制度で子どもの医療費を助成しているからです。

多くの自治体が「中学卒業まで」助成しています。

例えば、神奈川県横浜市では0歳から中学3年まで病気やケガで入院・通院した場合に、一部助成しています。

保護者の所得制限もある自治体もあります。

北海道の南富良野町では、0歳から22歳までの医療費を全額助成しています。

助成内容については各自治体で異なるので、学資保険に医療特約を付加しようか迷っている人は事前に調べておく必要があります。

確かに子どもが入院・手術した場合、学資保険でも医療特約に入っていれば、より安心できるかもしれません。

ただし、こういった医療特約をはじめ、育英年金を受け取れる特約などを付加することによって返戻率は下がってしまいます。

ですので、今一度特約の必要性について考えてみましょう。

②払込期間を短くしてみる。

保険料の払込期間を短くしてみるのも1つの方法です。

短くすることで月々の負担は増えますが、総額でみると保険料は少なくなります。

例えば、ソニー生命の「学資金準備スクエア」でみてみると、男性25歳・子ども0歳で2,000,000円を受け取るのに、

・18歳払い込みだと、月々8,896円で総額1,921,536円、返戻率は約104.0%
・10歳払い込みだと、月々15,532円で総額1,863,840円、返戻率は約107.3%

になります。

可能であれば検討してみてください。

③加入する年齢も早くしてみる。

加入する年齢を早くすることで返戻率は上がります。

同じくソニー生命でみてみると、

・男性26歳・子ども1歳で加入すると、約105.4%(保険料の総額1,897,344円)
・男性25歳・子ども0歳で加入すると、約107.3%(保険料の総額1,863,840円)

となり、同じ2,000,000円を受け取るのに「33,504円」もの保険料差が発生します。

学資保険を検討している人は、なるべく早めの加入をおすすめします。

④可能であれば一括で払い込むのもアリ。

また、お金に余裕のある人は一括・年払いなど、保険料を一度にまとめて払い込むのもアリです。

参考サイト⇒横浜市「小児医療費助成」南富良野町「すこやか子ども医療費」

ジュニアNISAを上手に活用・運用する方法

次に、ジュニアNISAを上手に活用・運用する方法について、解説していきます。

上手に利用する方法は2つあります。

①一括でも積立投資でも可能。

先ほどのシミュレーションでは毎月積み立てていく方法でご紹介しましたが、一括でも毎月の積立でも利用できます。

月々最大6,666円までで利用できます。

②余裕があれば、非課税枠は最大使う。

ジュニアNISAは毎年最大800,000円を上限として、最大4,000,000円の非課税枠を利用できます。

もちろんこの枠を全て利用できればメリットが最大限に発揮されるのですが、毎年800,000円、月々66,666円を教育費の積み立てにあてるのは厳しいという家庭も多いと思います。

ですので、無理のない範囲内で利用しましょう。

なお、非課税枠は翌年に繰り越すことはできません。

1年目で600,000円分を使って200,000円余ったら、2年目は1,000,000円分(800,000円+200,000円)を利用できるわけではないので、注意しましょう。

ジュニアNISAの口座を開設するまでの4ステップ

次に、口座開設するまでの手順についてです。

口座開設は、窓口・ホームページ・郵送を通してできます。

ここでは、「楽天証券」の場合を元に口座開設の手順をご紹介します。

①取り扱っている金融機関を1つ選ぶ。

各証券会社や銀行がジュニアNISAを取り扱っています。

各金融機関でどのような商品を扱っているか、手数料はいくらかなど、違いがあります。

ホームページや店頭で詳しく確認してから選びましょう。

②ホームページから口座開設を申し込む。

総合取引口座・未成年口座のどちらも持っていない人は先に総合取引口座の開設手続きとなります。

総合取引口座を持っている場合は、未成年口座・ジュニアNISA口座を同時に申し込みます。

③申込書類と本人確認書類などを提出する。

申込書類は、金融機関から送られてきます。

また、重要な点として、子どもの「個人番号カード」か「通知カード」か「マイナンバーの記載がある住民票の写し」が必要になるので、覚えておきましょう。

④税務署による審査後、ジュニアNISA口座が開設される。

税務署での審査は時間がかかるので、余裕を持って申し込むようにしましょう。

参考サイト⇒楽天証券「ジュニアNISA口座開設」金融庁「ジュニアNISAを始める」

学資保険・ジュニアNISAを利用する際の注意点

次に、学資保険とジュニアNISAを利用する際の注意点を2つご紹介します。

①長期的に自由にお金が使えなくなる。

これは預金と比べた場合の注意点になります。

学資保険に関しては、保険金の受取時期が決まっています。

メリットで述べたように、小学校・中学校・高校・大学時のどのタイミングで受け取るかは加入時に決めることができますが、それまでの間、解約しない限り途中で引き出すことができません。

例えば、最初の受け取りが17歳・18歳だとすると、それまでの長い期間お金が拘束されることになります。

ジュニアNISAの場合も、18歳まで原則払い出しできません。

学資保険、ジュニアNISAを利用する場合には、子どもが成長するまで自由にお金が使えなくなることを覚えておきましょう。

②教育費の積み立てにどのくらいの金額を充てられるか計算してから利用する。

これは学資保険やジュニアNISAだけに限らず、その他の手段を利用する際にも考え、計算しなければならないことです。

現在の家族の収入、毎月の生活費、マイホームやマイカーは購入したいか等、総合的にみて、教育費に充てていける金額を計算しましょう。

もちろんこの先、収入の減少や生活費の増加なども考えられます。

計算する際は頭で考えるのではなく、具体的に紙に「収入や生活費がどのように推移していくと考えられるか」「マイホームやマイカーの購入は子どもが何歳ぐらいのときにしたいか」等を箇条書きしてみましょう。

そうすると、「こういった支出もあるかも」「ここで収入があるかも」などと次々と出てくると思います。

「予想外の出費」として何万円か余計に計算すると良いでしょう。

そして今後の大体の収支が分かったら、教育費に充てていける金額(毎月どのくらいになるか等)を算出してみましょう。

ジュニアNISAのおすすめ証券会社

最後に、ジュニアNISAのおすすめの証券会社を3つご紹介して終わりにします。

①楽天証券

国内株式の手数料は無料になっています。

取り扱っている投資信託数は、2,560本以上です。

ただし、外国株式の取り扱いはありません。

「楽天カードアプリ」のページから楽天証券のサイトに飛べるので、楽天カードを利用している人は確認してみてください。

②SBI証券

SBI証券の一番の特徴は、外国株式の取り扱いがある点です。

米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアの取り扱いがあります。

国内株式の手数料が無料です。

PTS取引という夜間取引にも対応しています。

取り扱い投資信託数は、2,577本です。

③マネックス証券

マネックス証券でも国内株式の手数料は無料です。

投資信託数は、1,170本です。

楽天証券同様、外国株式の取り扱いはありません。

参考サイト⇒楽天証券「ジュニアNISA」SBI証券「SBI証券ではじめるジュニアNISAの魅力とは?」マネックス証券「ジュニアNISA」

まとめ

以上、教育費の積立方法として、学資保険とジュニアNISAを解説しました。

確かに現在の学資保険の返戻率では増える金額が小さいため、本当に学資保険でいいのかな?と感じている人は多いと思います。

学資保険とジュニアNISAを併用して「安定的な運用」をしても現在の学資保険の返戻率よりも高くなるため、ジュニアNISAも気になるけど損をするのが怖い!という人は学資保険に比重を重くしながらジュニアNISAも利用してみてはいかかでしょうか。

将来の子ども自身の負担を減らすためにも、一番良い積立方法を今一度考えてみてください!

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