子供が怪我をさせたらどうなる?保険はきく?相手への謝罪方法と7つの対処方法
仮に、あなたの子供が友達に怪我をさせてしまった場合、どのように対処するのが適切なのか、考えたことはありますでしょうか。
どんなに躾を頑張っても、子供がすること全てをコントロールすることはできませんよね。
学校に行くようになり、外に遊びに行くようになれば、子供のことを24時間監視下に置けなくもなります。
ですので、子供を持つ親であれば誰しもが、こうしたリスクを等しく抱えているのです。
一方で、一口に「怪我をさせた」と言っても、単なるじゃれ合いの中で行き過ぎてしまった場合や、双方手を出しているケンカの中での怪我、そして10対0の一方的な暴力による怪我等、内容が多岐にわたるのも事実。
そうした子供が怪我を相手に負わせたシチュエーションや怪我の程度等、取るべき対応はケースバイケースなので、「こうすれば良い」という正解がないのが実情ですよね。
ですが、謝罪におけるモデルケースや治療費・弁償費用として保険がきくかどうか等、事前に想定と対策を行うことで、少しでも心構えができるようこの記事にて解説していきます。
もちろん、子供が誰にも怪我をさせないことが1番の理想ではあります。
しかし上記の通り、子供の行動は未知数でもあるので、ある程度想定しておいた方が最善と言えるので、参考にしてみてください。
それでは早速見ていきましょう。
目次
子供が怪我をさせてしまった場合、親はどうすべき?7つの対処法
実際に子供が怪我をさせてしまった場合、親はどのように対処すべきなのでしょうか。
それぞれ状況によって対応が異なる場合がありますが、合計で7つの対処が考えられます。
ポイントは、
・相手にきちんと謝罪の意を伝える(この段階では言い訳は厳禁)
・過剰な要求やトラブルに対応できるよう、取れる証拠はできるだけ多く得る
・仮に先生や弁護士に任せることになっても、他人事の対応を取らない
以上3点です。
参照記事⇒子どもが友達にケガをさせてしまった!どう対応したらいい?|保険比較ライフィ
では、それぞれ見ていきます。
①.相手宅へ謝罪に伺う
当然のことではありますが、基本どのような状況においても、子供の親が相手(両親を含む)に対して謝罪に伺うことが重要です。
謝罪に伺う立場として、タイミングはより早い方が良いですが、最近は共働き世帯も多いので当日謝罪に行けない場合もあります。
相手の了解を得ずに押しかけるのも逆に迷惑ですので、後日になる場合には取り急ぎ手紙にて謝罪を入れるというのがベターと言えます。
また、怪我をさせた張本人である子供も連れていき、子供にも謝罪をさせることと、子供のいる前で対処することで再発防止に努めている状況も相手に伝える方が良いですね。
上記ポイントの通り、ここでは「そちらの子供にも落ち度が」と言ったような責任のなすりつけや、「そんなつもり無かったので」と言ったような言い訳は禁物です。
あくまでも「怪我をさせた」事実に対してお詫びすることと、相手の怪我の状態を慮る姿勢にのみ留めるよう努力しましょう。
②.怪我の状態の写真等での撮影(現場に居合わせた場合)、また現場にいた知人や先生等の複数の証言を得る(現場に居合わせていない場合)
まずは何よりも、①の謝罪が最重要となりますが、そこでの二次的トラブルを防ぐためにも必要なのが、②や③となります。
仮にあなたが同伴している場で、子供が相手に怪我をさせた場合に、子供の怪我の直後の状態を写真等に記録することが大事です。
怪我をした箇所とその状況を残せますし、正確な時間の記録にもつながります。
一方であなたのいない場での怪我である場合には、可能な限り当時居合わせた知人等の証言は確認しておきましょう。
これらの行動を取ることで、例えば本当はお互い手を出している中での怪我だったのに、「一方的にやられた」と相手方の親が主張してきた場合等の、子供がしたこと以上の責任を負わされるリスクを低減できます。
③.病院へ連れて行く(診断書をもらう)、またそのように相手方の親を促す
こちらも②と同様、怪我をした直後の状態を医師の診断書を通して共有することで、後々になって例えば「あの時の怪我で今度は別の場所に異常が出た」といったような、当てつけに似た相手方の主張を未然に防ぐことができます。
仮に相手方の親が「これくらいなら大丈夫ですよ」とおっしゃる場合でも、心配な場合は念のために一度病院へ連れて行くことは促した方が良いでしょう。
④.先生へ報告する(学校外の場合)
学校内で起きた怪我であれば、先生も把握しているはずです。
一方で、学校外の出来事であれば、親の方から先生に対して報告しなければ先生が把握できない場合があります。
先生へも報告しておくことで、学校で過ごす様子で「いつもと様子が違うな」と先生が思った際に取れる対応が早くなりますし、相手の子供からの仕返し等が万一起こっても先生から状況を教えてもらえる可能性も上がるでしょう。
もちろんこうしたリスクヘッジにも役立ちますが、大前提として「うちの子が◯◯ちゃんを怪我させてしまいました。こちらからも再三注意はしましたが、また他の誰かを怪我させたら悪いのでよく見てあげてください」といった、再発防止の共有という観点でも重要な対応と言えます。
特に小学生くらいまでは子供自身で感情のコントロールが効かなくなる場合がありますので、こうした報告も意識していきましょう
⑤.怪我の程度に合わせ、定期的に相手方に連絡を取る
ちょっとした打撲やかすり傷程度であれば問題ありませんが、骨折していたり何針か縫ってしまうような怪我等、程度が重い怪我であればあるほど、一回謝罪しただけで終わりにするのはNGです。
多くの場合が相手にも一定の非がある(じゃれ合いやケンカで相手も手を出してきた等)ので、延々と謝罪するのが必要なのではなく、あくまでもこちらが怪我をさせたという事実に焦点を当てていくことが大切です。
縫うような怪我なのであれば、無事に抜糸をして一段落ですし、骨折であればギプスが取れるまで、入院しているのであれば退院するまでは、「その後お子さんの状況はいかがでしょうか」と、相手の親に対して経過を確認することは是非取るべき対処と言えます。
こうした相手の気持ちに立つ行動を継続することで相手も徐々に納得していけますし、二次的なトラブルも未然に防ぐことができます。
⑥.相手に適正な治療費や慰謝料をお支払いする(「個人賠償責任保険」等の活用も検討)
病院で診てもらう場合はもちろん、治療にかかる実費はこちらが支払うべきですし、相手の親が仕事を休んだりしていたり、相手の子供に傷跡や最悪の場合後遺症が残るということであれば、それに伴う慰謝料の支払いも必要となるでしょう。
こちらは、内容によっては二者間だけで話を済ませない方が良い場合も多いので、「個人賠償責任保険」といった子供がしたことに対する保険等を活用したり、適正な慰謝料を弁護士に相談するといったことも必要になりますね。
⑦.両者(学校内の場合は先生も含めた三者)間で収束しない場合は弁護士に相談する
・上記の通り、相手に後遺症が残るくらいの大怪我をさせてしまった
・謝罪に行っても相手の親が納得せず、「裁判を起こす」と言ってきた
・二者間で話している時に、相手が作った「示談書」や「請求書」へのサインを迫られた
等々、こうしたシビアなケースになればなるほど、自分だけで対処しようとした時にトラブルが拡大する恐れがあります。
こうした場合には、弁護士に相談するようにしましょう。
上記のような個人賠償責任保険や子供の保険等には、弁護士へ相談するサービスが付帯されていたりもしますので、確認してください。
またこうした保険に加入していない場合には、知人や先生経由で弁護士の相談ができるか確認し、難しければ、法務省が管轄している公的法人である「法テラス」に相談してみるのが良いですね。
参照記事⇒かんたん解説「法テラス」|日本司法支援センター法テラス
最近では、いざという時の弁護士への相談が無料でできる保険もありますので、必要性を感じた場合はこの際に検討してみるのも良いかもしれませんね。
参照記事⇒弁護士費用保険「Mikata」|プリベント少額短期保険株式会社
子供が怪我をさせた場合の責任は誰にある?
子供が相手に怪我をさせた場合に、その責任が子供本人にあるのか、もしくは監督者である親にあるのか、という問題ですが、ここには2つの線引きがされていると解釈できます。
1つは「法的」な線引き、もう1つは「感覚的」な線引きで、いずれも線引きとなる子供の年齢が異なります。
まず、法的な責任の所在について見ていきます。
民法の712条に責任能力の有無(自分のしたことに対して責任を取れるかどうか)の規定が、また714条に、責任無能力者(今回のテーマである子供も該当します)の監督義務者(親のこと)の責任に関して、それぞれ記載されています。
(責任能力)
第七百十二条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
〜中略〜
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
弁護士の方々の見解等、今までの裁判事例においても、小学校の卒業可否(12歳)が責任能力の有無の目安となっているようです。
参照記事⇒子供が起こした事故やトラブル、親の監督責任はどこまで?|弁護士費用保険の教科書
つまりは、小学生くらい(12歳目安)までの子供が起こす事故や怪我に関しては、相当な事情を除けば、原則全て親の責任になると言えます。
一方、感覚的な線引きに関してですが、
・子供が自身の管理下に置かれている場合
・成人するまで
・大学を卒業するまで
等々、18〜22歳くらいまでの期間は、ケースバイケースで親の責任も関わってくるのではないかと考えられます。
上記のような「法的」責任を子供が負い始めるとしても、中学生になったら親の責任が一切ない、と思う方は少ないでしょう。
子供は中学生になっても高校生になっても、ほとんどが実家に暮らし親の教育の元成長していきますし、精神的に大人になる反面、物理的な力も強くなっていきますので、日頃から感情的になりやすかったり暴力的な子供には然るべき教育責任が親にはあると言えますよね。
親の介入度合いは徐々に落ちていくのは間違いないでしょうから、仮に中学生や高校生の子供が相手に怪我をさせた場合には、子供だけで謝りに行かせて親は後日個別に謝罪するなど、補足的な対応になっていくのが自然です。
とはいえ、子供は親の手から離れていくまでは、子供のすることは親にも一定の責任が発生する可能性があるということは認識しておきましょう。
怪我をさせた友達の両親に謝罪に行く際の菓子折りについての疑問
次は、実際の謝罪に伺う場面を想像してみましょう。
あなたの子供が友人を怪我させてしまい、友達の両親に謝罪に行きます。
その場合、一般的には菓子折りを持って伺うのが礼儀ですが、菓子折りはどんなものを、どのタイミングで用意するのが適切なのでしょうか。
菓子折りはどういったものが適当?
菓子折りの内容や金額に関しては相手の子供が怪我をした程度にもよりますが、ケンカの末の軽い怪我程度であれば、謝罪時に菓子折りを持参していくことで丸く収まる場合が多いのが事実。
もちろん相手の親の感情(どの程度怒っているのか)にも関わってきますが、様々な実体験を参考にしても、「スーパーに置いてあるような1,000円程度のもので解決した」という場合から、「なるべく良いものを持っていくべき。目安は5,000円程度」という声まで様々あります。
相場は前述の通り正解がないということを前提にし、ひとまず弁護士が対応するようなその他のケースも見ていきます。
・子供に怪我を負わせて治療費や見舞金を支払うケース…数万円程度
・1ヶ月程度通院させるほどの怪我を負わせた場合の慰謝料…20〜30万円程度
・大きな傷を残す怪我を負わせた場合の慰謝料…数百万〜数千万円程度
参照記事⇒学校での怪我…治療費は慰謝料は誰が払う?弁護士に聞く子どものトラブル|Rese Mom
今回の想定としては、病院に行かなくて済む程度の怪我というイメージの菓子折りなので、やはり数多くのママさん方が実体験で挙げているような、数千円程度(高くても5,000円程度)までの菓子折りが適切と言えるでしょう。
普段のおやつとして購入しているような安いものや、逆に相手が恐縮してしまうような高級ブランドのお菓子は避けるようにしてください。
また、中身は流行りのお菓子や生ものではなく、ある程度日持ちするようなお菓子がより無難ですね。
合わせて、子供が相手の子供の私物を壊してしまった場合等は、可能であれば同じものの新品を、不明な場合は相場に少し色をつけた程度の金額を別途弁償代として用意するのが適切でしょう。
菓子折りの渡し方やタイミングは?
こちらも一概に正解がないのが実情です。
中には当日の謝罪で菓子折りを渡し、「これで終わりにするつもりか」と逆に相手を逆撫でしてしまった事例もあるようですね。
それでも、一般論としては即日もしくは早々の謝罪と、そのタイミングにて菓子折りを持参するというのがセオリーと考えておきましょう。
上記のようなリスクも踏まえて、通院や経過観察が必要な怪我の場合には、退院や完治のタイミングでもう一度菓子折りを用意するのが適当と言えます。
また、渡し方として、こういうケースはあくまでも謝罪の気持ちを表現するものとなりますので、
・のしは白無地のもの(柄物だとお祝いの要素が出てしまう)
・水引はなし
・表書きの文字は「松の葉」とする
これらを踏まえて、謝罪の後に品物を渡すのが良いですね。
なお、「松の葉」は、いわゆる「寸志」と同じ意味で、立場が逆のバージョンの言葉なのです。
下手の立場から相手に対して、「僅かばかりのものではありますが…」という畏まった渡し方をする際に使えるので、こうした謝罪のシーンで有効な言葉です。
参照記事⇒菓子折りとは?謝罪・お詫びの際のマナーと渡し方|マイナビ 学生の窓口編集部
謝る際に使える謝罪文のパターン
では、実際ににどのような内容の謝罪をすべきなのでしょうか。
手紙の場合の参考例と、電話・対面時の要点をまとめました。
手紙の場合
手紙を出す具体的なシーンとしては、
・連絡先や住所を把握していない友達に対して、学校側に代わりに取り急ぎの謝罪を伝えたい場合(合わせて、先生に連絡先や住所の開示許可をいただく)
・連絡先を知っている先で謝罪に行きたいと伝えた際に、早期日程の調整がつかなかった場合の取り急ぎの謝罪として(こちらも学校側に代理提出を依頼)
こうした場合です。
手紙に書く内容としては、下記3点が重要です。
①取り急ぎの謝罪の意である点
あくまでも、直接伺っての謝罪が原則ですが、日程が合わない場合やそもそも相手先の情報を知らない場合に、取り急ぎの手段として利用します。
②「怪我をさせた」という事実に対してお詫びするという点
悪気はなくとも、子供が相手に怪我をさせたのは事実なので、その点に対してきちんと謝罪の意を表しましょう。
③相手の状態を心配するという点
こちら側が負わせた怪我になるので、怪我の状態や子供の様子を心配しているという意思表示が重要です。
これらを踏まえて、下記に参考文を例として挙げてみました。
〜〜
前略
突然のお便りとなり失礼致します。
この度は、私どもの息子(娘)がお子様に怪我を負わせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。
お子様に対して手を出してしまったことは、私どもの日頃の教育が至らなかった故と感じており、息子(娘)本人に対しても今回の件について強く注意致しました。
お子様のお怪我のご状況はいかがでしょうか。
私どもにできることがあれば、精一杯行わせていただきたいと思っております。
息子(娘)がお子様に対して手を出してしまったことが許されるとは思っておりませんが、是非とも改めて謝罪をさせていただきたく存じます。
本来であれば、すぐにでも直接お伺いして謝罪すべきところでしたが、お約束をせずに押しかけるのもご迷惑かと思い、取り急ぎ書中にて失礼致しました。
お子様の、一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
この度は誠に申し訳ございませんでした。
早々
〜〜
参照記事⇒子供が怪我させた時の謝罪:手紙文例と書き方のポイント|トレンドジャンプ!編集部
あくまでも一例ですが、参考にしてみてください。
電話や対面の場合
電話や対面の場合も、手紙の時と同様に、
・怪我をさせた事実に対しての謝罪
・相手の子供の怪我の状態を心配する
この2点が謝罪の際に重要です。
この2点をしっかりとお伝えした上で、対面であれば「受け取ってください」と菓子折りを渡し、今後の治療に関する状況を伺った上で、「必要な費用はお出ししますので」とお伝えするのが最善な流れと言えるでしょう。
上記の2点を伝える前に、菓子折りの話や治療費の話になると、「物やお金で解決しようとしている」と思われ、謝罪の話が逆効果になる可能性もあります。
あくまでも手紙の場合と同様に、きちんとした謝罪の気持ちを言葉にすることが大切ですね。
相手の怪我に対しての慰謝料や治療費は保険で適応される?
「生命保険」「医療保険」等々、保険にも様々な種類がありますが、相手に怪我をさせた場合はどうなるのでしょうか。
こうした子供の怪我に対しては、「個人賠償責任保険」というものが適応対象となります。
加入できる先としては、クレジットカードや自動車保険、傷害保険の特約として、月額100円台〜数百円多く支払うことで加入できる特約としてのパターンが最も多いです。
賠償の範囲も、数千万円〜億単位まで様々ですし、弁護士の示談交渉もついているかいないか、また普段使いのクレジットカードや加入している自動車保険で特約があるかないか、ご興味ありましたら一度調べてみると良いでしょう。
前述の通り、大きな怪我や後遺症をもたらしてしまうような怪我を相手にさせてしまった場合、あなたの子供が行ったことであれば、法的解釈としても親であるあなたが全賠償を負うこととなります。
月額数百円程度の追加保険という形で、このリスクの大半をカバーすることができますので、加入して損はないですね。
学校の管理下で怪我をした際に利用できる災害共済給付制度とは?
また、学校の中や校外授業等、通学している学校の管理下における怪我の場合には、別に適用となる保険があります。
それが、「災害共済給付制度」と呼ばれる保険です。
「学校の管理下」とは、下記の場合を指します。
・遠足、修学旅行、大掃除等を含む授業中
・部活動、林間(臨海)学校等の課外活動
・始業前、放課後を含む休憩時間等
・通常の通学路を利用している通学、下校中
加入対象として、小学校や中学校等の義務教育となる学校や高等学校、一部保育園も含まれており、各学校単位で保護者の同意と保護者との保険料分担にて加入ができます。
参照記事⇒加入契約|日本スポーツ協会
ですので、子供を通わせている学校からの案内を確認し、わからなければ学校に問い合わせて確認してみましょう。
災害共済給付制度では、上記の通り学校に関わる時間帯や活動の中で、事故的に怪我をしてしまった場合に給付金を受け取れます。
この事故的なものの適用範囲として、子供が「意図せずに」相手の子供を傷つけて怪我をさせてしまった場合には、
・被害者の保護者より災害共済給付制度に申請すること
・給付を受ける代わりに、被害者側が加害者側に損害賠償請求等をしない
この2点を条件に給付を認めてくれています。
参照記事⇒よくあるご質問(災害共済給付関係) 医療費関係について 子供が学校で誤って友達にけがをさせてしまいました。加害者の保護者から医療費の請求を行うことはできますか?|日本スポーツ協会
もちろん、それぞれの事案について故意的な内容か否かや悪質さを調べられるので、子供が相手を傷つけるつもりで一方的に怪我をさせた場合等は、給付されない可能性もありますので注意が必要です。
実際に子供が怪我をさせてしまった体験談
ここでは、実際にどんな事例があり、どのように解決に至ったのかという体験談をご紹介していきます。
下記に2件、誠意ある対応にて謝罪できた事例と、相手側の親が誠意を感じなかった謝罪の事例を挙げていきます。
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事例①
怪我をさせた小学校低学年の息子(Aくんとします)を持つ母親からの投稿でした。
公園で遊んでいる時に、Aくんが邪魔な石をどかそうと人がいない(と思った)方向に投げたところ、その方向にいた友達(Bくんとします)にぶつかり、Bくんは鼻血を出してしまいました。
その場で近所の母親が手当てをして、その方よりBくんは家に帰るように言われて帰宅、Aくんも一度帰宅し、お昼を食べてからまた遊びに行きました。
(この段階ではAくんより投稿者に報告はありませんでした)
その日の午後、Bくんの母親からAくん宅に電話があり、投稿者はその時に午前中の出来事を知ります。
ちなみに、Bくんは帰宅してから、母親に連れられて病院へ行き検査を受けております。
(骨には異常なく、顔の腫れも3日程度で引くだろうと言われましたが、念のため2週間程度の激しい運動は控えるように言われ後日再診を受けることとなりました。)
投稿者はすぐさま公園に行ってAくんを引き連れて、菓子折りと共にすぐさま謝罪に伺いました。
Aくんも、病院での治療を終えたBくんの様子を改めて見て、ことの重大さに気づき怯えながらBくんに謝りました。
(投稿者は併せて治療費の支払いも申し入れましたが、Bくんの母親は「気にしないで」と投稿者の話を断りました。)
投稿者は帰宅後、改めてAくんに今回の件の重大さを伝え、Aくん自身もきちんと理解して反省しております。
投稿者は帰宅した夫にもことの経緯を話し、改めてBくんの母親に対して、治療費を含めたきちんとした謝罪を申し入れましたが、ここでも申し入れは断られております。
投稿者は悩みましたが、
・気づいた段階でできうる限りの早期対応をしたこと
・Aくんにも謝罪に同行させ、Aくん自身にもことの大きさを理解させてから謝罪をしたこと
・AくんとBくんの関係性から、これ以上しつこく治療費の話をすると逆に迷惑になる(Bくんの母親は治療費を求めていたわけではない)と判断したこと
これらより、治療費を押し付けはせず、今後も良好な関係を築けるように連絡を取り合うという結論を出しました。
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参照記事⇒子供がお友達にケガをさせてしまいました…|Yahoo知恵袋
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事例②
怪我をさせられた娘(Cちゃんとします)の母親からの投稿でした。
Cちゃんが学校で怪我をして帰ってきたのですが、その怪我をさせた相手の子供(Dちゃんとします)が廊下を走ってきてCちゃんとぶつかり、Cちゃんは後ろに転んで頭を打ちかすり傷もしました。
CちゃんとDちゃんは面識がなく、先生を仲介してDちゃんから謝罪してもらったということと、Dちゃんもわざとぶつかってきたわけではないということでした。
(投稿者は「仕方ないこと」として納得しようとしています。)
ですが、Dちゃんの母親からは1回投稿者宛に電話口にて謝罪を受けたのみの対応でした。
Dちゃんの母親は、Cちゃんの様子を聞いてくることも心配している様子もなく、また相手から直接の謝罪も申し入れられず、「この電話だけで解決しようとしてきている」と投稿者は感じ取りました。
あの怪我から1週間以上経っても、Dちゃんの母親からは音沙汰もなく、その点が強く不満であるという内容の投稿でした。
(投稿者は、家に来て欲しいわけでもなく、治療費や慰謝料を要求もするつもりはなく、ただただ誠実な対応を求めていただけでした。)
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参照記事⇒子供が怪我をさせてしまった時の対応。|Yahoo知恵袋
これら2つの事例を見比べてみても、いかに謝罪の姿勢が相手の納得感に繋がるかを理解できますね。
子供が友達を怪我させてしまう前にやっておきたい予防策
子供が怪我をさせてしまう前にできる予防策としては、大きく2点挙げられます。
1つ目は、やはり子供と日頃からよく接して、コミュニケーションをよく取ることです。
子供が親の影響をとても強く受けることは、ご自身の経験からや子供の今までの成長を見ていれば納得でしょう。
親であるあなたが子供に対して語気強い言葉を普段から放ってしまったり、例えば手を出して言うことを聞かせることがあれば、子供が親のいない場所で同じ行動を取る可能性は十分に考えられます。
こうした行為が、相手とのケンカやその末の怪我を生む可能性もあるでしょう。
また、子供は小学生くらいまでになってくれば、学校であった出来事等を親に話したがるものです。
その際に普段からきちんと子供の話を聞いてあげていて、子供が親に話しやすい環境が作れていれば、子供の自尊心が満たされるので感情をよりコントロールできる子供に育つでしょう。
万一嫌なことをしてもされても、子供自身が親に相談しやすい状況であれば親が出来事を知れるタイミングが早くなり、早期の対応もしやすくなりますね。
こういったような、子供への日頃のアプローチに関しても、意識していくことが重要です。
一方で2つ目としては、それでも子供のすること全てをコントロールできるわけではありませんので、いざ誰かを怪我させてしまった場合に適切な対応が取れるように準備することが最善と言えます。
前述の通り、個人賠償責任保険の加入は、予防というより事後対処が適切にできるための、事前準備における最善策です。
怪我をさせてしまう場合の話にはなりますが、万一のことがあった時に子供も守れて、膨大な治療費や慰謝料が必要になっても相手方にきちんと支払える術を持っていることが、相手に対しても責任の取れる対応になると言えるでしょう。
1点目のように、「子供の責任は親の責任でもある(少なくとも、12歳までは親が全責任を取る)」という認識のもと、日頃の教育を改めて振り返るのがまず重要ですし、それと加えて万一にも備えるというのがベストですね。
子供が友達に怪我をさせてしまった時のQ&A
今までは、子供が怪我をさせた場合に原則全て責任を取る方向でお話してきましたが、特によく知っている仲の友達を怪我させてしまった場合において、中にはこういったケースもあります。
相手に対して謝罪する際に、
「ことを大きくしたくない」
「子供同士のケンカだし、よくあること」
「ここであなたとの関係をギクシャクさせたくない」
といった気持ちから、相手方の親がこちらの対応を断ってくる場合です。
その場合はどこまで対応すべきなのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
友達の親に謝罪を拒否されたらどうすべき?
まず、相手の親に謝罪自体を断られる場合です。
前述の通り、相手の親が「子供同士ならありがち」と重く受け止めないタイプだったり、「仰々しく家に挨拶に来られても周りの目もあるので迷惑だ」といった心配を逆に抱いているケースが考えられます。
また、純粋に相手の親が共働きで時間が取れない場合もあるでしょう。
ここで考えていくべきなのは、「あなたが逆の立場だったら、相手にどう言いますか?」ということです。
普段から仲良くしている友達とのやりとりで起こった、恐らくわざとではない怪我で、子供も軽傷です。
この場合に、「謝りに来てください」とあなたは言うでしょうか。
「お互い様だから」と言ったり、「そこまですることないですよ」と言ってしまうのではないでしょうか。
相手もそういった、現在や今後の関係性も踏まえた上で断っている可能性が高いと言えるでしょう。
相手の断りがこうした社交辞令である可能性は十分に考えられますので、相手に謝罪を1回断られただけで「そうですか」と謝罪を辞めてしまうのは性急です。
1回断られても、
「それでも子供にもきちんと謝らせたい」
「これからも一緒に遊んで欲しいし、一度会って謝罪させてほしい」
といったように、相手への気持ちにも配慮しながら、誠意を見せましょう。
その上でも断られた場合には、相手への迷惑も考慮し、引くのがいいですね。
この場合は、相手の子供への配慮と謝罪の気持ちがきちんと伝えられているのを前提に、今後の関係性も考慮しながら引き際を探ってください。
友達の親にこちらからの治療費の支払いを断られたらどうすべき?
また、実際に相手の子供が病院に行く等で治療費がかかってしまっているのに、その治療費の支払いを断られる場合です。
上記ケースと同じように、今後の関係性や子供の怪我の程度によって、「そこまでされても逆に困る」といった気持ちを相手が抱いている可能性が考えられます。
実際に病院に2〜3回通院して、レントゲンを撮る程度であれば、治療費としてかかるお金も1万円前後だろうと予想できますね。
この場合も、「あなただったらどうするか」を考えてみると良いでしょう。
ここで1万円〜数万円程度の治療費や慰謝料にあたるお金を、子供と仲のいい友達家族から受け取って、気持ちが良いものでしょうか。
やはりこの場合も、「お互い様だし」「ちょっと診てもらっただけだから」というように、社交辞令として一旦はお断りを入れるのではないかと想像できますよね。
もちろん、結果としてこちらの子供が怪我をさせているのですから、程度によりますが、治療費とお見舞い金として実費+αの支払いは原則必要と考えておいてください。
その中で、今回の場合のように相手にとって迷惑になりそうな状況であれば、少し形を変えるのがベターな対応と言えます。
例えば、治療が終わった段階で相手の子供が好きなものを菓子折りとして改めて持参する方法や、図書カード等の子供にとって有益な使い方ができそうな金券にして渡す方法もあります。
こちらも謝罪のケースと同様に、相手の子供への配慮と謝罪の気持ちを伝えられているのが前提条件ですが、謝罪のケースと大きく違うのは、実際の金銭的な負担も相手にかけさせてしまっているという点です。
ですので、謝罪の時とは違い、少し形を変えてでも相手に受け取ってもらいたいという意思表示は徹底しましょう。
あくまでも心象的なお話ですが、直接的な現金でない方が、受け取る側としても後ろめたさが少なくなりますよね。
ただしこの場合でも、相手が何度も断っているのに治療費を渡そうとするのは逆に迷惑となる可能性もあるので、過度な押し付けにはご注意ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
子供のすることは読めない部分も多いだけに、あなたの子供がいつ誰かを怪我させてしまうかもわからないですし、怪我の程度や相手との関係性、また相手の親の感情等々、様々な要素が絡まってきますので、明確な答えが存在しないのが難しいところです。
ですがその中でも、この記事の中で一般的な模範解答にあたる内容や重要なポイントをまとめていますので、ベースとして参考にしていただきながら、万一の際にはきちんと相手に誠意を伝えていきましょう。