火災保険は雨漏りも適用される?雨漏り修理の費用や家財の損害は対象かFPが解説
火災保険の適用範囲は火事だけではありません。
今回のテーマは「火災保険は雨漏りも適用されるか?」がテーマです。
火災保険で雨漏りの補償と聞いて、意外に感じるかもしれませんね。
もちろん契約内容によってですが、火災保険は住宅の被害に関して幅広く適用されるので雨漏りに関しても火災保険は適用されます。
しかし状況により適用されない場合もあるので、その詳しい内容をご覧下さい。
目次
雨漏りは火災保険の補償対象として適用される?賃貸・新築・中古別に解説!
雨漏りはそのままにしておくと、屋根や天井板だけでなく家財などにも被害がおよびます。
軽微な雨漏りと放置せずに雨漏りを見つけたらすぐ、保険会社へ連絡をして対応しましょう。
建物の状況により、雨漏りの補償内容が変わってきます。
賃貸や新築、中古住宅では雨漏りが起きても保険適用される場合と適用外になる場合もありますので、内容を住宅別に詳しくご説明しますね。
賃貸住宅の雨漏り
賃貸物件の建物管理は基本的にオーナーや管理会社が管理することになっています。
建物の管理不備により雨漏りがおきて、入居者の家財に被害が及んだ場合、入居者はオーナーに対して損害の請求が可能です。
このような場合、オーナーは火災保険会社を通じて入居者へ弁償します。
原因が管理不備、または自然災害であっても同様です。
しかし、戸建て賃貸住宅で建物管理は入居者が行うという場合もありますが、その場合も賃貸住宅なら借家人賠償契約のついた火災保険に加入していれば入居者の火災保険で雨漏りの保険適用可能となります。
新築住宅の雨漏り
最近の新築住宅には2000年4月より施行された「瑕疵担保保証」により、引き渡しより10年以内の建物の不備が保証対象となるのです。
すべての新築住宅には上記の様な保証が義務づけられており、10年以内に被害があった場合は工務店や不動産業者へ無償修理を行います。
屋根材などや外壁からの雨漏りについても同様に補償されているのです。
入居している方も火災保険に加入していても、ご自身の保険を利用することなく、家を建てた工務店や新築住宅を売った不動産業者へ無償修理をお願いしてくださいね。
中古住宅の雨漏り
中古住宅の雨漏りは2つのパターンに分かれます。
一つは中古住宅を購入して雨漏りがおきてしまった場合と新築住宅から住んでいて10年が経ち瑕疵保証を過ぎた中古住宅になった場合です。
それぞれの場合を解説しますね。
中古住宅購入の場合
中古住宅を購入する時にも一定期間「中古住宅保証制度」という瑕疵保証と同じような保証があるのをご存じでしょうか。
しかし、新築住宅とは違い期間は半年~2年など保証期間が短い場合が多いです。
もちろんハウスメーカーにより、保守点検をすることを条件にその保証期間を長くすることもできます。
中古住宅は程度に差があり、購入時にどの程度の保証期間がつくのか?
雨漏りやその被害が起きた場合の保証範囲を十分に確認する必要があります。
経年して上記の保証期間が過ぎた場合の保証は家主の火災保険が適用となるので
家主は保証期間をご確認ください。
しかし火災保険の契約内容によっては原因により雨漏り被害が補償されない場合もあります、自然災害での雨漏りの保証はするが経年劣化が原因での雨漏りは保証しないのが一般的です。
雨漏りによる家財への被害は火災保険で補償される?
新築住宅・賃貸・中古住宅など契約内容は差がありますが、雨漏り被害が発生しそれが原因で家財に被害が及んだ場合は補償されます。
経年劣化が原因では雨漏りの補償はなく、家財被害も補償されません。
雨漏りの修理費用は火災保険で補償される?
火災保険で修理費用は補償されます。
修理費用は直すだけの金額だけではなく、実際に私も体験しているのですが屋根の作業で
必要があり足場を家の周りに組む場合があるのですがこの足場費用は高額です。
足場費用は安くても20万以上になりますが、修理費用の中にはこのような付加施工費についても補償対象になります。
経年劣化による雨漏りの場合は火災保険で補償される?
残念ながら、建物の経年劣化による雨漏り被害は補償の対象外となっています。
例外としてハウスメーカーが10年毎や5年毎の保守点検を行っているようなロングライフ住宅であれば補償対象になる場合あります。
この場合は家主が加入している火災保険での補償ではなく、ハウスメーカーか不動産業が無償修理を負担するのが一般的です。
また1度経年劣化により家主が修繕しその後、修繕した箇所が何年もしないうちに被害があった場合は火災保険で補償されます。
この場合は、被害原因が自然災害であった場合に限ります。
上記の場合は、家主が修繕したという証拠が必要なので家の修繕費用は必ず数年は保管しておきましょう。
火災保険会社別!雨漏りによる補償対応
火災保険は契約内容や保険会社により対応が大きくことなります。
各保険会社の雨漏り被害への対応をまとめてみました。
都道府県共済の火災保険と雨漏り被害への対応
共済の雨漏り被害に対する対応としては、自然風水害においての雨漏り被害は対応されます。
しかし、経年劣化や新築住宅、中古住宅での瑕疵保証期間内の雨漏りに関しての対応はされません。
対応されても20万以下の場合は自己負担、20万を超える場合において補償対象になります。
建物の状況と雨漏りの発生原因により、対応の差があります。
都道府県共済の火災保険雨漏り被害を補償対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は20万円
全労済火災保険の雨漏り被害対応
全労済の火災保険も共済と同じスタンスですね。
新築住宅や中古、賃貸住宅によっての対応も同じです。
自然災害起因の場合の雨漏りとしてみとめられるのであれば、全労済の火災保険で雨漏り
補償は可能となります。
それ以外の起因、建物が原因たとえば経年劣化や施工に問題があった場合などの雨漏り被害については補償の対象外になります。
全労済火災保険の雨漏り被害対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は20万円
三井住友海上の火災保険と雨漏り被害への対応
三井住友海上ではGKすまいの保険が個人住宅を補償する保険として売り出されています。
保険適用や補償内容は他社の保険と同様ですが、三井住友海上では自己負担の免責金額が
契約内容により決めることが出来ます。
建物の免責金額は1万円・3万円・5万円・10万円です。
補償内容や掛け金より変わってきますのでご検討ください。
三井住友海上火災保険の雨漏り被害対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は1万円・3万円・5万円・10万円
東京海上火災保険と雨漏り被害への対応
東京海上では「すまいの選べるアシスト」という個人向けの火災保険が住宅被害の補償を
特約して販売されています。
雨漏り被害に関しては下記にあるとおりやはり風水害においての被害のみ起因だけが
補償されていることも他の保険と同じです。
東京海上日動火災保険の雨漏り被害対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は0円・5千円・3万円・5万円
損保ジャパンの火災保険と雨漏り被害への対応
損保ジャパンでは「個人用火災総合保険 THE」が発売されています。
この会社でも他の保険会社や共済と同じ対応です。損保ジャパンHPより
損保ジャパンの火災保険の雨漏り被害対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は0円・1万円・3万円・5万円・10万円
JA共済の火災保険と雨漏り被害への対応
JA共済の火災保険も都道府県共済や全労済と同様です。
新築住宅や中古、賃貸住宅によっての対応も同じですが、JAの場合と他の共済保険の違いは、JA共済は自宅だけでなく、納屋なども保険に加入できる点でしょう。
補償内容としては、都道府県共済や全労済と同じです。
JA共済火災保険の雨漏り被害対応
瑕疵保証期間内での
建物起因の雨漏り |
瑕疵保証期間を過ぎた場合 | ||
自然風水害が原因 | 建物起因(経年劣化) | ||
新築住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
中古住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
賃貸住宅 | 火災保険では補償無 | 火災保険で補償されます | 火災保険では補償無 |
建物の免責金額は20万円
雨漏りによる火災保険の保険金を請求するコツ
火災保険での雨漏り被害の対応をお伝えしてきましたが、結論としては各社が同じ内容ということがわかりました。
火災保険では瑕疵保証期間内の雨漏りはハウスメーカーか不動産業者へ
それ以外の雨漏りが自然災害起因の雨漏りでない限りは自己負担となります。
しかし、一方ではこんな見方もできます。
瑕疵保証期間が過ぎて、雨漏りが起きるようになった。
しかし、経年劣化なのか?
あるいは台風などの影響で徐々に建物に被害がでるようになって、雨漏りがおきているのかどこで判断をするのでしょうか?
これは結構難しい部分ですが、雨漏り被害が経年劣化か自然災害の結果かどうかを判定するのは損害保険鑑定人という方が保険会社から派遣されてきます。
現地の被害状況をみてこれは保険の対象になるか?
経年劣化で保険適用外かを判断する鑑定人です。
高額な保険請求には損害保険鑑定人が現地に来て判断しますが、一般的には近くの保険代理店の方が自宅へ来て写真を撮り、状況の聞き取りをして本部に持ち帰り、保険適用かどうかの判断をします。
保険適用できるかどうかは、雨漏り被害が経年劣化ではなく自然災害起因のものと判断されるかどうにかかってきます。
大雨や台風の後にすぐ連絡をして対応していただきましょう。
保険請求の手続き方法について説明します。
1.被害が起きた時点で写真、日時などかならず控えておく
雨漏りが起きた場所や濡れた壁や家財なども写真をとる
2.火災保険会社へ連絡して状況を伝える。
3.現場は写真を取った後に業者へ連絡して見積もりを取る
4.保険会社からも現地の確認や写真の提出を求められるので必要書類を保険会社へ
渡す。
5.保険会社から保険適用できるか、出来る場合はいくらになるかの連絡がきます。
6.保険会社から指定口座に保険金が振り込まれて完了となります。
まとめ
火災保険の雨漏り補償について解説でしたがご参考になりましたでしょうか?
保険会社は風水害起因の雨漏り以外では補償はしません。
瑕疵保証期間内の雨漏りはハウスメーカーか不動産業者が行いますが、経年劣化の部分は
自己負担となります。
少しでも雨漏りを見つけたら早めに対応されることをお勧めします。