個人年金保険を解約するのは損?税金や返戻金シュミレーションと解約方法

2024.07.16

個人年金保険

今回は、個人年金保険の解約について、解説していきます。

個人年金保険は老後への備えをできる保険として人気で、加入している方も多いのではないでしょうか。

勤め先に来る保険の営業職員の人に、個人年金保険を勧められた、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

加入するときは毎月支払えると思っていた保険料も何年か経つと厳しくなったり、解約しなければならないのかな、勿体ないなと思っている方もいるでしょう。

個人年金保険を解約するメリットは、保険料の負担がなくなる点といくらか解約返戻金を受け取れる点でしょう。

一方、デメリットは、将来受け取れるであっただろう年金がなくなるので、不安になる点や、個人年金保険料控除を受けれなくなる点でしょう。

保険料の支払いが厳しくなり解約せざるを得ない場合には、解約しないで済む方法も実はあり、払済保険へ変更したり、基本年金年額を減額する方法があります。

保険会社に解約を申し出る際には、解約の理由を聞かれることが多く、保険会社によって異なりますが、払済保険への変更など契約を継続させる方法を勧めてくる場合もあるでしょう。

解約方法については、どの会社もあまり変わらず、問い合わせて、書類を提出し、手続き完了となります。

個人年金保険を解約して、idecoに加入することはありか、なしかについても解説しています。

ぜひ個人年金保険の解約を検討している方はこの記事を読み進めていってください。

目次

個人年金保険は解約すべきか継続すべきかシュミレーション

まず、個人年金保険は解約すべきか、継続すべきかをシュミレーションしていきます。

個人年金保険の解約は基本的に損をするのでするべきではない

個人年金保険を途中で解約すると、損をすると言われています。

個人年金保険「年金かけはし」を販売している明治安田生命のホームページには、注意点として以下のように記載されています。

保険料払込期間中に解約した場合の返戻金額は、既払込保険料相当額を上限とし、ご契約後一定期間内に解約した場合の返戻金額は既払込保険料相当額を下回ります。

引用_明治安田生命「年金かけはし」

ですので、解約を考えている際は、もう一度慎重になった方が良さそうです。

個人年金保険を解約する2つのメリット

次に、個人年金保険を解約するメリットについて、2つご紹介します。

もちろん前述のとおり損をするので、解約はしない方が良いのですが、メリットを挙げるなら以下の点となります。

①今後保険料を支払わなくて済む。

解約する訳ですから、これまで支払ってきた保険料を支払わずに済みます。

例えば、月20,000円を支払っていたら、解約すれば20,000円を支払わずに済むのです。

②解約返戻金を受け取れる。

解約すると解約返戻金というものを受け取れます。

ただし、前述のとおり、保険料の払込期間中に途中解約した場合の返戻金は、これまで支払ってきた保険料の合計額よりも少なくなる可能性があるので、その点は注意しましょう。

個人年金保険を解約する2つのデメリット

次に、個人年金保険を解約するデメリットについて、2つご紹介します。

①将来受け取れる年金がなくなるので、不安感が増す。

もちろん解約をすれば、この不安感は必然的に増すでしょう。

65歳からの老齢年金で間に合うかな、といった不安も出てくるでしょう。

②個人年金保険料控除を受けれなくなる。

解約するということは、保険料の支払いをやめることなので、所得控除が受けられなくなります。

個人年金保険解約シュミレーション

次に、具体的に個人年金保険を解約した場合の累計払込保険料と返戻率をシュミレーションしてみます。

5年で解約した場合、10年で解約した場合、15年で解約した場合、20年で解約した場合それぞれについて、解説していきます。

個人年金保険を検討している場合、保険会社の営業職員に言うと、個人年金保険に加入して途中で解約した場合の返戻率などといったものは教えてくれると思います。

ここでは、30歳男性が月々の保険料20,000円で60歳から10年間の確定年金である個人年金保険に加入し、その後解約したとして、解説していきます。

参考サイト⇒アフラック「個人年金保険の専門サイト」

5年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率をシュミレーション

まずは、5年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率について、見ていきます。

5年後の35歳で解約した場合、

・累計払込保険料 1,200,000円
・返戻率 84.77%

となります。

年金受取時の返戻率が100.0%だとすると、約15%マイナスとなります。

加入後、5年という短期間で解約する人はあまり多くないかもしれません。

ただ、加入時はしっかり保険料を支払えると思っていても、その後支払えなかった、という可能性はあるので、そういったことも起こりうることを踏まえて、個人年金保険への加入を検討した方が良さそうです。

10年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率をシュミレーション

次に、10年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率について、見ていきます。

10年後の40歳で解約した場合、

・累計払込保険料 2,400,000円
・返戻率 91.72%

となります。

5年で解約した場合と比べて、約7%返戻率が上がります。

10年で解約しても返戻率が90%を超えるのは良い方だなと個人的には思います。

ただ、個人年金保険はお金を少しでも増やしたいと思う方が加入すると思いますので、やはり早期の解約は避けたいですね。

15年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率をシュミレーション

次に、15年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率について、見ていきます。

15年後の45歳で解約した場合、

・累計払込保険料 3,600,000円
・返戻率 94.41%

となります。

10年で解約する場合よりも約3%返戻率が上がります。

約3%の返戻率の上昇を金額に直すと、約1,200,000円になります。

20年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率をシュミレーション

次に、20年で解約した場合の累計払込保険料と返戻率について、見ていきます。

20年後の50歳で解約した場合、

・累計払込保険料 4,800,000円
・返戻率 97.21%

となります。

加入から20年経つと、返戻率も100.0%に近くなります。

この時点で解約を考えている人にとっては、ここで解約するか、最後まで支払い続けるか悩むところかもしれません。

個人年金保険を解約せずに継続する2つの方法

次に、個人年金保険を解約せずに継続する方法をご紹介します。

個人年金保険に加入したものの、保険料を支払うのが困難だ、という状況に陥る可能性もあり得ます。

明治安田生命の年金かけはしでは、ご契約のしおりで、「保険料のお払込みが困難なときの継続方法」として、以下の2つをご紹介しています。

方法 概要
払済年金保険へ変更する 保険料の払い込みを中止し、払済年金保険へ変更する方法。変更すると基本年金年額は小さくなるが、契約は有効に継続できる。
基本年金年額を減額する 例えば、基本年金年額が50万円だとしたら、それを30万円までに減額するという方法。減額することによって、その分保険料が安くなり、減額部分は解約されたとみなされるため、返戻金を受け取ることができる。

参考サイト⇒明治安田生命「年金かけはし/ご契約のしおり」

解約するなら一番良いタイミングはいつ?返戻金と税金をもとに考えよう

次に、解約するなら一番良いタイミングはいつなのかについて、解説していきます。

解約した場合、解約返戻金をいくらか受け取れますが、その解約返戻金にかかる税金の種類は一時所得となります。

一時所得になるのは、契約者と受取人が同一だった場合です。

国税庁のホームページには、一時所得の種類として以下のように記載されています。

生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等

引用_国税庁「一時所得」

さらに、この一時所得の計算方法としては、以下のように記載されています。

総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

引用_国税庁「一時所得」

そもそも解約するということは返戻率が100.0%以下のときだと思います。

総収入金額が解約する際に戻ってくる解約返戻金で、支出した金額が解約するまでに支払った累計払込保険料です。

この時点で計算するとマイナスになるため、一時所得の金額はない、つまり非課税となります。

返戻率100.0%以下での解約は非課税になるので、税金に関しては心配することはありません。

ですので、あとは契約時に、いつ解約したらいくら解約返戻金として戻ってくるのか、保険会社は説明してくれるので、それを参考に解約の一番良いタイミングを決めると良いでしょう。

解約の一番良いタイミングは人それぞれ異なるということです。

個人年金保険を解約してidecoへ加入するのはあり?なし?

次に、個人年金保険を解約してidecoへ加入するのはありか、なしかについて、解説していきます。

そもそもidecoについてどんな制度が知っておく必要があります。

Idecoとは個人型確定拠出年金のことで、個人年金保険同様、老後の備えのために加入するものです。

20歳から60歳までの人が加入でき、国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者かによって、掛金の上限が異なります。

メリットとしては、掛金の全額が所得控除の対象となる点や、運用益も非課税となる点です。

idecoはそういった面で非常に魅力的な制度ですが、個人年金保険を解約してまでidecoへ加入するメリットがあるのかと思うと、疑問符が付きます。

例えば、月々の保険料を支払うのが厳しいから個人年金保険を解約したとしても、idecoに加入すれば、新たに掛金を拠出しなければなりません。

掛金の全額が所得控除の対象になるといっても、個人年金保険の保険料も生命保険料控除の対象となります。

idecoは運用の成績によって受け取れる金額が変動しますので、そういったリスクを負ってまでやることではないように思います。

もちろんこれは一意見ですので、もし個人年金保険を解約してidecoに加入したのであれば、よくidecoの仕組みを勉強した方が良いと思います。

参考サイト⇒iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」

個人年金保険を解約する具体的な方法と手順

最後に、個人年金保険を解約する具体的な方法と手順をご紹介します。

8社の解約方法をご紹介していきますが、基本的には流れはどこも同じかと思います。

具体的に、ホームページ上に解約方法について記載している会社もあれば、問い合わせてください、としか記載していない会社もあります。

解約の際に大事な点は、解約すると決めたなら別の契約を継続できる方法を勧められても、しっかりと解約する旨を伝えることと、解約したい契約を間違えないことです。

同じ会社に複数の契約がある場合は、しっかり証券番号などを伝えて、間違いのないように、解約しましょう。

日本生命の個人年金保険を解約する方法と手順

最初に、日本生命の場合です。

①ニッセイコールセンターに連絡するか、近くにある窓口に訪問し、契約番号と解約の理由を伝える。

②所定の解約請求書に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーとともに日本生命に提出する。

③手続きが完了すると、日本生命から手続き完了のお知らせが届くので、間違いがないかその内容を確認する。

参考サイト⇒日本生命「解約する」

アフラックの個人年金保険を解約する方法と手順

次に、アフラックの場合です。

①契約者本人が担当の代理店かアフラックコールセンターまで問い合わせる。

アフラックのホームページには詳しく解約方法について、記載されていません。

おそらく、日本生命と同じように書類が届いて提出すれば完了すると思いますが、「担当の代理店かアフラックコールセンターまで相談してください」としか記載されていませんので、実際に問い合わせてみて、その後は指示された順番に従って、解約の手続きを進めていってください。

問い合わせると、解約以外の別の手段で契約を継続させる方法を勧めてくることが予想できます。

解約する旨をきっぱりと伝えましょう。

参考サイト⇒アフラック「解約を検討しているのですが、どうすればよいですか。」

第一生命の個人年金保険を解約する方法と手順

次に、第一生命の場合です。

①近くの窓口を訪問するか、第一生命コンタクトセンターに問い合わせる。

第一生命についても、アフラック同様、詳しい解約方法を載せていません。

近くの窓口は、簡単にホームページで検索することができます。

来店のネット予約をできる窓口もあるそうです。

同じく解約の理由を聞かれ、別の方法で契約を継続させる方法を勧めてくることが予想されますので、しっかりと解約する旨を伝えましょう。

参考サイト⇒第一生命「解約を検討されている場合」

住友生命の個人年金保険を解約する方法と手順

次に、住友生命の場合です。

①契約者本人が担当者かスミセイコールセンターへ連絡する。
②解約の手続書類を案内される。

住友生命もそれほど詳しく解約方法について、記載していません。

解約したい旨を伝えると、契約を継続する方法を考えてくれるそうですので、この場合もきっぱり解約します、と伝えた方が良さそうです。

参考サイト⇒住友生命「保険の解約」

明治安田生命の個人年金保険を解約する方法と手順

次に、明治安田生命の場合です。

①担当者かコミュニケーションセンターへ問い合わせる。
②所定の必要書類に記入し、本人確認書類のコピーとともに提出する。
③手続きが完了すると、完了のお知らせが届くので、内容を確認する。

明治安田生命の場合も、日本生命同様に、ホームページに詳しく解約方法が記載されています。

明治安田生命の保険を解約したことがありますが、問い合わせたときには、解約理由を聞かれたので、その点も覚えておきましょう。

JA共済の個人年金保険を解約する方法と手順

次に、JA共済の場合です。

①近くのJA共済に問い合わせる。

JA共済も解約の手続きについては、問い合わせること以外は記載されていません。

近くのJA共済については、「お近くのJAを探す」で探すことができます。

ただ、このページに飛んでも、電話番号等の一覧が出てくるわけではないので、少し面倒に感じるかもしれません。

問い合わせて、その後の解約方法については指示に従ってみてください。

参考サイト⇒JA共済「お問い合わせ・ご相談」

マニュライフ生命の個人年金保険を解約する方法と手順

次に、マニュライフ生命の場合です。

①契約者本人がマイページか電話で手続き書類を取り寄せる。その際には、保険証券などの契約内容が分かるものを準備しておく。
②届いた手続き書類に記入し、返送する。
③手続きが完了したら、完了のお知らせが届くので、内容を確認する。

マニュライフ生命では契約者が利用できるマイページでもお手続きできますし、電話でもできますので、便利に感じる人もいるのではないでしょうか。

電話での問い合わせが苦手な方などは、マイページからお手続きをしてみましょう。

参考サイト⇒マニュライフ生命「解約」

富国生命の個人年金保険を解約する方法と手順

最後に、富国生命の場合です。

①お客さまアドバイザーかお客さまセンターに問い合わせる。もしくは、ホームページ上の「ご契約内容に関するお申出フォーム」から問い合わせる。

②解約請求書が届くので、そこに必要事項を記入し、本人確認書類とともに提出する。

③手続きが完了したら、完了のお知らせが届くので、その内容を確認する。

おそらく、富国生命の場合も、解約の理由は聞かれると思いますので、その点も覚えておきましょう。

参考サイト⇒フコク生命「解約」

まとめ

以上が、個人年金保険の解約についてです。

個人年金保険の解約は基本的に損をするのでするべきではないです。

しかし、万一保険料の支払いが厳しくなったりして、解約せざるを得なくなったら、まず個人年金保険の解約以外で契約を有効に継続させる方法を保険会社のホームページなどで調べて、解約が良いのか別の方法が良いのか、検討してみてください。

解約を決断したら、紹介したように、保険会社に問い合わせて手続きを進めてみてください。

以上となります。

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