学資保険は貯蓄型がおすすめ?保証型とのちがいとFP監修貯蓄型学資保険ランキング

2024.07.16

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子どものための教育資金を用意する方法として最もメジャーとも言える学資保険。

ですが、学資保険を選ぶにあたって、どの点に着目するべきか、またどういった商品なら良い商品と言えるのか、基準がわからない方も多いでしょう。

そこでこの記事では、学資保険の目的から意識すべきポイント、学資保険の代わりになる貯蓄手段やオススメの学資保険まで解説していきます。

これから学資保険を検討する場合は、是非参考にしてみてください。

それでは早速見ていきましょう。

目次

学資保険の目的は「貯蓄」と「保障」

まず大前提として、学資保険はどんな目的を持つ保険商品なのかを理解していきましょう。

学資保険は、形としては生命保険の一種でして、一般的には保障の対象者である「被保険者」を子どもにする保険です。

その上で、学資保険は「貯蓄」に特化しているタイプと、「保障」に特化しているタイプの保険に分かれています。

それぞれ見ていきましょう。

貯蓄に特化した学資保険の特徴

まず、貯蓄特化型ですが、こちらの方が一般的です。

どういう商品が多いかと言いますと、例えば、満期時に受け取れる保険金を200万円とした場合、

・契約途中で契約者である親に万一のことがあった場合に、以後の保険料支払いを免除し、変わらず満期時に200万円を受け取れます。

・契約途中で被保険者である子どもに万一のことがあった場合に、今まで支払ってきた保険料に近似した金額(保険商品、支払期間、金額等により変動)を保険金として受け取れます。

という保障に留まるのがほとんどです。

ですがその分、実際に満期を迎えた時に受け取れる200万円より、合計で支払ってきた保険料の方が安いといったような効率的な貯蓄ができる商品が多いという特徴があります。

(こうしたお金に関するキーワードを「返戻率」と言い、詳細は後述します。)

預貯金に比べても効率よく貯蓄ができ、かつ万一の際には上記のような保障は付いてくるというのが、学資保険が子どもを持つ多くの家庭に利用される理由と言えますね。

保障に特化した学資保険の特徴

続いて、保障に特化した学資保険はどのようなものかを見ていきます。

保障特化型の保険ですと、前述の貯蓄型で見た保障に加えて、下記のような保障が設けられている商品があります。

・子どもの医療保険をセットにすることもできます。

・契約者である親に万一のことがあった時に、(満期保険金が200万円とすると)200万円を超える死亡保険金を受け取れます。

ベースは貯蓄型と変わらず、保険料を積み立てていき、満期を迎えたタイミングで受け取れるというものなのですが、保障型ではその契約途中における子どもや親に対する保障をより手厚くしているということですね。

ですが、保障が手厚くなる分、支払っている保険料の中で保障にかかる経費が増えるのも事実。

なのでこうした保障型の商品ですと、支払った合計の金額の方が、満期時に受け取れる保険金よりも高くなる(持ち出しが多くなる)場合が多いです。

教育資金を積み立てるなら「貯蓄型」にする

学資保険の目的は2種類あることを確認しましたが、保険の特徴、また学資保険の役割から見た時には、教育資金を積み立てるというのがベースにあると言えるでしょう。

教育資金を積み立てるというなら、「貯蓄型」を選ぶことをオススメします。

理由は、その方が「返戻率」を上げられるからです。

学資保険の返戻率とは

前述の「返戻率」とは、支払った保険料に比べて、どれだけ多くの保険金を受け取れるのかを表した数字(パーセント)のことで、下記計算にて算出します。

返戻率≒受取学資金総額÷払込保険料総額×100

参照記事⇒学資金準備スクエア|ソニー生命

例えば、満期時に受け取れる保険金を200万円として、合計の支払い保険料が195万円とした場合には、

2,000,000÷1,950,000×100≒返戻率約102.6(%)

となります。

返戻率が100%を超えるとお得になり、100%を割ると損をしていることになります。

学資保険の返戻率に影響を与えるマイナス金利

昔は返戻率が非常に高く、お得と言われていた学資保険ですが、昨今はその返戻率が全体的に低くなってしまっているのです。

その理由は、景気を回復するためにと政府が打ち出している「マイナス金利」により、保険会社の運用する利率も低くなっているからです。

ここで、マイナス金利がなぜ学資保険に悪影響なのかを簡単に解説します。

通常のプラス金利であれば、お金を貸す側であったり動かす(運用する)側である各金融機関(銀行や保険会社等)に有利に働きます。

なぜなら、高い金利で融資や運用等諸々のやり取りができて効率がいいからです。

ですが、これがマイナス金利になってしまうと、各金融機関やとても低い金利で融資や運用等をしなければならなくなります。

また通常の金利であれば、各金融機関はお金を日本銀行に預けていればそこから利息をもらえていたのですが、マイナス金利では逆に、各金融機関が日本銀行に利息を支払わなければならななくなります。

(ここが、金利が「マイナス」と言われる意味であり、最大のポイントです。)

こうした構図の中では、各金融機関は低い金利で多くお金を動かしていかなければいけないので、お金を借りる側が安易に借りられるようになり、お金が市場に回りやすくなって景気が回復する、ということですね。

一方で、金利が高いからこそお金を増やせて私たち契約者に対して利益・還元を増やせる保険業界では、このマイナス金利の流れは悪影響なのです。

マイナス金利の影響で、金融庁が2017年4月に、保険業界の標準利率を、今までの1%から0.25%に大幅に引き下げました。

(標準利率とは、責任準備金という、保険会社が倒産等しても保険加入者に返金すべき金額の計算利率のことを指します。)

これは史上最低の水準です。

参照記事⇒標準利率改定により保険料値上げ|保険見直し本舗

この標準利率が低くなるということは、保険会社が今までよりも責任準備金を多く用意しなければならないことを意味しており、それはつまり、保険会社が今までよりも取り分を大きくしなければならないことを意味します。

その影響で、契約者に対する還元率は下がり、特に貯蓄性の高い学資保険については、その煽りを強く受けて返戻率の低下が起こってしまうのですね。

保障特約を付けると返戻率が下がる

また前述でも一部触れていますが、学資保険に保障の特約を付ける場合は、返戻率が下がってしまいます。

学資保険のベースの保障については今まででご紹介の通り、満期を迎えた時に受け取れる満期保険金があり、毎月の保険料から積み立てられますが、この保障特約には積み立て要素はなく、掛け捨てとなります。

保障特約を付けるということは、保障特約を付けない場合よりも支払う保険料は高くなり、その部分は掛け捨てとして貯蓄にはならないので、返戻率が下がるということですね。

学資保険の返戻率ランキング

では、返戻率だけで見た場合に、どの商品が優秀なのでしょうか。

契約者:30歳男性、被保険者:0歳男の子とした時に、返戻率が高い商品をランキング形式でご紹介していきます。

第1位:つみたて学資(明治安田生命)

明治安田生命の商品が最も高く、「全期前納」という加入即一括払いでの契約であれば、高い返戻率が約束されています。

・受取保険金総額:300万円
・支払い方法:全期前納払い(2,751,781円)
・受け取り方:子どもが18歳になるタイミングから4年に渡って、毎年75万円ずつの受け取り
・返戻率:109%

参照記事⇒明治安田生命つみたて学資|明治安田生命

第2位:学資金準備スクエア(ソニー生命)

第2位にランクインのソニー生命の学資保険は、様々な支払い方法や受け取り方に対応しながらも、平均的に返戻率が高いという優秀さが特徴です。

・受取保険金総額:300万円
・支払い方法:子どもが10歳になるまでの期間で月払い(月額23,310円)
・受け取り方:子どもが18歳になるタイミングから5年に渡って、毎年60万円ずつの受け取り
・返戻率:約107.2%

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション!|ソニー生命

第3位:みらいのつばさ ジャンプ型(フコク生命)

3位として、フコク生命の商品がランクイン。

フコク生命では、大学時代の教育資金に重点を置くジャンプ型と、それまでの進学時等に重点を置くステップ型という2タイプの商品があります。

・受取保険金総額:200万円
・支払い方法:子どもが11歳になるまでの期間で月払い(月額14,354円)
・受け取り方:子どもが18歳になるタイミングで100万円、22歳になるタイミングで100万円の合計200万円の受け取り
・返戻率:約105.5%

参照記事⇒みらいのつばさ|フコク生命

学資保険をお得に利用するための返戻率アップ方法3つ

ここで、少しでも学資保険の返戻率を上げて、少しでもお得に活用できるよう、返戻率を上げられる方法を3つご紹介します。

ポイントは、「期間、金額」と「リスク」です。

保険会社が私たち加入者からの保険料を運用して利益を創出し、それを踏まえて返戻率を良くするという流れがあるので、運用原資である保険料をできるだけ早く支払い、運用期間とイコールである契約期間としてできるだけ長く預けておくのが重要です。

1.支払い期間を短くする(早く払込を完了させる)

前述の明治安田生命の返戻率109%については、「全期前納払い」を活用した場合の返戻率でしたが、どの保険会社の商品でも短い期間に多く保険料を支払っていくと、返戻率が高くなる傾向にあります。

例えば、前述のソニー生命の商品で、10歳までの払込で上記の107.2%でしたが、これが18歳までの払込にすると、返戻率は約103.8%まで落ちてしまいます。

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション!|ソニー生命

短期間にすることで負担は増えますが、支払いはできるだけ早く終わらせた方が返戻率はアップします。

2.受け取り期間を分割にする(子どもが22歳になるまで保険を継続させる)

保険期間が長い方が、返戻率が高くなる傾向にあります。

例えば、ソニー生命で前述の107.2%の受け取りプランから、保険料の受け取りを18歳のタイミングで300万円一括の方式(保険契約が18歳で終了になる形)に変更した場合、返戻率は約104.8%に下がります。

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション!|ソニー生命

保険契約が18歳までなのか22歳までなのかで、上記商品では返戻率が2.5%近くも変わってくることがわかりますね。

3.契約者名義を母親にする(死亡リスクを減らす)

死亡リスクの観点で見た時に、男性より女性の方が、死亡リスクが低いことがわかっています。

人口10万人対比で見ていきますと、平成29年の死亡者数は、

・20代男性:98.8人
・20代女性:44.1人
・30代男性:140.2人
・30代女性:77人
・40代男性:306.3人
・40代女性:173.4人

といったように、どの年代でも女性の死亡者数は男性の約半数に留まっています。

参照記事⇒平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

今までご説明の通りですが、学資保険は生命保険なので、死亡リスクが低ければ保険料は安くなります。

同じ年齢同じ条件であれば、母親名義の契約の方が保険料が安くなり、結果返戻率が良くなりやすいということですね。

子どもの教育費はいくらかかる?

ちなみに、子どもにかかる教育費は、全体でいくらかかるのか、という点も確認していきましょう。

教育費の範囲については、学費や教材費だけではなく、給食費や修学旅行等の費用、それ以外にも習い事や学習塾に通う費用等の全般を「教育費」として、文部科学省が平均額を発表しておりますので引用します。

ケース1 :全て公立に通った場合

ケース2 :幼稚園のみ私立に通った場合

ケース3 :高等学校のみ私立に通った場合

ケース4 :幼稚園及び高等学校は私立に通った場合

ケース5 :小学校のみ公立に通った場合

ケース6 :全て私立に通った場合

注)金額は、各学年の平成28年度の平均額の単純合計である。

引用_平成28年度子供の学習費調査の結果について|文部科学省

また、さらに大学に通うという場合には、加えて下記の金額が必要です。

・国立大学:入学金282,000円、授業料535,800円×4年分、合計2,425,200円
・公立大学:入学金393,426円、授業料537,809円×4年分、合計2,544,662円
・私立大学:入学金253,461円、授業料877,735円×4年分、合計3,764,401円

※公立、私立大学の費用は平均値です。

参照記事⇒(参考資料)国公私立大学の授業料等の推移|文部科学省

私立大学では、授業料以外に「施設設備費」という費用が必要となるので、合計としては400万円を越えてくるでしょう。

参照記事⇒私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について|文部科学省

大学では自宅からの通いなのか下宿なのかにもよりますが、出費が高校生までの時と比べて大きく変わることもあり、お小遣いや仕送りというものも考える必要が出てきます。

日本学生支援機構の学生生活に関する調査結果によると、自宅から通いの学生や下宿の学生等、全ての家庭における年間仕送り(お小遣い)額は平均約118万円であることがわかりました。

参照記事⇒平成28年度学生生活調査|独立行政法人日本学生支援機構

つまり、平均として、学費以外の子どもにかける費用が毎月約10万円、大学4年間で480万円の出費になることがわかります。

大学時の仕送りも含めて、全て平均値としての金額で見ていきますと、

・全て国公立で進んだ場合:約1,300万円前後
・全て私立で進んだ場合:約2,650万円前後

の教育費が必要になることとなります。

学資保険みんなはどうしてる?

ソニー生命が実施している、大学生までの子どもがいる20歳以上の男女に対して行った子どもの教育資金に関する調査結果において、2019年の子どもの学資保険加入率は下記の結果となりました。

学資保険加入率:50.8%

※預貯金の活用率も高く、54.3%となっております。

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成30年度)|ソニー生命保険株式会社

子どもがいる家庭の半数は学資保険に加入している状況です。

また同調査にて、子どもの教育資金に充てている毎月の金額が下記の結果となったおります。

・10,000〜14,999円:18.9%
・20,000〜29,999円:18.4%
・30,000円以上:20.1%
・平均月額:17,474円

参照記事⇒子どもの教育資金と学資保険に関する調査(平成30年度)|ソニー生命保険株式会社

預貯金の活用率と照らし合わせても、平均額である17,474円の全てを学資保険に充てているという家庭は稀で、大半の学資保険活用中の家庭が預貯金との併用であることが見込まれます。

ですので、学資保険に充てているであろう金額は、10,000〜15,000円のラインが平均値になると言えるでしょう。

加入商品や加入タイミング、払込期間によって異なりますが、下記いくつかのシミュレーションを踏まえて見ますと、保険金の受け取り額としては200〜300万円が最も人気な金額と言えますね。

(以下参考シミュレーション、契約者:30歳男性、被保険者:0歳男の子と想定)

・18歳のタイミングから5年に渡って40万円ずつ(200万円)受け取り、10歳までの月払い:15,540円

・18歳のタイミングで200万円一括の受け取り、18歳までの月払い:9,080円

・18歳のタイミングで100万円、以後4年に渡って50万円ずつ(200万円)、合計300万円の受け取り、18歳までの月払い:13,350円

・18歳のタイミングで一括200万円の受け取り、入院日額3,000円の特約付き、18歳までの月払い:10,460円

参照記事⇒10秒でできる! 学資保険 シミュレーション!|ソニー生命

参照記事⇒お見積りシミュレーション|かんぽ生命

参照記事⇒ニッセイ学資保険 シミュレーション|日本生命

また、少々古いデータになりますが、「NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社」が2013年に実施した学資保険に関する調査結果において、学資保険で気にするポイントの1位に返戻率が挙げられていた(全体の89.4%が返戻率を気にすると回答)という結果があります。

参照記事⇒学資保険に関する調査|NTTコムリサーチ

約10人中9人が返戻率を重視しているというデータから考えますと、返戻率を下げることに繋がるような、

・子どもが大きくなってから加入する
・医療特約等を付ける

といった方々は極少数派であることが予想されますね。

学資保険に加入するメリット・デメリット

ここで改めて、学資保険に加入するメリットとデメリットを押さえていきましょう。

まずメリットですが、大きく2点あります。

1点目が、支払いを継続すれば、間違いなく契約当初設定した保険金を教育資金として準備できる点です。

預貯金のように全て自身の裁量で教育資金を準備するという場合に、毎月一定額を必ず貯めて、途中一切引き出さずに貯め続けるというのは、かなりの覚悟と忍耐を必要としますよね。

その点学資保険であれば、毎月必ず引き落としをされる携帯電話料金や光熱費といったような「固定費」の1つとして認識していくようになるので、毎月の収支バランスやご自身の意思と関係なく、確実な積み立てが可能となります。

2点目が、死亡保険としての役割も担っている点です。

仮に万一のことがあなたに降りかかったとしても、学資保険に加入していれば、それ以後の支払いは免除されつつ、契約当初に決めたタイミングに決めた金額が振り込まれますので、子どものための教育資金の一部は確実に押さえることができます。

こうしたリスクヘッジの一要素として、学資保険は貢献できる可能性が高いですね。

続いてデメリットですが、こちらも大きく2点あります。

1点目は、昨今のマイナス金利の影響で返戻率が低く、また途中解約時の返戻率が非常に悪い点です。

前述の通り、昨今のマイナス金利の影響で、商品全体の返戻率が下がっている傾向にあります。

もちろん、今でも返戻率が100%を超える商品も複数展開されていますが、特約等もつけないベースの契約段階から元本割れ(返戻率が100%を切ること)している商品が複数あることも事実。

また、学資保険最大のリスクは、仮に毎月の支払いが継続できずに解約した場合に、解約返戻金という返金を受けることができますが、支払い期間が短ければ短いほど、その額は今まで支払った累計額よりも大幅に少なくなることです。

現在の契約について解約または減額した場合に支払う返戻金額は、 多くの場合、払い込んだ保険料の合計額より少ない金額となります。 特に契約後、短期間で解約した場合は、返戻金がまったくないか、 あってもごくわずかです。

引用_ご契約のしおり・約款(学資保険)|かんぽ生命

この場合は、預貯金や他の積立手段と比べても損をする形になるので、注意が必要です。

2点目は、インフレに弱い点です。

インフレとは、簡単に言えば物価が上がり続ける状態を指しますが、例えば今まで150円だったジュースが200円になる、というようなイメージです。

昨今のマイナス金利の目的も、このインフレを起こして景気を回復させることなので、直近の経済状況では不透明ですが今後10年後20年後にはインフレが起こる可能性もゼロではありません。

インフレでは物価が上がる反面、貨幣価値が下がることも意味していますので、例えば満期保険金を200万円とした場合に、その保険金を受け取る18年後には、200万円が現在の150万円の価値にしかならなかった、なんていう事態も起こり得ます。

学資保険やその他の貯蓄型保険ですと、このインフレへの対応はできないので、注意が必要ですね。

学資保険を賢く選ぶ方法

学資保険のメリットとデメリットを踏まえた上で、学資保険との付き合い方、賢く選ぶポイントについて見ていきましょう。

1.複数商品のシミュレーションを行うこと

学資保険の各社ごとの違いは、ほとんど

・保険金の受取額、受け取り方
・医療特約等、保障面拡張の有無

これらのみです。

返戻率を意識しつつも、ご自身の想像や前述にてご紹介しました小中高大学の各ステップごとの教育費を参考にしながら、例えば「中学進学のタイミングで、少しまとまったお金が欲しい」ですとか、「大学入学のタイミングでは100万円は受け取りたい」といったような、個々での理想に合う商品を選択することが重要です。

2.生命保険料控除枠が余っている場合は、子どもが18歳になるまでの支払いも検討すること

前述の通り、返戻率をとにかく上げるには、「できるだけ早く、できるだけ多く」支払うプランにする方がいいのですが、学資保険は生命保険なので、毎年の年末調整や確定申告における申請によって、税金の控除を受けることができます(税金が安くなります)。

ですので、ご自身の加入している他の生命保険商品を踏まえて、まだ控除枠が余っているという場合には、逆に支払い期間を長くして、受けられる税金控除と合わせて実質的な返戻率を高めるという方法も有効ですね。

3.とにかく、「無理」だけはしないこと

今まででも見てきた通り、返戻率を上げるためには、1回ごとの支払額が高くなるような契約の仕方になりがちですが、それは毎回の支払いがより大変になることを意味します。

子どもが小さい頃に加入すれば、食費から何から、今後子どもの成長に合わせてかかる負担は今よりも間違いなく大きくなります。

もちろん預貯金額に余裕がある場合や、今後昇給等世帯年収が確実に上がる見込みがある場合等、あまり気にしなくても大丈夫な場合もあります。

ですが一方で、今後収入面が年々上がっていく見込みがない場合は、またそうでなくとも転職によって年収が下がってしまう可能性もありますので、現時点の収支でギリギリのラインを攻めてしまうのはとても危険です。

前述の通り、途中解約に大きなリスクを伴うのが学資保険。

返戻率ももちろん大事ですが、それよりも大事なのは「確実に払込期間支払い続けられること」であるという認識は持っておきましょう。

学資保険の対面販売型と通販型、違いはあるの?

学資保険をインターネットで調べていきますと、「プランナーに相談する」というボタンがあったり、問い合わせフォームがあったりしますよね。

また、かんぽ生命やJA共済を中心に、今までは私たちが直接窓口まで出向いて申し込むというケースも多かったです。

昨今のインターネットの普及で、いわゆる「通販型」がメジャーになってきていますが、直接担当者と話して契約する対面販売型と違いはあるのでしょうか。

結論としては、学資保険に関しては違いはほとんどないと言えます。

むしろ、学資保険は通販型の方がオススメです。

理由は2点あります。

1点目は、学資保険は「ドアノック商品」と呼ばれるカテゴリの商品で、対面販売型では学資保険以外の商品を提案される可能性が高いからです。

ドアノック商品というのは、言葉の通りドアをノックするきっかけとなる商品ということで、今まで顧客でなかった方々と保険会社が繋がれるきっかけとなる入口の商品を意味します。

ドアノック商品はそれだけ魅力がないと始まらないので、各保険会社はほとんど利益なしで最大限顧客に魅力を出せるように学資保険を展開します。

つまり、保険会社にとって学資保険は他の商品に比べて旨味の少ない商品なのです。

ですので、直接担当者と会ってしまう場合は、学資保険プラスアルファで他の商品や、学資保険ではない商品を紹介される可能性が高いです。

保険会社としては、顧客である私たちに学資保険以外にも加入してもらわないと困るということですね。

ですので、純粋に学資保険の加入だけを考えている場合には、対面販売型はあまりオススメとは言えません。

2点目は、通販型でも対面販売型でも違いを感じにくいからです。

1点目で見た通り、学資保険は採算ギリギリのラインで商品展開をしているのが一般的なので、あらかじめ決められている選択肢からしか選べないという事情があります。

ですので、仮に対面販売で担当者に直接相談したとしても、相談できる幅は各社のシミュレーションで選べる選択肢しか基本的にはないということです。

こうした2点を踏まえても、ご自身で色々調べてイメージが湧いている状態でしたら、そのまま通販型にて申し込む方が効率的と言えますね。

一方で、

・自分だけの判断ではどうしても不安
・学資保険以外の選択肢も含めて検討したい

といったお悩みがある場合には、対面販売型がオススメです。

トータルなライフプランの相談ができるのは対面販売型ならではですので、ご自身の考えの中で必要と感じた場合には、対面販売型を選択するのがいいですね。

学資保険以外の選択肢も検討する

今までは学資保険について見てきましたが、ここで子どもの教育資金を準備できる、その他の手段についても見てみましょう。

1.低解約返戻金型終身保険

学資保険と同じ貯蓄型の死亡保険として、「低解約返戻金型終身保険」という商品の活用も1つの手段です。

保険料の支払い期間中の解約返戻金を抑制する(支払額の70%前後)ことで保険料を安くし、低解約期間経過後の解約返戻金を高くしてより貯蓄性のある商品にするのが、低解約返戻金型終身保険の特徴です。

参照記事⇒終身保険RISE|オリックス生命保険

支払い期間中の解約ではリスクが大きいですが、その分保険料を安く効率的に貯蓄型保険に入れるメリットがありますね。

また、学資保険である子どもの年齢制限等がなくなるので、子どもが小学生くらいまで大きい段階になっても加入できますし、子どもができる前や結婚する前から加入しておいて、学資保険よりも長期間活用することで返戻率を高めるという方法も取れます。

ただし、学資保険とは違って子どもの教育資金を主目的にした保険商品ではないので、子どもが18歳になる前後のタイミングを解約時期に合わせるのが難しいケースもあります。

ですので、子どもの成長のどのタイミングに合わせて保険金を受け取りたいか、これをしっかり考えた上で選ぶことが重要ですね。

2.預貯金

良くも悪くも学資保険と違う方法ですし、最も活用しやすい手段とも言えるので、学資保険との違いを理解した上で積極的に併用していくべき方法ですね。

強みは、貯めるのも引き出しもいつでも可能なので、急な出費やまとまった出費といったイレギュラー対応に強い点でして、ここは学資保険の弱点でもあります。

学資保険は、子どもの大学進学のような「予見できる出費への対応」として、預貯金は「予期できない出費への対応」として活用しましょう。

一方で預貯金の弱みは、そのいつでも貯めたり引き出したりできる点なのです。

貯めるのも引き出すのも自由なので、蓋を開けてみたら子どもの大学進学時に必要な資金がない、ということもあり得ます。

よっぽど意思の強い方でないと、預貯金一本で子どもの教育資金を準備するのは至難の業ですので、預貯金の良さを踏まえながら、複数あるうちの1つの準備方法として認識しておくのがいいですね。

3.投資信託(ジュニアNISA)

税制面でもメリットが大きく、また子どもの教育資金を準備しやすい制約が設けられていることから、投資信託としてジュニアNISAを活用する方法もあります。

ジュニアNISAのメリットは、年間80万円の非課税枠が設けられていることです。

年間80万円までの投資信託であれば、ジュニアNISAを活用することで、そこでの利益に課税されないので、お得な運用が可能です。

参照記事⇒ジュニアNISAの基礎知識|金融庁

一方で、デメリットとしては投資になるので、支払額より受取額がマイナスになる可能性がある点です。

また、ジュニアNISA最大の特徴は、子どもが18歳になるまでお金の引き出しができないことです。

子どもの教育資金のための制度なので、強制的に子どもの進学資金として貯めざるを得ない仕組みという点でメリットにもなりますが、扱いにくいという点ではデメリットとも取れますので、この仕組みを理解した上で活用することが重要ですね。

参照記事⇒ジュニアNISAの基礎知識|金融庁

こうした学資保険以外の方法も念頭に入れながら、複数併用も踏まえて色々な選択肢を検討することが、より良い準備の仕方に繋がるでしょう。

大手保険会社の貯蓄型学資保険の比較

最後に、大手保険会社が展開する貯蓄型学資保険を、様々なポイントで比較していってみましょう。

(契約者:30歳男性、被保険者:0歳男の子としてシミュレーションしていきます。)

1.ソニー生命

・受取保険金総額:50〜2,600万円
・受け取り方法:18歳のタイミングで一括、18歳から5年間に渡って5等分、12歳と15歳のタイミングで一部と18歳のタイミングで一括の合計で受取金総額に近似する受け取り、の3択
・保険料払込期間:10歳まで、18歳までの2択
・返戻率:約101.7〜約107.2%

参照記事⇒学資保険準備スクエア|ソニー生命

受取保険金総額、受け取り方法等々幅が広く、選べるプランはどれも返戻率100%超えと優秀。

平均して返戻率が高い点も魅力で、「迷ったらコレ」と言える商品です。

2.かんぽ生命

・受取保険金総額:100〜650万円
・受け取り方法:18歳のタイミングで一括、18歳から4年間に渡って4等分、18歳のタイミングで一括に加え小中高校入学前の各12月に祝い金を上乗せ、の3択
・保険料払込期間:12歳、17歳、18歳までの3択
・返戻率:元本割れ

参照記事⇒学資保険 はじめのかんぽ|かんぽ生命

基本元本割れをしているので、貯蓄型の保険としては物寂しい印象。

ですが医療特約を付けることもできるなど、商品としては幅が広いのが特徴です。

3.日本生命

・受取保険金総額:210〜1,800万円まで
・受け取り方法:祝い金なし型(18歳時に保険金総額の1/3、以後4年に渡って1/6ずつ受け取り)と祝い金あり型(祝い金なし型に加えて、満6、12、15歳を迎える各2ヶ月前に祝い金を上乗せ)の2択
・保険料払込期間:契約時から5年間、10年間、17歳までと18歳までの4択
・返戻率:約101.5〜約108.5%

参照記事⇒ニッセイ学資保険|日本生命

受取保険金総額の幅は広いものの、受け取り方は実質1択しかありません(祝い金は上乗せするかしないかなので、18歳以降の受け取り方は変わりません)。

しかし、返戻率も比較的優秀で検討はしやすい商品と言えます。

4.明治安田生命

・受取保険金総額:200万円か300万円の2択
・受け取り方法:18歳になるタイミングから4年間に渡って4等分
・保険料払込期間:10歳までか15歳までの2択
・返戻率:102.7〜109%

参照記事⇒明治安田生命つみたて学資|明治安田生命

選択肢がほとんどなく、非常にシンプルなのが特徴。

ポイントは、保険料払込期間が最長でも15歳までなので、高校生の時期に保険料がかからずに済むことです。

5.フコク生命

・受取保険金総額:200〜210万円(シミュレーション可能額)
・受け取り方法:ステップ型(3、6、12、15、18、20、22歳にそれぞれ保険金を受け取れる)とジャンプ型(18歳と22歳に等分を受け取れる)の2択
・保険料払込期間:11歳、14歳、17歳になるまでの3択
・返戻率:101.1〜105.5%

参照記事⇒みらいのつばさ|フコク生命

ステップ型とジャンプ型と2種類から保険金の受け取り方が選べる点と、「兄弟割引制度」という2人目からの保険料が安くなる制度が特徴的です。

上記5つ以外にも商品はありますので、これらも踏まえながら、色々とシミュレーションしてみるといいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

学資保険と一口に言っても、保険会社によって返戻率も保険金の受け取り方も様々あります。

マイナス金利の背景もあって貯蓄型の学資保険は厳しい状況ですが、それでもまだ返戻率の高い商品もありますし、メリットも踏まえると子どもの教育資金を準備する手段として有効であることも事実。

デメリットやそれを補える手段も押さえながら、うまく組み合わせて子どもの教育資金を安心して準備できるよう、この記事を是非参考にしてみてください。

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