学資保険は結局円建てとドル建てどっちがお得?FPが円建てドル建てを徹底比較

2024.07.16

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子どもの教育資金を貯めるのに「ドル建ての保険」か「円建ての保険」か迷っているお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか?

「円建てだと増えない」「子どもの教育費はかなりかかりそうだしなるべく多く準備してあげたい」と思っている人も多いでしょう。

一方で、「ドル建てってリスクがあるんでしょ?」と円建てで確実に貯めていきたいと考えている人もいると思います。

そもそも「ドル建て保険」とは、保険料の支払いと保険金の受け取りをドルで行う保険のことです。

特約を付けることによって、円で行うこともできます。

ドル建て保険のメリットは
①日本より金利が高い点
②為替差益によってお金を増やすことができる点
③留学費用に使いやすい点
にあります。

金利を比べてみると、日本は-0.125%ですが、アメリカは2.144%となっています。

為替差益が生まれる点もドル建てならではです。

一方、デメリットは
④大きく損をしてしまうこともある点
⑤解約したいときにできないこともある点
⑥為替手数料がかかる点
⑦ドルで受け取る場合には外貨預金口座を開設しなければならない点
にあります。

ドル建て保険は、為替差損によって大きく損をしてしまうこともあります。

さらに、解約したい!教育資金に充てたい!と思ってもそのときの為替レートによっては解約時に損をしてしまうことも十分に考えられます。

解約のタイミングが難しいという点だけを見れば、ドル建て保険は教育資金を貯める方法として有効なのかそうでないのかがはっきりと分かると思います。

ドル建て保険に加入する際には、商品の仕組みや注意点をよく理解しなければならないのです。

ドル建て保険は、メットライフ生命やソニー生命をはじめ、多くの保険会社が取り扱っています。

それぞれ保障内容も異なっていて、その点もこの記事でご紹介しています。

最後には、番外編として老後の資金を貯めるのに、ドル建てがいいのか、円建てがいいのかも解説しています。

この記事を読んで、「ドル建て保険」の理解を深めていきましょう!

目次

教育資金を貯蓄するのはどっちがお得?「ドル建て」か「円建て」か

子どもの教育資金を貯めていくのに、「ドル建て」の商品が気になっているお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか?

最近では、外貨建て保険の販売が過去最高になっています。

子どもの進路によって準備しなければならない教育資金の額は異なります。

子どもの進路、子どもがやりたい!と思うことは、いつ変わるか分かりません。

できればお父さん、お母さんが十分に備えてあげたいですよね。

まずは、「円建て」と「ドル建て」の仕組みを簡単に解説していきます。

「円建て」「ドル建て」ってどういうもの?

通常、保険は契約者が保険会社に対して保険料を支払い、時期が来たら保険金を受け取るものです。

解約すれば解約返戻金を受け取れるものもあります。

ここまでの仕組みは多くの人が知っていると思います。

「円建て」というのは、この一連の流れを全て「日本円」を行うことです。

つまり、円で支払い、円で受け取るということです。

一方、「ドル建て」とは、この一連の流れを全て「ドル」で行うことです。

ドルには、米ドルや豪ドルがあります。

「ドル建て」と聞いて、あまり難しく考える必要はありません。

円で行うか、ドルで行うかの違いです。

円建て終身保険で教育資金を積み立てる

教育資金を貯めるのに、円建ての終身保険で準備する人もいます。

円建て終身保険とは、「円建て」とついているだけで、通常の終身保険を同じです。

まず、円建て保険とはどのようなものか、そのメリットやデメリット等について解説していきます。

円建て保険とはどのようなものか

先ほどと重複しますが、円建て保険とは、契約者が円で保険料を支払い、保険金や解約返戻金も円で受け取る保険です。

私たちがよく耳にする一般的な保険です。

例えば、円建て終身保険だったら、保険料を円で一定期間(もしくは終身で)払い込んでいき、被保険者が死亡や高度障害になった場合には円で保険金を受け取ります。

途中で解約すると、円で解約返戻金が支払われます。

円建て保険のメリット・デメリット

円建て保険のメリットとデメリットはどの点にあるのでしょうか?

メリット

・為替レートに左右されない。
・収支の管理がしやすい。
・全て円で行うので安心感がある。

円建て保険は、保険料の支払い、保険金の受け取りも全て円で行うので、そもそも為替変動の影響を受けません。

ということは、毎月の保険料も一定で、保険金の額も決まっているので、収支の管理もしやすくなります。

毎月の保険料が為替レートによって10,000円であったり、11,000円であったりすると、今後自分は保険会社にいくら支払っていくかが明確に見えてこないですよね。

さらに、保険金や解約返戻金の額も正確にはわかりません。

そういった意味で円建て保険だと、安心感を得ることができます。

デメリット

・為替レートに左右されない。

一方で、ドル建て保険と比べた場合、お金をより多く増やすことができないことがデメリットになります。理由は2つあり、1つにはドルと比べた場合、日本円は金利が低いことにあり、もう1つにはそもそも為替レートに左右されないため、為替差益というものがないことにあります。

円建ての保険を選ぶ際の1つのポイント

円建ての保険を選ぶときには、以下のポイントに気を付けましょう。

・外貨建て保険を勧められることもある。

先述したように、最近のニュースで、外貨建て保険の販売が過去最高になったという報道がありました。

例えば、明治安田生命では2019年の2月から「つみたてドル建終身」というドル建て保険を発売しました。

さらに、オリックス生命では2019年4月から「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」を発売しました。

2018年度の大手生命保険会社5社の外貨建て保険の販売は、2017年度よりも5割も増えています。

円建て保険の販売は、2016年のマイナス金利の導入により一部停止されていましたが、現在は販売を再開している商品もあります。

ただ、流れとしては外貨建て保険を勧められる傾向にありますので、その点注意しましょう。

参考サイト⇒明治安田生命「「つみたてドル建終身」の発売について」オリックス生命「「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」の発売について」

受取金額が変更する変額型保険ってどうなの?

保険商品の中にはあまり聞きなれない「変額型保険」というものがあります。

これは、保険会社が株式や債券(特別勘定といいます)を中心にして運用していき、その運用次第で受け取れる保険金や解約返戻金が増えたり、減ったりする保険です。

上手く運用がいけば、保険金などは大きく増えていきます。

変額型保険には、終身型と有期型があります。

保険期間が一生涯なのか、一定期間なのかの違いです。

注意点としては、死亡・高度障害の保険金は契約のときに決めた最低保証がありますが、その他の満期保険金、解約返戻金には最低保証はありません。

ドル建てで教育資金を積み立てる

次に、ドル建て保険について詳しくみていきましょう。

ここまで見てきて、大体ドル建て保険がどういった仕組みなのかは分かった人は多いと思います。

メリットやデメリット、保険料や受取金額のシミュレーションもみていき、より理解を深めていきましょう。

ドル建て保険とはどのようなものか

ドル建て保険とは、保険料の払い込みと保険金の受け取りを全てドルで行う保険です。

例えば、ドル建て終身保険だったら、ドルで保険料を一定期間払い込んでいき、被保険者が死亡や高度障害になった場合にはドルで保険金を受け取ります。

解約しても返戻金はドルで受け取ります。

商品によっては、特約をつけることで実際契約者が保険料を払い込むときは円でできたり、受け取りも円でできるものもあります。

また、そういった特約を必ずつけなければならないという商品もあります。

ドル建て保険が最近人気の理由は?

ドル建て保険が最近人気になってきている理由はいくつか考えられますが、1番

大きな理由は、「日本よりも金利が高い」ことにあります。

10年国債の利回りをみてみると(2021年1月8日現在)、

・日本 0.035%
・アメリカ 1.082%
・オーストラリア 1.090%

となり、アメリカとオーストラリアは1%を越えています。

こうみると受け取れる保険金額に差が出てくるのも、一目瞭然です。

さらに、日本の大手銀行である三井住友銀行は、2019年5月から国内で初めての外貨建ての学資保険「想いはぐくむ大樹の学資」の取り扱いを始めました。

この保険は、円で保険料を払い込んで、初回の保険金受取時期までに目標到達しない場合にはドルで受け取り、その時期の前に目標到達した場合には円建ての学資保険に自動的に移行し、円で保険金を受け取る仕組みです。

初回の受取時期は高校3年生の11月1日と決まっていて、そこから5回にわけて受け取るか、一括で受け取るか選べます。

さらに、円建ての学資保険と同じように、契約者の万一の保障もしっかりついていて、出産前からも加入できます。

今後、この外貨建ての学資保険がどのように売れていくのか、注目していきましょう。

参考サイト⇒三井住友銀行「マーケット情報」三井住友銀行「外貨建平準払学資保険「想いはぐくむ大樹の学資」の取扱開始について」大樹生命「想いはぐくむ大樹の学資」

ドル建て保険に加入するメリット・デメリット

次に、ドル建て保険のメリットとデメリットを確認していきましょう。

特にデメリットが気になるところですよね。

メリット

①日本よりも金利が高い。
②為替差益によってもお金を大きく増やすことができる。
③留学費用に使いやすい。

デメリット

①大きく損をしてしまう可能性もある。
②解約したいときにできないこともある。
③為替手数料がかかる。
④外貨預金口座を開設しなければならない。

メリット① 日本よりも金利が高い。
先ほどもみたように、日本とアメリカ、オーストラリアの金利を比べると、大きな差があることが分かります。

例えば、アメリカのここ1年間の10年国債の利回りをみてみると、一番高いときで3.20%もありました。
オーストラリアでも2.80%以上はありました。

もちろん過去のことなので今後どうなるか読むのは難しいですが、ドルがすごく魅力的に感じますよね。

メリット② 為替差益によってもお金を大きく増やすことができる。

外貨建て保険は、為替差益によってもお金を大きく増やすことができます。

為替差益によって増えた例は、後ほどシミュレーションでご紹介します。

教育資金は予想外の出費がかかることも考えられます。

できるだけ多く子どものために準備しておきたいものですよね。

③ 留学費用に使いやすい。

留学費用にも有効です。

保険金、解約返戻金を受け取る際にドルから円に戻すと為替手数料がかかってしまうこともあり、その点を不満に思っている人も多いと思いますが、ドルのまま受け取ればその時の為替手数料はかからずに済みます。

子どもに留学させたい!と考えているお父さん、お母さんには嬉しいですよね。

デメリット① 大きく損をしてしまう可能性もある。

一方で、外貨建て保険には大きなリスクが伴います。

為替レートによっては、為替差損により大きく損をしてしまうことも考えられ、教育資金額の目標に大きく届かない可能性も十分に考えられます。

為替差損についても、後ほどシミュレーションでご紹介。

為替は各国の経済状況など様々な要因によって変動するので、私たちにはなかなか予測が難しいところです。

デメリット② 解約したいときにできないこともある。

保険はいつでも解約でき、解約の時期は自由です。

ただ、ドル建て保険の場合、解約したい!と思った時に為替レートによっては、できない、損をしてしまうことも考えられます。

例えば、教育資金を貯めるのにドル建て終身保険に入ったとして、大学入学前に解約しよう!と思っていても、為替レートによってはそのときがベストなタイミングではないかもしれません。

デメリット③ 為替手数料がかかる。

円とドルを両替するときには為替手数料がかかります。

これは契約者の負担になり、無料ではありません。

為替手数料は商品によって異なり、例えば、ソニー生命の「米ドル建終身保険」だと、1ドルにつき0.01円となっています。

デメリット④ 外貨預金口座を開設しなければならない。

保険金、解約返戻金をドルで受け取る際には、外貨預金口座が必要です。

外貨預金口座は店頭でも作れますし、ネットでも作れます。

ただし、外貨預金は預金保険制度の対象外となりますので注意が必要です。

預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に預金を保護する制度で日本の普通預金や定期預金などは対象となります。

ただし、外貨預金は対象外です。

参考サイト⇒三井住友銀行「マーケット情報チャート 米国債10年」三井住友銀行「マーケット情報チャート オーストラリア国債10年」ソニー生命「米ドル建終身保険」預金保険機構「預金保険制度の概要」

ドル建て保険を利用したらどうなる?ドル建て保険シミュレーション

次に、ドル建て保険を利用した場合の保険料と受取金額のシミュレーションをしてみます。

一括で保険料1,000,000円を支払い、運用して保険金を円で受け取り、その結果どのくらいお金が増減したのか見ていきます。

運用により2,000ドル増えたとします。

また、それぞれ1ドル90円、100円、110円の3パターンで算出します。

支払い時と受取時のレートは変わらないとします。

為替手数料は考慮しません。

(1)1ドル90円の場合

1,000,000円の保険料を払い込む→ドルに換算すると11,111ドルになる→運用した結果11,111ドル+2,000ドル=13,111ドルとなりこれがドルでの保険金額となる→円に直すと1,179,990円となる。

→結果、179,990円増えたことになる。

(2)1ドル100円の場合

1,000,000円の保険料を払い込む→ドルに換算すると10,000ドルになる→運用した結果10,000ドル+2,000ドル=12,000ドルとなりこれがドルでの保険金額となる→円に直すと1,200,000円となる。

→結果、200,000円増えたことになる。

(3)1ドル110円の場合

1,000,000円の保険料を払い込む→ドルに換算すると9,091円になる→運用した結果9,091ドル+2,000ドル=11,091ドルとなりこれがドルでの保険金額となる→円に直すと1,220,010円となる。

→結果、220,010円増えたことになる。

このようにドルでの保険料がいくらになるか、ドルでの保険金額がどのくらいになるか、そして円に換算するとどのくらいになるかについて、大まかではありますがみてきました。

ただ、払い込むときと受け取る時のレートは一致しないことがほとんどですので、ここで(2)を使って払い込むときは1ドル100円だけど、受け取るときは1ドル120円もしくは80円だと仮定してシミュレーションしてみます。

・1ドル120円のときに12,000ドルを円に直して受け取ると、1,440,000円になる。

→結果、440,000円増えたことになる。

このように、保険料を払い込むときのレートと比べて保険金を受け取るときのレートが円安になると、利益を得ることができます。

この利益を為替差益といいます。

・1ドル80円のときに12,000ドルを円に直して受け取ると、960,000円になる。

→結果、40,000円減ったことになる。

このように、払い込むときのレートと比べて受け取るときのレートが円高になると、損失を被ることになります。

この損失を為替差損といいます。

ドル建て保険を選ぶ際の1つのポイント

次に、ドル建て保険を選ぶ際のポイントを1つご紹介します。

・仕組みやリスクをよく理解してから加入する。

これは当たり前のことですが、ドル建て保険に加入する際にはより大事になってきます。

ドル建て保険は仕組みが複雑です。

商品のパンフレット等には仕組みや注意点などが記載されていますが、普段聞きなれない言葉が使われていたりして、よく理解できない人がほとんどだと思います。

そして、それとともにリスクを伴うことをよく理解してから加入しなければなりません。

事実、国民生活センターには近年、銀行窓口で外貨建て保険に関する苦情が多く寄せられています。

特に高齢者による苦情が多いようですが、子どもを持つお父さん、お母さんも注意しなければならないことには変わりありません。

保険商品にもクーリング・オフ制度は使えますが、外貨建て保険の場合、クーリング・オフで返されるお金は外国通貨になることもあり、それを両替すると損失を被ることもあります。

ドル建て保険を銀行窓口から加入するときでも、保険会社から直接加入するときでも、不明な点はしっかり聞いてよく理解してから加入するようにしましょう。

参考サイト⇒国民生活センター「銀行窓口で契約した外貨建て生命保険のトラブル」

過去の為替レート傾向と今後の予想

過去の米ドルの為替レートと今後の予想について、解説していきます。

2018年6月の中旬ごろから見ていくと、そのころは1ドル110円前後を推移していました。

その後、円安になり7月の中旬ごろには112円後半までいきました。

その後も大きく乱高下し、9月から10月にかけては最安の114円台までいきました。

2019年にかけて108円前半までいき、2019年6月11日現在は1ドル108円後半となっています。

今後の予想として、2020年12月末にみずほ銀行から出た「中期為替相場見通し」によると、感染症の影響もあり、今後1年間はドル安の傾向になるとみられています。

ちなみに、2021年の4月から6月期の予想は1ドル105円です。

為替相場は、世界の経済状況などに大きく影響されます。

為替レートはネットですぐに調べられます。

ドル建て保険を考えている人は日ごろからチェックする習慣をつけましょう。

参考サイト⇒三井住友銀行「マーケット情報チャート 米ドル/円」みずほ銀行「中期為替相場見通し」三井住友DSアセットマネジメント「2021年のドル円相場見通し」

ドル建て保険は投資目的で利用するのが良い

ここまでドル建て保険について詳しく解説してきましたが、ドル建て保険は投資目的で利用すると良いでしょう。

円建て保険で確実にお金を貯めていき、それにプラスしてドル建て保険を投資の1つとして利用しましょう。

ですので、確実に貯めたい部分は円建て保険で用意した方が良いのです。

ドル建て保険おすすめ5選

次に、実際に販売されているドル建て保険をご紹介します。

メットライフ生命、プルデンシャル生命、ソニー生命、アクサ生命、ジブラルタ生命のドル建て保険をいくつか説明していきます。

メットライフ生命

メットライフ生命は、医療保険のフレキシィSなどが有名ですが、外貨建て保険も多く取り扱っています。

「USドル建終身保険ドルスマートS」や、「定額個人年金保険レグルスⅣ」「サニーガーデンEX」「ビーウィズユープラス保障重視コース」の4つが販売されています。

「サニーガーデンEX」と「ビーウィズユープラス保障重視コース」は、一時払の終身保険です。

ここでは、「USドル建終身保険ドルスマートS」の特徴を解説していきます。

①積立利率が2.5%以上である。

この保険は、積立利率2.5%を最低保証としています。

過去の積立利率を見ると、3.20%台となっており、2019年4月と5月は3.18%と少し下がりました。

この保険は「積立利率変動型」なので、運用が上手くいけば3.5%や4%にもなる可能性があります。

②米ドルのみの取り扱いである。

「サニーガーデンEX」と「ビーウィズユープラス保障重視コース」では、豪ドルの扱いもあります。

③特約を付けることで、円で保険料の払い込み、保険金の受け取りができる。

④「低解約返戻金プラン」もある。

これは、保険料払込期間の解約返戻金を低くすることによって、保険料を割安にできるプランです。

円建て終身保険にも低解約返戻金型のものがあります。

ただし、払込期間中に解約した場合には返戻金が少なくなるのに加えて、返戻金をドルから円に換算する場合には為替レートによってはさらに少なくなることもあります。

⑤特約をつけることで三大疾病や要介護状態になった場合にそれ以降の保険料が免除される。

保険料が免除されても保障は続きます。

ただ、この特約を付けることで保険料は高くなります。

この特約を付けたい人は、要介護状態がどこからなのかを詳しく調べておきましょう。

さらに、がんの中でも上皮内新生物は含まれませんので、注意が必要です。

参考サイト⇒メットライフ生命「USドル建終身保険ドルスマートS」メットライフ生命「過去の積立利率一覧」

プルデンシャル生命

プルデンシャル生命でも、「米国ドル建終身保険」「米国ドル建特別終身保険」「米国ドル建リタイアメント・インカム」「米国ドル建平準定期保険」「米国ドル建介護終身保険」「米国ドル建積立利率更改型一時払終身保険」「米国ドル建家族収入保険」の7つの商品が販売されています。

「特別終身保険」は無告知型のもので、健康状態に不安のある人でも入りやすい商品です。

さらに、「介護終身保険」では、認知症になった場合の保障もついています。

ここでは、「米国ドル建終身保険」の特徴を解説していきます。

①特約をつけることで、円で保険料の払い込み、保険金の受け取りができる。

メットライフ生命同様の特約が付加できます。

②保険金が50,000米ドル以上だと保険料が安くなる。

これは高額割引制度が適用されることによって、安くなります。

50,000米ドルは、日本円でおよそ5,192,450円(2021年1月8日現在)です。

③保険料払込免除の仕組みはない。

メットライフ生命のような特定の条件に該当したときに、保険料の払い込みをしなくてもよくなる仕組みはありません。

「介護終身保険」にはこの仕組みがあります。

参考サイト⇒プルデンシャル生命「米国ドル建終身保険」

ソニー生命

ソニー生命は学資保険で有名ですが、外貨建て保険も多く取り扱っています。

「米ドル建終身保険」「米ドル建一時払終身保険」「米ドル建養老保険」「米ドル建特殊養老保険」「米ドル建生前給付終身保険」の5つが販売されています。

一時払いの終身保険は無告知型となっています。

ここでは、「米ドル建終身保険」の特徴を解説していきます。

①保険料は必ず円で払い込まなければいけない。

この商品には保険料を円で払い込む特約がありますが、これは必ず付加しなければいけません。

ただし、受け取りは米ドルか円のどちらでもできます。

②高額割引制度がある。

この保険にも保険金額が一定以上になると適用されます。

③身体障害状態になったときは保険料の払い込みがなくなる。

商品によって保険料免除の条件は異なりますが、この保険では不慮の事故により身体障害状態になった場合に払い込みがなくなります。

不慮の事故とは交通事故などです。

④保険金、解約返戻金を年金形式で受け取れる。

特約を付加した場合に年金形式で受け取れます。

ただし、これは円のみでの受け取りになります。

⑤ナーシング・ニーズ特約を付加できる。

聞きなれない特約名ですが、これは被保険者が65歳以上で要介護4か5と認定された場合に、保険金を前払いするものです。

参考サイト⇒ソニー生命「米ドル建終身保険」

アクサ生命

アクサ生命の外貨建て保険は、「アクサの外貨建ての変額終身アップサイドプラス」のみとなっています。

①米ドルと豪ドルから選べる。

②保険料は一時払いで払い込む。

この保険も特約をつけることで円での払い込みができます。

③保険金は年金形式でも受け取れる。

こちらも特約をつけることで、円で年金を受け取れます。

ただし、ソニー生命のように解約返戻金は年金では受け取れません。

参考サイト⇒アクサ生命「アクサの「外貨建て」の変額終身アップサイドプラス」

ジブラルタ生命

ジブラルタ生命でも外貨建て保険は充実しており、「通貨指定型個人年金保険」や「通貨指定型個人年金保険(米国ドル建)<円建保証タイプ>」「米国ドル建終身保険」「米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)」「米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金型)」などがあります。

ここでは、「米国ドル建終身保険」の特徴を解説していきます。

①保険料は円で払い込む。

②高額割引制度が適用される。

この保険でも、保険金が50,000米ドル以上であれば保険料が安くなります。

③保険金、解約返戻金を年金形式で受け取れる。

ソニー生命と同じく、保険金、解約返戻金ともに年金として受け取れます。

さらに形式も3タイプあり、「確定年金」「保証期間付終身年金」「保証期間付夫婦連生終身年金」から選べます。

④保険金額の一部を介護年金として前払いできる。

被保険者が65歳以上などの一定の条件を満たして、所定の要介護状態になったときには介護年金が受け取れます。

参考サイト⇒ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」

ドル建て保険と学資保険、結局どちらが良いのか?

これまでドル建て保険について詳しく解説してきましたが、結局は円建ての学資保険とどちらが良いのでしょうか?

解説してきたように、ドル建て保険は大きくお金を増やすこともできるため、高額な教育資金を貯めるのには有効かもしれません。

ただ、教育資金は子どものためにも確実に貯めてきたいものでもあります。

そう考えると、リスクの少ない学資保険が良いとも言えます。

ですので、確実に貯めたい部分は学資保険で確実に貯めて、それにプラスする形でドル建て保険を利用するのが良いでしょう。

どのくらいの割合にするかは、その家庭によって異なりますので、今後教育資金がどのくらい必要になるのか、その中でも確実に貯めたい部分はいくらになるのか、しっかりと確認しましょう。

子どもの教育費については、後ほど解説していきます。

ドル建てと円建てどれくらい違う?実際の商品比較

ここでドル建て保険と円建て保険の違いを実際の商品を比較して解説していきます。

学資保険の代わりとして最近加入されることの多い低解約返戻金型終身保険のドル建て商品と円建て商品を比較してみます。

用いる商品は、オリックス生命の「ライズ」と、先ほど説明した「キャンドル」です。

教育資金を貯めるのに多くの人が注目する点は、返戻率ですよね。

それぞれ返戻率がどのくらいなのか、注目してみましょう。

・共通の条件 契約者30歳男性 保険料払込期間60歳払済(30年間払い込む)

・キャンドルの条件 保険金額100,000ドル 保険料116.50ドル(保険料は円で払い込むことになるので、為替レートにより毎月変動します。例えば、1ドル110円の場合の保険料は12,815円となります。)

・ライズの条件 保険金額5,000,000円 保険料10,870円(1ドル100円と考えたときに、キャンドルと保険料をなるべく合わせるために保険金額は5,000,000円にしました。円建ての保険料は一定です。)

なお、以下の表はオリックス生命のホームページに掲載されている契約例とシミュレーションを参考に作成しました。

払い込んだ保険料(キャンドル) 返戻率(キャンドル) 払い込んだ保険料(ライズ) 返戻率(ライズ)
解約返戻金(キャンドル) 解約返戻金(ライズ)
10年後 13,980.00ドル 75.0% 1,304,400円
10,487.00ドル
20年後 27,960.00ドル 85.5% 2,608,800円
23,915.00ドル
30年後 41,940.00ドル 98.3% 3,913,200円
41,238.00ドル
払込期間終了直後 41,940.00ドル 140.6% 3,913,200円 約109.9%
59,004.00ドル 約4,300,000円

払込期間終了直後の返戻率を見てみると、キャンドルが140.6%でライズが約109.9%とおよそ30%の差があります。

そして、キャンドルの「59,004.00ドル」を円に換算してみます。

・1ドル90円の場合 5,310,360円

・1ドル110円の場合 6,490,440円

これは契約の一例です。

ドル建て保険の場合は為替相場の影響を受けるので、解約返戻金額が払い込んだ保険料額よりも少なくなることがありますので、その点は注意しましょう。

参考サイト⇒オリックス生命「契約例(米ドル建終身保険キャンドル)」オリックス生命「保険料シミュレーション」

ドル建て保険はこんな人におすすめ

これまで見てきたように、ドル建て保険には高い貯蓄性が期待できる反面、リスクも伴います。

ですので、先ほど説明したドル建て保険のメリットとデメリットを全て理解できる人、シミュレーションの流れを理解できる人、為替相場の動きを正しく理解できる人や解約の時期を見極められる人におすすめです。

子どもを留学させたいお父さん、お母さんにもおすすめします。

円建て保険はこんな人におすすめ

円建て保険は、教育資金を確実に貯めたい人、毎月決まった保険料を払い込んでいきたい人におすすめします。

「そんなにお金を多く増やせなくてもいい」「リスクを伴うよりは確実に貯めていきたい」「毎月保険料が一定でないのは苦手」という人はぜひ円建て保険で教育資金を貯めていきましょう。

子どもの教育資金の貯蓄方法を選択する際の重要なポイント

子どもの教育資金を貯蓄する方法はたくさんあります。

その方法を選択する際のポイントはどういった点にあるのでしょうか?

それは、「教育費がいくらかかるかを知ること」と、「教育費をいつ、いくら使うか計画を立てること」です。

子供の教育費はいくらかかるかを知る

まずは、子どもの教育費がいくらかかるか知りましょう。

幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の教育費を表にまとめてみました。

公立幼稚園 682,117円
私立幼稚園 1,445,385円
公立小学校 1,934,173円
私立小学校 9,164,628円
公立中学校 1,433,090円
私立中学校 3,979,521円
公立高校 1,351,336円
私立高校 3,109,805円

大学は国立と私立文系でそれぞれ実家から通学するのか、1人暮らしなのかに分けてまとめてみました。

国立(実家) 5,243,000円
国立(1人暮らし) 8,123,000円
私立文系(実家) 6,684,000円
私立文系(1人暮らし) 9,332,000円

この他に大学受験料も大きな負担になります。

センター試験(3科目以上)で18,000円、国立の2次試験で17,000円、私立では30,000円以上はかかります。

併願することを考えても受験料だけで100,000円はかかると見ておいた方がよいでしょう。

参考サイト⇒文部科学省「結果の概要―平成28年度子供の学習費調査 調査結果の概要」生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどれくらい?」生命保険文化センター「大学受験から入学までにかかる費用はどれくらい?」

子供の教育費を「いつ」「いくら」使うか計画する

そして教育費がどのくらいかかるか分かったところで、「いつ」に「いくら」使うか計画を立ててみましょう。

各家庭で「いつ」「いくら」かが分かれるところは、公立にするか、私立にするか、大学まで進学させるかだと思います。

例えば、幼稚園から高校(全て公立)まで通わせたい場合には、5,400,716円かかります。

さらに私立大学(実家)まで通わせたい場合には、合わせて12,084,716円かかり、そこに受験料が加わります。

特に私立は各学校によって授業料など大きく異なるので、どのくらいかかるのかは早めに調べておきましょう。

そして、学資保険やその他の保険、方法で加入する際には、その商品の受取時期が自分が必要とする時期に合っているか、調べることも重要です。

学資保険であれば、商品によっては大学入学から在学中までしか準備できないものもあるので、高校入学から保険金を受け取りたいのであれば、しっかりと商品を吟味する必要があります。

終身保険であれば、受け取りたい時期になったら解約することができます。

だた、注意したいのはドル建て保険の場合です。

ドル建て保険のデメリットのところでも触れましたが、為替レートによっては解約したい時期なのにお金があまり増えなかったということが考えられます。

例えば、大学入学前に初年度納付金や一人暮らしのための敷金礼金などが必要になるから、解約しようとしたけれど、その時がベストなタイミングではない可能性も十分に考えられます。

そういった点においても、教育資金の貯蓄方法はしっかりと確認して決めなければいけないのです。

【番外】老後の資金積立はドル建て、円建て、どちらがいいのか

最後に【番外編】として、老後の資金積立について解説していきます。

ドル建て保険は、金利が高いため、解約しないでいると段々と解約返戻金が増えていく特徴を持っています。

例えば、先ほどもご紹介したメットライフ生命の「USドル建終身保険ドルスマートS」は積立利率3%を最低保証している商品です。

この商品は、積立利率変動型なので、最低でも年3%を保証し運用が上手くいけば3.5%、4%にもなるということです。

ホームページに載ってる解約返戻金と返戻率を上げてみると、以下の表のようになります。

低解約返戻金プランで、積立利率が年3.00%、契約者が30歳男性、保険料の払い込みが15年で終わり(45歳まで)、保険金額が100,000ドルで、保険料が227.80ドルの場合です。

払込保険料累計 解約返戻金 返戻率
10年後(40歳) 27,336ドル 17,774ドル 65.0%
20年後(50歳) 41,004ドル 46,431ドル 113.2%
30年後(60歳) 41,004ドル 57,329ドル 139.8%
35年後(65歳) 41,004ドル 63,374ドル 154.5%

このように年数が経っていくにつれて、非常に高い返戻率が期待できます。

教育資金を貯めるとなると、子どもが0歳の場合、受け取らなければならない時期が16年後、18年後といった短期間で解約しなければならないケースが多くなるので、上記のような返戻率は期待できなくなります。

ですが、老後の資金積立となると、30歳で加入しても会社を退職する65歳で解約したとしても、35年間も据え置くことができるので高い返戻率を期待できます。

ですので、老後の資金を長期的に、若いうちから積み立てる場合にはドル建て保険も有効になってきます。

ただし、ドル建て保険を選ぶ際のポイントでも説明したように、商品の仕組みや注意点はしっかり理解した上で加入するようにしましょう。

参考サイト⇒メットライフ生命「USドル建終身保険ドルスマートS」

まとめ

以上、教育資金を貯蓄する方法として、ドル建て保険と円建て保険について解説してきました。

教育資金を貯めるとなると、解約時期も早めになるのでドル建ての金利の恩恵は受けづらいのかもしれません。

ただ、今はドル建ては必要ない!と思っていても、今後教育資金の貯蓄以外でお世話になる可能性もあります。

そういった意味でも、ドル建て保険について理解しておくことは重要です。

自分の家庭にはどの教育資金の貯蓄方法が合っているのか、しっかり吟味していきましょう!

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